KHC:クラフトハインツの配当推移・利回りと株価【2026年】
クラフト・ハインツ(The Kraft Heinz Company、NASDAQ:KHC)は、2019年に年間配当を2.50ドルから1.60ドルへ36%削減した後、四半期0.40ドルの配当を維持している高配当銘柄です。2026年8月4日の終値26.64ドルを基準にすると、年率換算配当1.60ドルに対する配当利回りは約6.0%です。[1][2]
本記事では、KHCの配当推移、配当利回り、配当性向、権利落ち日、株価、フリーキャッシュフローによる配当維持余力を整理します。単に利回りが高いかどうかではなく、2019年の減配後に財務体質がどの程度改善したか、再減配の可能性をどう見るべきかを、会社IRとSEC提出資料を中心に検証します。
この記事は日本時間2026年8月5日12時30分時点の情報で作成しています。クラフト・ハインツは米国時間2026年8月5日の市場開始前に2026年Q2決算を発表する予定ですが、本稿作成時点ではまだ公表されていません。そのため、業績分析は2026年Q1まで、株価は2026年8月4日終値までを反映しています。[3]
KHCの配当はいくら?現在の配当状況
KHCの直近の四半期配当は1株当たり0.40ドルです。この水準が4四半期続くと仮定した年率換算配当は1.60ドルになります。2026年は3月と6月に各0.40ドル、合計0.80ドルがすでに支払われています。[1]
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ティッカー | KHC |
| 1株当たり四半期配当 | 0.40ドル |
| 年率換算配当 | 1.60ドル |
| 2026年に支払済みの配当 | 0.80ドル |
| 2026年8月4日終値 | 26.64ドル |
| 年率換算配当利回り | 約6.0% |
| 連続増配年数 | 0年(据え置き) |
| 2019年の減配率 | 36% |
| 現在の位置づけ | 高利回り・据え置き配当型 |
現在の配当を見る際の注意点
年間1.60ドルは、2026年にすでに支払われた配当総額ではなく、直近の四半期配当0.40ドルを4倍した年率換算額です。2026年8月5日昼時点で、次回の四半期配当はまだ正式発表されていません。今後も四半期0.40ドルが維持されるかは、取締役会の決議と会社発表を確認する必要があります。
KHCの配当金はいつ?権利落ち日と支払日
2026年に公表済みのKHCの配当日程は次の通りです。米国株では、配当を受け取るには原則として権利落ち日の前営業日までに株式を購入しておく必要があります。
| 宣言日 | 権利落ち日 | 基準日 | 支払日 | 1株配当 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年2月11日 | 2026年3月5日 | 2026年3月6日 | 2026年3月27日 | 0.40ドル |
| 2026年5月6日 | 2026年6月4日 | 2026年6月5日 | 2026年6月26日 | 0.40ドル |
次回配当の日程は未発表です。過去の傾向だけで権利落ち日や支払日を確定扱いせず、Kraft Heinzの公式配当履歴または配当発表を確認してください。
KHCの配当利回りと株価の推移
2026年8月4日の終値26.64ドルに対し、年率換算配当1.60ドルで計算した配当利回りは約6.0%です。株価が下落すると利回りは上がりますが、それだけで投資妙味が高まったとは限りません。高利回りには、利益成長の鈍化、増配停止、再減配への警戒が織り込まれている場合があります。
データソースの制約について
四半期配当、年次EPS、営業キャッシュフロー、配当支払額は会社IR・SEC提出資料で確認できます。一方、年平均株価や年平均配当利回りは、会社IRで一つの長期表として公表されているわけではないため、金融情報サイトの株価系列を併用した概算です。
クラフト・ハインツは2015年の合併、2019年の大幅減配、2025年の巨額減損、分離計画の停止など特殊要因が多い企業です。そのため、GAAP EPSだけでなく、調整後EPS、営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー、純レバレッジを合わせて確認する必要があります。
KHCの配当推移・配当性向
年間配当とEPSに基づく配当支払能力
KHCの年間配当は2018年の2.50ドルから、2019年に1.60ドルへ減額されました。それ以降は四半期0.40ドル、年間1.60ドルの据え置きが続いています。2025年は巨額の非現金減損によりGAAP EPSがマイナス4.93ドルとなりましたが、調整後EPSは2.60ドルでした。調整後EPSに対する年間配当1.60ドルの比率は約62%です。[4]
