TSM(タイワンセミコンダクター)とASMLを比較:戦略の違いとは
TSMとASMLの違いを踏まえて比較します。(2026年5月更新)
タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(台湾積体電路製造/Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, TSMC)とASMLホールディング(ASML Holding N.V.)は、半導体製造業におけるADR銘柄の代表格です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(SOXX:iShares Semiconductor ETFを含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。
株価推移や成長率比較については以下の関連記事を参照
決算(予想:結果)
マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。
決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照
★タイワンセミコンダクター(TSM)決算:予想と結果 売上&EPS
★ASMLホールディング(ASML)決算:予想と結果 売上&EPS
【半導体エコシステムの心臓部】TSMC vs ASML!製造の王か、装置の独占企業か?
現代のAI革命とデジタル社会を根底から支える2つの企業、TSMC(台湾積体電路製造)とASML(エーエスエムエル)。両社は、最先端半導体の製造に不可欠な存在でありながら、その役割は全く異なります。彼らは競合ではなく、互いがいなければ成り立たない「補完関係」です。
本記事では、半導体「製造」の中核を担うTSMCと、その製造に必要な「装置」を供給するASMLの、関係性と投資対象としての魅力を比較します。
最重要ポイント:彼らは競合しない「パートナー」である
この2社を理解する上で、共存関係を知ることは不可欠です。
- TSMC(ファウンドリ)→ 半導体を「作る」会社
受託製造(ファウンドリ)として先端ロジックを量産し、AI/HPC需要を追い風に成長しています。2026年Q1の連結売上はNT$1,134.10B、米ドルベースではUS$35.90Bで、前年同期比で大きく伸びました。粗利益率は66.2%、営業利益率は58.1%でした。[1] - ASML(製造装置メーカー)→ チップを作るための「機械を作る」会社
最先端ロジック/メモリの量産に不可欠なEUV露光(およびHigh-NAを含む次世代)を軸に、装置・サービスで収益を積み上げます。ASMLはEUV露光装置の技術的位置づけを自社資料で説明しており、2026年Q1は総売上€8.8B、粗利益率53.0%、純利益€2.8Bでした。[2][3]
つまり、ASMLが「道具」を供給し、TSMCがその「道具」を使って最先端チップを量産する、という関係です。TSMCは2026年Q2に売上US$39.0B〜US$40.2B、ASMLは2026年通期に総売上€36B〜€40Bを見込んでおり、AI関連需要を背景に高水準の事業環境が続いています。[1][3]
比較サマリー:製造のTSMC、装置のASML
| 項目 | TSMC | ASML |
|---|---|---|
| 役割 | 半導体ファウンドリ(受託製造)。AI/HPC向け先端ロジックの量産力が中核。 | 半導体製造装置メーカー(露光、EUV/High-NA)。[2] |
| 強み・堀(Moat) | 先端プロセス量産力・良品率・高い稼働率。2026年Q1の粗利益率は66.2%と高水準。[1] | EUV露光の技術的優位と装置インストールベース。Installed Base Management売上は2026年Q1に€2.488Bでした。[3] |
| 最大のリスク | 地政学(台湾)、海外拠点立ち上げコスト、為替、電力・水などインフラ制約。 | 顧客設備投資の循環、輸出規制、地域ミックス変化、中国向け売上の変動。 |
| 直近決算 | 2026年Q1:売上US$35.90B、粗利益率66.2%、営業利益率58.1%、ADR EPSUS$3.49。[1] | 2026年Q1:総売上€8.767B、粗利益率53.0%、純利益€2.8B。[3] |
| 見通し | 2026年Q2売上見通しUS$39.0B〜US$40.2B、粗利益率65.5〜67.5%。[1] | 2026年通期売上見通しを€36B〜€40Bへ引き上げ。粗利益率見通しは51〜53%。[3] |
| 配当の方針(概観) | 四半期配当を継続。株主還元と成長投資を両立する方針。 | 年次配当と自社株買いを継続。2025年の総配当は1株€7.50の予定です。[4] |
| 株価 (2026年5月6日 12:53 UTC時点) |
$394.41[5] | $1,442.92[5] |
業績と成長性の詳細分析
AI/HPC需要を背景に、両社とも2026年Q1まで高水準の売上と利益を維持しています。TSMCはAI/HPC向け需要が売上と利益率を押し上げ、ASMLは装置納入タイミングによる四半期変動を受けつつも、2026年通期の見通しを引き上げました。[1][3]
| 年・期間 | TSMC 売上高 | ASML 売上高 |
|---|---|---|
| 2026年Q1 | US$35.90B 粗利益率66.2%、営業利益率58.1%[1] |
€8.767B 粗利益率53.0%、純利益€2.8B[3] |
| 2025 | US$122.42B(前年比+35.9%)[6] | €32.667B(2025通期)[7] |
| 2024 | US$90.08B(前年比+30.0%)[6] | €28.263B(2024通期)[7] |
- TSMCの近況:2026年Q1の米ドル売上はUS$35.90Bで、2026年Q2の売上見通しはUS$39.0B〜US$40.2Bです。会社側は粗利益率65.5〜67.5%、営業利益率56.5〜58.5%を見込んでおり、AI/HPC需要を背景に高い利益率が続く前提です。[1]
