CTVA:コルテバの配当推移
コルテバ(CTVA)配当関連指標(利回りや成長率、配当性向等)の分析
コルテバ(Corteva, Inc.)は、2019年にダウ・デュポンから分離して設立された農業科学のグローバルリーダーです。同社の配当実績と財務指標などを検証してみます。
まず、配当利回りと株価をチャート(直近90日間)で見てみましょう。
配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート
(この株価データはグーグルファイナンス関数から取得。直近の配当関連情報はStockprice.comを参照)
データソースの制約について
**重要な注意事項**:財務情報はMacroTrends.comを中心に参照していますが、このサイトでは、コルテバの配当に関する年次の詳細データが限定的です。より詳細な配当成長の歴史データについては複数のソースを参照して確認しています。
配当成長の実績(複数ソース統合分析)
年平均の配当利回りや配当成長率、配当性向、年間の一株配当($)の推移について、MacroTrendsとそれ以外の信頼できる配当専門サイトのデータを統合して分析します。
年 | 配当データ* | 平均株価** | 年EPS** | |||
---|---|---|---|---|---|---|
平均利回り | 成長率 | 配当性向 | 年間配当 | |||
2025 | 0.98% | 6% | 41% | 0.68 | 68.29 | 1.66 |
2024 | 1.20% | 5% | 43% | 0.64 | 53.33 | 1.49 |
2023 | 1.15% | 4% | 42% | 0.61 | 53.04 | 1.01 |
2022 | 1.02% | 7% | 37% | 0.59 | 57.84 | 1.58 |
2021 | 0.96% | 8% | 23% | 0.55 | 57.29 | 2.37 |
2020 | 1.14% | -7% | 56% | 0.51 | 44.73 | 0.91 |
2019 | 1.89% | – | – | 0.55 | 29.13 | -1.28 |
* 配当データは複数の投資情報サイトから統合
** EPSと平均株価はMacroTrends.comおよびその他のソースより
着実な配当成長の実績
コルテバ(CTVA)は、農業科学業界のリーダーとして、2019年の分離独立以降、**着実な配当成長**を実現しています。
過去5年間の配当成長率は平均5.51%で、安定した成長を継続しています。特に注目すべきは、配当性向が40.53%と比較的低い水準にあることで、これは将来の配当成長余地が大きいことを示唆しています。
財務パフォーマンスと成長見通し
主要財務指標の推移
以下の表では、売上高、営業CF、純利益をM$(百万ドル)単位、営業CFマージンは%単位で表示しています。
年度 | 売上高 (M$) | 営業CF (M$) | 同マージン (%) | 純利益 (M$) |
---|---|---|---|---|
2024 | 16,908 | – | – | 898 |
2023 | 17,226 | 1,769 | 10.3 | 735 |
2022 | 17,455 | 872 | 5.0 | 1,147 |
2021 | 15,655 | 2,727 | 17.4 | 1,759 |
2020 | 14,217 | 2,064 | 14.5 | 681 |
2019 | 13,846 | 1,568 | 11.3 | -959 |
配当支払能力の分析
営業キャッシュフローによる配当カバー分析
コルテバの配当支払能力は堅固です。2023年の営業キャッシュフローは17.69億ドルで、配当支払額(約4.9億ドル)を大幅に上回っています。これは**3.6倍の配当カバー比率**を意味し、配当の持続可能性を強く示しています。
配当支払余力の推移(2019年以降)
以下の表では、営業CF、年間配当支払額をM$(百万ドル)単位、配当カバー比率を倍数で表示しています。
年度 | 営業CF (M$) | 年間配当支払額 (M$) | 配当カバー比率 |
---|---|---|---|
2023 | 1,769 | 442 | 4.0 |
2022 | 872 | 428 | 2.0 |
2021 | 2,727 | 408 | 6.7 |
2020 | 2,064 | 383 | 5.4 |
2019 | 1,568 | 413 | 3.8 |
配当支払余力の分析結果:
- **安定したカバー比率**:過去5年間で2.0〜6.7倍を維持し、常に配当を十分にカバー
- **変動性への対応**:農業セクター特有の季節性や市況変動にも関わらず、安定した支払能力を維持
- **成長投資との両立**:研究開発や事業拡大への投資を継続しながら、株主還元も実施
強固なキャッシュフロー創出力と資金配分戦略
以下の表では、営業CF、投資CF、財務CFをM$(百万ドル)単位、営業CF成長率を%単位で表示しています。
年度 | 営業CF (M$) | 成長率 (%) | 投資CF (M$) | 財務CF (M$) |
---|---|---|---|---|
2023 | 1,769 | 102.9 | -576 | -1,764 |
2022 | 872 | -68.0 | -491 | -1,149 |
2021 | 2,727 | 32.1 | -578 | -922 |
2020 | 2,064 | 31.6 | -528 | -1,311 |
2019 | 1,568 | – | -631 | -1,037 |
キャッシュフロー分析のポイント
**営業キャッシュフロー**:
- **変動性のある創出力**:2019年以降、営業CFは8.72億ドル〜27.27億ドルの範囲で推移
- **季節性の影響**:農業セクター特有の季節性により、年度間で変動が発生
- **回復力**:2022年の低迷後、2023年には大幅に回復
**投資キャッシュフロー**:
- **安定的な投資**:年間5〜6億ドルの設備投資を継続実行
- **研究開発重視**:種子技術や作物保護製品の開発に積極投資
- **効率的な資本配分**:成長投資と株主還元のバランスを維持
**財務キャッシュフロー**:
- **株主還元重視**:配当支払いと自社株買いによる一貫したマイナス
- **財務健全性**:長期負債は2023年で22.91億ドル、2024年には19.75億ドルへ減少
- **資本構造の最適化**:レバレッジを低く維持しながら効率的な資本活用