2026年Q1の希薄化EPSは0.67ドル、調整後EPSは0.58ドルでした。会社の2026年通期調整後EPS見通しは1.98~2.10ドルで、年率換算配当1.60ドルに対する配当性向は約76~81%になります。[5]
| 年 | 配当データ | 平均株価/ 直近株価 |
年EPS (GAAP) |
調整後EPS | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均利回り/ 直近利回り |
配当成長率 | 配当性向 | 年間配当 | ||||
| 2026E | 約6.0% (8月4日) |
0% | 約76~81% (調整後EPS見通し) |
1.60 (年率換算) |
26.64 (8月4日) |
- | 1.98~2.10 |
| 2025 | - | 0% | N/A (GAAP赤字) |
1.60 | - | -4.93 | 2.60 |
| 2024 | 5.86% | 0% | 71% | 1.60 | 27.31 | 2.26 | 3.06 |
| 2023 | 4.78% | 0% | 69% | 1.60 | 33.42 | 2.31 | - |
| 2022 | 4.22% | 0% | 84% | 1.60 | 37.89 | 1.91 | - |
| 2021 | 3.99% | 0% | 195% | 1.60 | 40.12 | 0.82 | - |
| 2020 | 5.25% | 0% | 552% | 1.60 | 30.45 | 0.29 | - |
| 2019 | 5.03% | -36.0% | N/A | 1.60 | 31.78 | -10.30 | - |
| 2018 | 4.45% | +2.0% | 31% | 2.50 | 56.23 | 8.03 | - |
| 2017 | 2.97% | +4.3% | 28% | 2.45 | 82.45 | 8.91 | - |
| 2016 | 2.86% | +4.4% | 83% | 2.35 | 82.12 | 2.84 | - |
| 2015 | 3.06% | +4.7% | 122% | 2.25 | 73.45 | 1.84 | - |
| 2014 | 3.79% | +4.9% | 比較不能 | 2.15 | 56.78 | -0.30 | - |
| 2013 | 4.49% | N/A | 比較不能 | 2.05 | 45.67 | 3.73 | - |
| 2012 | N/A (部分年) |
- | 比較不能 | 0.50 (部分年) |
38.45 | 0.61 | - |
* 年間配当はKraft Heinz公式IRの「Dividends Paid in each year」に基づいています。2012年は公式履歴に1回分のみ掲載された部分年のため、通年利回りと成長率の比較対象から外しています。
** 2015年の合併前後では財務諸表の会計上の継続主体と配当履歴の対象株式が単純には一致しないため、2012~2014年の配当性向は「比較不能」としました。[6]
*** 2026Eは2026年8月4日終値と2026年Q1時点の会社見通しを使用しています。
2019年にKHCが減配した理由
KHCは2018年まで年間2.50ドルを支払っていましたが、2019年から年間1.60ドルへ減配しました。減配率は36%です。減配が実施された時期には、2018年Q4決算でKraftやOscar Mayerなどに関連する大規模な減損が公表され、2018年通期では約159億ドルの減損損失が計上されました。収益性の悪化、ブランド価値の見直し、コスト上昇、財務負担が同時に表面化した局面でした。[7]
配当削減によって、年間の現金流出を抑え、負債削減とブランドへの再投資に回せる資金を確保しやすくなりました。2019年以降、1株配当は増えていませんが、配当支払額が過大になりにくい構造へ変更されたことは、現在の配当維持余力につながっています。
減配後の評価
- プラス面:配当負担が軽くなり、フリーキャッシュフローによる配当カバーが改善した
- マイナス面:2019年以降は増配がなく、配当成長株としての性格を失った
- 現在の論点:配当維持は可能でも、売上数量と利益の回復がなければ増配再開は難しい
財務パフォーマンスと成長見通し
主要財務指標の推移
以下の表では、売上高、営業キャッシュフロー、純利益をMドル(百万ドル)、営業キャッシュフローマージンを%で表示しています。2025年は93.06億ドルの減損損失によりGAAP純損失となりましたが、営業キャッシュフローは44.62億ドル、フリーキャッシュフローは36.61億ドルでした。[4]
| 年度 | 売上高 (Mドル) |
