LLY:イーライリリーの配当推移

ヘルスケア,配当

【2026年8月更新】 2025年通期決算、2026年第2四半期決算、2026年第3四半期配当、2026年通期ガイダンスを反映しました。2026年第2四半期の売上高は229.74億ドル、純利益は70.95億ドル、希薄化後EPSは7.94ドルでした。2026年上半期では売上高427.73億ドル、純利益144.91億ドル、希薄化後EPS16.19ドルとなっています。会社は2026年通期の売上高見通しを850億~870億ドルへ引き上げ、非GAAP EPS見通しを35.50~36.50ドルとしました。[1]

イーライリリー(LLY)配当投資分析(2026年8月更新)

要旨:イーライリリーは、糖尿病治療薬「Mounjaro」と肥満症治療薬「Zepbound」を軸に急成長を続けています。2026年第2四半期の売上高は前年同期比48%増の229.74億ドル、GAAP純利益は25%増の70.95億ドル、GAAP希薄化後EPSは26%増の7.94ドルでした。非GAAP EPSは33%増の8.38ドルです。[1]

製品別では、2026年第2四半期のMounjaro売上高が前年同期比91%増の99.43億ドル、Zepboundが46%増の49.28億ドルでした。両製品の合計は148.71億ドルとなり、同四半期の全社売上高の約65%を占めています。[1]

配当面では、2025年の年間配当は1株6.00ドルでした。2026年は四半期配当が1株1.73ドルへ15%増額されており、現行年率配当は6.92ドルです。2026年第3四半期配当は、2026年8月14日を基準日および権利落ち日、同年9月10日を支払日として宣言されています。[2]

2026年8月5日の終値1,169.86ドルに対する予想配当利回りは約0.59%です。現在のLLYは配当利回りの高さを狙う銘柄ではなく、利益成長と将来の増配余地を評価する成長株に近い位置づけです。[3]

まず、イーライリリー(Eli Lilly and Company)の配当利回りと株価をチャートで確認します。

権利落ち日や配当性向もあわせて確認します。配当性向は、1株配当をEPSで割り、利益に対して配当を払い過ぎていないかを見る指標です。2026年時点のLLYは、Mounjaro、Zepbound、新薬Foundayoなどを中心とする利益成長と、それに伴う将来の増配余地を評価する銘柄です。

ざっくりポイント:現在のLLYは「高成長・低利回り」の典型です。2026年8月5日時点の予想配当利回りは約0.59%にとどまります。一方、現行年率配当6.92ドルを、2026年通期の非GAAP EPS見通し35.50~36.50ドルと比べた予想配当性向は約19.0~19.5%です。配当余力は大きいものの、投資判断では配当利回りより、薬価、販売数量、製造能力、競合、研究開発費、買収費用、株価評価の高さを見る必要があります。

配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート

年次:配当の推移(利回り・成長率・配当性向・年間配当・平均株価・EPS)

増配ペースと会計ベースの配当性向の振れ幅を把握するための年次テーブルです。2025年通期実績と、2026年8月時点の現行配当および会社予想を掲載しています。

配当 平均株価・基準株価 年EPS
(GAAP)
非GAAP EPS
利回り 成長率 配当性向 年計(ドル)
2026E 約0.59%
(8月5日終値基準)
15% 約19.0~19.5%
(非GAAP EPS見通し比)
6.92
(現行年率)
1,169.86
(8月5日終値)
上半期16.19 35.50~36.50
(通期見通し)
2025 0.73% 15% 26%
(GAAP)
25%
(非GAAP)
6.00 823.47 22.95 24.21
2024 0.65% 15% 44% 5.20 801.10 11.71 12.99
2023 0.97% 15% 78% 4.52 464.60 5.80
2022 1.27% 15% 57% 3.92 307.50 6.90
2021 1.51% 15% 56% 3.40 224.60 6.12
2020 1.99% 15% 44% 2.96 148.80 6.79
2019 2.21% 15% 29% 2.99 116.60 10.24
2018 2.40% 8% 72% 2.60 93.60 3.61
2017 2.53% 2% N/A 2.40 82.20 -0.18
2016 2.67% 2% 79% 2.35 76.40 2.97
2015 2.54% 2% 88% 2.31 78.80 2.62
2014 3.18% 0% 88% 2.26 61.60 2.57
2013 3.72% 0% 45% 2.26 52.70 5.02
2012 4.50% 0% 54% 2.26 43.60 4.18
2011 5.33% 0% 50% 2.26 36.80 4.51
2010 5.57% 0% 43% 2.26 35.20 5.27
2009 5.71% 4% 50% 2.26 34.30 4.52
2008 4.12% 11% N/A 2.04 45.60 -1.71

