KHC:クラフトハインツの配当推移・利回りと株価【2026年】

バフェット銘柄,必需品,配当

クラフト・ハインツ(The Kraft Heinz Company、NYSE:KHC)は、2019年に年間配当を2.50ドルから1.60ドルへ36%削減した後、四半期0.40ドルを維持している食品大手です。2026年10月7日の終値21.98ドルを基準にすると、年率換算配当1.60ドルに対する配当利回りは約7.28%です。2026年9月14日に上場先をNASDAQからNYSEへ移しました(ティッカーはKHCのまま)。[1][2][3]

本記事では、KHCの配当推移、配当利回り、配当性向、権利落ち日、株価、フリーキャッシュフローによる配当維持余力を整理します。2019年の減配後に財務体質がどの程度改善したか、2026年上半期に再び計上した大型減損をどう評価するかを、会社IRとSEC提出資料を中心に検証します。

データ基準日について最終更新:2026年10月8日(日本時間)。株価は2026年10月7日米国市場終値。業績は2026年8月5日発表の2026年第2四半期(6月27日終了)と2026年上半期、配当は2026年9月25日までの実績を反映しました。2026年第3四半期決算は本稿作成時点で未公表です。会社は2026年11月12日のInvestor Dayを予定しています。[4][5]

Contents

KHCの配当はいくら?現在の配当状況

KHCの四半期配当は直近の2026年8月5日決議でも1株当たり0.40ドルです。同水準が4四半期続くと仮定した年率換算配当は1.60ドルとなります。2026年は3月・6月・9月に各0.40ドル、合計1.20ドルが支払われています。残る年末分は、2026年10月8日時点で未発表です。[1]

項目 内容
ティッカー KHC
1株当たり四半期配当 0.40ドル
年率換算配当 1.60ドル
2026年に支払済みの配当(9月まで) 1.20ドル
2026年10月7日終値(NYSE) 21.98ドル
年率換算配当利回り(10月7日) 約7.28%
連続増配年数 0年(据え置き)
2019年の減配率 36%
現在の位置づけ 高利回り・据え置き配当型

現在の配当を見る際の注意点

年間1.60ドルは2026年の支払済み配当総額ではなく、直近の四半期配当0.40ドルを4倍した年率換算額です。2026年の支払済み額は9月25日までに1.20ドル。次回配当の宣言・権利落ち日・支払日は会社IRでの確認が必要です。[1]

KHCの配当金はいつ?権利落ち日と支払日

2026年10月8日までに会社が公表した配当日程は以下のとおりです。米国株の配当を受け取るには、原則として権利落ち日の前営業日までに株式を取得する必要があります。[1]

宣言日 権利落ち日 基準日 支払日 1株配当
2026年2月11日 2026年3月5日 2026年3月6日 2026年3月27日 0.40ドル
2026年5月6日 2026年6月4日 2026年6月5日 2026年6月26日 0.40ドル
2026年8月5日 2026年9月3日 2026年9月4日 2026年9月25日 0.40ドル

2026年9月25日の配当は支払済みです。2026年10月8日時点では次回配当は未宣言であり、過去の傾向から日程を確定扱いしていません。[1]

KHCの配当利回りと株価の推移

データソースの制約について

四半期配当、年次EPS、営業キャッシュフロー、配当支払額は会社IR・SEC提出資料で確認できます。一方、年平均株価や年平均配当利回りは、会社IRで一つの長期表として公表されているわけではないため、金融情報サイトの株価系列を併用した概算です。

クラフト・ハインツでは2015年合併、2018年の巨額減損と2019年の減配、2025年・2026年の追加減損、分離計画の停止という特殊要因があります。GAAP EPSだけでなく調整後EPS、営業キャッシュフロー、FCF、債務の推移を確認する必要があります。

KHCの配当推移・配当性向

年間配当とEPSに基づく配当支払能力

年間配当は2018年の2.50ドルから2019年に1.60ドルへ36%減額され、その後は据え置かれています。2025年通期は減損によりGAAP EPSがマイナス4.93ドルとなった一方、調整後EPSは2.60ドルで、調整後EPSベースの配当性向は約61.5%でした。[6]

2026年上半期のGAAP希薄化EPSはマイナス3.93ドル(第2四半期単独ではマイナス4.60ドル)です。第2四半期には約73.7億ドルののれん・無形資産減損が計上されました。上半期の調整後EPSは1.14ドルで、2026年通期の会社見通しは2.03~2.09ドル。年率換算配当1.60ドルに対する予想配当性向は約76.6~78.8%です。[4]

