KHC(クラフトハインツ)今後の見通し
クラフトハインツ(The Kraft Heinz Company)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
銘柄比較については関連記事(GISとKHCを比較:ゼネラルミルズとクラフトハインツ)を参照
直近決算
クラフトハインツは5月6日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想0.5$→結果0.56$
・売上高:予想58.8億$→結果60.5億$(前年同期比+1%)
★ガイダンス
《通年》
・EPS:予想2.04$→結果1.98~2.1$
★出所
・IRプレスリリース
・予想値はstreetinsiderを参照しました
企業概要
クラフトハインツ(The Kraft Heinz Company, NASDAQ: KHC)は、ケチャップや調味料、チーズ・乳製品、加工食品・ミール、スナック、飲料などを展開するグローバル食品メーカーです。2025年通期の売上高は249.42億ドルで、2024年通期の258.46億ドルから3.5%減となりました。[1]
KHCは原材料の生産そのものまでを自社で抱え込む完全な「垂直統合」ではなく、自社工場・物流を核にサプライヤーや小売と連携する統合バリューチェーン型のビジネス運営を行っています。自社の営業組織に加え、ブローカー、代理店、卸、流通業者、ECプラットフォーム、小売・外食・施設向けチャネルを使い分けています。2025年通期では、最大顧客のWalmart Inc.が売上の約21%を占めました。[2]
また、世界中の調達・製造・販売網を活かし、安定した供給とブランド力により収益基盤を維持しています。近年はポートフォリオを8つの消費者起点プラットフォーム(Taste Elevation=味の格上げ、Easy Ready Meals=簡便ミール、Substantial Snacking=満足スナック、Desserts、Hydration、Cheese、Coffee、Meats)に再編し、成長分野に投資を集中しています。[2]
主な事業分野は以下の通りです。
★チーズ・乳製品:フィラデルフィア(クリームチーズ)、クラフト・シングル、ヴェルヴィータ等のクリーム/プロセスチーズを中心に展開します。ナチュラルチーズ事業の多くは2021年にGroupe Lactalis傘下へ売却済みであり、現在のチーズ事業は主にクリームチーズ、プロセスチーズ、スライスチーズ、レシピ用チーズなどが中心です。[3]
★調味料・ソース類:ハインツ(ケチャップ、ソース類)、クラシコ(パスタソース)、グレイ・プーポン、リー&ペリンズ(ウスターソース)など、日常使いの定番ブランドを多数保有しています。2025年時点の8プラットフォームでは、これらは主にTaste Elevationに含まれます。[2]
★加工食品・スナック/ミール:クラフト・マカロニ&チーズ、ランチャブルズ、オスカー・マイヤー(肉加工品)、オレアイダ(冷凍ポテト)、デザート、飲料粉末、コーヒーなどを展開しています。近年はNotCoとの合弁会社The Kraft Heinz Not Companyを通じ、植物由来のマヨ、チーズ風商品、ホットドッグ風商品なども展開しています。[2][4]
社史をさかのぼると、KHCは2015年にクラフトとハインツが合併して誕生しました。合併はバークシャー・ハサウェイと3Gキャピタルが支援した大型案件であり、当初は規模のメリットとコスト効率が重視されました。
2019年にはブランド価値の見直しに伴う約154億ドルの減損と減配を発表しました。2021年にはSEC(米証券取引委員会)との和解で6,200万ドルの民事制裁金を計上し、調達会計・内部統制を強化しました。[5][6]
2020年以降は構造改革とブランド再建を進め、2024年には8プラットフォーム体制へ移行しました。2025年5月には株主価値最大化に向けた戦略的選択肢の検討を公表し、2025年9月には「Global Taste Elevation Co.」と「North American Grocery Co.」の2社へ分離する計画を発表しました。しかし、2026年1月にSteve Cahillane氏がCEOに就任した後、2026年2月に同社は分離作業を一時停止し、2026年は事業再建への投資を優先すると発表しました。[7][8]
2025年通期には、市場環境やブランドの将来見通しを反映し、93.06億ドルの非現金減損を計上しました。この影響により、2025年通期の営業損益は46.69億ドルの赤字、純損益は58.48億ドルの赤字となりました。一方、調整後営業利益は47.45億ドル、フリーキャッシュフローは37億ドルで、会計上の赤字とキャッシュ創出力には差があります。[1][9]
地理的には北米が中核で、業績管理はNorth America/International Developed Markets/Emerging Marketsの3区分で開示されています。2025年通期の売上高は、North Americaが185.86億ドル、International Developed Marketsが35.39億ドル、Emerging Marketsが28.17億ドルでした。North Americaは売上の大部分を占めますが、2025年は冷肉、コーヒー、一部調味料、ベーコン、冷凍スナック、デザートなどの数量・ミックス悪化が重荷となりました。[10]
最近の業績トピック
- 2025年通期:売上高は249.42億ドル(前年比-3.5%)、オーガニック売上は3.4%減でした。価格は0.7ポイント上昇しましたが、数量・ミックスが4.1ポイント悪化し、売上を押し下げました。調整後営業利益は47.45億ドル(前年比-11.5%)、調整後EPSは2.60ドル(前年比-15.0%)でした。[1]