- TSMCの月次売上:2026年1〜3月累計の連結売上はNT$1,134.103B(前年比+35.1%)でした。2026年4月分は、本稿更新時点の同社月次売上ページでは未掲載です。[8]
- ASMLの近況:2026年Q1は総売上€8.767B、粗利益率53.0%、純利益€2.8Bでした。2026年Q2は総売上€8.4B〜€9.0B、粗利益率51〜52%を見込み、2026年通期の総売上見通しを€36B〜€40Bへ引き上げました。[3]
なお、ファウンドリ市場ではTSMCの優位が続いており、TrendForceの集計では2025年Q2のファウンドリ売上シェアがTSMC 70.2%とされています。[9]
配当の詳細比較
両社とも成長投資(設備・研究開発・供給能力)を優先しつつ、配当や株主還元を継続しています。TSMCは四半期配当を継続しており、ASMLは2026年4月の年次株主総会で、2025年の総配当を1株€7.50とする提案が採択されました。ASMLは2025年通期決算時点で、2028年末までに最大€12Bの自社株買いプログラムも公表しています。[4][7]
| 項目 | TSMC | ASML |
|---|---|---|
| 配当の特徴 | 四半期配当を継続。成長投資と株主還元の両立を重視。 | 欧州企業らしく年次配当の考え方が中心。中間配当と最終配当を組み合わせる。 |
| 直近の還元トピック | 2026年Q1の高水準利益を背景に、四半期配当を継続。 | 2025年総配当は1株€7.50。最大€12Bの自社株買いプログラムを2028年末まで実行予定。[4][7] |
| 見方 | 配当利回りよりも、先端投資と利益率維持が重要。 | 配当と買戻しは魅力だが、装置サイクルと輸出規制の影響を合わせて見る必要がある。 |
結論:あなたに合うのはどちら?
両社への投資は、半導体エコシステムの中でどのリスク/リターンの取り方を選ぶか、という構図です。
「半導体需要全体」の成長に乗るなら → TSMC
TSMCは製造能力そのものが競争力であり、AI/HPC需要が強い局面では売上・利益率が伸びやすいモデルです。2026年Q1は売上US$35.90B、粗利益率66.2%と非常に強く、2026年Q2ガイダンスも高水準です。一方で、台湾を中心とする地政学リスク、海外工場の立ち上げコスト、為替や電力・水インフラの制約は確認が必要です。[1]
「技術的優位(EUV)」という堀に投資するなら → ASML
ASMLはEUV露光という基盤技術を軸に、装置とサービスで収益を積み上げます。2026年Q1は総売上€8.767B、粗利益率53.0%と堅調で、2026年通期売上見通しも€36B〜€40Bへ引き上げられました。ただし、顧客の設備投資サイクル、装置納入タイミング、輸出規制、中国向け売上比率の変化には注意が必要です。[2][3]
最終的な結論:両社は補完関係にあります。ポートフォリオでは「製造(TSMC)」と「装置(ASML)」の二段構えでテーマ全体に分散させる戦略が理にかないます。TSMCはAI半導体の量産力、ASMLはEUV/High-NAという製造装置の技術的優位が投資テーマです。
※本ページの分析は2026年5月6日時点の公開情報に基づいています。投資の最終判断は必ずご自身の責任で行ってください。
売上の通貨がTSMCは米ドル/台湾ドル、ASMLはユーロで公表されます。成長率の比較では、事業の実力に加えて為替の影響も混ざるため、「各社の開示通貨ベースの通期・四半期データ」を基準に把握するのが安全です。[1][3]
【注】(出典リンク)
- TSMC 2026年Q1実績・2026年Q2ガイダンス(売上US$35.90B、粗利益率66.2%、Q2売上US$39.0B〜US$40.2B等) → TSMC Quarterly Results 2026 Q1(一次情報) / TSMC Press Release(一次情報) / 確認日:2026-05-06 ↩
- ASMLのEUV技術・露光装置の位置づけ → ASML EUV lithography systems(一次情報) / 確認日:2026-05-06 ↩
- ASML 2026年Q1実績・2026年見通し(総売上€8.767B、粗利益率53.0%、2026年売上€36B〜€40B等) → ASML Q1 2026 Financial Results(一次情報) / Reuters(二次情報) / 確認日:2026-05-06 ↩
- ASML 2025年配当(総配当€7.50、最終配当€2.70) → ASML 2026 AGM Results(一次情報) / 確認日:2026-05-06 ↩
- 株価・時価総額の前提(TSM $394.41、ASML $1,442.92、2026年5月6日12:53 UTC時点) → Yahoo Finance:TSM(二次情報) / Yahoo Finance:ASML(二次情報) / 確認日:2026-05-06 ↩
- TSMC 2025通期・2024通期売上(US$122.42B、US$90.08B) → TSMC Quarterly Results 2025 Q4(一次情報) / 確認日:2026-05-06 ↩
- ASML 2025通期・2024通期売上、2028年までの自社株買いプログラム(2025年売上€32.667B、2024年売上€28.263B、最大€12B買戻し) → ASML Q4 2025 / Full-year 2025 Results(一次情報) / 確認日:2026-05-06 ↩
- TSMC 2026年月次売上(2026年1〜3月累計NT$1,134.103B、前年比+35.1%) → TSMC Monthly Revenue 2026(一次情報) / 確認日:2026-05-06 ↩
- ファウンドリ市場シェア(2025年Q2、TSMC 70.2%) → TrendForce Press Center(二次情報) / 確認日:2026-05-06 ↩

