CAT:キャタピラーの配当推移

資本財,配当

キャタピラー(CAT)配当関連指標(利回りや成長率、配当性向等の分析)

キャタピラー(Caterpillar Inc.)は、32年連続で配当を増やし続ける「配当貴族」銘柄です。[1] 世界最大の建設・鉱山機械メーカーとして、S&P 500配当貴族指数の構成銘柄にも含まれており、長期の株主還元姿勢が明確な企業と言えます。2024年通期実績と2025年12月時点までに判明している配当・決算情報を踏まえて、配当の持続可能性と成長性を確認します。

まず、配当利回りと株価をチャート(直近90日間)で見てみましょう。

配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート

(この株価データはグーグルファイナンス関数から取得。直近の配当・決算関連情報は公式IRと複数の財務情報サイトを参照)

データソースの制約について

重要な注意事項:キャタピラーは2025年12月時点で32年連続増配を達成している確立された配当貴族銘柄です。S&P 500配当貴族指数にも組み入れられており、25年以上の連続増配を達成した企業として認定されています。[1]

本記事では、キャタピラー公式発表の2024年通年および2025年時点の最新決算資料と、複数の信頼性の高い金融情報サイトのデータを中心に、建設機械業界の特性を考慮した配当支払能力の分析を行っています。数値は特に断りがない限り、米ドル建て・2024年通期または2025年末時点の公表値/実績に基づきます。[2]

配当成長の実績(複数ソース統合分析)

年平均の配当利回りや配当成長率、配当性向、年間の一株配当($)の推移について、最新の2024年実績と2025年の確定済み配当情報を含めて分析します。

配当データ* 平均株価** 年EPS**
平均利回り 成長率 配当性向 年間配当
2025(予) 1.39% 7% 約27%*** 5.84 420.25 N/A
2024 1.60% 7% 27% 5.42 353.01 22.05
2023 1.65% 8% 26% 5.06 315.00 20.12
2022 2.10% 8% 38% 4.44 228.50 12.64
2021 2.20% 7% 38% 4.12 201.80 11.83
2020 2.95% 4% 77% 3.92 141.00 5.46
2019 2.35% 7% 37% 3.76 170.15 10.74
2018 2.65% 13% 37% 3.52 141.10 10.26
2017 2.95% 4% 270% 3.12 112.50 1.26
2016 4.10% 3% N/A 3.02 77.50 -0.11
2015 4.25% 5% 74% 2.93 72.45 4.18
2014 2.55% 17% 75% 2.79 115.20 3.90
2013 2.65% 12% 44% 2.39 95.00 5.75
2012 2.45% 15% 27% 2.13 91.50 8.48
2011 2.10% 18% 26% 1.85 92.30 7.40
2010 2.65% 13% 40% 1.57 61.90 4.15
2009 3.85% 2% 102% 1.39 37.90 1.43
2008 2.90% 9% 29% 1.36 49.65 5.00

* 配当データは複数の投資情報サイトから統合し、2024年は通期実績、2025年は公表済み四半期配当から算出した年間配当ベース(2025年12月11日時点)。
** EPSと平均株価は公式発表および各種財務情報サイトより。2025年行のEPSは通期未確定のためN/A表記。
*** 2025年配当性向は、2025年年間配当予想5.84ドルを2024年通期調整後EPS 21.90ドルと比較した参考値(実際の2025年EPSが確定すれば変動の可能性あり)。[1][2]

連続増配年数
32年

配当成長率(平均)
約8%

2025年配当性向(参考)
約27%

2025年年間配当(予想)
$5.84

景気循環に強い配当成長の実績

キャタピラー(CAT)は、建設・鉱山機械業界のリーダーとして、32年連続で配当を増額し続けている確立された「配当貴族」です。2008年の1株配当1.36ドルから、2024年実績5.42ドル、2025年の年間配当見込み5.84ドルまで拡大しており、約4倍の伸びとなっています。[1]

この期間中、リーマンショック(2008年)、鉱山業界の低迷期(2015〜2016年)、COVID-19パンデミック(2020年)といった経済危機においても一度も減配することなく、継続的な配当成長を維持してきました。

