CPER・COPX・FCX・SCCOを比較(株価と配当)銅ETF VS 銅鉱山企業
米国市場で取引される銅ETFと銅関連株ETF、そして大手銅生産企業であるフリーポート・マクモラン(Freeport-McMoRan Inc.)とサザン・コッパー(Southern Copper Corporation)について、その概要と投資特性を比較してご紹介します。脱炭素社会への移行で銅需要が急増する中、どのような投資戦略が有効かを検証します。
Contents
銅ETF・銅関連株ETF
CPER:ユナイテッド・ステーツ・コッパー・インデックス・ファンド
- SummerHaven銅指数トータルリターンに連動するETFです。
- 銅の先物契約に直接投資することで、銅価格の変動を捉えます。毎月の先物ロールオーバーにより、コンタンゴ(順鞘)やバックワーデーション(逆鞘)の影響を管理しています。
- EV普及や再生可能エネルギー転換による銅需要増加を直接的に享受できる一方、先物特有のロールコストに注意が必要です。
- 経費率は0.88%と、コモディティETFとしては標準的な水準です。
COPX:グローバルX・コッパー・マイナーズETF
- Solactive Global Copper Miners Indexに連動するETFです。
- 世界各国の銅採掘・精錬企業約35社に分散投資し、銅価格上昇時のレバレッジ効果を狙います。
- 銅価格への感応度が高く、企業の営業レバレッジにより銅価格以上のリターンが期待できる反面、ボラティリティも高くなります。
- チリ、ペルー、メキシコなど主要銅産出国の政治リスクも考慮する必要があります。
主要銅生産企業2社の比較
FCX:フリーポート・マクモラン(Freeport-McMoRan Inc.)
世界最大級の銅生産企業であり、インドネシアのグラスベルグ鉱山とアメリカ・南米の大規模銅鉱山を運営しています。金・モリブデンも副産物として生産し、収益源を多角化しています。
- 2025年生産量見通し:銅 42億ポンド(約190万トン)、金 180万オンス、モリブデン 8,200万ポンド
- 主力鉱山:Grasberg(インドネシア、世界最大級の銅・金鉱山)、Cerro Verde(ペルー)、Morenci(アリゾナ州)
- 成長ドライバー:アリゾナ州での拡張プロジェクト、インドネシアでの製錬所建設により付加価値を向上させています。
- 株主還元:業績連動型配当政策を採用し、銅価格上昇時には積極的な還元を実施(配当利回り:約1.0% ※2025年6月時点)。
- 注意点:インドネシアの政治リスク、環境規制強化への対応が経営課題となっています。
SCCO:サザン・コッパー(Southern Copper Corporation)
メキシコとペルーに低コスト大規模鉱山を保有する、世界第5位の銅生産企業です。Grupo Mexicoの子会社として、中南米最大級の銅埋蔵量を誇ります。
- 2025年生産量見通し:銅 100万トン、モリブデン 2.7万トン、銀 2,000万オンス、亜鉛 10万トン
- 主要鉱山:Buenavista(メキシコ最大)、Toquepala、Cuajone(ペルー)、La Caridad(メキシコ)
- コスト優位性:業界最低水準の現金コスト($1.10/ポンド)により、銅価格下落時でも高い利益率を維持します。
- 拡張計画:$79億の投資計画により、2028年までに銅生産量を130万トンへ拡大予定です。
- 高配当政策:安定的な高配当を継続(配当利回り:約3.8% ※2025年6月時点)。
- 注意点:メキシコ・ペルーの鉱業税制改正リスク、地域住民との関係維持が課題です。
CPER・COPX・FCX・SCCOの投資パフォーマンス比較
※左目盛り:株価推移(最大20分ディレイ)
※右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル
銅ETFと銅生産企業の株価推移グラフ
詳細データ表
銅投資の戦略的考察
脱炭素社会への移行により、銅は「新しい石油」と呼ばれるほど重要な資源となっています。EV1台には従来車の4倍の銅が使用され、再生可能エネルギー設備も大量の銅を必要とします。一方で、新規鉱山開発には10年以上を要し、供給制約が長期化する見通しです。
- CPER:銅価格に直接連動するため、短期的な価格変動を捉えたい投資家に適しています。
- COPX:銅価格上昇時の企業利益拡大を狙う、アグレッシブな投資家向けです。
- FCX:地域分散と商品多様化により、安定性を重視する投資家に適しています。
- SCCO:低コスト体質と高配当により、インカム重視の投資家に魅力的です。