WFC:ウェルズファーゴの配当推移

配当,金融






【2025年12月更新】WFC配当の今後と将来性を徹底分析 | 株主還元と収益力の「現在地」

【2025年12月更新】WFC配当の今後と将来性を徹底分析 | 株主還元と収益力の「現在地」

米国大手銀行の一角、Wells Fargo & Co. (WFC)。過去のスキャンダルを起点に長らく規制対応と体質改善を迫られてきましたが、直近では株主還元(増配・自社株買い)を継続しつつ、資本の厚みも確保しています。最新決算(2025年Q3)を基に、配当の将来性を整理します。[1][2]

はじめに:この記事でわかること

  • WFCの稼ぐ力:直近(2025年Q3)時点で利益体質はどうか?[1]
  • 株主還元:増配と自社株買いは今後も期待できるか?[1]
  • 会社の体力:規制をクリアする財務基盤は万全か?[1]
  • 規制対応の現在地:過去の規制対応はどこまで進んだか?[2]
  • 他行との比較:業界内での競争力は?
  • 現状からの結論:WFCは今、投資妙味があるのか?

結論として、WFCの配当は「増配を伴う回復基調にあり、株主還元(配当+自社株買い)を中核に据えた局面」と評価します。[1]


WFC配当分析サマリー(2025年12月時点)

  • 主なポジティブ要因
    • 2025年Q3に普通株配当を増配(+12.5%)。増配基調を継続。[1]
    • 2025年Q3に自社株買い $6.1B、2025年通年(年初来)で$19.2Bを実行。[1]
    • 自己資本の厚み:CET1比率は2025年Q3末で11.0%[1]
    • 資本政策の余地:自社株買いの残枠(残存許容量)が開示されており、還元の継続性を測りやすい。[1]
  • 評価: 直近(2025年Q3)では、増配と自社株買いを並行しながら、資本比率も維持しています。配当は「利益の一部を着実に返す」運用に近く、景気局面が悪化した場合でも維持されやすい設計になりやすい点が強みです。[1]
重要事項: 本分析は情報提供のみを目的としています。投資判断は自己責任で行ってください。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

1. WFCの「稼ぐ力」:収益力分析

WFCは2018年以降、規制対応とコスト構造の見直しを進め、収益力を立て直してきました。年次の推移は、WFCの年次報告書(Form 10-K)をベースに把握するのが基本です。[3]

純利益・総収入推移(2018-2024年)(単位:10億ドル)
年度 総収入 純利益 備考
2018 $86.4 $22.4 規制対応強化局面
2019 $85.1 $19.6
2020 $72.3 $3.3 COVID-19影響
2021 $78.5 $21.5 引当金戻入益
2022 $73.8 $13.2 金利費用増
2023 $82.6 $19.1 金利収入増
2024 $83.8 $17.9 安定的な収益確保

分析結果: 2020年の落ち込みからは回復し、2023-2024年は安定的な利益水準に戻りました。さらに直近の2025年Q3でも利益計上を継続しており、「稼ぎを止めない体力」が確認できます。[1]


2. 収益性指標の分析(ROE・ROTCE)

収益性指標の推移(2018-2024年)
年度 EPS ($) ROE (%) ROTCE (%)
2018 $4.28 10.9% 13.6%
2019 $4.05 9.5% 11.8%
2020 $0.42 1.6% 2.0%
2021 $4.95 11.6% 14.9%
2022 $3.14 7.2% 8.9%
2023 $4.83 10.7% 13.4%
2024 $4.59 10.0% 12.5%

ROE・ROTCEの重要性と評価基準

ROE(自己資本利益率):株主が投資した資本に対する利益創出効率を示す銀行業界の重要指標。

ROE = 純利益 ÷ 平均株主資本 × 100

ROTCE(有形普通株主資本利益率):のれん等の無形資産を除いた、より実質的な資本効率を示す指標。

ROTCE = 純利益 ÷ 有形普通株主資本 × 100

銀行業界でのROTCE評価基準:

