BA(ボーイング)今後の見通し

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ボーイング(Boeing Company)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については関連記事(BAとRTXを比較:ボーイングとレイセオンテクノロジーズ)を参照

直近決算

4月22日(米国時間)にBA(ボーイング)は決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想-0.66$→結果-0.2$
・売上高:予想219.9億$→結果222.2億$(前年同期比+14%)
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreetinsiderを参照しました

企業概要

ボーイング(The Boeing Company:NYSE: BA)は、世界最大級の航空・宇宙メーカーで、民間航空機、防衛、宇宙、関連サービスを提供しています。現在の正式な事業区分は①商用航空機(BCA)②防衛・宇宙・セキュリティ(BDS)③グローバルサービス(BGS)の3部門です。本社はバージニア州アーリントンにあります。[1]

1916年の設立後、アメリカを代表する航空宇宙企業として発展し、707747などの大型機で市場を牽引してきました。近年は737787ドリームライナー777、開発中の777Xが民間航空機事業の中心です。なお、747の生産は2023年1月で終了し、最終機はAtlas Airへ引き渡されました。[2]

1997年のマクドネル・ダグラスとの合併で規模と技術基盤が拡大し、民間機市場では欧州エアバスと二大勢力を形成しています。2025年通期は、売上高894.63億ドル、商用機納入600機となり、いずれも2018年以来の高水準でした。総バックログは6,820億ドル、うち商用航空機は6,100機超でした。[3]

その事業は大きく以下の3つの主要セグメントに分類されています(※「技術開発とイノベーション」は全社横断機能であり、正式セグメントではありません)。[1]

商用航空機部門(BCA):世界の航空会社向けに旅客機を設計・製造・販売し、アフターサービスを提供します。代表機種は737、777、787などです。2025年通期のBCA売上高は414.94億ドルでしたが、営業損失は70.79億ドルでした。納入機数は2024年の348機から2025年は600機へ回復したものの、777X関連費用、品質改善、Spirit AeroSystems統合、在庫・サプライチェーン対応がなお重荷です。[3]

最近のトピックとして、2024年の737 MAX 9ドアプラグ脱落事案を受け、FAAは737 MAXの生産上限を設定していました。2025年Q3には月産38機で生産が安定し、2025年10月にFAAと合意して上限を月産42機へ引き上げました。2026年Q1時点でも737プログラムは月産42機で推移しており、今後の増産はFAAの承認と品質安定が前提です。[4]

737 MAX 7/MAX 10については、認証が遅れています。2025年末には737-10の最終認証飛行試験フェーズが進み、2026年Q1にも認証作業が続いていますが、顧客側の受領計画にはなお不確実性があります。小型のMAX 7と大型のMAX 10は、既存737 MAXの派生型として重要ですが、投資家は認証時期、納入開始時期、航空会社の機材計画変更を確認する必要があります。[5]

777Xは当初より大幅に遅れています。2025年Q3には初号機引き渡し見通しが2027年へ後ろ倒しされ、同四半期に49億ドルの費用を計上しました。2025年Q4には777-9のType Inspection Authorization 3段階に入りましたが、会社側は引き続き初号機引き渡しを2027年と見込んでいます。大型機需要は強い一方、777Xは認証とコスト管理がボーイングの収益回復にとって重要なリスクです。[6]

防衛・宇宙・セキュリティ(BDS):戦闘機、空中給油機、訓練機、無人機、衛星、宇宙関連などを手がけます。代表例はF-15EX、KC-46A、T-7A、MQ-25、Starlinerなどです。2025年通期のBDS売上高は272.34億ドル、営業損失は1.28億ドルでした。2024年の営業損失54.13億ドルからは大きく改善しましたが、固定価格開発契約の採算リスクは残っています。[3]

2025年Q4には、KC-46Aプログラムで生産支援・サプライチェーン費用の増加を主因に6億ドルの損失を計上しました。一方で、米空軍向けKC-46A 15機、米陸軍向けAH-64E Apache 96機の契約、T-7A Red Hawkの初の運用機納入などもあり、BDSのバックログは850億ドルへ拡大しました。2026年Q1のBDS売上高は71.61億ドル、営業利益は1.81億ドルで、前年同期比では改善しています。[3][7]

グローバルサービス(BGS):メンテナンス、修理・オーバーホール(MRO)、部品・供給網、改修・アップグレード、データ解析など、製品ライフサイクル全体を支えます。同部門は2017年に発足し、KLX買収(2018年)などでサプライチェーン機能を強化しました。2025年通期のBGS売上高は209.23億ドル、営業利益は134.74億ドルでした。ただし、この営業利益にはDigital Aviation Solutions事業の売却に伴う96億ドルの利益が含まれるため、通常のサービス収益力を見る際は一時利益を除いて考える必要があります。[8][3]

〔近年の動き〕

グローバルサービスの統合:2017年にBGSを立ち上げ、サービス機能を横断統合しました。以降、KLX買収で部品流通・供給網を拡充し、民間・防衛の双方で保守、部品、改修、訓練、デジタル支援を提供しています。2025年にはBGSが280億ドルの年間受注を獲得し、期末バックログは300億ドルとなりました。[8][3]

機材ポートフォリオの見直し:採算重視の流れの中で、747は2023年に生産終了しました。より効率的な小型〜中型・新世代機(737、787)や大型後継機(777X)に経営資源を配分しています。ただし、777Xは認証遅延が続いており、収益化までの時間軸が長くなっています。[2][6]

