PG(プロクター&ギャンブル)の配当金・利回り・増配推移【2026年】

ダウ30銘柄,必需品,配当





PG(プロクター&ギャンブル)の配当金・利回り・増配推移【2026年】


PG(プロクター&ギャンブル)の配当金・利回り・増配推移【2026年】

最終更新:2026年8月6日

Contents

【2026年8月更新】PGの配当情報

  • 現在の配当金:四半期配当は1株1.0885ドル、同額が年4回続くと仮定した年率換算配当は4.354ドルです。[2]
  • 直近の配当日程:権利落ち日と基準日は2026年7月24日、支払日は2026年8月17日です。[2]
  • 株価・参考利回り:2026年8月5日終値146.80ドルを基準にすると、参考配当利回りは約2.97%です。[3]
  • 配当の安全性:P&Gは70年連続増配を継続しています。2026年度のGAAP EPSベースの配当性向は約64%、単純FCFによる配当カバーは約1.48倍でした。[1][2]

PG(プロクター・アンド・ギャンブル/P&G)の現在の四半期配当は、1株当たり1.0885ドルです。同額が4回続くと仮定した年率換算配当は4.354ドルです。直近の権利落ち日と基準日は2026年7月24日、支払日は2026年8月17日です。

本記事では、PGの配当金、配当利回り、支払日、2008年度以降の増配推移、配当性向、フリーキャッシュフローによる配当安全性を整理します。あわせて、2026年6月期本決算と2027年度会社見通しから、今後の増配余力と注意点を確認します。

PGの配当金はいくら・いつ?

項目 内容
直近の四半期配当 1株1.0885ドル
年率換算配当 1株4.354ドル
権利落ち日 2026年7月24日
基準日 2026年7月24日
支払日 2026年8月17日
増配年数 70年連続

年率換算配当4.354ドルは、現在の四半期配当1.0885ドルが今後も4回続くと仮定した参考値です。将来の配当額を保証するものではありません。

保有株数別の年間配当額

保有株数 1回当たり 年率換算
1株 1.0885ドル 4.354ドル
10株 10.885ドル 43.54ドル
100株 108.85ドル 435.40ドル

上表は税引前です。実際の受取額は、米国での源泉徴収、日本国内の課税、外国税額控除の適用状況、為替レートなどによって変わります。

PGの配当利回りと株価の推移:3カ月チャート

年率換算配当4.354ドルは、現在の四半期配当1.0885ドルが今後も4回続くと仮定した参考値です。将来の配当額を保証するものではありません。

PGの配当金・配当利回り・配当性向の推移

以下の表では、P&Gの会計年度(7月1日~翌年6月30日)を基準に、年間配当、増配率、EPSベースの配当性向を整理しています。「2027年度参考」は、現在の配当ランレートと2027年度会社見通しを組み合わせた試算であり、会社が年間配当額を予想したものではありません。[1][2][4]

年度・参考値 配当 参考株価 年EPS
参考利回り 成長率 配当性向 年計
2027年度参考 約2.97% 約61~63% 4.354
年率換算
146.80
2026年8月5日
6.89~7.11
コアEPS見通し
2026 約2.9% 約4% 約64% 4.2589 146.64
2026年6月30日
6.62
2025 2.56% 約6% 約63% 4.0763 159.5 6.51
2024 2.26% 約4% 約64% 3.8286 169.3 6.02
2023 2.37% 約4% 約62% 3.68 155.3 5.90
2022 2.45% 約9% 約61% 3.523 143.9 5.81
2021 2.17% 約7% 約59% 3.242 149.2 5.50
2020 2.25% 約4% 約61% 3.028 134.6 4.96
2019 2.43% 約4% 約203% 2.90 119.3 1.43
2018 2.98% 約3% 約76% 2.79 93.7 3.67
2017 3.18% 約2% 約48% 2.70 84.9 5.59
2016 3.05% 約2% 約72% 2.66 87.2 3.69
2015 3.31% 約6% 約107% 2.60 78.5 2.44
2014 2.91% 約7% 約61% 2.45 84.1 4.01
2013 2.86% 約7% 約59% 2.29 80.1 3.86
2012 2.97% 約9% 約58% 2.14 72.0 3.66
2011 3.07% 約9% 約50% 1.97 64.1 3.93
2010 2.86% 約10% 約44% 1.80 63.0 4.11
2009 2.75% 約13% 約38% 1.64 59.7 4.26
2008 2.48% 約13% 約40% 1.45 58.5 3.64