※2026年の利回りは、現行年率配当6.92ドルを2026年8月5日の終値1,169.86ドルで割った参考値です。通年平均利回りではありません。2026年の配当性向は、現行年率配当6.92ドルを会社の非GAAP EPS見通し35.50~36.50ドルで割って計算しています。[1][3]


2026年第2四半期決算と通期見通し

2026年第2四半期・上半期の主要数値

項目 2026年Q2 前年同期比 2026年上半期
売上高 22,974Mドル +48% 42,773Mドル
GAAP純利益 7,095Mドル +25% 14,491Mドル
GAAP希薄化後EPS 7.94ドル +26% 16.19ドル
非GAAP純利益 7,493Mドル +32% 15,156Mドル
非GAAP EPS 8.38ドル +33% 16.94ドル
Mounjaro売上高 9,943Mドル +91% 18,605Mドル
Zepbound売上高 4,928Mドル +46% 9,088Mドル
Foundayo売上高 98Mドル 新製品 98Mドル

2026年第2四半期の販売数量は前年同期比60%増加した一方、実現価格は13%低下しました。売上高の拡大は強い需要に支えられていますが、値引き、リベート、公的保険への収載、現金払い価格の引き下げなどにより、1処方当たりの実現価格には低下圧力がかかっています。[1]

米国売上高は2026年第2四半期に前年同期比33%増の144億ドル、米国外売上高は80%増の86億ドルでした。米国外では販売数量が113%増加した一方、実現価格は36%低下しています。中国でMounjaroが国家医療保険医薬品リストへ追加されたことも、販売数量の増加と実現価格の低下に影響しました。[1]

2026年通期ガイダンス

項目 従来見通し 2026年8月5日更新
売上高 820億~850億ドル 850億~870億ドル
非GAAP営業利益率 47.0~48.5% 49.0~50.5%
非GAAP税率 18~19% 18~19%
非GAAP EPS 35.50~37.00ドル 35.50~36.50ドル

売上高見通しは引き上げられましたが、非GAAP EPSレンジの上限は37.00ドルから36.50ドルへ引き下げられました。会社によると、基礎事業の成長によるEPS押し上げ効果を、2026年第2四半期に計上した買収関連の研究開発費が相殺しています。2026年第2四半期には、買収した仕掛研究開発費として27.76億ドルを計上しました。[1]


配当の持続可能性を測る:現金ベースのカバー比率

指標の読み方

  • 配当総額(現金支出):キャッシュフロー計算書の財務キャッシュフロー内にある配当支払額を優先して使用します。
  • 営業CF対配当比率=営業CF÷配当総額。本業が生む現金で配当を何倍賄えるかを示します。
  • フリーCF対配当比率=(営業CF-設備投資)÷配当総額。設備投資を控除した残余現金で配当をどれだけ賄えるかを示します。
  • 製薬会社では買収、ライセンス導入、製造設備投資の時期によってフリーCFが大きく変動するため、単年度だけでなく複数年で確認します。

年次:配当総額とカバー比率

単位は百万ドル(Mドル)です。2026年上半期の正式なキャッシュフロー数値は2026年第2四半期Form 10-Qを参照し、年次比較表は通期数値が確定している2025年までを掲載しています。

配当総額 営業CF CAPEX フリーCF 営業CF/配当 FCF/配当
2025 5,384 16,813 7,841 8,972 3.12 1.67
2024 4,680 8,818 5,058 3,760 1.88 0.80
2023 4,069 4,240 3,448 792 1.04 0.19
2022 4,864 7,586 1,855 5,731 1.56 1.18
2021 4,230 7,366 1,700 5,666 1.74 1.34
2020 3,679 6,500 1,700 4,800 1.77 1.30
2019 3,201 4,837 1,600 3,237 1.51 1.01
2018 2,788 5,525 1,300 4,225 1.98 1.52
2017 2,577 5,616 1,100 4,516 2.18 1.75
2016 2,525 4,851 1,200 3,651 1.92 1.45
2015 2,485 2,965 800 2,165 1.19 0.87
2014 2,431 4,458 1,000 3,458 1.83 1.42
2013 2,431 5,735 900 4,835 2.36 1.99
2012 2,504 5,305 900 4,405 2.12 1.76
2011 2,504 7,235 1,100 6,135 2.89 2.45
2010 2,504 6,857 1,200 5,657 2.74 2.26
2009 2,504 4,336 1,200 3,136 1.73 1.25
2008 2,263 7,296 1,100 6,196 3.22 2.74

