CSCO(シスコシステムズ)今後の見通し

ダウ30銘柄,情報技術,株価•決算

シスコシステムズ(Cisco Systems)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

直近決算

シスコシステムズは5月13日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想1.04$→結果1.06$
・売上高:予想155.4億$→結果158億$(前年同期比+12%)
★ガイダンス
《四半期》
・EPS:予想1.07$→結果1.16~1.18$
・売上高:予想158.2億$→結果167~169億$
《通年》
・EPS:予想4.16$→結果4.27~4.29$
・売上高:予想616億$→結果628~630億$
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。

企業概要

シスコ(Cisco Systems, Inc.)は、世界有数のネットワークソリューション企業です。

通信インフラの分野に強みを持ち、企業向けネットワーク機器、クラウド管理型ネットワーク、セキュリティ、オブザーバビリティ、コラボレーションツールなど、幅広い製品・サービスを展開しています。2025年度年次報告書では、製品・技術領域を「Networking」「Security」「Collaboration」「Observability」に分類しています。[1]

主な事業領域は以下の通りです。

★ネットワークインフラ:コア事業であるスイッチ、ルーター、無線LAN、サーバー関連製品を、企業、通信事業者、政府機関、大規模クラウド事業者などに提供しています。2025年度通期では、Networkingの売上高は283.04億ドルで、引き続き最大の製品カテゴリーです。2026年度第3四半期(2026年4月25日終了)には、Networking売上高が88.15億ドルとなり、前年同期比25%増と大きく伸びました。[2][4]

★セキュリティとクラウド:サイバー攻撃の増加やクラウド利用の拡大に対応するため、シスコはネットワークセキュリティ、ゼロトラスト、SASE、クラウドセキュリティ、ID管理などの製品群を展開しています。2024年3月にSplunkの買収を完了したことで、セキュリティ分析、ログ管理、オブザーバビリティの領域が大きく強化されました。2025年度通期のSecurity売上高は80.94億ドルでした。[3][2]

★コラボレーションツール:Web会議やビデオ会議の分野では「Webex」を中心に、会議、通話、コンタクトセンター、デバイスを組み合わせた製品群を提供しています。2025年度通期のCollaboration売上高は41.54億ドルで、前年比では1%増でした。[2]

★オブザーバビリティとデータ分析:Splunkの買収により、ログ分析、可観測性、セキュリティ分析、AI運用に関わるデータ基盤が強化されました。2025年度通期のObservability売上高は10.55億ドルで、前年比26%増でした。[2]

★IoTおよびAI技術:IoTやAI技術を活用したソリューションにも注力しています。特に2025年度以降は、AIデータセンター向けネットワーク、Cisco Silicon One、AI対応スイッチ、ネットワーク運用の自動化、セキュリティとネットワークの統合が重点領域になっています。2026年度第3四半期には、AIインフラ需要を背景に、ハイパースケーラー向けAIインフラ受注が2026年度累計で53億ドルに達しました。シスコは2026年度通期のAIインフラ受注見通しを従来の50億ドルから90億ドルへ、AIインフラ売上見通しを30億ドルから40億ドルへ引き上げています。[4]

社史をさかのぼると、シスコは1984年12月にスタンフォード大学出身のレン・ボサックとサンディ・ラーナーによって設立されました。異なるネットワーク上のコンピューター同士を接続する技術、特にマルチプロトコル・ルーターの発展が、同社の成長の出発点になりました。[5]

1990年代のインターネット普及期に急速に市場を拡大し、ルーターやスイッチ製品で高い存在感を確立しました。

現在では、企業ネットワークの基盤を提供する企業として、世界中のビジネスの通信インフラを支えています。一方で、単なるネットワーク機器メーカーにとどまらず、ソフトウェア、サブスクリプション、セキュリティ、データ分析、AIインフラへ軸足を広げている点が重要です。