※備考:2026年度の配当性向は、年間配当4.2589ドルをGAAP希薄化後EPS6.62ドルで割った約64%です。コアEPS6.89ドルを基準にすると約62%です。2027年度参考は、年率換算配当4.354ドルをコアEPS見通し6.89~7.11ドルで割っています。配当額は会社予想ではなく、現在の四半期配当を4倍した参考値です。

PGは70年連続増配の「配当王」

P&Gは2026年4月に四半期配当を1.0568ドルから1.0885ドルへ約3%増額し、70年連続増配を達成しました。また、1890年の法人設立以来、136年間連続で配当を支払っています[2]

2008年度の年間配当1.45ドルと2026年度の4.2589ドルを比較すると、18年間で約194%増加しました。この期間には、世界金融危機、新型コロナウイルス感染拡大、急激なインフレ、為替変動などがありましたが、減配することなく増配を続けています。

配当成長率の推移

  • 2008~2012年度:年7~13%程度の比較的高い増配。
  • 2013~2017年度:事業ポートフォリオ再編期に入り、増配率は2~7%へ鈍化。
  • 2018~2022年度:生産性改善と利益成長により、3~9%程度の増配を継続。
  • 2023~2026年度:増配率はおおむね4~6%で推移。
  • 現在:四半期配当1.0885ドルは、従来の1.0568ドルから約3%の増額です。

近年の増配率は過去の高成長期より低くなっていますが、成熟した生活必需品企業として、利益とキャッシュフローの成長に合わせた増配を続けています。

PGの配当利回りの推移と安定性

P&Gの配当利回りは、株価によって変動しますが、長期的には2%台後半から3%台前半で推移することが多い銘柄です。2026年8月5日終値146.80ドルと年率換算配当4.354ドルから計算した参考配当利回りは約2.97%です。[3]

  • 極端な高配当ではない:利回りは3%前後で、減配リスクの高い高利回り株とは性格が異なります。
  • 増配による購買力維持:配当額の増加が、長期的な物価上昇への対応になります。
  • 景気耐性:洗剤、紙製品、オーラルケアなどは不況時にも需要が急減しにくい商品です。
  • 株価が下落した局面では利回りが上昇:業績に大きな問題がなければ、利回り上昇は長期投資家にとって検討材料になります。

配当性向の健全性

2026年度の年間配当は4.2589ドル、GAAP希薄化後EPSは6.62ドルだったため、EPSベースの配当性向は約64%でした。コアEPS6.89ドルに対する配当性向は約62%です。[1]

2027年度は、現在の年率配当4.354ドルとコアEPS見通し6.89~7.11ドルを用いると、配当性向は約61~63%となります。

  • 2008~2014年度:おおむね40~61%で推移。
  • 2015年度:事業再編や会計上の利益減少により100%を超過。
  • 2019年度:事業売却・減損などの影響でGAAP EPSが低下し、計算上203%まで上昇。
  • 2020~2026年度:おおむね59~64%で安定。
  • 2027年度見通し:約61~63%で、生活必需品企業として許容可能な範囲。

P&Gの配当性向には一定の余裕がありますが、40%以下の企業ほど大きな増配余地があるわけではありません。今後の増配率は、EPSとフリーキャッシュフローの成長率に近い水準になる可能性が高いと考えられます。

PGの配当は安全か:配当性向とフリーキャッシュフロー

EPSによる配当性向に加え、実際の配当支払額を営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローでどの程度カバーできているかを確認します。

年度 キャッシュフロー(M$) 配当支払額
(M$)
カバー比率
営業CF 設備投資 単純FCF FCF/配当 営業CF/配当
2026 19,556 4,409 15,147 10,232 1.48倍 1.91倍
2025 17,817 3,773 14,044 9,872 1.42倍 1.80倍
2024 19,846 3,122前後 約16,724 約9,500 約1.76倍 約2.09倍
2023 16,848 3,062前後 約13,786 約9,100 約1.51倍 約1.85倍
2022 16,723 3,156前後 約13,567 約8,800 約1.54倍 約1.90倍
2021 18,371 2,787前後 約15,584 約8,300 約1.88倍 約2.21倍
2020 17,403 3,073前後 約14,330 約7,800 約1.84倍 約2.23倍