営業CF (Mドル) |
同マージン (%) |
純利益 (Mドル) |
調整後EPS |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026 Q1 | 6,047 | 1,006 | 16.6 | 799 | 0.58 |
| 2025 | 24,942 | 4,462 | 17.9 | -5,848 | 2.60 |
| 2024 | 25,846 | 4,184 | 16.2 | 2,746 | 3.06 |
| 2023 | 26,640 | 3,976 | 14.9 | 2,846 | - |
| 2022 | 26,485 | 2,469 | 9.3 | 2,363 | - |
| 2021 | 26,042 | 5,364 | 20.6 | 1,012 | - |
| 2020 | 26,185 | 5,560 | 21.2 | 356 | - |
| 2019 | 24,977 | 3,914 | 15.7 | -12,629 | - |
| 2018 | 26,268 | 4,302 | 16.4 | 10,192 | - |
| 2017 | 26,076 | 2,803 | 10.7 | 10,999 | - |
| 2016 | 26,487 | 3,672 | 13.9 | 3,632 | - |
| 2015 | 18,338 | 3,070 | 16.7 | 2,281 | - |
| 2014 | 10,922 | 1,540 | 14.1 | -340 | - |
| 2013 | 11,441 | 1,715 | 15.0 | 4,154 | - |
| 2012 | 11,854 | 1,800 | 15.2 | 682 | - |
直近決算(2026年Q1)のポイント
2026年Q1業績の概要
2026年3月28日終了の第1四半期は、売上高が60.47億ドルで前年同期比0.8%増、オーガニック売上高は0.4%減でした。価格は0.8ポイント上昇しましたが、ボリューム・ミックスが1.2ポイント低下し、需要面には弱さが残っています。
純利益は7.99億ドル、希薄化EPSは0.67ドル、調整後EPSは0.58ドルでした。営業キャッシュフローは10.06億ドル、フリーキャッシュフローは7.66億ドルで、フリーキャッシュフロー転換率は111%でした。[5]
2026年通期見通し
2026年Q1時点の会社見通しでは、オーガニック売上高は前年比1.5~3.5%減、定為替ベースの調整後営業利益は14~18%減、調整後EPSは1.98~2.10ドル、フリーキャッシュフロー転換率は約100%とされています。会社はマーケティング、販売、研究開発、商品力、価格施策などへ約6億ドルを追加投資しています。[5]
この見通しからは、2026年も利益成長より事業再建を優先する年と考えられます。配当維持の余地は残る一方、調整後EPSに対する年率換算配当性向は約76~81%となり、増配余地は大きくありません。
新CEO下の再建方針と2026年7月の組織再編
Steve Cahillane氏は2026年1月にCEOへ就任し、米国事業の回復、値ごろ感、マーケティング、研究開発、商品力の改善を重視しています。2026年7月1日からは、地域区分を北米、欧州・太平洋先進国、新興国の3地域へ再編し、調達とサプライチェーンの運営も集約しました。[8]
組織再編には意思決定と資源配分を明確にする狙いがあります。ただし、組織変更そのものが売上回復を保証するわけではありません。投資家は、北米の市場シェア、販売数量、広告投資の効果、調整後粗利益率を決算ごとに確認する必要があります。
社債償還と負債削減
Kraft Heinzは2026年7月8日、2027年満期・利率3.875%のシニアノートについて、元本10億ドル分を一部償還しました。[9] これは満期前の債務削減策ですが、純レバレッジへの最終的な影響は、Q2以降の現金残高、借入残高、調整後EBITDAを確認したうえで評価する必要があります。
フリーキャッシュフローによる配当支払能力
2025年の配当カバー
2025年通期の営業キャッシュフローは44.62億ドル、フリーキャッシュフローは36.61億ドルでした。年間配当支払額は18.98億ドルで、フリーキャッシュフローによる配当カバー比率は約1.9倍です。GAAP純利益は減損で赤字ですが、配当原資となるキャッシュフローの面では、現行配当を賄える水準でした。[4]
配当支払余力の推移
| 年度 | フリーCF (Mドル) |
年間配当支払額 (Mドル) |
配当カバー比率 |
|---|---|---|---|
| 2026 Q1 | 766 | 474 | 1.6倍 |
| 2025 | 3,661 | 1,898 | 1.9倍 |
