BA(ボーイング)今後の見通し

ダウ30銘柄,株価•決算,資本財,軍事株

ボーイング(Boeing Company)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については関連記事(BAとRTXを比較:ボーイングとレイセオンテクノロジーズ)を参照

直近決算

7月28日(米国時間)にBA(ボーイング)は決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想-1.4$→結果-1.24$
・売上高:予想214.5億$→結果227.5億$(前年同期比+35%)
★出典:IRページ
s2.q4cdn.com/661678649/file…
★予想値は以下のページを参照しました。
streetinsider.com/ec_earnings.ph…
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreetinsiderを参照しました

企業概要

ボーイングは世界最大級の航空・宇宙メーカーで、民間航空機と防衛・宇宙分野の製品・サービスを提供しています。現在の正式な事業区分は①商用航空機(BCA)②防衛・宇宙・セキュリティ(BDS)③グローバルサービス(BGS)の3部門です(本社はバージニア州アーリントン)。[1][2]

1916年の設立後、アメリカを代表する航空宇宙企業として発展し、「707」「747」などの大型機で市場を牽引。近年は「787ドリームライナー」が主力の一角です。なお、747の生産は2023年1月で終了し、最終機はAtlas Airへ引き渡されました。[3]

1997年のマクドネル・ダグラスとの合併で規模と技術基盤が拡大し、民間機市場では欧州エアバスと二大勢力を形成しています。[1]

その事業は大きく以下の3つの主要セグメントに分類されています(※「技術開発とイノベーション」は全社横断機能であり、正式セグメントではありません)。[1]

商用航空機部門(BCA):世界の航空会社向けに旅客機を設計・製造・販売し、アフターサービスを提供(代表機種は737、777、787等)。
最近のトピック:2024年のMAX 9ドアプラグ脱落事案を受け、FAAは月産38機の上限を維持中。NTSBの最終報告は、製造工程でのボルト未装着など製造管理・教育・監督の不備を原因と認定しました。[6][7]
また737 MAX 7/10の認証は2026年以降の見通しが有力で、航空各社の受領計画にも影響しています。[10][11][12]
777Xは2026年の初号機引き渡し目標を掲げていますが、直近では認証の遅れが示唆されています(26〜27年のレンジ)。[13][14]

防衛・宇宙・セキュリティ(BDS):戦闘機、空中給油機、訓練機、無人機、衛星、宇宙関連等を手がけます(例:F-15EX、KC-46A、T-7A、MQ-25、スターライナー)。
固定価格開発契約での損失が課題でしたが、2025年前半は追加損失なしと報じられ、採算改善の兆しが見えています。[15][16]

グローバルサービス(BGS):メンテナンス、修理・オーバーホール(MRO)、部品・供給網、改修・アップグレード、データ解析など、製品ライフサイクル全体を支えます。
同部門は2017年に発足し、KLX買収(2018年)などでサプライチェーン機能を強化しました。[4][5]

〔近年の動き〕

グローバルサービスの統合:2017年にBGSを立ち上げ、サービス機能を横断統合。以降、KLX買収で部品流通・供給網を拡充。[4][5]

機材ポートフォリオの見直し:採算重視の流れの中で、747は2023年に生産終了。より効率的な小型〜中型・新世代機(787、737)や将来機材に経営資源を配分。[3]

737 MAXの安全・品質問題:2018〜19年の2件の事故を受け一斉運航停止、その後2020年に再認証。2024年1月のMAX 9不具合では、FAAが増産凍結(38機/月上限)を維持し、NTSB最終報告が工場プロセスの是正を勧告。[6][7]

本社移転:2022年に本社をシカゴからバージニア州アーリントンへ移転。政府・規制当局・防衛顧客への距離を縮めました。[2]

経営体制ケリー・オートバーグ氏が2024年8月に社長兼CEO就任。安全文化と品質の立て直し、認証案件の前倒し、777Xの工程管理が最重要テーマです。[10][17]

宇宙(スターライナー):2024年の有人試験で不具合が続き、カプセルは無人で帰還(2024年9月)。搭乗の2名は2025年3月18日SpaceXのCrew Dragonで地球帰還しました。プログラムの技術課題と改善プロセスが続きます。[8][9]


ミニ解説(読みどころ)
「38機/月」上限:安全監査が最優先。ラインを落ち着かせ、再発防止を積み上げる段階。
MAX 7/10の遅れ:小型(7)と大型(10)の認証は2026年以降がメインシナリオ。納入時期に注意。
777X:26年目標だが、認証の進捗次第で27年入りのリスク。発注側も受領計画を柔軟化。


【出典(注)】

  1. ボーイングの事業区分(BCA/BDS/BGS):2024年年次報告書(2025/2公表) p.59 ほか
  2. 本社移転(シカゴ→アーリントン):ロイターアーリントン郡公表
  3. 747生産終了・最終機:ボーイングPRロイター
  4. BGS発足(2017):IR資料 概説。
  5. KLX買収(2018):ボーイングPR
  6. FAAのMAX生産上限(38機/月)AVweb(2025/9)/背景報道 Simple Flying
  7. NTSB最終報告(MAX 9ドアプラグ):NTSBリリース/事案ページ NTSB
  8. Starliner無人帰還・Dragon帰還方針:NASAリリースABC Newsタイムライン
  9. 2025/3/18 Crew Dragonで帰還:NASA(Crew-9帰還)ロイター
  10. MAX 7/10の見通し(2026年へ):FlightGlobalThe Air Current
  11. 航空会社側の受領時期(MAX 10は27–28年の声):ロイター
  12. CEO発言・年内認証目標の報道と現実のずれ:ロイター(方針)と各社見通しの差。
  13. 777X 2026年納入目標と遅れ示唆:ロイターSimple Flying
  14. 顧客側見通し(26〜27年):ロイター(エミレーツ)
  15. BDSの損失一服(H1 2025):Breaking Defense
  16. Q1の黒字化報道など:Defense One
  17. CEO交代(ケリー・オートバーグ、2024年8月就任):Boeing公式略歴

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