単純FCFは「営業キャッシュフロー-設備投資」で計算しています。会社が公表する調整後フリーキャッシュフローとは、税金支払いや事業再編などの調整項目により一致しない場合があります。

2026年度の配当カバー

2026年度の営業キャッシュフロー195.56億ドルから設備投資44.09億ドルを差し引いた単純FCFは151.47億ドルです。配当支払額102.32億ドルに対するFCFカバーは約1.48倍でした。

配当はFCFの範囲内で賄われており、約49億ドルの余剰が残ります。ただし、P&Gはこれとは別に約50億ドルの自社株買いも実施しているため、配当と自社株買いの合計は単純FCFとほぼ同程度です。

配当安全性の評価

  • 配当単独では十分にカバー:2026年度のFCFカバーは約1.48倍です。
  • 総還元では余裕が小さい:配当102.32億ドルと自社株買い50.28億ドルの合計は約152.6億ドルで、単純FCF151.47億ドルとほぼ同水準です。
  • 自社株買いは調整可能:業績悪化時には、配当を維持しながら自社株買いを減らすことができます。
  • 設備投資増加に注意:2026年度の設備投資は44.09億ドルと、2025年度の37.73億ドルから増加しました。
  • 2027年度も配当約100億ドルを予定:会社は2027年度に約100億ドルの配当と約50億ドルの自社株買いを見込んでいます。

PGの業績と2027年度の成長見通し

主要財務指標の推移

以下の表では、売上高、営業キャッシュフロー、P&Gに帰属する純利益をM$(百万ドル)単位で表示しています。2026年Q4は2026年4~6月期、2026年度は2025年7月~2026年6月の通期です。[1]

年度・期間 売上高 営業CF 営業CF
マージン
純利益
2026 Q4 21,203 約5,131 約24% 3,044
2026 87,032 19,556 22% 16,046
2025 84,284 17,817 21% 15,974
2024 84,039 19,846 24% 14,879
2023 82,006 16,848 21% 14,653
2022 80,187 16,723 21% 14,742
2021 76,118 18,371 24% 14,306
2020 70,950 17,403 25% 13,027
2019 67,684 15,242 23% 3,897
2018 66,832 14,867 22% 9,750
2017 66,832 12,753 19% 15,326
2016 65,299 15,435 24% 10,508
2015 70,749 14,608 21% 7,036
2014 74,401 13,958 19% 11,643
2013 80,116 14,873 19% 11,312
2012 82,006 13,284 16% 10,756
2011 81,104 13,330 16% 11,797
2010 77,567 16,131 21% 12,736
2009 76,694 14,919 19% 13,436
2008 79,257 15,008 19% 12,075

2026年度の業績

  • 売上高:870.32億ドル、前年度比3%増。
  • オーガニック売上:1%増。価格が1ポイント寄与し、数量と製品ミックスは横ばい。
  • 希薄化後EPS:6.62ドル、前年度比2%増。
  • コアEPS:6.89ドル、前年度比1%増。
  • 営業利益:197.48億ドル、前年度比3%減。
  • 営業利益率:22.7%。前年度の24.3%から1.6ポイント低下。
  • 営業キャッシュフロー:195.56億ドル、前年度比約10%増。
  • 配当支払額:102.32億ドル。
  • 自社株買い:50.28億ドル。

売上高とEPSは増加しましたが、原材料・物流コスト、マーケティング投資、事業再編費用などにより、営業利益率は低下しました。為替が売上高を押し上げた一方、実質的なオーガニック成長率は1%にとどまっています。[1]

2026年度第4四半期は利益率が低下

2026年度第4四半期の売上高は212.03億ドルで、前年同期比2%増でした。一方、オーガニック売上は横ばいです。

  • 数量:全社では横ばい。
  • 価格:全社では横ばい。
  • 為替:売上高を約1%押し上げ。
  • GAAP EPS:1.26ドル、前年同期比15%減。
  • コアEPS:1.43ドル、同3%減。
  • 営業利益率:18.6%、前年同期の20.8%から低下。
  • 営業CF:約51億ドル。

