ASML:今後の見通し

ADR銘柄,半導体,情報技術

ASMLホールディング(ASML Holding N.V.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については関連記事(TSM(タイワンセミコンダクター)とASMLを比較)を参照

直近決算

★業績
《四半期》
・EPS:予想6.73€→結果6.85€
・売上高:予想90.6億€→結果92.6億€(前年同期比+28%)
★ガイダンス
《四半期》
・売上高:予想75.49億€→結果75~80億€
《通年》
・売上高:予想334億€→結果300~350億€
(株価チャートは1/29 20:38)
★出典
IRページ
streetinsider

企業概要

ASMLホールディング(ASML Holding N.V.)は、オランダに本社を置く半導体製造装置メーカーです。

現代のPC、スマホ、自動車などに欠かせない半導体の製造プロセス(特に微細な回路パターンをシリコンウェハーに転写する「リソグラフィー」技術)において、世界中の主要メーカーに装置を供給し、業界の根幹を支えています。高い市場シェアを誇り、リソグラフィー装置分野のリーディングカンパニーとしての地位を確立しています。

ASMLはEuronext Amsterdamに上場しているほか、米国ではADR(American Depositary Receipt)で取引され、国際的な資金調達と投資家基盤を保有しています。

1984年に設立されたASMLホールディングは、欧州内での技術開発を目的としてスタートしました。設立以来、世界的な半導体需要の高まりに伴い急速に成長し、EUVリソグラフィー装置の開発により、従来の限界を打破する革新を実現しました。主な事業は、半導体製造に不可欠なリソグラフィー装置と計測・検査システムの設計、製造、販売です。

(EUVリソグラフィー装置:13.5ナノメートルという非常に短い波長の光(EUV光)を使用することで、これまで不可能であった極微細回路の転写を可能にし、最新の高性能プロセッサやメモリの製造に不可欠な技術)

ASMLのフォトリソグラフィシステムは、フォトマスクから半導体ウェハーへ回路パターンを露光する際、光源を用いて精密なパターンを転写する工程に基づいています。この分野において、TSMC、Samsung、Intelなど、世界を代表する半導体メーカーに採用され、業界標準として評価されています。

ASMLは巨額の研究開発投資を行い、世界中から1万人以上の技術者や研究者を集め、最先端の物理学、光学、機械工学、ソフトウェア技術を融合。各国の有力サプライヤーや研究機関と協力しながら、次世代技術の開発にも取り組んでいます。

リソグラフィー装置の開発は高度な技術と莫大な資金を要し、新規参入が難しいため、ASMLは長期的に安定した収益基盤を築いています。

チップメーカーは、シリコン上のトランジスタ数を増加させるため、7ナノメートル以下の先端プロセス技術を採用しています。これに伴い、ASMLホールディングの提供する高精度なフォトリソグラフィ技術の需要は今後も伸び続けることが期待されています。

しかし、米中間の技術覇権争いや各国の輸出規制に加え、地政学的なリスクや経済変動が先端技術の取引に影響を及ぼす可能性がリスク要因になっています。そのため、ASMLホールディングは各国の規制を厳守し、リスク管理体制を強化しています。

【出典】

Posted by 南 一矢