  • 15%以上:優秀(トップティア)
  • 10-15%:良好(業界平均以上)
  • 10%未満:平均的または改善の余地あり

分析結果: 収益性は2020年の落ち込みから回復し、2024年のROTCEは12.5%と「良好」レンジです。直近(2025年Q3)でも利益計上を継続しているため、還元(配当・自社株買い)の前提となる利益の土台は維持されています。[1][3]


3. 配当実績と株主還元政策

WFCは減配局面を経験した後、近年は増配と自社株買いを組み合わせた株主還元へと軸足を戻しています。直近では、2025年Q3に配当増配と大規模な自社株買いを同時に実行しました。[1]

配当履歴と増配実績

配当実績と配当性向(2018-2025年)
年度 年間配当 ($) EPS ($) 配当性向 (%) 増配率 (%)
2018 $1.68 $4.28 39.3% +12.0%
2019 $1.96 $4.05 48.4% +16.7%
2020 $1.22 $0.42 290.5% -37.8%
2021 $0.70 $4.95 14.1% -42.6%
2022 $1.10 $3.14 35.0% +57.1%
2023 $1.35 $4.83 28.0% +22.7%
2024 $1.40 $4.59 30.5% +3.7%
2025(年換算・直近ベース) $1.80* (直近で増配)

*2025年の年間配当は、直近の四半期配当を年換算した目安(直近四半期配当 × 4)です。四半期配当は取締役会決議で変わるため、正式な金額は各四半期の配当発表で確認してください。直近では2025年Q3に配当を+12.5%増配しています。[1]

分析結果: 直近(2025年Q3)で増配と自社株買いを同時に実行している点は、経営陣が「資本の厚みを残しつつ株主に還元する」方針を明確にしているサインです。配当は単独で見るよりも、(配当+自社株買い)で総還元の一貫性を確認すると判断しやすくなります。[1]


4. 財務健全性(自己資本比率と流動性)

指標 2024年末 2025年Q2末 2025年Q3末 規制要求 超過幅
CET1比率 11.3% 11.1% 11.0% 9.9% +1.1pp
Tier 1資本比率 12.8% 12.8% 12.6% 11.4% +1.2pp
総資本比率 14.6% 14.7% 14.4% 13.4% +1.0pp
LCR 121% 121% 121% 100% +21pp
データ出典: 2025年Q3決算資料(資本・流動性の開示)を基に作成。[1]

分析結果: 銀行の体力を示す自己資本比率はいずれも規制要求を上回っています。特に最重要指標であるCET1比率は2025年Q3末で11.0%であり、株主還元を進めながらも一定の安全余地を残していることが分かります。[1]


5. 規制対応の進展と「解除後」の論点

WFCにとって最大の論点は、規制対応と業務運営の健全性です。2025年は規制対応が前進した局面であり、今後は「成長(収益拡大)と、統制強化の両立」をどこまでやり切れるかが重要になります。[2]

規制対応の進展(主に2018年以降の論点整理)
時期 進展内容(概要) 投資家目線のチェックポイント
2018年 規制対応の強化局面が本格化 統制(ガバナンス/リスク管理)の改善
2023-2024年 利益水準の回復、還元の再強化 利益の質(NII/手数料/コスト)のバランス
2025年 規制対応の進展が注目される局面 改善が「一時的」か「定着」か

論点(解除後・進展後の見方):
規制対応が前進した局面では、①収益の伸び方(貸出・手数料・コスト)と、②資本の使い方(配当・自社株買い・成長投資)の両方をセットで観察すると、株主還元の持続性が見えやすくなります。直近では、増配(+12.5%)と自社株買いを同時に進めています。[1]