生産性向上によるコスト削減は続いていますが、マーケティング投資、商品・パッケージへの再投資、不利な製品ミックス、商品コスト上昇が利益率を圧迫しました。

事業部門別の2026年度売上高

事業部門 2026年度売上高 前年度比 主な特徴
ビューティー 16,023M$ +7% ヘアケア、パーソナルケアが成長
グルーミング 6,918M$ +4% 価格と為替が寄与、数量は減少
ヘルスケア 12,456M$ +4% 価格と製品ミックスが寄与
ファブリック&ホームケア 30,314M$ +2% 全社最大部門、数量は横ばい
ベビー・フェミニン&ファミリーケア 20,401M$ +1% 数量減少を為替が補う

2026年度は全事業部門で報告ベースの売上高が増加しました。ただし、為替のプラス効果が含まれており、オーガニック数量ではグルーミング、ヘルスケア、ベビー・フェミニン&ファミリーケアが減少しています。

2027年度の会社見通し

項目 2027年度見通し
売上成長率 1~3%
オーガニック売上成長率 1~3%
GAAP EPS成長率 1~5%
コアEPS 6.89~7.11ドル
コアEPS成長率 横ばい~3%
設備投資 売上高の4.5~5.5%
調整後FCF生産性 85~90%
配当支払額 約100億ドル
自社株買い 約50億ドル

P&Gは2027年度に、原材料、エネルギー、輸送費の上昇による税引後約10億ドルの逆風を見込んでいます。さらに、純支払利息の増加約1.5億ドル、営業外収益の減少約1.5億ドル、為替の悪影響約0.5億ドルを想定しています。これらの合計は1株当たり約0.56ドル、コアEPS成長率に対して約8%の逆風に相当します。[1]

会社は生産性向上と価格戦略でコスト上昇を吸収する方針ですが、2027年度も利益成長は低い一桁台にとどまる慎重な見通しです。

ポートフォリオ・組織・生産性改革

P&Gは、製品ポートフォリオと組織を簡素化し、コスト構造を改善する計画を進めています。計画全体の税引前費用は約10億~16億ドルで、2026年度までに半分以上を計上し、残りを2027年度に計上する予定です。[1]

短期的には再編費用がGAAP利益を押し下げますが、計画通りに固定費削減と意思決定の迅速化が進めば、中期的な利益率改善につながる可能性があります。

優秀なキャッシュフロー創出力

年度 営業CF 成長率 投資CF 財務CF
2026 19,556 約10% -4,624 -14,460
2025 17,817 約-10% -3,818 -14,036
2024 19,846 約18% -3,504 -14,855
2023 16,848 約1% -3,500 -12,146
2022 16,723 約-9% -4,424 -14,876
2021 18,371 約6% -2,834 -21,531
2020 17,403 約14% 3,045 -8,367
2019 15,242 約3% -3,490 -9,994
2018 14,867 約17% -3,511 -14,375
2017 12,753 約-17% -6,685 -8,568
2016 15,435 約6% -5,575 -9,213
2015 14,608 約5% -2,890 -13,019
2014 13,958 約-6% -4,100 -7,279
2013 14,873 約12% -6,295 -7,071
2012 13,284 ほぼ横ばい -1,093 -10,410
2011 13,330 約-17% -3,482 -10,122
2010 16,131 約8% -597 -17,314
2009 14,919 約-1% -2,353 -10,814
2008 15,008 -2,549 -14,844
  • 営業CFは過去最高圏:2026年度の195.56億ドルは、長期的に見ても高い水準です。
  • 設備投資は増加:生産能力、サプライチェーン、製品革新への投資により、設備投資は44.09億ドルへ増えました。
  • 財務CFは大幅なマイナス:配当と自社株買いが主な要因です。
  • 株主還元は柔軟:配当は長期的な継続を重視し、自社株買いはキャッシュフローに応じて調整できます。
  • 2027年度も高水準の還元を計画:配当と自社株買いを合わせて約150億ドルを見込んでいます。

健全な財務基盤

年度 総資産 総負債 株主資本 自己資本率 ROE
2026 126,521 72,210 54,311 42.9% 約30%
2025 125,231 72,946 52,284 41.8% 約31%
2024 122,370 71,812 50,558 41% 約29%
2023 120,829 73,764 47,065 39% 約31%
2022 117,208 70,354 46,854 40% 約31%
2021 119,307 72,653 46,654 39% 約31%
2020 120,700 73,822 46,878 39% 約28%
2019 115,095 67,516 47,194 41% 約8%
2018 118,310 65,427 52,293 44% 約19%
2017 120,406 64,628 55,184 46% 約28%
2016 127,136 69,153 57,341 45% 約18%
2015 129,495 66,445 62,419 48% 約11%
2014 144,266 74,290 69,214 48% 約17%
2013 139,263 70,554 68,064 49% 約17%