2025年は、営業CFが168.13億ドルへ増加し、配当支払額53.84億ドルを3.12倍カバーしました。設備投資が78.41億ドルまで増えたため、フリーCFベースの配当カバーは1.67倍でしたが、2023年および2024年から改善しました。[4]

2026年の現行年率配当6.92ドルは、会社の非GAAP EPS見通し35.50~36.50ドルに対して約19.0~19.5%です。利益ベースでは配当余力が大きい一方、製造設備の拡張、研究開発、企業買収にも多額の資金を投じています。[1]


キャッシュフロー計算書

読み方(要点)

  1. 営業CF:本業の現金創出力であり、配当の主な元手です。
  2. 投資CF:設備投資、企業買収、ライセンス取得などを含みます。マイナス幅の拡大が将来の成長投資を意味する場合があります。
  3. 財務CF:配当、自社株買い、借入、社債発行など、株主や債権者との現金のやり取りです。

年次:営業CF・投資CF・財務CF

単位は百万ドル(Mドル)です。

営業CF 投資CF 財務CF 配当支払 自社株買い
2025 16,813 -10,972 -2,213 5,384 4,108
2024 8,818 -9,302 1,230 4,680 2,500
2023 4,240 -7,153 3,496 4,069 750
2022 7,586 -3,763 -5,407
2021 7,366 -2,868 -4,131
2020 6,500 -2,259 -3,137
2019 4,837 -8,083 -2,325
2018 5,525 1,906 -5,905
2017 5,616 -3,784 143
2016 4,851 -3,139 -560
2015 2,965 27 -3,111
2014 4,458 -3,909 -166
2013 5,735 -2,073 -3,829
2012 5,305 -2,833 -4,420
2011 7,235 -4,824 -2,370
2010 6,857 -3,160 -2,022
2009 4,336 143 -5,534
2008 7,296 -7,269 2,346
  • 2025年の営業CFは168.13億ドルで、2024年の88.18億ドルから大幅に増加しました。
  • 2025年の投資CFはマイナス109.72億ドルで、製造設備投資、研究開発資産の取得、買収関連支出が続いています。
  • 2025年の設備投資は78.41億ドルで、2024年の50.58億ドルから増加しました。
  • 2025年の財務CFはマイナス22.13億ドルで、配当53.84億ドル、自社株買い41.08億ドルを実施しました。
  • 2026年第2四半期にはOrna Therapeutics、Ajax Therapeutics、Centessa Pharmaceuticals、Kelonia Therapeuticsの買収を完了し、買収関連の研究開発費や統合費用が利益に影響しました。[1]
  • 2026年8月5日時点で、インディアナ州の製造拠点へ追加で45億ドルを投資する方針が公表されています。[1]

損益・キャッシュ創出の推移(抜粋)

売上高、営業CF、純利益の長期推移です。単位はMドルです。2026年上半期の営業CFは第2四半期Form 10-Qで確認し、四半期決算の要約表では未記載としています。

期間 売上高 営業CF 純利益 希薄化後EPS
2026 Q2 22,974 7,095 7.94
2026 上半期 42,773 14,491 16.19
2025 65,179 16,813 20,640 22.95
2024 45,043 8,818 10,590 11.71
2023 34,124 4,240 5,240 5.80
2022 28,541 7,586 6,245 6.90
2021 28,318 7,366 5,582 6.12
2020 24,540 6,500 6,193 6.79
2019 22,320 4,837 10,969 10.24
2014 19,616 4,458 2,739 2.57
2010 23,076 6,857 5,695 5.27
2009 21,836 4,336 5,018 4.52
2008 20,372 7,296 -1,895 -1.71

2026年上半期の売上高は427.73億ドルで、前年同期の282.86億ドルから51%増加しました。GAAP純利益は144.91億ドル、GAAP希薄化後EPSは16.19ドルです。Mounjaroの上半期売上高は186.05億ドル、Zepboundは90.88億ドルで、両製品が成長の中心となっています。[1]


バランスシート:自己資本・負債の時系列

単位は百万ドル(Mドル)です。自己資本率は株主資本を総資産で割った値、負債比率は総負債を株主資本で割った値です。通期比較表は監査済み数値がそろう2025年末までを掲載しています。