年 配当データ 平均株価/
直近株価
年EPS
(GAAP)
調整後EPS
平均利回り/
直近利回り
配当成長率 配当性向 年間配当
2026E 約7.28%
(10月7日)
0%(据え置き仮定) 約76.6~78.8%
(調整後EPS予想)
1.60
(年率換算)
21.98
(10月7日)
-
(通期未確定)
2.03~2.09
2025 - 0% N/A
(GAAP赤字)
1.60 - -4.93 2.60
2024 5.86% 0% 71% 1.60 27.31 2.26 3.06
2023 4.78% 0% 69% 1.60 33.42 2.31 -
2022 4.22% 0% 84% 1.60 37.89 1.91 -
2021 3.99% 0% 195% 1.60 40.12 0.82 -
2020 5.25% 0% 552% 1.60 30.45 0.29 -
2019 5.03% -36.0% 約101% 1.60 31.78 1.58 -
2018 4.45% +2.0% N/A(GAAP赤字) 2.50 56.23 -8.36 -
2017 2.97% +4.3% 28% 2.45 82.45 8.91 -
2016 2.86% +4.4% 約85% 2.35 82.12 2.78 -
2015 3.06% +4.7% 比較不能 2.25 73.45 -(合併年度) -
2014 3.79% +4.9% 比較不能 2.15 56.78 -0.30 -
2013 4.49% N/A 比較不能 2.05 45.67 3.73 -
2012 N/A
(部分年)
- 比較不能 0.50
(部分年)
38.45 0.61 -

※ 年間配当はKraft Heinz公式IRの支払年ベース。2012年は一部期間のみで、2015年合併前の数値とは会計上の比較可能性に制約があります。
※ 2018年通期のGAAP EPSは-8.36ドル、2019年通期は+1.58ドル。元原稿の両年度にあった対応違いをSEC提出資料に基づいて修正しました。
※ 2012~2014年の平均株価・EPS等は元原稿の参考系列を残し、過年度の同一基準での全面再集計値ではありません。
※ 2026Eは10月7日終値・2026年Q2発表時の通期見通し・四半期配当据え置きを仮定した参考値です。[7][8]

連続増配年数
0年
2019年減配率
-36%
2026年予想調整後EPS配当性向
約76.6~78.8%
現行年率換算配当
$1.60

2019年にKHCが減配した理由

KHCは2018年まで年間2.50ドルを支払っていましたが、2019年から1.60ドルへ36%減配しました。2019年2月に公表された2018年通期決算では約159億ドルの減損が計上され、GAAPベースでは2018年に大幅赤字となりました(2019年通期は黒字)。収益性の悪化とブランド価値の見直し、財務負担が同時に表面化した局面でした。[8]

配当削減によって、年間の現金流出を抑え、負債削減とブランドへの再投資に回せる資金を確保しやすくなりました。2019年以降、1株配当は増えていませんが、配当支払額が過大になりにくい構造へ変更されたことは、現在の配当維持余力につながっています。

減配後の評価

  • プラス面:配当負担が軽くなり、フリーキャッシュフローによる配当カバーが改善した
  • マイナス面:2019年以降は増配がなく、配当成長株としての性格を失った
  • 現在の論点:配当維持は可能でも、売上数量と利益の回復がなければ増配再開は難しい

財務パフォーマンスと成長見通し

主要財務指標の推移

以下の表では、売上高、営業キャッシュフロー、純利益をMドル(百万ドル)、営業CFマージンを%で表示しています。2026年Q2・上半期は約73.7億ドルの減損の影響でGAAP赤字ですが、2026年上半期の営業CFは2,088Mドル、FCFは1,659Mドルとなりました。2025年通期は営業CF4,462Mドル、FCF3,661Mドルです。[4][9][6]