2026年6月末の財務状態

  • 現金及び現金同等物:99.42億ドル
  • 1年以内返済予定の有利子負債:112.96億ドル
  • 長期債務:228.42億ドル
  • 有利子負債合計:約341.38億ドル
  • 概算ネット有利子負債:約241.96億ドル
  • 株主資本:543.11億ドル
  • 自己資本率:約42.9%

2026年6月末の総負債は前年度末より減少し、株主資本は増加しました。自己資本率は約43%で、生活必需品企業として安定した水準です。

有利子負債は存在しますが、年間約200億ドルの営業キャッシュフローを生み出しているため、債務返済能力に直ちに大きな問題がある状態ではありません。

ROEが高い理由

P&GのROEは近年30%前後で推移しています。高い利益率に加え、継続的な自社株買いによって株主資本が抑えられていることもROEを押し上げています。

高ROEは資本効率の高さを示しますが、自社株買いによる分母縮小の影響も含むため、営業利益率、営業CF、負債と合わせて評価する必要があります。

投資リスクと確認すべきポイント

主要リスク

  • 数量成長の鈍化:2026年度の全社数量は横ばいで、複数の部門で数量が減少しました。
  • 消費者の節約志向:低価格商品、プライベートブランド、セール品への需要移動が起こる可能性があります。
  • 原材料・エネルギー・輸送費:2027年度は税引後約10億ドルのコスト増加を見込んでいます。
  • 価格転嫁の限界:値上げが数量減少やシェア低下につながる可能性があります。
  • 為替変動:世界各国で事業を展開するため、ドル高は海外売上と利益を押し下げます。
  • 利益率低下:2026年度の営業利益率は前年度から1.6ポイント低下しました。
  • 事業再編リスク:ポートフォリオ整理や組織変更が計画通りのコスト削減につながらない可能性があります。
  • 高い株価評価:利益成長が低い一桁台にとどまる場合、PERの低下によって株価が調整する可能性があります。
  • 株主還元余力:配当と自社株買いを合わせた総還元額はFCFとほぼ同水準であり、大幅な余剰はありません。

モニタリングしたい指標

  1. オーガニック売上成長率
  2. 数量成長率
  3. 価格改定と製品ミックス
  4. コアEPS成長率
  5. 営業利益率・コア営業利益率
  6. 営業キャッシュフロー
  7. FCF/配当カバー比率
  8. 設備投資額
  9. 自社株買い額
  10. 原材料・エネルギー・物流コスト
  11. 事業再編費用とコスト削減効果

まとめ:PGは長期配当投資に向くか

P&Gは、70年連続増配と136年連続配当という非常に長い株主還元実績を持つ代表的な配当王です。洗剤、オーラルケア、紙製品、ベビー用品などの生活必需品を扱うため、景気後退時にも需要が比較的安定しています。

2026年度は売上高870.32億ドル、営業キャッシュフロー195.56億ドル、希薄化後EPS6.62ドルを記録しました。年間配当4.2589ドルに対するGAAP EPSベースの配当性向は約64%、単純FCFによる配当カバーは約1.48倍です。

配当単独の安全性は高いと考えられますが、配当と自社株買いを合計するとFCFの大部分を使用しています。今後、原材料費や物流費が上昇した場合は、配当を維持しつつ、自社株買いを減らす対応が考えられます。

投資判断のポイント

  • 現在の四半期配当:1.0885ドル
  • 年率換算配当:4.354ドル
  • 2026年8月5日終値:146.80ドル
  • 参考配当利回り:約2.97%
  • 2026年度GAAP配当性向:約64%
  • 2026年度FCF配当カバー:約1.48倍
  • 2027年度コアEPS見通し:6.89~7.11ドル
  • 2027年度予想配当性向:約61~63%

P&Gは急速な利益成長を期待する銘柄ではありませんが、景気耐性、強いブランド、安定したキャッシュフロー、長期増配実績を組み合わせた配当成長株です。

一方、2027年度のコアEPS成長見通しは横ばい~3%にとどまり、コスト上昇と数量成長の鈍化が課題です。株価水準を評価する際は、配当利回りだけでなく、今後の数量回復、利益率改善、事業再編の成果を確認する必要があります。

よくある質問

PGの配当金はいくらですか?