6. 投資リスクの評価

投資判断には以下のリスクを考慮する必要があります。

  • 金利変動リスク:金利低下局面では、純利息収入の押し下げ要因になり得ます。
  • 信用リスク:商業用不動産(CRE)など、景気悪化時に貸倒損失が増えるリスク。
  • 規制・運営リスク:統制の再発や追加コストが発生すると、利益率と還元余地が圧迫されます。[2]
  • 実行リスク:コスト削減や事業成長を計画どおりに進められるか。

7. 競合他行との比較(補足)

配当利回りは株価で日々変動するため、ここでは「資本の厚み」と「還元の姿勢」に絞って見ます。WFCは2025年Q3時点で、増配と自社株買いを同時に実行しつつ、CET1比率11.0%を維持しています。[1]

銀行 配当利回り 配当性向 収益性(目安) CET1比率(最新)
JPM (各社開示・株価で変動) (各社開示) (各社開示) (各社開示)
BAC (各社開示・株価で変動) (各社開示) (各社開示) (各社開示)
WFC (株価で変動) (EPS確定後に評価) (年次/TTMで評価) 11.0%(2025年Q3末)
C (各社開示・株価で変動) (各社開示) (各社開示) (各社開示)

8. 結論と投資判断

Wells Fargoの配当は、「増配を伴う回復基調にあり、総還元(配当+自社株買い)で株主価値を押し上げる局面」と評価します。直近(2025年Q3)では、配当増配(+12.5%)と自社株買い(四半期$6.1B)を同時に実行しており、還元姿勢は明確です。[1]

投資判断の根拠

定量的根拠(数字で見る強み):

  • 2025年Q3に普通株配当を増配(+12.5%)[1]
  • 2025年Q3の自社株買い $6.1B、年初来で$19.2B[1]
  • CET1比率 11.0%(2025年Q3末)で規制要求を上回る。[1]

定性的根拠(数字以外の強み):

  • 規制対応と統制強化の継続により、還元を「一過性」にしない余地が生まれやすい。[2]
  • 全米有数のリテール網と住宅ローン事業など、安定したビジネス基盤。
  • 株主還元を継続しつつ資本比率を維持する、規律ある資本運営(配当+自社株買い)。[1]

配当の持続性評価

  • 増配余力: 配当は利益と資本の状況に連動するため、利益の安定が鍵。直近(2025年Q3)では増配が確認できる。[1]
  • 財務安定性: CET1比率などが規制要求を上回っており、悪化局面のバッファーになり得る。[1]
  • 総還元の視点: 自社株買いは利益・資本・株価水準で柔軟に調整でき、配当の安定性と相性が良い。[1]
  • 規制・運営の継続課題: 統制コストや追加対応が出ると、利益率と還元余地が圧迫される可能性がある。[2]
ミニ解説: 配当の「安全性」を測るときは、配当性向だけでなく、(1)利益の安定性(2)CET1比率の余裕(3)自社株買いの実行状況をセットで見ると、実態に近づきます。WFCは直近(2025年Q3)でこの3点が同時に確認できる状態です。[1]

免責事項・情報源

重要事項: 本レポートは公開情報に基づく分析であり、投資助言ではありません。投資判断は投資家自身の責任で行ってください。

最終更新日: 2025年12月28日
次回更新目安: 2026年1月〜2月(2025年Q4/通期の開示反映後)

主要情報源: WFCのSEC提出書類(10-K/10-Q/8-K)およびプレスリリース、規制当局の公表情報。[1][2][3]

【注】(出典リンク)

  1. 2025年Q3決算(利益・還元・資本)→ SEC(WFC 8-K:2025-10-14、Exhibit 99.1等)SEC EDGAR(WFC提出一覧)(確認日:2025-12-28)
  2. 規制対応・当局公表情報→ Federal Reserve(Enforcement Actions)Wells Fargo Newsroom(News Releases)(確認日:2025-12-28)
  3. 年次業績(2018-2024)→ SEC EDGAR(WFC提出一覧:10-K等)SEC(WFC EDGARアーカイブ)(確認日:2025-12-28)



Posted by 南 一矢