LMTとRTXを比較:ロッキードマーチンとレイセオンテクノロジーズの違いとは

資本財,軍事株,銘柄比較

ロッキード・マーティン(Lockheed Martin Corporation)とRTX(RTX Corporation)は、米国を代表する防衛・航空宇宙企業です。その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。両社の最新決算、受注残、2026年通期見通しを比較し、今後の見通しや将来性を探ります。

※本記事は2026年8月6日時点で確認できる公開情報に基づいて作成しており、特定銘柄の購入を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。

株価:過去~現在

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムではありませんが、株価は最大20分程度のディレイでフォローしています。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載しています。

決算(予想:結果)

市場におけるEPSと売上高の予想値、および実際の決算結果の変動を更新しています。

決算の予想:結果のグラフについては、以下の関連記事を参照してください。

ロッキード・マーティン(LMT)今後の見通し

RTX(RTX)今後の見通し

業績と配当の詳細比較(2026年8月版)

株価や決算と並んで重要なのが、企業のファンダメンタルズを示す業績と、株主還元の姿勢を示す配当です。ここではLMTとRTXの2社について、過去5年間のデータに加え、2026年Q2の最新決算を反映して比較・分析します。

比較サマリー

項目 ロッキード・マーティン(LMT) RTX
事業概要 世界最大級の防衛企業。F-35、ミサイル防衛、宇宙、回転翼機、艦載・レーダー関連など、政府向け大型防衛案件の比重が高い。 防衛事業のRaytheonと、民間・軍用航空を担うCollins Aerospace、Pratt & Whitneyを併せ持つ複合型の航空宇宙・防衛企業。
直近決算 2026年Q2:売上$20.063B、希薄化後EPS$7.94。売上は前年同期比11%増加し、2026年通期見通しを引き上げ。[1] 2026年Q2:売上$24.708B、GAAP EPS$1.57、調整後EPS$1.89。2026年通期の調整後売上、調整後EPS、FCF見通しを引き上げ。[2]
配当姿勢 増配を継続。直近に公表された四半期配当は$3.45。2026年9月25日に支払予定。[3] 長期にわたり配当を継続。2026年の四半期配当は$0.73で、直近分は2026年9月3日に支払予定。[4]
配当(直近年換算) 四半期$3.45、年換算$13.80[3] 四半期$0.73、年換算$2.92[4]
配当利回り(概算) 2.4%
年$13.80 ÷ 株価$577.60
2026年8月5日米国市場終値ベース
[5]
1.3%
年$2.92 ÷ 株価$222.31
2026年8月5日米国市場終値ベース
[5]
バックログ(受注残) $230B(2026年Q2末)。THAAD迎撃ミサイルの複数年契約を含み、過去最高を更新。[1] $289B(2026年Q2末)。商業航空$170B、防衛$119B。[2]

成長性の詳細分析

売上高の比較(2020〜2025年)

2025年通期では、LMTの売上高は$75.0B、RTXは$88.6Bでした。RTXは防衛に加えて民間航空機向けの機器、エンジン、整備・補修需要を取り込むため、売上規模ではLMTを上回ります。一方、LMTは防衛大型案件の比重が高く、F-35、ミサイル防衛、宇宙などの長期契約が収益の柱です。[6][7]

LMT 売上高 RTX 売上高
2020 $65.4B $56.6B
2021 $67.0B $64.4B
2022 $66.0B $67.1B
2023 $67.6B $74.3B
2024 $71.0B $80.7B
2025 $75.0B[6] $88.6B[7]
年平均成長率
(CAGR、2020→2025)
約2.8% 約9.4%

※B=10億ドル。2025年は各社公表値。2020〜2024年は各社の年次開示をもとに、10億ドル単位に丸めて整理しています。RTXの期間比較には、旧Raytheon Technologiesの事業再編や統合後の構成変化が含まれるため、単純な既存事業の成長率とは一致しません。

2026年Q2の実績比較

2026年Q2は、LMTとRTXの双方が二桁の増収を記録し、フリーキャッシュフローも大きく改善しました。LMTは売上$20.063B、純利益$1.836B、希薄化後EPS$7.94、営業キャッシュフロー$3.235B、フリーキャッシュフロー$2.917Bでした。RTXは売上$24.708B、普通株主帰属純利益$2.139B、GAAP EPS$1.57、調整後EPS$1.89、営業キャッシュフロー$3.547B、フリーキャッシュフロー$2.878Bでした。[1][2]