年度 売上高
(Mドル)
営業CF
(Mドル)
同マージン
(%)
純利益
(Mドル)
調整後EPS
2026 H1 12,309 2,088 17.0 -4,661 1.14
2026 Q2 6,262 1,082(差額) 17.3 -5,460 0.56
2026 Q1 6,047 1,006 16.6 799 0.58
2025 24,942 4,462 17.9 -5,848 2.60
2024 25,846 4,184 16.2 2,746 3.06
2023 26,640 3,976 14.9 2,846 -
2022 26,485 2,469 9.3 2,363 -
2021 26,042 5,364 20.6 1,012 -
2020 26,185 5,560 21.2 356 -
2019 24,977 3,914 15.7 1,933 -
2018 26,268 4,302 16.4 -10,254 -
2017 26,076 2,803 10.7 10,999 -
2016 26,487 3,672 13.9 3,632 -
2015 18,338 3,070 16.7 2,281 -
2014 10,922 1,540 14.1 -340 -
2013 11,441 1,715 15.0 4,154 -
2012 11,854 1,800 15.2 682 -

直近決算(2026年Q2・上半期)のポイント

2026年Q2業績の概要

2026年6月27日終了の第2四半期は、売上高6,262Mドル(前年同期比1.4%減)、有機売上高1.3%減でした。価格・ミックスのうち価格は1.3ポイント上昇した一方、販売数量・ミックスは2.6ポイント低下。北米の有機売上高は2.7%減でした。[4]

2026年Q2は約7,365Mドルののれん・無形資産減損等で純損失5,460Mドル、GAAP希薄化EPS-4.60ドルとなりました。調整後EPSは0.56ドル(前年同期0.69ドル)、調整後営業利益1,041Mドル(18.4%減)。一方、2026年上半期の営業CF2,088Mドル、FCF1,659Mドル、FCF転換率123%は前年同期を上回りました。大幅減損は非現金費用ですが、ブランド収益力の見直しを意味するため、キャッシュ創出と別に評価する必要があります。[4]

2026年通期見通し

2026年8月5日に更新された会社見通しでは、有機売上高は前年比0.5~2.0%減、定為替ベースの調整後営業利益は16~18%減、調整後EPSは2.03~2.09ドル、FCF転換率は約110%です。2025年比の追加投資額は従来の約6億ドルから約7億ドルへ増額されました。営業利益見通しは下方寄りに修正された一方、売上高見通しは改善しています。[4]

2026年は売上回復の初期段階にあり、投入する広告・開発費と販売数量の回復の時間差が当面の利益を圧迫します。予想調整後EPSに対する配当性向は約76.6~78.8%で、直ちに配当原資が不足する計画ではないものの増配余地は限定的です。

新CEO下の再建方針と2026年7月の組織再編

Steve Cahillane氏は2026年1月にCEOに就任しました。2026年7月1日からは北米、欧州・太平洋先進国、新興国の3地域へ組織再編し、調達とサプライチェーンも集約しています。2026年8月公表の第2四半期10-Qで、以前の分社化計画に関連する作業は停止状態と明記されています。会社は現時点で既存ブランドの再建と事業投資を優先しています。[10][4]

第2四半期の北米有機売上高は2.7%減、販売数量・ミックスは3.8ポイント低下しました。新商品の投入や商品価値の再構築が需要改善につながるかが重要です。会社は2026年11月12日の投資家説明会(Investor Day)を予定しており、そこで中期的な回復計画を確認できます。{cite(“Q2")}{cite(“EVENT")}

社債償還と負債削減

Kraft Heinzは2026年7月8日、2027年満期・利率3.875%のシニアノートのうち元本10億ドルを一部償還しました。2026年Q2末の長期債務(1年内返済予定分を含む)は19,001Mドルで、2025年末の21,219Mドルから減少しています。7月の償還はQ2末後の出来事のため、Q2末の負債額には未反映です。[11][4]

フリーキャッシュフローによる配当支払能力

2026年上半期と2025年通期の配当カバー

2026年上半期は営業CF2,088Mドル、FCF1,659Mドル、現金配当支払949Mドルでした。FCFによる配当カバーは約1.75倍で、2025年通期の3,661Mドル/1,898Mドル(約1.93倍)より低いものの、配当はFCFの範囲内に収まっています。上半期と通期では期間が違うため、季節性にも注意が必要です。[4][6]

配当支払余力の推移

年度 フリーCF
(Mドル)
年間配当支払額
(Mドル)
配当カバー比率
2026 H1 1,659 949 1.75倍
2026 Q2 893(H1-Q1) 475(H1-Q1) 1.88倍
2026 Q1 766 474 1.6倍
2025 3,661 1,898 1.9倍
2024 3,160 1,931 1.6倍
2023 2,963 1,965 1.5倍
2022 1,553 1,960 0.8倍
2021 4,459 1,959 2.3倍
2020 4,459 1,956 2.3倍
2019 2,813 1,953 1.4倍
2018 3,201 3,071 1.0倍
2017 1,702 3,042 0.6倍
2016 2,571 2,985 0.9倍
2015 2,420 2,845 0.9倍