バランスシート分析と財務健全性評価
以下の表では、総資産、総負債、株主資本をM$(百万ドル)単位、自己資本率およびROEを%単位で表示しています。
年度 | 総資産 (M$) | 総負債 (M$) | 株主資本 (M$) | 自己資本率 (%) | ROE (%) | 負債比率 (%) |
---|---|---|---|---|---|---|
2024 | 42,100 | 16,475 | 25,625 | 60.9 | 3.5 | 64 |
2023 | 42,891 | 17,005 | 25,886 | 60.4 | 2.8 | 66 |
2022 | 43,348 | 17,542 | 25,806 | 59.5 | 4.4 | 68 |
2021 | 42,795 | 17,172 | 25,623 | 59.9 | 6.9 | 67 |
2020 | 42,553 | 17,490 | 25,063 | 58.9 | 2.7 | 70 |
2019 | 42,593 | 18,038 | 24,555 | 57.6 | -3.9 | 73 |
バランスシート分析の重要な観点
**自己資本率の推移と財務健全性**:
- **高い財務健全性**:自己資本率は約60%で推移し、業界平均を上回る健全性
- **安定した資本構造**:2019年の分離独立以降、安定した財務基盤を維持
- **低レバレッジ**:負債比率(D/E)は0.09(2023年6月時点)と極めて低水準
- **業界比較**:農業科学業界では最も健全な財務構造の一つ
**ROE(自己資本利益率)の特徴**:
- **改善トレンド**:2019年のマイナスから着実に改善
- **安定的な収益性**:2021年の6.9%をピークに、2-7%の範囲で推移
- **成長投資の効果**:研究開発投資が徐々に収益に貢献
- **改善余地**:低レバレッジを考慮すると、将来的なROE向上の余地あり
総合評価
コルテバの財務戦略は**「保守的だが成長志向の財務管理」**と評価できます。負債比率0.09という極めて低いレバレッジと、約60%の高い自己資本率は、農業セクターの周期性や天候リスクに対する強固な防御力を提供しています。一方で、この保守的な資本構造は、将来の成長投資や株主還元拡大の余地を示唆しています。
配当重視投資家にとっての投資価値
インカム投資家への魅力:
- **安定した配当実績**:2019年の分離独立以降、着実な配当成長を実現
- **健全な配当性向**:40.53%という保守的な配当性向により、将来の増配余地が大きい
- **強固な財務基盤**:高い自己資本率と低レバレッジによる配当の安全性
- **成長ポテンシャル**:世界的な食糧需要増加による長期的な成長見通し
配当投資戦略における位置づけ
成長配当株として最適
- **ポートフォリオの成長部分**:配当成長率5.5%により、インフレ対応力を提供
- **セクター分散効果**:農業セクターへの分散投資として機能
- **将来の配当成長**:低い配当性向が将来の大幅な増配可能性を示唆
- **長期保有適性**:安定した事業基盤と成長見通しにより長期投資に適合
投資リスクと対策
主要リスク要因:
- **天候リスク**:異常気象による農業生産への影響
- **商品価格変動**:穀物価格の変動による農家の購買力変化
- **規制リスク**:農薬・化学物質に対する規制強化
- **競争激化**:大手化学企業との競争と価格圧力
- **為替リスク**:グローバル事業による為替変動の影響
リスク軽減策:
- **分散投資**:他セクターとの適切なバランス維持
- **段階的投資**:ドルコスト平均法による投資タイミングの分散
- **配当再投資**:複利効果を活用した長期的な資産形成
- **定期的モニタリング**:四半期決算や農業市況の継続的な確認
- **情報収集**:農業政策や気候変動に関する情報の把握
まとめ:配当投資家にとってのコルテバ
コルテバは、**安定した配当成長**、**健全な財務基盤**、**低い配当性向による将来の増配余地**を兼ね備えた、成長配当株として魅力的な投資対象です。
世界的な人口増加と食糧需要の拡大を背景に、農業科学分野でのイノベーションを通じて長期的な成長が期待できます。現在の負債比率0.076という極めて低いレバレッジは、将来の成長投資や株主還元拡大の余地を残しています。
投資判断のポイント
配当投資家にとって、コルテバは**「成長と安定性を両立する次世代の配当成長株」**として、ポートフォリオの成長部分に位置づけることを検討できる銘柄です。特に、農業セクターへの分散投資と、将来の配当成長を重視する投資家にとって、長期保有に適した銘柄といえるでしょう。
出典
**MacroTrends.com(主要財務データ):**
- Corteva EPS – Earnings per Share 2018-2023 (CTVA)
- Corteva Revenue 2018-2024 (CTVA)
- Corteva Cash Flow from Operating Activities 2018-2024 (CTVA)
- Corteva Net Income 2018-2024 (CTVA)
- Corteva Long Term Debt 2018-2024 (CTVA)
- Corteva Share Holder Equity 2018-2021 (CTVA)
- Corteva Debt to Equity Ratio 2018-2023 (CTVA)
- Corteva Stock Price History 2019-2025 (CTVA)
- Corteva Dividend Yield History (CTVA)
**配当データ(複数ソース統合):**
- Dividend.com – Corteva Dividend Analysis
- Koyfin – Corteva Dividend History & Safety
- Stock Analysis – Corteva Dividend History & Yield
- NASDAQ – Corteva Dividend History
- Investing.com – Corteva Dividend History
**追加財務データ:**
本記事は投資判断の参考として財務データを分析したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。