指標(2026年Q2) LMT RTX
売上 $20.063B[1] $24.708B[2]
純利益 $1.836B[1] $2.139B[2]
EPS 希薄化後EPS $7.94[1] GAAP EPS $1.57
調整後EPS $1.89[2]
営業キャッシュフロー $3.235B[1] $3.547B[2]
フリーキャッシュフロー $2.917B[1] $2.878B[2]
バックログ $230B[1] $289B[2]

EPS(1株利益)の比較(参考)

LMTは受注型ビジネスの比重が高く、大型案件の進捗、原価見積り、固定価格契約の採算変更によって利益が振れやすい企業です。2025年Q2には複数の航空・回転翼機プログラムで合計約$1.6Bの損失を計上していたため、その反動もあり、2026年Q2の希薄化後EPSは前年同期の$1.46から$7.94へ大幅に増加しました。したがって、2026年Q2の伸び率は通常の事業成長だけでなく、前年の一時的な損失の反動を含む点に注意が必要です。[1]

RTXは調整後指標で見ると、航空・防衛の複合ポートフォリオを背景に利益水準を引き上げています。2026年Q2はCollins Aerospace、Pratt & Whitney、Raytheonの3部門すべてで増収となり、調整後EPSは前年同期比21%増でした。商業航空の補修・部品需要、軍用エンジン、防空・ミサイル関連の販売増が業績を支えています。[2]

2026年の業績見通し

最新ガイダンス(2026年通期・2026年7月23日時点):
LMT:2026年Q2決算で通期見通しを引き上げ。売上約$79.75B〜$81.75B、希薄化後EPS約$29.95〜$30.65、営業キャッシュフロー約$9.2B〜$9.4B、フリーキャッシュフロー約$7.0B〜$7.2Bを見込みます。[1]
RTX:2026年Q2決算で通期見通しを引き上げ。調整後売上$95.0B〜$96.0B、調整後EPS$7.10〜$7.25、フリーキャッシュフロー$8.50B〜$8.75Bを見込みます。[2]

結論:今後の見通しと注意すべきリスク

分析サマリー

  • LMT:2026年Q2末の受注残は$230Bに増加し、過去最高を更新しました。THAAD迎撃ミサイルの複数年契約を含む大型受注が押し上げ要因です。2026年Q2は全事業部門で増収となり、会社は通期の売上、EPS、FCF見通しを引き上げました。一方、固定価格契約や大型プログラムの採算悪化が利益に大きく影響する構造は変わっていません。[1]
  • RTX:2026年Q2末の受注残は$289Bで、商業航空$170B、防衛$119Bの二本柱です。2026年Q2は売上、利益、FCFが改善し、会社は通期の調整後売上、調整後EPS、FCF見通しを引き上げました。商業航空のアフターマーケット、防空システム、ミサイル、軍用エンジンの需要が成長を支えています。[2]

注意すべきリスク要因

  • LMTのリスク:固定価格契約、機密案件、航空機・回転翼機プログラムなどでの原価見積り悪化が利益に直撃しやすい点です。2026年Q2は好調でしたが、前年同期には複数プログラムで大型損失を計上しており、四半期ごとの利益率には振れが生じます。また、米国政府の予算、調達方針、契約条件、輸出承認の変更も受注やキャッシュフローに影響します。[1][8]
  • RTXのリスク:Pratt & WhitneyのGTFエンジンに関する点検・改修費用、エンジンの稼働停止期間、航空機メーカーの生産ペース、素材・人件費、供給網が主な確認事項です。2026年Q2はPratt & Whitneyを含む全3部門で利益が改善しましたが、GTF関連対応は今後もキャッシュフローや費用の変動要因になり得ます。[2][9]

総合的な見通し

LMTは「防衛大型案件、過去最高の受注残、相対的に高い配当利回り」を特徴とする純防衛色の強い銘柄です。2026年Q2には売上とキャッシュフローが改善し、通期見通しも引き上げられました。ただし、大型固定価格契約の採算悪化が発生すると、利益が大きく下振れする可能性があります。