配当支払余力の分析結果

  • 長期傾向:2022年は0.8倍に落ち込みましたが、2025年通期は約1.9倍まで改善
  • 減配の効果:2019年の減配で過度な配当負担が軽くなった
  • キャッシュ創出力:2025年は売上減少と減損赤字にもかかわらず、営業キャッシュフローが増加
  • 注意点:2026年上半期は約1.75倍。営業CF増加には買掛金などの運転資本改善が寄与しており、持続性の確認が必要
  • 現在の評価:FCFは2026年上半期も配当を賄っていますが、通期の予想調整後EPS配当性向は約77~79%と高め

バランスシートと財務健全性

2026年Q2の減損計上によって、2026年6月27日時点の株主資本は36,006Mドル、自己資本比率は約49.3%となり、2026年Q1末の約51.1%から低下しました。総資産も73,065Mドルへ減少しています。2025年末の純レバレッジは3.0倍でしたが、Q2末の財務は新たな減損を考慮して評価する必要があります。[4][6]

年度 総資産
(Mドル)
総負債
(Mドル)
株主資本
(Mドル)
自己資本率
(%)
ROE
(%)
負債比率
(%)
2026 Q2 73,065 36,935 36,006 49.3 - 約103
2026 Q1 82,046 39,997 41,923 51.1 - 95
2025 81,786 40,009 41,664 50.9 -12.8 96
2024 88,287 38,968 49,319 55.9 5.5 79
2023 90,339 40,651 49,688 55.0 5.8 82
2022 90,513 41,683 48,830 53.9 4.9 85
2021 93,394 43,946 49,448 53.0 2.1 89
2020 99,830 49,587 50,243 50.3 0.7 99
2019 103,261 49,701 53,560 51.9 -22.0 93
2018 103,461 51,690 51,771 50.0 19.8 100
2017 120,225 55,591 64,634 53.8 18.6 86
2016 120,708 64,482 56,226 46.6 6.8 115
2015 122,973 66,715 56,258 45.7 4.1 119

財務健全性を見る際のポイント

  • 減損の影響:2025年だけでなく2026年Q2にも約73.7億ドルの非現金減損が発生
  • 自己資本比率:2026年Q2末は約49.3%。のれん・ブランドなど無形資産が依然として多い
  • 純レバレッジ:2025年末は3.0倍。2026年Q2末の有利子負債と現金残高、利益水準から再評価が必要
  • 社債償還:7月の10億ドル償還は2026年Q2末後のため、同四半期BSの数値と区別する
  • 利益の質:GAAP利益だけでなく、減損前の収益力、営業CF、FCFを合わせて判断する

総合評価

クラフト・ハインツの財務戦略は「守りを固めながら事業を立て直す再建型」です。2026年上半期は巨額の非現金減損でGAAP赤字となった一方、FCF1,659Mドルに対して配当支払949Mドルで、FCF配当カバーは約1.75倍でした。

ただし、2026年通期の調整後営業利益は16~18%減少する会社見通しです。販売数量・市場シェアの回復を伴わず追加投資だけが増える局面が長引けば、2027年以降の資金配分には注意が必要です。

KHCは再び減配する可能性があるか

2026年上半期のFCF配当カバーは約1.75倍で、直ちにFCFから配当を賄えない状態ではありません。一方、2026年通期調整後EPS見通しに対する年率換算配当性向は約76.6~78.8%で、増配余力は大きくありません。非現金の減損と実際の現金支出を混同せず、FCFの維持とブランド回復の成否を合わせて評価する必要があります。[4]

ただし、次の条件が重なると減配リスクは高まります。

減配リスクを高める要因

  1. 販売数量の減少が長期化する:値上げで売上を支えられず、ボリューム・ミックスの悪化が続く
  2. 追加投資が利益回復につながらない:マーケティングや商品投資を増やしても市場シェアが戻らない
  3. 原材料・物流費が再上昇する:価格転嫁できず、調整後粗利益率が悪化する
  4. FCFカバーが1倍を下回る:配当支払いがフリーキャッシュフローを上回る状態が続く
  5. 調整後EPS見通しが大幅に下方修正される:配当性向が100%に近づく、または超える
  6. 負債削減を優先する必要が高まる:借換条件の悪化や信用格付けへの圧力が強まる