737 MAXの安全・品質問題:2018〜2019年の2件の事故を受けて737 MAXは一斉運航停止となり、その後2020年に再認証されました。さらに2024年1月のMAX 9ドアプラグ脱落事案では、FAAが生産上限を設け、NTSB最終報告は製造工程、教育、監督、品質管理の不備を指摘しました。2025年10月に生産上限は月産42機へ引き上げられましたが、増産は安全・品質の改善を段階的に確認しながら進む局面です。[4][9]

Spirit AeroSystemsの再取得:2025年12月にSpirit AeroSystemsの買収を完了しました。737胴体などボーイング向け主要構造部品の供給網を自社内に戻すことで、安全、品質、生産安定性を高める狙いです。主要な商用機関連事業はBCAに、アフターマーケット関連はBGSに、Defense関連事業は独立運営に近い形で扱われます。[10]

本社移転:2022年に本社をシカゴからバージニア州アーリントンへ移転しました。政府・規制当局・防衛顧客への距離を縮めた形です。[11]

経営体制ケリー・オートバーグ氏が2024年8月に社長兼CEOへ就任しました。安全文化と品質の立て直し、737 MAXの安定生産、Spirit統合、777Xの認証、固定価格防衛契約の採算改善が最重要テーマです。[12]

宇宙(Starliner):2024年の有人試験で不具合が続き、カプセルは2024年9月に無人で帰還しました。搭乗していた2名の宇宙飛行士は、2025年3月18日SpaceXのCrew Dragonで地球へ帰還しました。Starlinerは、技術課題、追加費用、NASAとの今後の運用計画が引き続き焦点です。[13]

2026年Q1の回復状況:2026年Q1の売上高は222.17億ドル、GAAP希薄化後損失は0.11ドル、コア損失は0.20ドルでした。商用機納入は143機で、営業キャッシュフローはマイナス2億ドル、フリーキャッシュフローはマイナス15億ドルでした。総バックログは6,950億ドル、うち商用航空機は6,100機超と過去最高水準です。[7]

ミニ解説(読みどころ)
737の生産上限:2024年の品質問題後、737 MAXの生産はFAAの監督下で制限されました。2025年10月に月産42機へ引き上げられましたが、次の増産は品質安定の証明が前提です。
MAX 7/MAX 10の遅れ:認証は進んでいるものの、納入開始時期にはなお不確実性があります。航空会社側の機材計画にも影響します。
777X:初号機引き渡しは2027年見通しとなり、2025年Q3に49億ドルの費用を計上しました。大型機需要は強いものの、認証遅延とコスト超過は重大なリスクです。
投資家の焦点:納入機数の回復、フリーキャッシュフローの黒字化、BCAの赤字縮小、BDSの固定価格契約リスク、Spirit統合効果、FAAとの関係改善を確認する必要があります。

【注】(出典リンク)

  1. 事業区分・正式セグメント・本社所在地 → Boeing 2025 Form 10-K(SEC)Boeing Investor Reports(確認日:2026-05-10)
  2. 747生産終了・最終機引き渡し → Boeing and Atlas Air Celebrate Delivery of Final 747Reuters:Final 747 delivery(確認日:2026-05-10)
  3. 2025年通期業績・セグメント別業績・600機納入・バックログ → Boeing Reports Fourth Quarter and Full Year 2025 ResultsBoeing 2025 Form 10-K(確認日:2026-05-10)
  4. 737生産上限・月産42機への引き上げ → Boeing Reports Third Quarter 2025 ResultsAP:FAA raises 737 MAX production cap(確認日:2026-05-10)
  5. 737 MAX 7/MAX 10認証状況 → Boeing Q1 2026 ResultsBoeing FY2025 Results(確認日:2026-05-10)
  6. 777X遅延・2027年初号機見通し・49億ドル費用 → Boeing Q3 2025 ResultsReuters:Boeing takes near $5 billion hit on 777X(確認日:2026-05-10)
  7. 2026年Q1業績・143機納入・バックログ・BDS業績 → Boeing Reports First Quarter 2026 ResultsBoeing 2026 Q1 Form 10-Q(確認日:2026-05-10)
  8. BGS発足・KLX買収・サービス事業 → Boeing Completes Acquisition of KLXBoeing FY2025 Results(確認日:2026-05-10)
  9. 737 MAX 9ドアプラグ事案・NTSB最終報告 → NTSB:Final report on Alaska Airlines Flight 1282NTSB Investigation DCA24MA063(確認日:2026-05-10)
  10. Spirit AeroSystems買収完了 → Boeing Completes Acquisition of Spirit AeroSystemsSpirit AeroSystems:Boeing acquisition(確認日:2026-05-10)
  11. 本社移転(シカゴ→アーリントン) → Reuters:Boeing to move headquarters to ArlingtonArlington County Statement(確認日:2026-05-10)
  12. Kelly Ortberg CEO就任 → Boeing:Kelly Ortberg BiographyBoeing Board Names Kelly Ortberg President and CEO(確認日:2026-05-10)
  13. Starliner無人帰還・Crew Dragonでの宇宙飛行士帰還 → NASA:Starliner to return without crewNASA:Crew-9 returns(確認日:2026-05-10)

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