RTXは「防衛+商業航空」の二本柱を持ち、2026年Q2時点では受注残、売上成長、利益率、FCFのいずれも改善しています。民間航空のアフターマーケット需要と、防空・ミサイル需要を同時に取り込める点が強みです。一方、株価上昇により配当利回りはLMTより低く、GTFエンジン関連の費用負担も継続的に確認する必要があります。

2026年Q2時点では、両社とも通期見通しを引き上げており、業績モメンタムは強い状態です。配当利回りと純防衛企業としての位置づけを重視する場合はLMT、防衛と民間航空の分散成長、売上・受注残の規模を重視する場合はRTXが比較対象になりやすいでしょう。ただし、株価はすでに好業績や防衛需要の拡大を織り込んでいる可能性があるため、受注残だけでなく、利益率、契約損失、フリーキャッシュフロー、株価評価の推移を継続的に確認することが重要です。


最終更新日:2026年8月6日

ミニ解説:「バックログ」とは受注残高のことです。契約済みで、今後売上として計上される可能性のある金額を示す重要指標で、防衛・航空宇宙産業では中長期の需要を測る材料になります。ただし、バックログが大きくても、すべてが直ちに売上や利益になるわけではありません。契約の変更・中止、納入遅延、固定価格契約のコスト超過が発生すると、売上計上時期、利益率、キャッシュフローが悪化することがあります。2026年Q2末時点では、LMTが$230B、RTXが$289Bです。[1][2]

【注】(出典リンク)

  1. LMT 2026年Q2決算・バックログ・2026年見通し(売上$20.063B、純利益$1.836B、EPS$7.94、FCF $2.917B、バックログ$230B、2026年売上約$79.75B〜$81.75B、EPS約$29.95〜$30.65、FCF約$7.0B〜$7.2B) → Lockheed Martin 2026年Q2決算リリース(一次情報)決算リリースPDF(一次情報) / 確認日:2026-08-06
  2. RTX 2026年Q2決算・バックログ・2026年見通し(売上$24.708B、純利益$2.139B、GAAP EPS$1.57、調整後EPS$1.89、FCF $2.878B、バックログ$289B、2026年調整後売上$95.0B〜$96.0B、調整後EPS$7.10〜$7.25、FCF $8.50B〜$8.75B) → RTX 2026年Q2決算リリース(一次情報)RTX Events & Presentations(一次情報) / 確認日:2026-08-06
  3. LMT 配当(四半期$3.45、2026年9月1日権利確定、2026年9月25日支払予定) → Lockheed Martin Dividend History(一次情報) / 確認日:2026-08-06
  4. RTX 配当(四半期$0.73、2026年8月14日権利確定、2026年9月3日支払予定) → RTX Dividends & Splits(一次情報) / 確認日:2026-08-06
  5. 株価・配当利回り試算の前提(LMT $577.60、RTX $222.31、2026年8月5日米国市場終値ベース) → Yahoo Finance:LMT(二次情報)Yahoo Finance:RTX(二次情報) / 確認日:2026-08-06
  6. LMT 2025通期実績・2020〜2025年の売上推移(2025年売上$75.0B、2025年末バックログ$193.6B) → Lockheed Martin 2025年Q4・通期決算リリース(一次情報)Lockheed Martin 2025 Form 10-K(SEC・一次情報) / 確認日:2026-08-06
  7. RTX 2025通期実績・2020〜2025年の売上推移(2025年売上$88.6B、2025年末バックログ$268B) → RTX 2025年Q4・通期決算リリース(一次情報)RTX 2025 Form 10-K(SEC・一次情報) / 確認日:2026-08-06
  8. LMTの固定価格契約、政府調達、プログラム損失などのリスク → Lockheed Martin 2026年Q2決算リリース(一次情報)Lockheed Martin 2025 Form 10-K・リスク要因(SEC・一次情報) / 確認日:2026-08-06
  9. RTXのGTFエンジン、供給網、商業航空・防衛事業のリスク → RTX 2026年Q2決算リリース(一次情報)RTX 2025 Form 10-K・リスク要因(SEC・一次情報) / 確認日:2026-08-06

Posted by 南 一矢