特に2024年は、売上高648億ドル、1株当たり利益22.05ドル(調整後EPS 21.90ドル)と史上最高水準の収益力を達成しており、配当成長を支えるキャッシュフロー創出力が改めて確認されています。[2]

財務パフォーマンスと成長見通し

主要財務指標の推移

以下の表では、売上高、営業CF、純利益をM$(百万ドル)単位、営業CFマージンは%単位で表示しています。長期の推移を見ることで、景気循環の中でどの程度安定して利益・キャッシュフローを稼いでいるかを把握できます。[3]

年度 売上高 (M$) 営業CF (M$) 同マージン (%) 純利益 (M$) 調整後EPS ($)
2024 64,800 12,000 18.5 10,792 21.90
2023 67,060 12,885 19.2 10,335 21.21
2022 59,427 7,766 13.1 6,705 12.28
2021 50,971 7,198 14.1 6,489 11.14
2020 41,748 6,327 15.2 2,998 5.46
2019 53,800 6,912 12.8 6,093 10.74
2018 54,722 6,558 12.0 6,147 10.26
2017 45,462 5,706 12.6 754 1.26
2016 38,537 5,639 14.6 -67 -0.11
2015 47,011 6,699 14.2 2,512 4.18

配当支払能力の分析

史上最高の収益力と配当カバー分析

キャタピラーの配当支払能力は極めて堅固です。2024年の営業キャッシュフローは120億ドルで、配当支払額約26億ドルを大幅に上回っています。これはおよそ4.6倍の配当カバー比率を意味し、景気循環型企業としては卓越した配当の持続可能性を示しています。さらに、2024年は調整後EPSで21.90ドルと史上最高水準を記録し、配当性向も約27%と保守的な水準にとどまっています。[2]

配当支払余力の推移(2008年以降)

以下の表では、営業CF、年間配当支払額をM$(百万ドル)単位、配当カバー比率を倍数で表示しています。長期的に2〜3倍超のカバー比率を維持できているかが、配当の安全性を判断するうえでのポイントになります。[4]

年度 営業CF (M$) 年間配当支払額 (M$) 配当カバー比率
2024 12,000 2,600 4.6
2023 12,885 2,563 5.0
2022 7,766 2,440 3.2
2021 7,198 2,331 3.1
2020 6,327 2,243 2.8
2019 6,912 2,171 3.2
2018 6,558 2,082 3.1
2017 5,706 1,989 2.9
2016 5,639 1,903 3.0
2015 6,699 1,850 3.6

配当支払余力の分析結果:

  • 2023〜2024年は配当カバー比率が4.6〜5倍と過去最高水準
  • 景気の底となった2020年でも2.8倍のカバー比率を維持し、減配を回避
  • 長期的に見ても、おおむね3倍前後のカバー比率を保っており、配当の安全性は高い水準にあります
  • 2025年も年間配当総額は約29億ドル規模に拡大する見込みですが、2024年実績ベースのキャッシュフローから見れば、依然として十分な余裕があると考えられます

キャッシュフロー創出力と資金配分戦略

以下の表では、営業CF、投資CF、財務CFをM$(百万ドル)単位、営業CF成長率を%単位で表示しています。

年度 営業CF (M$) 成長率 (%) 投資CF (M$) 財務CF (M$)
2024 12,000 -6.9 -2,493 -10,300
2023 12,885 65.9 -2,311 -14,785
2022 7,766 7.9 -1,769 -7,281
2021 7,198 13.8 -1,201 -4,188
2020 6,327 -8.5 -1,595 -3,755
2019 6,912 5.4 -2,086 -4,536
2018 6,558 14.9 -1,808 -5,462
2017 5,706 1.2 -1,277 -2,961
2016 5,639 -15.8 -873 -3,937
2015 6,699 -16.9 -2,725 -3,764

キャッシュフロー分析のポイント

営業キャッシュフロー:

  • 2023〜2024年は120億ドル前後と、過去最高水準で高止まり
  • 2020年前後の景気後退局面から、2022年以降は力強く回復し、利益・キャッシュフローともに過去最高圏へ
  • 景気循環の波が大きい業界でありながら、構造的なキャッシュ創出力は強いと評価できます

投資キャッシュフロー:

