TXN(テキサスインスツルメンツ)今後の見通し

半導体,情報技術,株価•決算

テキサスインスツルメンツ(Texas Instruments Incorporated)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

直近決算

TXNは4月22日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想1.36$→結果1.68$
・売上高:予想45.2億$→結果48.3億$(前年同期比+19%)
★ガイダンス
《四半期》
・EPS:予想1.56$→結果1.77~2.05$
・売上高:予想48.7億$→結果50~54億$
★出典:IRページ
IRプレスリリース
★予想値は以下のページを参照しました。
streetinsider

企業概要

テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments Incorporated、以下TI)は、米国テキサス州ダラスに本社を置く、世界有数の半導体設計・製造会社です(Nasdaq: TXN)。同社はアナログ半導体と組込みプロセッサを中核に、産業機器、自動車、データセンター、個人向け電子機器、通信機器など幅広い市場へ製品を供給しています。[1]

TIは約8万品種の製品を10万社超の顧客に提供し、世界30か国超で事業を展開しています。2025年通期の売上高は176.79億ドルで、2024年通期の156.41億ドルから13.0%増となりました。需要回復は主にアナログ事業が牽引し、2026年Q1も売上高48.25億ドル(前年同期比+19%)と増収が続いています。[2][3]

事業の柱:アナログ半導体と組込みプロセッサ

TIの報告セグメントは「アナログ(Analog)」と「組込みプロセッサ(Embedded Processing)」の2区分です。2025年度は、アナログが売上の約79%組込みが約15%、その他(DLP、電卓、ASIC等)が約6%でした。2025年のセグメント売上は、アナログが140.05億ドル、組込みプロセッサが26.96億ドル、その他が9.79億ドルです。[4]

1. アナログ半導体事業

TIの収益の柱です。アナログ半導体は、現実世界の連続信号(音・温度・圧力・光など)を測定・増幅・変換したり、電力を変換・分配・蓄積・絶縁・測定したりする役割を担います。TIのアナログ製品は、電源管理(Power)とシグナルチェーン(Signal Chain)を広くカバーし、産業、自動車、データセンター、個人向け電子機器、通信機器などに使われます。2025年のアナログ売上は140.05億ドルで、同社売上の約79%を占めました。[4]

2. 組込みプロセッサ事業

組込みプロセッサは、機器の「頭脳」に当たるマイコン、プロセッサ、無線接続、レーダー関連製品などです。性能・消費電力・コストの組み合わせを用途に応じて最適化し、産業機器や自動車を中心に使われます。顧客はTI製品上で動くソフトウェア資産を自社で開発することが多いため、一度採用されると次世代製品でも再利用されやすく、長期の顧客関係につながりやすい点が特徴です。2025年の組込みプロセッサ売上は26.96億ドルで、同社売上の約15%でした。[4]

地域別売上と製造戦略(要点)

市場別では、2025年の売上構成は産業33%自動車33%個人向け電子機器21%データセンター9%通信機器3%、電卓が約1%でした。2024年時点の「自動車35%・産業34%・個人向け20%」から、市場区分が一部見直され、2025年はデータセンターが独立した市場として開示されています。[5]

販売面では直販を強化しており、2025年の売上の80%超が直販(TI.comを含む)でした。TIは顧客の設計初期から関与し、受注、在庫、物流、EC機能を自社で強化することで、顧客との接点を深めています。[6]

製造は内製志向(300mm中心)を継続しています。TIは北米、アジア、日本、欧州でウエハー製造、組立、テストの拠点を運営し、2025年時点でウエハー製造の過半を内製しています。300mmウエハーは200mmウエハーに比べ、未パッケージのチップ1個あたり製造コストを約40%低くできると同社は説明しています。TIは2030年までに、ウエハーの95%超を内製し、そのうち80%超を300mmで生産する目標を掲げています。[7]

国内製造能力の強化(投資計画)

TIは2025年6月、米国で600億ドル超を投資し、テキサス州とユタ州の3つの製造メガサイトにまたがる7つの300mm半導体工場を建設・拡張する計画を発表しました。対象は、テキサス州シャーマンのSM1〜SM4、テキサス州リチャードソンのRFAB1/RFAB2、ユタ州レイハイのLFAB/LFAB2です。このうちシャーマンでは、4工場に最大400億ドルを投じる計画で、SM1とSM2はすでに建設が進んでいます。[8]

この計画に対し、米商務省はCHIPS法に基づき、テキサス州とユタ州の3つの300mm工場を支援するため、TIに最大16億ドルの直接補助を正式に決定しました。TIはこれに加え、米財務省の投資税額控除により、適格な米国製造投資に対して60億〜80億ドル規模の税制上の恩恵を見込んでいます。[9]

最近の製造能力トピック

  • リチャードソン(RFAB1/RFAB2):RFAB2は2022年に初期生産を開始しました。RFAB1とRFAB2は300mmアナログ製品の中核拠点で、TIの内製・300mm戦略を支える既存メガサイトです。2025年6月に公表された600億ドル超の米国投資計画にも含まれています。[8]
  • レイハイ(LFAB/LFAB2):TIは2021年にMicronからユタ州レイハイの300mm工場を取得し、2022年に生産を開始しました。2025年の投資計画では、既存のLFABに加え、新工場LFAB2も対象に含まれます。[8][10]
  • シャーマン(SM1〜SM4):シャーマンはTI最大の製造メガサイトです。SM1とSM2は建設が進み、将来的にSM3とSM4まで拡張可能です。2025年6月時点の公表では、シャーマン4工場への投資は最大400億ドルとされています。[8]
  • 旧世代工場から300mmへの移行:TIは300mm拡張を進める一方、古い150mm工場の閉鎖・移行も進めています。2025年10月には、北テキサスの旧世代工場閉鎖に伴う人員削減が報じられました。これは短期的には雇用・再配置の課題ですが、中長期では300mm中心のコスト構造へ移る動きと位置づけられます。[11]