市場シェアについては、従来の「ルーター市場で約60%、スイッチ市場で約70%」という表現は、現在の公開データから見ると高すぎる可能性があります。IDCの2025年第4四半期データでは、シスコの世界イーサネットスイッチ市場シェアは27.6%、ルーター市場シェアは30.6%とされています。ただし、市場の定義が「企業向け」「データセンター向け」「通信事業者向け」などで変わるため、単純な数字だけで比較するのではなく、対象市場を確認する必要があります。[6]

2025年度通期の売上高は566.54億ドルで、前年度比5%増でした。2025年度通期の製品売上高は416.08億ドル、サービス売上高は150.46億ドルでした。製品カテゴリー別では、Networkingが283.04億ドル、Securityが80.94億ドル、Collaborationが41.54億ドル、Observabilityが10.55億ドルでした。Splunkの通年寄与もあり、SecurityとObservabilityの比重が高まっています。[2]

2026年度第3四半期(2026年4月25日終了)には、売上高が158.41億ドルとなり、前年同期比12%増加しました。GAAPベースの純利益は33.73億ドル、GAAP EPSは0.85ドル、Non-GAAP EPSは1.06ドルでした。短期的には、AIインフラ、ネットワーク刷新、セキュリティ・データ分析の統合が成長テーマになっています。[4]

2026年度第3四半期時点で、シスコは2026年度通期の見通しとして、売上高628億〜630億ドル、GAAP EPS3.16〜3.21ドル、Non-GAAP EPS4.27〜4.29ドルを示しています。これは、2026年度第2四半期時点の見通しから上方修正されたものです。[4]

今後の戦略としては以下の3点を重視しています。

・従来のハードウェア事業を維持しつつ、ソフトウェア、SaaS、サブスクリプション、保守サービスによる継続収益モデルを拡大

・クラウド管理型ネットワーク、AIデータセンター向けネットワーク、セキュリティ統合型ネットワークを拡充し、成長市場での競争力を強化

・Splunk、Duo Security、Isovalentなどの買収を通じて、セキュリティ、ID管理、データ解析、オブザーバビリティの分野で影響力を拡大

ミニ解説:シスコを見るうえでは、「ネットワーク機器の老舗」という理解だけでは不十分です。2025年度以降は、AIデータセンター向けネットワーク、セキュリティ、Splunkを含むデータ分析・オブザーバビリティ、サブスクリプション収益の拡大が、投資判断上の重要な確認ポイントになります。2026年度第3四半期では、AIインフラ受注見通しの引き上げとNetworking売上の再加速が目立つ一方、Security売上は同四半期で前年同期比横ばい、2026年度9カ月累計では前年同期比2%減でした。したがって、Splunk統合後のセキュリティ成長が今後どの程度加速するかは、引き続き確認が必要です。[4]

【注】(出典リンク)

  1. 事業領域・製品分類 → Cisco 2025 Annual Report / Form 10-KCisco Investor Relations Annual Reports(確認日:2026-05-14)
  2. 2025年度売上高・製品別売上高・製品分類 → Cisco 2025 Annual Report / Form 10-KCisco FY2025 Earnings Release(確認日:2026-05-14)
  3. Splunk買収完了・買収対価 → Cisco 2025 Annual Report / Form 10-KCisco Newsroom: Splunk acquisition completed(確認日:2026-05-14)
  4. 2026年度第3四半期決算・AIインフラ需要・FY2026見通し → Cisco Q3 FY2026 Earnings ReleaseCisco Investor Relations Quarterly Results(確認日:2026-05-14)
  5. 設立年・創業者・マルチプロトコルルーターの由来 → Cisco Newsroom: 25 Years of Technology InnovationCisco Official Site(確認日:2026-05-14)
  6. 2025年第4四半期のイーサネットスイッチ・ルーター市場シェア → IDC: Ethernet Switch Market Q4 2025IDC: Worldwide Ethernet Switch Market Q1 2025(確認日:2026-05-14)

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