現在の四半期配当は1株1.0885ドルです。同額が年4回続くと仮定すると、年率換算配当は1株4.354ドルです。10株では年間43.54ドル、100株では年間435.40ドルに相当します。いずれも税引前の参考額です。

PGの配当金はいつ支払われますか?

直近の配当は2026年8月17日に支払われる予定です。権利落ち日と基準日は2026年7月24日でした。[2]

P&Gの配当はどれくらい安全ですか?

2026年度の配当性向はGAAP EPSベースで約64%、コアEPSベースで約62%でした。単純FCFによる配当カバーは約1.48倍で、配当はキャッシュフローの範囲内で賄われています。

また、70年連続増配と136年連続配当の実績があり、配当安全性は米国株の中でも高い部類と考えられます。ただし、将来も同じ増配率が続く保証はありません。

2027年度も増配を期待できますか?

現在の配当性向と会社のキャッシュフロー見通しからは、増配を継続できる余地があります。ただし、2027年度のコアEPS成長見通しは横ばい~3%であるため、大幅増配よりも低い一桁台の増配が現実的です。

売上成長率が低いことは懸念材料ですか?

成熟した生活必需品企業であるため、売上成長率が1~3%程度にとどまること自体は異常ではありません。しかし、価格上昇だけに依存し、数量減少が続く場合は、中長期的な市場シェアと利益成長に影響します。

2027年度は、価格だけでなく、製品革新、ブランド投資、数量回復によってオーガニック売上を伸ばせるかが重要です。

原材料費や物流費の上昇は配当に影響しますか?

2027年度は、原材料、エネルギー、輸送費による税引後約10億ドルの逆風が見込まれています。短期的には利益率とFCFを圧迫しますが、P&Gは生産性向上、価格改定、製品ミックス改善で吸収する方針です。

配当より先に自社株買いを調整できるため、現在の財務状態では直ちに減配につながる可能性は低いと考えられます。

現在の約3.0%の配当利回りは魅力的ですか?

利回りだけを見ると、より高い配当利回りの銘柄は多数あります。P&Gの魅力は、現在の利回りに加え、増配の継続性、景気耐性、株価変動の比較的小ささを組み合わせた点にあります。

購入判断では、自身が求める利回り、P&Gの利益成長率、株価のPER、他の生活必需品株や債券利回りとの比較が必要です。

免責事項:本記事は公開情報を基に財務データと配当政策を分析したものであり、特定の金融商品の購入または売却を推奨するものではありません。株価、配当額、業績見通しは変動する可能性があります。投資にあたっては最新の決算資料、Form 10-K、配当発表などを確認し、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。

ミニ解説:P&Gは高成長株ではありませんが、生活必需品需要、強いブランド、安定した営業キャッシュフローを背景に配当を積み上げてきた銘柄です。2026年度の配当カバーは良好ですが、2027年度はコスト上昇と低い利益成長見通しが焦点になります。

【注】(出典リンク)

  1. 2026年度本決算・第4四半期・2027年度見通し・CF・BS → 一次情報:P&G「Fourth Quarter and Fiscal Year 2026 Results」P&G IR「Q4 2026 Earnings Conference Call」(確認日:2026-08-06)
  2. 配当額・基準日・支払日・70年連続増配・136年連続配当 → 一次情報:P&G「Declares Quarterly Dividend, July 2026」P&G「Declares Dividend Increase for April 2026」。権利落ち日 → 参考情報:Stock Analysis「Procter & Gamble Dividend History」(確認日:2026-08-06)
  3. 株価・配当利回り計算 → 参考情報:Yahoo Finance「The Procter & Gamble Company Historical Data」Macrotrends「P&G Stock Price History」(確認日:2026-08-06)
  4. 2025年度以前の長期財務データ・事業情報 → 一次情報:SEC EDGAR「P&G 2025 Form 10-K」P&G 2025 Annual Report(確認日:2026-08-06)


Posted by 南 一矢