CPER・COPX・FCX・SCCOを比較(株価と配当)銅ETF VS 銅鉱山企業
最終更新:2025年10月11日
米国市場で取引される銅ETFと銅関連株ETF、そして大手銅生産企業であるフリーポート・マクモラン(Freeport-McMoRan Inc./FCX)とサザン・コッパー(Southern Copper Corporation/SCCO)について、その概要と投資特性を比較します。脱炭素・電化の進展で銅需要が長期増加すると見込まれるなか、どのような投資戦略が有効かを整理します。
銅ETF・銅関連株ETF
CPER:United States Copper Index Fund
- 連動対象:SummerHaven Copper Index Total Return(COMEX銅先物ベース、月次で期先を1本または3本選択)[1]
- 仕組み:現物ではなく先物・スワップ等のデリバティブに投資。月次リバランスによりコンタンゴ/バックワーデーションの影響やトラッキング誤差が生じ得ます[1]
- 経費率:1.06%(2025/6/30付ファクトシート)[2]
- 税務:パススルー型のためK-1(およびK-3)発行。口座の取り扱いに注意[2]
- 補足:かつての銅先物ETN JJCは2025年に発行体償還・終息となり、現在は利用できません[3]
出所:United States Commodity Funds(CPER公式)
COPX:Global X Copper Miners ETF
- 連動対象:Solactive Global Copper Miners Total Return Index[4]
- 投資対象:世界の銅採掘・精錬企業へ分散。保有銘柄数:38(2025/10/10時点)[5]
- 経費率:0.65%[4]
- 特性:銅価格に対する感応度が高く、原材料価格上昇局面では営業レバレッジが効きやすい一方、価格下落局面のボラティリティも大きめ。
- 上位例(2025/10/10):Zijin、Lundin、Hudbay、First Quantum、Antofagasta、住友金属鉱山、Southern Copperなど[5]
主要銅生産企業2社の比較
FCX:フリーポート・マクモラン(Freeport-McMoRan Inc.)
米州(米国・南米)とインドネシアに大型資産を持つ世界有数の銅生産企業。金・モリブデンも産出。インドネシアではManyar(グレシック)の新製錬所が2025年5月に操業再開、6月末〜7月に銅カソード生産を開始し年末に向けランプアップ計画[6], [7]。
- 2025年販売見通し:銅3.95十億ポンド、金130万オンス、モリブデン8,200万ポンド[8]
- コスト見通し:銅の単位ネット現金コスト(副産物控除後)通期$1.55/lb[9]
- 配当方針:「ベース$0.075+バリアブル$0.075」を四半期ごとに継続中(2025/9/24発表、支払日2025/11/3)[10], [11]
- トピック:インドネシアの地下鉱山(GBC)で2025/9に発生した事象により操業への一時的影響。年末に調査結果と今後計画を公表予定[12], [13]
SCCO:サザン・コッパー(Southern Copper Corporation)
メキシコ・ペルーに大規模・低コスト資産を持つ中南米の銅大手。Tía María(年産12万t想定)やEl Arco(メキシコ)などの成長案件を推進[14], [15]。
- コスト:2025年1Qの副産物控除後の現金コスト$0.77/lbを公表(前年1Qの$1.07から低下)[16], [17]
- 投資計画:今後の投資プログラム規模は$150億超(2025年時点)[18]
- 配当:2025/7/24に四半期$0.80を発表(支払日9/4)[19], [20]
- 進捗:Tía Maríaは2027年に生産開始・28年にフル稼働の見通しが報じられています(当局・地域状況次第)[21]
投資の着眼点(まとめ)
- 銅価格に純粋連動:CPER(先物ベース)。ロールコストやトラッキング誤差、K-1の税務に留意[1], [2]
- 銅上流企業に分散:COPX。価格上昇期は利益レバレッジが効きやすいが、下落期のドローダウンも大きくなりがち[4], [5]
- 個別株:FCXは資産分散・副産物収入でバランス型。SCCOは低コストと高水準の株主還元、進捗する大型案件がカタリスト[8], [9], [18], [19]
※配当利回りは株価次第で変動します。本ページの利回り・数量は2025年10月時点の公開情報をもとにした目安であり、将来を保証するものではありません。
CPER・COPX・FCX・SCCOの投資パフォーマンス比較
※左目盛り:株価推移(最大20分ディレイ)/ ※右目盛り:緑線=米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル
詳細データ表
銅投資の戦略的考察
銅は「電化の基盤」。EVや送配電網、再エネ設備に多用される一方、新規鉱山の立ち上げには長いリードタイムが必要です。短期は景気・中国需要・在庫に左右されやすいものの、構造的には需要増+供給制約が意識されやすいテーマです。
- CPER:銅価格そのものの動きに賭けたいときの手段。先物特有のコストと税務に注意。
- COPX:価格上昇→利益拡大のレバレッジを狙う分散投資。銘柄入替・国別リスクも把握。
- FCX:地理・商品分散でバランス。インドネシア案件の進捗・コストがカギ。
- SCCO:低コスト体質と高還元。案件進捗(Tía María等)・コミュニティ対応の行方に注目。
注・出典
- CPERの連動指数(SCITR)・先物選択ルール:USCF(CPER公式)/2020年末以降の仕様変更記載あり。2025/6/30 FS
- CPER経費率1.06%、K-1/K-3発行の記載:2025/6/30 FS
- JJCの終息(発行体償還・終焉):Barclays発表(2025/6/12)/JJCは取引停止・終了の経緯あり
- COPXの連動指数・経費率:Global X(COPX公式)
- COPXの保有銘柄数(38)と上位構成(2025/10/10時点):同上ページ「Holdings & Characteristics」
- PTFI(Manyar)製錬所:2025/5操業再開、6月末〜7月にカソード生産開始見込み・開始報道:Reuters 2025/5/22/Jakarta Post 2025/7/24
- PTFI発表・企業サイト:5月再稼働・6月末カソード予定、年末フル稼働計画:PTFIニュース 2025/5/22/FCXサイト記事
- FCXの2025年販売見通し(Cu3.95B lb, Au1.3Moz, Mo82M lb):SEC提出資料(Ex.99.1)
- FCXの2025年平均ネット現金コスト$1.55/lb見込み:記事要約/Nasdaq 2025/7/23
- FCXの配当(ベース$0.075+バリアブル$0.075継続):FCXニュース 2025/9/24
- 配当履歴ページ(直近の宣言・支払日):Dividend History
- インドネシア地下鉱山の事象(2025/9)と影響:Reuters 2025/9/9
- FCXの調査・見通し更新(GBCの段階的再開時期等):FCXニュース 2025/9/24/FCXニュース 2025/10/10
- SCCO 1Q25:現金コスト$0.77/lbの開示(副産物控除後):IRリリース 2025/4/24/SEC Ex-99.1
- SCCOのプロジェクト概要(Tía María等):2Q25リリース 2025/7/28
- SCCO 1Q25のコスト詳細(カンファレンスコール資料):資料 2025/4/25
- 補足報道(1Q25コスト言及):Yahoo Finance 2025/4/27
- SCCOの投資プログラム規模($150bn超):2Q25リリース
- SCCOの配当$0.80(2025/7/24発表、支払日9/4):配当リリース
- 同配当に関する説明(CC資料):2Q25 CC資料 2025/8/14
- Tía Maríaの開始時期見通し(報道):Reuters 2025/9/23
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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