| 2024 | 3,160 | 1,931 | 1.6倍 |
| 2023 | 2,963 | 1,965 | 1.5倍 |
| 2022 | 1,553 | 1,960 | 0.8倍 |
| 2021 | 4,459 | 1,959 | 2.3倍 |
| 2020 | 4,459 | 1,956 | 2.3倍 |
| 2019 | 2,813 | 1,953 | 1.4倍 |
| 2018 | 3,201 | 3,071 | 1.0倍 |
| 2017 | 1,702 | 3,042 | 0.6倍 |
| 2016 | 2,571 | 2,985 | 0.9倍 |
| 2015 | 2,420 | 2,845 | 0.9倍 |
配当支払余力の分析結果
- 改善傾向:2022年の0.8倍から、2025年は1.9倍へ改善
- 減配の効果:2019年の減配で過度な配当負担が軽くなった
- キャッシュ創出力:2025年は売上減少と減損赤字にもかかわらず、営業キャッシュフローが増加
- 注意点:四半期単位の運転資本変動でFCFは大きく動くため、Q1の1.6倍だけで年間を判断しない
- 現在の評価:現行配当には維持余力があるが、増配余地は限定的
バランスシートと財務健全性
2025年は減損により株主資本が大きく減少しましたが、2025年末の自己資本率は約50.9%、2026年Q1末は約51.1%でした。2025年末の純レバレッジは3.0倍です。[4][5]
| 年度 | 総資産 (Mドル) |
総負債 (Mドル) |
株主資本 (Mドル) |
自己資本率 (%) |
ROE (%) |
負債比率 (%) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026 Q1 | 82,046 | 39,997 | 41,923 | 51.1 | - | 95 |
| 2025 | 81,786 | 40,009 | 41,664 | 50.9 | -12.8 | 96 |
| 2024 | 88,287 | 38,968 | 49,319 | 55.9 | 5.5 | 79 |
| 2023 | 90,339 | 40,651 | 49,688 | 55.0 | 5.8 | 82 |
| 2022 | 90,513 | 41,683 | 48,830 | 53.9 | 4.9 | 85 |
| 2021 | 93,394 | 43,946 | 49,448 | 53.0 | 2.1 | 89 |
| 2020 | 99,830 | 49,587 | 50,243 | 50.3 | 0.7 | 99 |
| 2019 | 103,261 | 49,701 | 53,560 | 51.9 | -22.0 | 93 |
| 2018 | 103,461 | 51,690 | 51,771 | 50.0 | 19.8 | 100 |
| 2017 | 120,225 | 55,591 | 64,634 | 53.8 | 18.6 | 86 |
| 2016 | 120,708 | 64,482 | 56,226 | 46.6 | 6.8 | 115 |
| 2015 | 122,973 | 66,715 | 56,258 | 45.7 | 4.1 | 119 |
財務健全性を見る際のポイント
- 減損の影響:2025年の非現金減損で株主資本とROEが大きく悪化
- 自己資本率:50%台を維持しているが、ブランド資産やのれんの比重が大きい企業である点に注意
- 純レバレッジ:2025年末は3.0倍で、配当維持は可能でも積極増配にはやや重い
- 社債償還:2026年7月の10億ドル償還は負債削減に寄与するが、Q2以降の数値確認が必要
- 利益の質:GAAP利益だけでなく、減損前の収益力、営業CF、FCFを合わせて判断する
総合評価
クラフト・ハインツの財務戦略は「守りを固めながら事業を立て直す再建型」です。2025年は巨額減損でGAAP赤字となりましたが、営業キャッシュフロー44.62億ドル、フリーキャッシュフロー36.61億ドルにより、年間1.60ドルの配当は賄えています。
一方、2026年見通しではオーガニック売上高と調整後営業利益の減少が見込まれています。配当成長を再開するには、米国事業の回復、販売数量の下げ止まり、価格と数量のバランス改善、追加投資の成果が必要です。
KHCは再び減配する可能性があるか
現時点では、フリーキャッシュフローによる配当カバーが1倍を上回っており、直ちに減配が必要な状態とは言いにくいです。2025年のFCFカバーは約1.9倍、2026年Q1は約1.6倍でした。2026年通期の調整後EPS見通しに対する年率換算配当性向も約76~81%で、余裕は大きくないものの、配当額を上回る利益を見込んでいます。
