GOOGLとMETAを比較:アルファベット(グーグル)とメタ(フェイスブック) AI戦略の違いとは
GOOGLとMETAを比較します。
アルファベット(Alphabet Inc.)とMETA(メタ・プラットフォームズ)は広告モデルの代表格です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(QQQ:Invesco QQQ Trust Series 1を含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。
株価推移や成長率比較については以下の関連記事を参照
★GOOGL:アルファベット 今後の見通し
★META:メタ・プラットフォームズ 今後の見通し
決算(予想:結果)と配当
決算の予想:結果については以下の関連記事を参照
★アルファベット(GOOGL)決算:予想と結果 売上&EPS
★メタ・プラットフォームズ(META)決算:予想と結果 売上&EPS
【BIG TECH対決】グーグル(GOOGL) vs メタ(META)!配当を開始した巨人の次なる一手は?
世界中の人々のデジタルライフを支配する2大巨人、アルファベット(GOOGL)とメタ・プラットフォームズ(META)。長年、稼いだ利益のすべてを事業成長に再投資する「グロース株」の代表格でしたが、2024年、両社は歴史的な転換点を迎えました。
本記事では、揃って「配当開始」を宣言したこの2社の業績、株主還元の違い、そしてAIやメタバースといった未来への投資戦略を徹底的に比較・分析します。
最重要ポイント:2024年、歴史的な「配当開始」
投資家にとって最大のニュースは、これまで無配だった両社が、2024年に揃って初の配当支払いを開始したことです。これは、両社のビジネスが莫大なキャッシュフローを安定的に生み出す「成熟期」に入ったことを示す象徴的な出来事です。
- アルファベット (GOOGL): 2024年6月から、1株あたり0.20ドルの四半期配当を開始。
- メタ (META): 2024年3月から、1株あたり0.50ドルの四半期配当を開始。
現在の配当利回りは低いものの、両社ともに配当性向(利益のうち配当に回す割合)は極めて低く、将来の「連続増配」へのポテンシャルは非常に高いと言えます。
比較サマリー:検索のグーグル、SNSのメタ
項目 | アルファベット (GOOGL) | メタ・プラットフォームズ (META) |
---|---|---|
主力事業 | Google検索、YouTube(検索連動型広告) | Facebook, Instagram(SNS広告) |
成長ドライバー | Google Cloud (クラウド事業) | Reels (ショート動画)、メッセージング広告 |
未来への投資 | AI全般、自動運転 (Waymo) など多角的 | メタバース (Reality Labs) へ集中投資 |
配当方針 | 2024年に初の配当を開始 | |
配当利回り(直近) | 約0.5% | 約0.4% |
業績と成長性の詳細分析
デジタル広告市場の動向に影響されつつも、両社ともに力強い成長を続けています。メタは2023年に一度落ち込みましたが、その後「効率化の年」を掲げたコスト削減と広告事業の回復で、見事なV字回復を遂げています。
年 | GOOGL 売上高 (前年比) | META 売上高 (前年比) |
---|---|---|
2024 | $307.4 B (+9.0%) | $134.9 B (+15.7%) |
2023 | $282.8 B (+9.8%) | $116.6 B (-1.1%) |
2022 | $257.6 B (+41.1%) | $117.9 B (+37.2%) |
2021 | $182.5 B (+12.7%) | $86.0 B (+21.6%) |
※B=10億ドル。会計年度や基準により数値は多少変動します。
【未来の覇権】AI戦略と投資額の比較
両社の未来を語る上で、AIへのアプローチの違いは決定的に重要です。
戦略の違い:統合のグーグル vs オープンソースのメタ
- グーグル (GOOGL): 自社の誇る大規模言語モデル「Gemini」を、検索、広告、クラウド、Androidなど、あらゆる既存サービスに深く統合し、全体の価値を高める戦略です。クラウド事業(Google Cloud)を通じて、自社のAIインフラを外部企業に提供することも大きな収益源となります。
- メタ (META): 自社開発の大規模言語モデル「Llama」をオープンソースとして無償公開する戦略を採っています。これは、特定企業によるAI技術の独占を防ぎ、誰もが使えるオープンなエコシステムを構築することで、最終的に自社のSNSプラットフォームの価値向上に繋げる狙いがあります。また、AI研究はメタバース事業「Reality Labs」の実現とも密接に結びついています。
投資規模の比較
両社がAIに「だけ」いくら使っているかを正確に知ることは困難ですが、研究開発費(R&D)と設備投資(CapEx)の合計額が、未来への投資規模を測る良い指標となります。
年度 | GOOGL (R&D + CapEx) |
META (R&D + CapEx) |
【参考】META Reality Labs 営業損失 |
---|---|---|---|
2024 | $85.5 B | $71.1 B | -$16.1 B |
2023 | $73.8 B | $69.5 B | -$13.7 B |
2022 | $69.4 B | $66.0 B | -$10.2 B |
※B=10億ドル。各社年次報告書より。R&D=研究開発費, CapEx=設備投資。
両社とも年間10兆円を超える規模の投資を続けていることがわかります。特にメタの「Reality Labs」だけで年間2兆円以上の営業損失を出しており、メタバースという未来への壮大な賭けの大きさがうかがえます。
結論:あなたに合うのはどちら?
両社への投資は、どちらのデジタル帝国と未来へのビジョンをより信頼するかの選択になります。
「安定性」と「事業の多様性」を重視するなら → アルファベット (GOOGL)
「検索」という揺るぎない牙城に加え、成長エンジンである「クラウド事業」を持つなど、事業の多角化が進んでいます。AIへの投資も幅広く行っており、特定事業への依存リスクはメタより低いと言えます。巨大テック企業の中でも、比較的安定志向の投資家に向いています。
「SNSの支配力」と「メタバースの夢」に賭けるなら → メタ (META)
FacebookやInstagramが持つ圧倒的なユーザー基盤とデータは、強力な収益源です。現在は年間数兆円規模の赤字を出しながらメタバースへ集中投資しており、これは大きなリスクであると同時に、もし成功すれば計り知れないリターンをもたらす可能性を秘めています。よりハイリスク・ハイリターンな賭けを好む投資家向けの選択肢です。
※本ページの分析は2025年6月9日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。