GISとKHCを比較:ゼネラルミルズとクラフトハインツの違いとは

全投稿,銘柄比較

GISとKHCを違いを踏まえて比較します。(2025年6月更新)

ゼネラルミルズ (General Mills, Inc.)とクラフトハインツ(The Kraft Heinz Company)は大手食品メーカーです。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移(VDC:Vanguard Consumer Staples Index Fund ETFを含めて比較)

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。

決算(予想:結果)

決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照

ゼネラルミルズ(GIS)決算:予想と結果 売上&EPS

クラフトハインツ(KHC)決算:予想と結果 売上&EPS

【食品大手対決】ゼネラル・ミルズ(GIS) vs クラフト・ハインツ(KHC)!安定のGISか、復活のKHCか?

生活必需品セクターの代表格として、多くの配当投資家のポートフォリオに組み入れられてきた食品大手のゼネラル・ミルズ(GIS)クラフト・ハインツ(KHC)。しかし、この2社の株主還元に対する姿勢と経営の安定性は、近年大きく異なっています。

本記事では、100年以上にわたり配当を支払い続ける「安定経営」のGISと、大規模な合併と経営改革の末に「減配」を経験したKHCの、業績、配当、そして将来性を徹底的に比較・分析します。

最重要ポイント:クラフト・ハインツの「減配」という過去

2015年に投資会社3Gキャピタルとウォーレン・バフェット氏主導で誕生したクラフト・ハインツ。しかし、合併後に過度なコスト削減を優先し、ブランドへの投資を怠った結果、業績が悪化。巨額の「のれん代償却」を計上し、2019年に配当金を約36%もカットする「減配」に踏み切りました。この出来事は、同社が安定配当株としての信頼を大きく損なった歴史的な転換点です。

比較サマリー:安定性のGIS、課題のKHC

項目 ゼネラル・ミルズ (GIS) クラフト・ハインツ (KHC)
主力ブランド ハーゲンダッツ、チェリオス、ペットフード「ブルーバッファロー」 ハインツケチャップ、クラフトチーズ、フィラデルフィア
近年の戦略 成長分野(ペットフード等)への投資と、不採算事業の売却によるポートフォリオの最適化。 ブランドへの再投資とマーケティング強化による「ターンアラウンド(経営再建)」の途上。
配当の歴史 120年以上、一度も減配なし 2019年に大幅減配
配当利回り(直近) 約3.6% 約4.8%
PER (株価収益率) 約15倍 約13倍

業績と成長性の詳細分析

ゼネラル・ミルズはペットフード事業などが貢献し、安定した業績を維持しています。一方、クラフト・ハインツの売上は、ブランド力の低下などから伸び悩んでいます。

GIS 売上高 (前年比) KHC 売上高 (前年比)
2024 $20.10 B (-0.9%) $26.49 B (-1.2%)
2023 $20.28 B (+5.8%) $26.81 B (+0.6%)
2022 $19.17 B (+5.2%) $26.65 B (+2.4%)
2021 $18.22 B (+3.0%) $26.03 B (+4.8%)
2020 $17.69 B $24.84 B

※B=10億ドル。両社は決算月が異なるため、各社会計年度に基づき比較しています。

配当の詳細比較:信頼のGIS、凍結されたKHC

以下の配当履歴は、両社の株主還元に対する姿勢の違いを明確に示しています。GISが着実に増配を続ける一方、KHCは2019年の減配後、配当を据え置いています。

GIS 年間配当 (増配率) KHC 年間配当 (増配率)
2024 $2.36 (+4.4%) $1.60 (0.0%)
2023 $2.26 (+4.1%) $1.60 (0.0%)
2022 $2.17 (+2.9%) $1.60 (0.0%)
2021 $2.11 (+4.4%) $1.60 (0.0%)
2020 $2.02 (+4.1%) $1.60 (-36.0%)

配当については以下の関連記事を参照

ゼネラルミルズ(GIS)の配当推移

クラフトハインツ(KHC)の配当推移

結論:あなたに合うのはどちら?

両社の比較は、インカム投資家として「減配リスク」をどう考えるか、という点に尽きます。

「配当の安定性と信頼性」を最優先するなら → ゼネラル・ミルズ (GIS)

1世紀以上にわたる減配なしの実績は、何よりも雄弁にその安定性を物語っています。ペットフード事業の成功など、時代に合わせて事業ポートフォリオを変化させる経営力も評価できます。安心して長期保有し、着実なインカムゲインを狙いたい投資家にとって、最適な選択肢の一つです。

「高い利回りと経営再建」に賭けるなら → クラフト・ハインツ (KHC)

減配の過去があるため株価は低迷しており、その結果として高い配当利回りが生まれています。経営陣がブランドへの再投資を進め、業績が上向けば、株価が見直される可能性も秘めています。減配リスクを許容し、高い利回りとキャピタルゲインの両方を狙いたい、よりリスク許容度の高い投資家向けの銘柄です。


※本ページの分析は2025年6月9日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。

Posted by 南 一矢