ただし、次の条件が重なると減配リスクは高まります。
減配リスクを高める要因
- 販売数量の減少が長期化する:値上げで売上を支えられず、ボリューム・ミックスの悪化が続く
- 追加投資が利益回復につながらない:マーケティングや商品投資を増やしても市場シェアが戻らない
- 原材料・物流費が再上昇する:価格転嫁できず、調整後粗利益率が悪化する
- FCFカバーが1倍を下回る:配当支払いがフリーキャッシュフローを上回る状態が続く
- 調整後EPS見通しが大幅に下方修正される:配当性向が100%に近づく、または超える
- 負債削減を優先する必要が高まる:借換条件の悪化や信用格付けへの圧力が強まる
反対に、販売数量の回復、北米の市場シェア改善、FCFの安定、純レバレッジ低下が進めば、配当維持の確度は高まります。増配を判断する段階では、単年度のEPS改善だけでなく、複数四半期にわたる売上とFCFの回復を確認したいところです。
クラフトハインツの株価が下落しやすい理由
KHCの株価は、高いブランド知名度だけでは評価されにくくなっています。食品大手として一定のキャッシュ創出力がある一方、売上成長が鈍く、2019年以降は増配が止まり、ブランド資産の減損も繰り返されています。
- 売上数量の弱さ:価格を引き上げても、数量減少が利益成長を妨げやすい
- プライベートブランドとの競争:消費者の節約志向が強い局面では、値ごろ感で劣りやすい
- 加工食品カテゴリーの成熟:高成長分野と比べて市場拡大余地が限られる
- ブランド価値への懸念:大規模減損が、過去の買収価格や将来成長への不安を示す
- 配当成長の停止:高配当でも増配がなければ、長期的なインカム成長を期待しにくい
- 再建投資による利益圧迫:広告、販売促進、研究開発への投資が短期利益を押し下げる
そのため、KHCの高い配当利回りは、単なる割安さではなく、成長力と配当持続性への懸念を反映している可能性があります。株価下落時には利回りだけでなく、下落の原因が一時的か構造的かを確認する必要があります。
クラフトハインツの今後の見通し
今後の焦点は、追加投資と組織再編が販売数量と市場シェアの改善につながるかどうかです。特に北米は会社全体に占める重要度が高く、米国の冷蔵食品、コーヒー、冷凍食品、スナック、調味料などの動向が業績を左右します。
改善を確認したい指標
- オーガニック売上高の減少幅
- 価格とボリューム・ミックスの内訳
- 北米の市場シェア
- 調整後粗利益率
- 広告・販売促進投資に対する売上効果
- 営業キャッシュフローとフリーキャッシュフロー
- 純レバレッジ
- 通期調整後EPS見通し
2026年は本格的な利益成長期というより、事業の基礎を立て直す年です。Q2以降にオーガニック売上高の減少幅が縮小し、販売数量が改善すれば、配当維持に対する安心感は高まります。反対に、追加投資を続けても数量減少と利益率悪化が止まらなければ、株価と配当に対する警戒が強まりやすくなります。
配当重視投資家にとっての投資価値
インカム投資家から見た魅力
- 約6%の高い年率換算利回り:2026年8月4日終値を基準とした水準
- 四半期0.40ドルの継続実績:2019年以降、増配はないが配当額は維持
- FCFによる配当カバー:2025年は約1.9倍
- 生活必需品企業としての需要基盤:景気循環の影響を受けにくい食品ブランドを保有
- 負債削減の進展余地:社債償還とキャッシュ創出により財務改善を進められる可能性
注意すべき課題
- 配当成長が止まっている:インフレを上回る増配を期待しにくい
- 売上と数量の弱さ:高利回りを支える利益基盤が強く成長していない
- 調整後EPS配当性向が上昇:2026年見通しでは約76~81%
- ブランド減損の履歴:資産価値と将来収益への不確実性が残る
- 再建投資の成否:6億ドルの追加投資が成果を出すまで時間がかかる
配当投資戦略における位置づけ
高利回り・再建フェーズ銘柄として
- インカム重視向け:高い現金利回りを得るための一部ポジション
- モニタリング必須:売上、数量、調整後営業利益、FCF、純レバレッジを四半期ごとに確認
- 分散の一部:配当成長株や他業種の高配当株と組み合わせる
- 再投資は慎重に:増配再開が確認できるまでは、配当再投資を自動化しない判断もある
- 利回りだけで判断しない:株価下落による見かけ上の高利回りと、事業価値の低下を区別する
投資リスクと確認ルール
主なリスク
- ブランド力の相対低下:プライベートブランドの台頭、価格志向の強まり、加工食品離れ
- 売上の伸び悩み:2025年のオーガニック売上高は3.4%減、2026年見通しも1.5~3.5%減
- 販促・値下げ圧力:価格を維持すれば数量が落ち、値下げすれば利益率が圧迫される
- 再減配リスク:利益とFCFが悪化すれば、配当見直しの可能性がある