経営・財務のスナップショット(2025年〜2026年Q1)

2025年は、半導体需要の回復を背景に売上・利益が改善しました。2025年通期の売上高は176.79億ドル(前年比+13.0%)、営業利益は66.78億ドル、純利益は54.53億ドルでした。営業キャッシュフローは71.52億ドル、フリーキャッシュフローは29.42億ドルで、研究開発費と販売・一般管理費に39.40億ドル、設備投資に45.50億ドルを投じ、株主還元は64.80億ドルでした。[2]

2026年Q1は、売上高が48.25億ドル(前年同期比+19%)、営業利益が18.08億ドル(同+37%)、純利益が15.45億ドル(同+31%)、EPSが1.68ドル(同+31%)でした。会社側は、2026年Q1の増収について、産業向けとデータセンター向けが牽引したと説明しています。また、2026年Q2の会社見通しは、売上高50.0億〜54.0億ドル、EPS1.77〜2.05ドルです。[3]

リスクと留意点

サイクル変動:アナログ半導体と組込みプロセッサは幅広い機器に使われる一方、在庫調整や最終需要の変動を受けます。2026年Q1は回復が見られましたが、産業・自動車・データセンター・個人向け電子機器の需要が想定と異なるリスクがあります。[3]

中国・輸出規制・地政学リスク:2025年のTI売上のうち、顧客本社所在地ベースでは中国が約20%、出荷先ベースでは中国向けが約50%でした。米中関係、輸出規制、関税、現地競争の変化は、TIの売上・サプライチェーン・顧客行動に影響します。[12]

大型内製投資の稼働率リスク:TIは300mm内製化で長期的な原価優位を狙っていますが、600億ドル超の米国投資は大規模です。需要回復が遅れたり、稼働率が十分に上がらなかったりすると、減価償却費や固定費が利益率を圧迫する可能性があります。[7][8]

競争リスク:アナログと組込みプロセッサの市場は細分化され、多数の大手・中小メーカーが競争しています。TIの強みは製品数、顧客数、直販、300mm内製ですが、価格競争や顧客の設計変更は常にリスクです。[4][6]


ミニ解説
アナログ半導体=電力と現実信号の取り扱い役:電源管理やセンサー信号処理を担い、工場、自動車、家電、データセンターなど幅広い機器に入る“土台のチップ”です。
300mm内製の意味:大口径ウエハーは同じ工程で多くのチップを作れるため、量産時の単位コストを下げやすくなります。TIは300mm生産により、200mm比で未パッケージチップ1個あたり約40%のコスト優位があると説明しています。
直販の狙い:設計初期から顧客と密に関わり、顧客の製品ごとに採用点数を増やす戦略です。TI.comを含む直販比率は2025年に80%超となりました。
投資判断の焦点:2026年時点では、需要回復が続くか、600億ドル超の米国投資が稼働率と利益率にどう反映されるか、中国向け出荷依存をどう管理するかが重要です。

【注】(出典リンク)

  1. 本社所在地・会社概要・Nasdaq: TXN → TI公式「Contact us」およびTI公式会社概要。一次一次 / 確認日:2026-05-10
  2. 2025年通期売上、営業利益、純利益、営業CF、FCF、設備投資、株主還元 → TI 2025年Form 10-K。一次一次(IR一覧) / 確認日:2026-05-10
  3. 2026年Q1決算、売上48.25億ドル、純利益15.45億ドル、EPS1.68ドル、Q2見通し → TI 2026年Q1決算発表。一次一次 / 確認日:2026-05-10
  4. セグメント構成、アナログ売上140.05億ドル、組込み売上26.96億ドル、その他売上9.79億ドル、アナログ・組込みの説明 → TI 2025年Form 10-K。一次 / 確認日:2026-05-10
  5. 2025年の市場別売上構成(産業33%、自動車33%、個人向け21%、データセンター9%、通信機器3%、電卓約1%) → TI 2025年Form 10-K。一次 / 確認日:2026-05-10
  6. 10万社超の顧客、直販比率80%超、TI.comを含む直販戦略 → TI 2025年Form 10-K。一次 / 確認日:2026-05-10
  7. 製造内製、300mmの約40%コスト優位、2030年までの95%超内製・80%超300mm目標 → TI 2025年Form 10-KおよびCEO年次コメント。一次一次(IR一覧) / 確認日:2026-05-10
  8. 米国600億ドル超投資、7つの300mm工場、シャーマン最大400億ドル、RFAB/LFAB/SM計画 → TI公式発表・プレスキット。一次一次 / 確認日:2026-05-10
  9. CHIPS法支援、最大16億ドルの直接補助、60億〜80億ドルの投資税額控除見込み → TI公式発表・米商務省発表。一次一次 / 確認日:2026-05-10
  10. レイハイ(LFAB)取得と生産開始 → TI公式発表およびTI製造投資資料。一次一次 / 確認日:2026-05-10
  11. 旧150mm工場閉鎖・人員削減報道 → Tom’s Hardware報道。二次 / 確認日:2026-05-10
  12. 中国関連売上、顧客本社所在地ベース約20%、出荷先ベース約50%、地政学・規制リスク → TI 2025年Form 10-K。一次 / 確認日:2026-05-10

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

EPSと売上:予想:結果

【出典】

Posted by 南 一矢