反対に、販売数量の回復、北米の市場シェア改善、FCFの安定、純レバレッジ低下が進めば、配当維持の確度は高まります。増配を判断する段階では、単年度のEPS改善だけでなく、複数四半期にわたる売上とFCFの回復を確認したいところです。

クラフトハインツの株価が下落しやすい理由

2026年10月7日の株価は21.98ドルで、8月4日の26.64ドルから下落しました。約7.28%という配当利回りは増配ではなく株価下落によるものです。2026年Q2の追加減損、数量減少、利益率の圧迫が、配当の持続性とブランド価値に対する市場の警戒材料となっています。[2][4]

  • 売上数量の弱さ:価格を引き上げても、数量減少が利益成長を妨げやすい
  • プライベートブランドとの競争:消費者の節約志向が強い局面では、値ごろ感で劣りやすい
  • 加工食品カテゴリーの成熟:高成長分野と比べて市場拡大余地が限られる
  • ブランド価値への懸念:大規模減損が、過去の買収価格や将来成長への不安を示す
  • 配当成長の停止:高配当でも増配がなければ、長期的なインカム成長を期待しにくい
  • 再建投資による利益圧迫:広告、販売促進、研究開発への投資が短期利益を押し下げる

そのため、KHCの高い配当利回りは、単なる割安さではなく、成長力と配当持続性への懸念を反映している可能性があります。株価下落時には利回りだけでなく、下落の原因が一時的か構造的かを確認する必要があります。

クラフトハインツの今後の見通し

今後の焦点は、2026年に約7億ドルへ増額したマーケティング・開発などの追加投資が、販売数量と市場シェアの回復につながるかどうかです。北米は全体の売上構成比が大きく、第2四半期は同地域の有機売上高が2.7%減、ボリューム・ミックスが3.8ポイント悪化しています。

改善を確認したい指標

  • オーガニック売上高(2026年会社予想:0.5~2.0%減)
  • 価格とボリューム・ミックスの内訳
  • 北米の市場シェア
  • 調整後粗利益率
  • 広告・販売促進投資に対する売上効果
  • 営業キャッシュフローとフリーキャッシュフロー
  • 純レバレッジ
  • 通期調整後EPS見通し

2026年下期に販売数量減少が鈍化すれば、2027年以降の回復期待につながります。逆に投資増額にもかかわらず数量減少が続けば、利益と配当の安全余裕は圧迫されます。次の注目イベントは2026年11月12日に予定されているInvestor Dayです。[4][5]

配当重視投資家にとっての投資価値

インカム投資家から見た魅力

  1. 約7.28%の年率換算利回り:2026年10月7日終値21.98ドルを基準とした水準
  2. 四半期0.40ドルの継続実績:2019年以降、増配はないが配当額は維持
  3. FCFによる配当カバー:2025年通期は約1.93倍、2026年上半期も約1.75倍
  4. 生活必需品企業としての需要基盤:景気循環の影響を受けにくい食品ブランドを保有
  5. 負債削減の進展余地:社債償還とキャッシュ創出により財務改善を進められる可能性

注意すべき課題

  1. 配当成長が止まっている:インフレを上回る増配を期待しにくい
  2. 売上と数量の弱さ:高利回りを支える利益基盤が強く成長していない
  3. 調整後EPS配当性向が高水準:2026年通期会社見通しでは約76.6~78.8%
  4. ブランド減損の継続:2025年に続き2026年Q2にも大型減損が発生
  5. 再建投資の成否:2026年の対2025年追加投資は約7億ドルを計画

配当投資戦略における位置づけ

高利回り・再建フェーズ銘柄として

  • インカム重視向け:高い現金利回りを得るための一部ポジション
  • モニタリング必須:売上、数量、調整後営業利益、FCF、純レバレッジを四半期ごとに確認
  • 分散の一部:配当成長株や他業種の高配当株と組み合わせる
  • 再投資は慎重に:増配再開が確認できるまでは、配当再投資を自動化しない判断もある
  • 利回りだけで判断しない:株価下落による見かけ上の高利回りと、事業価値の低下を区別する

