CRM(セールスフォースドットコム)今後の見通し
セールスフォースドットコム(salesforce.com, Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
直近決算
9月3日(米国時間)にセールスフォースドットコム(Salesforce Inc)は決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想2.78$→結果2.91$
・売上高:予想101.4億$→結果102.4億$(前年同期比+9%)
★ガイダンス
《四半期》
・EPS:予想2.85$→結果2.84~2.86$
・売上高:予想102.9億$→結果102.4~102.9億$
《通年》
・EPS:予想11.31$→結果11.33~11.37$
・売上高:予想412億$→結果411~413億$
★出所
・IRプレスリリース
・予想値はCNBCを参照しました。
企業概要
セールスフォース(Salesforce, Inc.)は、法人向けクラウド型CRM(顧客関係管理)を中核に、営業・サービス・マーケティング・コマース・アプリ開発基盤を統合した「Customer 360」(現行はEinstein 1の基盤上に実装)を提供する大手企業です。2024年以降はデータ基盤Data CloudとAI(Einstein/Agentforce)を軸に、「AI CRM」への進化を加速しています。(導入社数は世界15万社超)。
従来のオンプレミス型と異なり、Salesforceはブラウザ経由で使えるSaaS(サース)モデル。拡張はAppExchangeやAPIで容易で、業種・規模を問わず採用が広がっています。売上構成はサブスクリプション&サポートが約94%、残りがプロフェッショナルサービス(導入支援・運用定着など)という安定的なリカーリング比率です(FY2025)。
営業支援、顧客サービス、マーケティング、コミュニティ/ポータル、コマース、ローコード開発まで、業務横断の生産性向上とデジタルトランスフォーメーション(DX)を後押しします。
その主要製品・サービスと事業領域は以下の通りです。
・Sales Cloud:顧客・商談・予実・パイプライン可視化、AIによる見込み度スコアなどで営業活動を効率化。
・Service Cloud:ケース/ナレッジ/チャット/音声/フィールドサービス。AIエージェント(Agentforce)や要約で応対時間を短縮。
・Marketing Cloud:メール/モバイル/広告の統合配信とパーソナライズ。旧DatoramaはMarketing Cloud Intelligenceとして統合。
・Experience Cloud(旧Community Cloud):顧客/パートナー向けポータルやコミュニティ構築で自己解決と連携を促進。
・Commerce Cloud:B2C/B2BのECを提供。Demandware買収を基盤に進化。
・Salesforce Platform:ローコード(Flow/Lightning)/開発者ツール群。MuleSoft(統合)、Tableau(可視化)、Heroku等と連携。
・Data Cloud:社内外の構造化/非構造化データを統合し「単一顧客ビュー」を作るデータ基盤。リアルタイムにAI・自動化と連動。
・Einstein 1 / Agentforce:会話操作のアシスタントや自律実行するAIエージェント。Einstein Trust Layerにより権限/ログ/データ保護を担保しつつ業務に投入。
買収によりラインナップを強化してきました。MuleSoft(2018/データ統合)、Tableau(2019/可視化)、Demandware(2016/コマース)、Vlocity(2020/業界特化=Salesforce Industries)、そしてSlack(2021/コラボレーション)などが代表例です。2025年5月にはデータマネジメント大手Informaticaの買収で最終合意を発表(規制承認など完了前の段階)。
そのビジネスモデルはサブスクリプション中心。企業は月額/年額の定額料金で各アプリを利用し、プロサービスは導入・定着を支える補完収益です。エコシステム(AppExchange)やGoogleとのデータ連携(GA360)などパートナー戦略も重要な成長ドライバーです。
最新トピック:FY2025(期末2025/1)売上は$37.9B(前年比+9%)。FY2026通期ガイダンスは売上$40.5–40.9B(その後、FY26 Q1決算で$41.0–41.3Bへ上方修正)。2024年には四半期配当($0.40/株)を導入し、継続的に支払っています。AIではAgentforceを発表(24年秋一般提供開始)。
社史:1999年Marc Benioff氏らにより創業。2004年6月23日にNYSE(ティッカー:CRM)へ上場。クラウドSaaSという新形態でCRM市場を開拓し、M&Aと製品強化で「データ×AI×アプリ」を束ねるプラットフォーム企業へ進化しています。
用語解説
- SaaS=サース:インストール不要の“借りる型”ソフト。毎月/毎年の利用料で常に最新版。
- Data Cloud:バラバラの顧客データを1つにまとめ、AIや自動化で“使える形”に。
- Agentforce:指示や会話で仕事を進めるAIエージェント。ガードレール(権限・監査)付きで実運用。
【出典】
- 導入社数(150,000+)
- FY2025売上構成(約94%)
- 配当導入(2024年〜$0.40)
- FY2025実績/指標・FY26 Q1/ガイダンス
- Community→Experience Cloud改称
- Data Cloud(公式概要)
- Agentforce発表(24年)
- Google/GA360連携(17年発表、18年ロールアウト)
- 上場市場(NYSE/2004-06-23)
- Informatica買収の最終合意(2025-05)
- Slack買収完了(2021)/Tableau/MuleSoft/Vlocity
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】