- 2026年Q1:売上高は60.47億ドル(前年同期比+0.8%)、オーガニック売上は0.4%減でした。営業利益は11.45億ドル(前年同期比-4.3%)、純利益は7.99億ドル(同+11.9%)、調整後営業利益は10.58億ドル(同-11.8%)、調整後EPSは0.58ドル(同-6.5%)でした。[11]
- 2026年通期見通し:会社側は2026年について、オーガニック売上成長率を1.5%減〜3.5%減、恒常為替ベースの調整後営業利益を14%減〜18%減、調整後EPSを1.98〜2.10ドルと見込んでいます。2026年はマーケティング、営業、研究開発、製品優位性、価格施策に約6億ドルを追加投資し、米国事業とTaste Elevationの再建を優先する方針です。[8][11]
リスクと留意点
- 数量・ミックス悪化:2025年通期は数量・ミックスが4.1ポイント悪化し、価格上昇を上回りました。冷肉、コーヒー、冷凍ミール・スナック、一部調味料、ベーコン、デザートなどで弱さが見られます。[1]
- ブランド価値の再評価:2025年通期には93.06億ドルの非現金減損を計上しました。減損は現金流出を伴いませんが、ブランド・のれんの将来収益力に対する市場と会社側の見方が下がったことを意味します。[9]
- 分離計画の不確実性:2025年9月に2社分離計画を発表したものの、2026年2月に分離作業を一時停止しました。今後再開される可能性は残りますが、現時点では事業再建投資と既存組織での改善が優先されています。[7][8]
- 小売依存:2025年通期ではWalmartが売上の約21%を占め、北米上位5顧客がNorth America売上の約46%を占めました。大口小売との価格交渉、棚割り、プライベートブランド競争が業績に影響しやすい構造です。[2]
- 消費者の価格感応度:2026年Q1時点でも会社側は低い消費者センチメントとインフレ圧力を警戒しています。値上げで原材料費を補う一方、数量減を招きやすい点が課題です。[11]
ワンポイント用語解説
- プラットフォーム:似たニーズのカテゴリを束ねた社内の管理単位です。KHCではTaste Elevation、Easy Ready Meals、Substantial Snackingなど8つに分け、投資の優先度や開発テーマを明確化しています。
- 減損:将来の稼ぐ力が想定より下がったと判断した場合、のれん・商標など無形資産の帳簿価額を切り下げる会計処理です。現金は出ませんが、過去の買収やブランド価値への期待が下がったことを示します。
- プラントベース:植物由来の原料で肉や乳の代替を目指す食品です。KHCはNotCoとのJVでマヨ、チーズ風商品、ホットドッグ風などを展開しています。
- オーガニック売上:為替、買収・売却などの影響を除いた売上成長率です。2025年通期は3.4%減、2026年Q1は0.4%減でした。
【注】(出典リンク)
- 2025年通期決算:売上249.42億ドル、オーガニック売上3.4%減、数量・ミックス4.1ポイント悪化、調整後営業利益47.45億ドル、調整後EPS2.60ドル → KHC 2025年Q4・通期決算 / SEC Form 10-K(2025通期)(確認日:2026-05-10) ↩
- 販売網、Walmart依存、8つの消費者起点プラットフォーム、各プラットフォームの定義 → SEC Form 10-K(2025通期)(確認日:2026-05-10) ↩
- ナチュラルチーズ事業の売却完了(2021年11月) → KHC売却完了リリース(確認日:2026-05-10) ↩
- NotCoとのJV・プラントベース商品の拡張 → FoodDive / Bloomberg(確認日:2026-05-10) ↩
- 2019年の約154億ドル減損・減配 → Axios(確認日:2026-05-10) ↩
- SEC和解、6,200万ドルの民事制裁金、内部統制関連 → SECリリース / KHC声明(確認日:2026-05-10) ↩
- 戦略的選択肢の検討、2025年9月の2社分離計画、Global Taste Elevation Co./North American Grocery Co.、2社の想定売上・EBITDA、分離条件 → KHC戦略的選択肢検討リリース / KHC分離計画リリース(確認日:2026-05-10) ↩
- Steve Cahillane CEO就任、2026年2月の分離作業一時停止、6億ドルの追加投資、2026年見通し → KHC CEO人事リリース / KHC 2025年Q4・通期決算(確認日:2026-05-10) ↩
- 2025年通期の93.06億ドル非現金減損、営業損失46.69億ドル、純損失58.48億ドル、FCF37億ドル → KHC 2025年Q4・通期決算 / SEC Form 10-K(2025通期)(確認日:2026-05-10) ↩
- 2025年地域別売上、North America 185.86億ドル、International Developed Markets 35.39億ドル、Emerging Markets 28.17億ドル、セグメント調整後営業利益 → SEC Form 10-K(2025通期)(確認日:2026-05-10) ↩
- 2026年Q1決算:売上60.47億ドル、オーガニック売上0.4%減、営業利益11.45億ドル、純利益7.99億ドル、調整後営業利益10.58億ドル、調整後EPS0.58ドル、2026年見通し維持 → KHC 2026年Q1決算 / SEC Form 10-Q(2026年Q1)(確認日:2026-05-10) ↩
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】