総資産 総負債 株主資本 自己資本率 負債比率 長期債務
2025 112,476 85,941 26,535 24% 324% 40,868
2024 78,715 64,443 14,272 18% 452% 28,527
2023 64,006 53,143 10,864 17% 489%
2022 49,490 38,714 10,775 22% 359%
2021 48,806 39,651 9,155 19% 433%
2020 46,633 40,808 5,642 12% 723%
2019 39,286 36,587 2,607 7% 1,403%
2018 43,908 32,999 9,829 22% 336%
2016 38,806 24,725 14,008 36% 177%
2014 36,308 20,920 15,373 42% 136%
2012 34,399 19,625 14,765 43% 133%
2010 31,001 18,589 12,413 40% 150%
2009 27,461 17,936 9,524 35% 188%
2008 29,213 22,475 6,735 23% 334%
  • 2025年末の総資産は1,124.76億ドルで、2024年末の787.15億ドルから増加しました。
  • 2025年末の株主資本は265.35億ドルで、自己資本率は約24%へ改善しました。
  • 2025年末の長期債務は408.68億ドル、短期借入および長期債務の流動部分は16.35億ドルでした。[4]
  • 2026年は大型買収と製造設備投資が続いているため、利益成長だけでなく、債務、現金残高、買収後の統合費用も継続確認が必要です。

投資家向け所感(要約)

  • 配当安全度:2025年の営業CF対配当カバーは3.12倍、FCF対配当カバーは1.67倍でした。2026年の会社予想EPSに対する予想配当性向も約19.0~19.5%と低く、利益ベースの配当余力は大きいと考えられます。
  • 配当成長の持続性:2026年の四半期配当は前年の1.50ドルから1.73ドルへ15%増額されました。利益成長が続けば増配余地はありますが、会社は製造能力、研究開発、買収にも資金を優先配分しています。
  • 成長力:2026年第2四半期は売上高が48%増加し、MounjaroとZepboundの合計売上高は148.71億ドルとなりました。両製品の需要は強いものの、売上高の集中度も高まっています。
  • 価格と数量:2026年第2四半期は販売数量が60%増える一方、実現価格は13%低下しました。数量成長が価格低下を上回っていますが、薬価交渉、保険適用、値引き、競合薬の影響を継続して見る必要があります。
  • 買収費用:2026年第2四半期には買収した仕掛研究開発費27.76億ドルを計上しました。非GAAP EPS見通しの上限引き下げは、事業不振よりも買収関連費用の影響が大きい点に注意が必要です。
  • 製品パイプライン:経口GLP-1薬Foundayoの2026年第2四半期売上高は0.98億ドルでした。また、retatrutideについては肥満症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、変形性膝関節症の疼痛に関する申請用データがそろい、会社は2027年第1四半期に米国で申請する計画を示しています。[1]
  • バリュエーション:2026年8月5日の終値は1,169.86ドルで、現行年率配当6.92ドルに対する利回りは約0.59%です。高い成長期待が株価に織り込まれているため、決算が好調でも成長率や価格動向が市場予想を下回れば、株価が大きく変動する可能性があります。

※本記事は投資判断の参考として財務データを整理・分析したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。

数値はいずれも公表資料にもとづきますが、簡略化や四捨五入により実際の開示値と若干異なる場合があります。将来予想は会社の公表時点における見通しであり、その後変更される可能性があります。詳細な出典は本文末の【注】をご確認ください。

ミニ解説:LLYの配当は、現時点では「高配当」ではありません。2026年8月5日時点の予想配当利回りは約0.59%です。一方、会社予想EPSに対する配当性向は約2割にとどまり、利益成長が続けば増配余地があります。投資判断では、MounjaroとZepboundの販売数量だけでなく、実現価格の低下、Foundayoの立ち上がり、retatrutideの承認可能性、製造能力、買収費用、債務、株価評価を総合的に確認する必要があります。

【注】(出典リンク)

  1. 2026年第2四半期決算・上半期実績・製品売上・通期ガイダンス・買収・製造投資・パイプライン → 一次情報:Eli Lilly「Second-quarter 2026 financial results」決算資料PDFLilly SEC Filings(確認日:2026-08-06)
  2. 2026年第3四半期配当1.73ドル・基準日・権利落ち日・支払日 → 一次情報:Eli Lilly「Third-quarter 2026 dividend」Lilly Dividends & Stock Splits(確認日:2026-08-06)
  3. 2026年8月5日の株価・配当利回り計算 → 一次情報:Lilly Historic Stock Lookup → 補助:Yahoo Finance「LLY Historical Data」(確認日:2026-08-06)
  4. 2025年通期決算・営業CF・設備投資・配当支払・自社株買い・バランスシート → 一次情報:Eli Lilly 2025 Form 10-KLilly Annual Reports(確認日:2026-08-06)

Posted by 南 一矢