- 成長投資の負担:追加投資は必要だが、短期的には利益率を押し下げる
- 外部環境:SNAP給付縮小、関税、物流費、原材料費、金利、為替の変動
確認ルールの例
- FCFカバー:通期または累計で1倍を下回る状態が続いていないか
- 配当性向:調整後EPSベースで100%に近づいていないか
- 通期見通し:調整後EPSやFCF見通しが大幅に下方修正されていないか
- 販売数量:ボリューム・ミックスの悪化幅が縮小しているか
- 負債:純レバレッジが低下しているか
- ポジション管理:一銘柄への集中を避け、他の配当成長株や業種へ分散する
まとめ:KHCは高利回りだが増配株ではない
クラフト・ハインツは、2019年の36%減配後、四半期0.40ドル、年率換算1.60ドルの配当を維持しています。2026年8月4日終値26.64ドルを基準とした配当利回りは約6.0%です。2025年は巨額減損でGAAP赤字となりましたが、フリーキャッシュフロー36.61億ドルに対し配当支払額は18.98億ドルで、配当カバーは約1.9倍でした。
一方、2019年以降は増配がなく、2026年の会社見通しでもオーガニック売上高と調整後営業利益の減少が見込まれています。したがって、KHCは「安定増配を期待する銘柄」ではなく、減配リスクを監視しながら高い現金利回りを得る再建型インカム銘柄と位置づけるのが妥当です。
投資判断のポイント
KHCを見る際は、配当利回りだけでなく、フリーキャッシュフローによる配当カバー、調整後EPS見通し、販売数量、北米の市場シェア、純レバレッジを確認してください。現在の配当には一定の維持余力がありますが、増配再開には事業の明確な回復が必要です。
本記事は投資判断の参考として財務データを分析したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。
ミニ解説:この記事の使い方
長期表は、KHCがどの程度のキャッシュを生み、そのうちどの程度を配当に回してきたかを確認するためのものです。高配当・再建フェーズの企業では、配当利回りだけでなく、調整後EPS、FCF、純レバレッジ、販売数量の下げ止まりを合わせて確認してください。
【注】(出典リンク)
- KHCの配当履歴、2026年の配当日程、年間配当額 → 一次情報:Kraft Heinz「Dividend History」、2026年5月6日配当発表(確認日:2026-08-05) ↩
- 2026年8月4日終値26.64ドル → 参考情報:MarketWatchの2026年8月4日市場データ、Google Finance「KHC:NASDAQ」(確認日:2026-08-05) ↩
- 2026年Q2決算発表予定 → 一次情報:Kraft Heinz「The Kraft Heinz Company to Report Second Quarter 2026 Results on August 5, 2026」(確認日:2026-08-05) ↩
- 2025年通期業績、減損、調整後EPS、営業CF、FCF、配当支払額、純レバレッジ → 一次情報:Kraft Heinz「Fourth Quarter and Full Year 2025 Results」、SEC EDGAR「Kraft Heinz 2025 Form 10-K」(確認日:2026-08-05) ↩
- 2026年Q1決算、売上高、EPS、営業CF、FCF、2026年通期見通し → 一次情報:Kraft Heinz「First Quarter 2026 Results」、SEC EDGAR「Kraft Heinz 2026 Q1 Form 10-Q」(確認日:2026-08-05) ↩
- 2015年合併前後の会計上の継続性 → 一次情報:SEC EDGAR「Kraft Heinz 2015 Form 10-Q」。配当履歴はKraft Heinz公式IRの支払年ベースを使用(確認日:2026-08-05) ↩
- 2018年決算、ブランド・のれんの減損、2019年の配当削減局面 → 一次情報:Kraft Heinz「Fourth Quarter and Full Year 2018 Results」、SEC EDGAR「Kraft Heinz 2018 Form 10-K」(確認日:2026-08-05) ↩
- 2026年7月1日からの地域・運営体制再編 → 一次情報:Kraft Heinz「New Global Operating Structure」(確認日:2026-08-05) ↩
- 2027年満期社債10億ドル分の一部償還 → 一次情報:Kraft Heinz「Redemption Price for the Partial Redemption」(確認日:2026-08-05) ↩