投資リスクと確認ルール

主なリスク

  1. ブランド力の相対低下:プライベートブランドの台頭、価格志向の強まり、加工食品離れ
  2. 売上の伸び悩み:2025年の有機売上高は3.4%減、2026年会社見通しも0.5~2.0%減
  3. 販促・値下げ圧力:価格を維持すれば数量が落ち、値下げすれば利益率が圧迫される
  4. 再減配リスク:利益とFCFが悪化すれば、配当見直しの可能性がある
  5. 成長投資の負担:追加投資は必要だが、短期的には利益率を押し下げる
  6. 外部環境:SNAP給付縮小、関税、物流費、原材料費、金利、為替の変動

確認ルールの例

  • FCFカバー:通期または累計で1倍を下回る状態が続いていないか
  • 配当性向:調整後EPSベースで100%に近づいていないか
  • 通期見通し:調整後EPSやFCF見通しが大幅に下方修正されていないか
  • 販売数量:ボリューム・ミックスの悪化幅が縮小しているか
  • 負債:純レバレッジが低下しているか
  • ポジション管理:一銘柄への集中を避け、他の配当成長株や業種へ分散する

まとめ:KHCは高利回りだが増配株ではない

クラフト・ハインツは2019年の36%減配後、四半期0.40ドル、年率換算1.60ドルの配当を維持しています。2026年10月7日終値21.98ドルに対する利回りは約7.28%。2026年上半期はFCF1,659Mドルに対し配当支払額949Mドルで、FCFカバーは約1.75倍です。一方、2026年Q2には約73.7億ドルの減損が生じ、GAAPベースでは巨額赤字となりました。[2][1][4]

2019年以降は増配がなく、2026年は有機売上高0.5~2.0%減、調整後営業利益16~18%減の会社見通しです。KHCは安定増配株ではなく、配当を維持しながら事業再建を進める高利回り銘柄と考えるべきです。[4]

投資判断のポイント

KHCの投資判断では、配当利回りの高さだけでなく、上半期・通期FCF配当カバー、調整後EPS、北米販売数量、調整後粗利益率、無形資産減損、債務削減を確認してください。

免責事項
本記事は投資判断の参考として財務データを分析したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。

ミニ解説:この記事の使い方

長期表は、キャッシュ創出力と配当支払額の推移を確認するためのものです。特に2018年・2019年のEPS修正、2025年・2026年の減損とFCFの違い、四半期と半期・通期の比較期間に注意し、2026年のInvestor Dayに向けて業績回復の速度を観察してください。

【注】(出典リンク)

  1. 四半期配当・配当履歴・権利落ち日 → Kraft Heinz IR-Dividend History → 2026年8月5日配当宣言(確認日:2026-10-08) ↩
  2. 2026年10月7日株価終値 → 株価履歴(Polygon集計) → Investing.com株価履歴 → Google Finance-KHC:NYSE(確認日:2026-10-08) ↩
  3. 2026年9月14日のNYSE上場移行 → SEC Form 8-K(2026年8月26日)(確認日:2026-10-08) ↩
  4. 2026年Q2・上半期決算、減損、キャッシュフロー、会社見通し → SEC提出:2026年Q2決算発表資料 → SEC Form 10-Q(2026年6月27日終了)(確認日:2026-10-08) ↩
  5. 2026年11月Investor Dayの開催予定 → Kraft Heinz IR-Events and Webcasts(確認日:2026-10-08) ↩
  6. 2025年通期財務・配当・調整後EPS → SEC Form 10-K(2025年通期) → FY2025決算発表(確認日:2026-10-08) ↩
  7. 2015年合併前後の会計上の継続性 → SEC 2015 Form 10-Q → Kraft Heinz IR-Dividend History(確認日:2026-10-08) ↩
  8. 2018年巨額減損・2019年の利益・減配局面 → SEC 2019年通期決算(2018年比較含む) → SEC 2018年決算発表資料(確認日:2026-10-08) ↩
  9. 2026年Q1決算・キャッシュフロー → SEC Form 10-Q(2026年Q1) → 2026年Q1決算発表(確認日:2026-10-08) ↩
  10. 2026年7月からの運営体制再編 → Kraft Heinz-New Global Operating Structure(確認日:2026-10-08) ↩
  11. 2026年7月の2027年満期社債一部償還 → Kraft Heinz-Redemption Price → SEC 2026年Q2 Form 10-Q(確認日:2026-10-08) ↩

Posted by 南 一矢