  • 年間15〜25億ドル程度の範囲で設備投資や研究開発投資を継続
  • 好況期には投資を増やし、不況期には抑制するメリハリの効いた資本配分が特徴
  • 電動化・自動化・デジタルソリューションなど、付加価値の高い分野への投資も継続

財務キャッシュフロー:

  • 2024年は配当約26億ドル、自社株買い約77億ドルと、合計100億ドル超の株主還元を実施
  • 32年連続増配を最優先としつつ、余剰資金は自社株買いを通じて効率的に株主へ還元
  • 負債水準を管理しながら、資本効率の最大化を図る姿勢がうかがえます

バランスシート分析と財務健全性評価

以下の表では、総資産、総負債、株主資本をM$(百万ドル)単位、自己資本率およびROEを%単位で表示しています。負債比率は「総負債÷株主資本×100%」で計算され、企業の財務レバレッジを示す指標です。[5]

年度 総資産 (M$) 総負債 (M$) 株主資本 (M$) 自己資本率 (%) ROE (%) 負債比率 (%)
2024 87,764 68,270 19,494 22.2 55.4 350
2023 87,476 67,973 19,503 22.3 53.0 349
2022 81,943 66,052 15,891 19.4 42.2 416
2021 82,793 66,277 16,516 20.0 39.3 401
2020 78,324 62,946 15,378 19.6 19.5 409
2019 78,453 63,824 14,629 18.6 41.7 436
2018 78,509 64,429 14,080 17.9 43.7 458
2017 76,962 63,196 13,766 17.9 5.5 459
2016 74,704 61,491 13,213 17.7 -0.5 465
2015 78,342 63,457 14,885 19.0 16.9 426

バランスシート分析の重要な観点

自己資本率の改善と安定化:

  • 2024年の自己資本比率22.2%は重機械業界として健全な水準であり、過去10年程度は一貫して18〜22%のレンジで推移
  • 不況期でも自己資本比率を大きく崩さず、財務安定性を維持している点はプラス材料
  • 過度な自己資本蓄積ではなく、株主還元と成長投資のバランスを取りながら資本構成を最適化していると評価できます

ROE(自己資本利益率)の卓越性:

  • 2023〜2024年のROEは50%超と業界でも突出した水準
  • 景気回復局面では40%以上の高ROEを継続的に確保しており、資本効率が非常に高い
  • 適度な財務レバレッジと高い営業利益率の組み合わせにより、高ROEと連続増配を両立
  • 長期的に見て、株主価値創造力の高さがバランスシートの数字に表れています

総合評価

キャタピラーの財務戦略は「景気循環を克服した優良企業モデル」と評価できます。2024年の史上最高水準の調整後EPS(21.90ドル)と120億ドルの営業キャッシュフロー創出により、景気循環型企業でありながら安定的な配当成長基盤を確立しました。32年連続増配の実績と保守的な配当性向(2024年実績ベースで約27%、2025年の年間配当見込み5.84ドルを加味してもおおむね同水準)は、今後も持続的な配当成長が期待できることを示しています。[1][2]

配当重視投資家にとっての投資価値

インカム投資家への魅力:

  1. 確立された配当貴族:32年連続増配というS&P 500配当貴族としての信頼性[1]
  2. 史上最高水準の収益力:2024年調整後EPSは21.90ドルと過去最高水準
  3. 保守的な配当性向:2024年実績ベースで約27%、2025年年間配当見込み5.84ドルを考慮しても慎重な水準
  4. 世界的な競争優位性:建設・鉱山機械のグローバルリーダーとしての強固なブランド力とサービスネットワーク

配当投資戦略における位置づけ

プレミアム配当成長銘柄としてのポジション

  • 世界的なインフラ投資拡大・資源開発需要の恩恵を受ける構造的なポジション
  • 景気敏感株でありながら、長期的には高い配当成長をポートフォリオにもたらす「成長エンジン」的役割
  • 世界各地域の建設・鉱山需要から収益を得ることで、地理的な分散効果も期待できる
  • 電動化・自動化・コネクテッドマシンなど技術革新への先行投資により、将来の収益成長余地も確保

投資リスクと対策

主要リスク要因:

  1. 景気循環リスク:建設・鉱山需要は景気変動の影響を強く受ける可能性
  2. 地政学リスク:主要市場での政治的不安定や貿易制限の影響
  3. 中国経済依存:世界最大の建設機械市場である中国の景気動向
  4. 為替変動リスク:海外売上比率が高く、ドル高局面では利益圧迫要因となり得る
  5. 環境規制強化:脱炭素社会への移行に伴う排ガス規制・電動化対応コストの増加

リスク軽減策:

  • 長期投資戦略:32年連続増配の実績を前提に、景気サイクルを超えた長期保有を前提とする
  • 分散投資の実践:ディフェンシブ銘柄や他セクターとの組合せによるポートフォリオ分散
  • 配当再投資戦略:配当を再投資することで、長期的な複利効果を最大化
  • 段階的投資:定期積立や押し目買いで購入価格の平準化を図る
  • 業界動向の継続監視:建設・鉱山業界とマクロ経済指標の定期的なチェック

2025年見通しと投資戦略

2025年の成長見通し

持続的な成長を支える要因

  • 世界的インフラ投資:各国のインフラ老朽化更新需要・エネルギー関連投資に伴う建設機械需要の継続
  • 技術革新の収益化:電動化・自動化技術の普及により、高付加価値製品・サービスの比率拡大
  • アフターマーケット事業:部品・サービス事業が収益の安定化装置として機能し、景気後退局面でもキャッシュフローを下支え
  • 配当成長の継続:保守的な配当性向を背景に、今後も年率5〜8%程度の配当成長が期待できる余地

2025年も第1〜第3四半期までの決算では高水準の売上・利益を維持しており、2024年通期並みの収益水準をベースに、持続的な株主還元が可能な状況とみられます(詳細は各四半期決算資料参照)。

まとめ:配当投資家にとってのキャタピラー

キャタピラーは、32年連続増配という堅実な実績、年平均約8%の高い配当成長率、2024年の史上最高水準の収益力、そして保守的な配当政策を兼ね備えた、配当成長投資家にとって魅力度の高い銘柄です。

2024年の調整後EPS 21.90ドルと120億ドルの営業キャッシュフロー創出により、景気循環型企業でありながら安定的な配当成長基盤が改めて確認されました。グローバルなインフラ需要、技術革新への先行投資、強力なブランド力により、今後も持続的な配当成長の継続が高い確度で期待できます。

投資判断のポイント

配当投資家にとって、キャタピラーは「確立されたプレミアム配当貴族銘柄」として、ポートフォリオの中核候補となる存在です。現時点の配当利回り自体は1%台半ばと一見控えめですが、32年連続増配と保守的な配当性向(おおむね20%台後半)を踏まえると、将来の高い配当成長によって報われる可能性が高い銘柄と言えます。

景気循環の影響を受けやすい一方で、同社の強固な財務体質と長期的な株主還元方針により、長期目線で安心して保有しやすい配当成長株と位置づけられます。

免責事項

本記事は投資判断の参考として財務データを分析したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。記事中の情報は2025年12月11日時点で入手可能な公表資料に基づいています。

【注】(出典リンク)

  1. 配当履歴・連続増配年数・S&P配当貴族組入れ → Caterpillar Dividend HistoryKoyfin – Caterpillar Dividend History & Safety (確認日:2025-12-11)
  2. 2024年通期決算(売上高・利益・EPS・営業CF・株主還元等) → Caterpillar 2024年第4四半期・通年決算発表Caterpillar Quarterly Results (確認日:2025-12-11)
  3. 売上高・EPSなど主要業績指標の長期推移 → SEC EDGAR – Caterpillar Inc. FilingsMacrotrends – Caterpillar Revenue 2010-2025 (確認日:2025-12-11)
  4. 営業キャッシュフロー・配当支払額・配当カバー比率の長期推移 → SEC EDGAR – Caterpillar Inc. FilingsMacrotrends – Caterpillar Cash Flow (確認日:2025-12-11)
  5. 総資産・総負債・株主資本・ROE・負債比率の長期推移 → Caterpillar Investor RelationsMacrotrends – Caterpillar Balance Sheet / ROE (確認日:2025-12-11)

Posted by 南 一矢