CVX:シェブロンの配当推移

エネルギー,ダウ30銘柄,バフェット銘柄,配当

シェブロン(Chevron Corporation)の配当利回りと株価をチャート(直近90日間)で見てみます。

権利落ち日や配当性向(1株配当÷EPS、EPS比で配当を払い過ぎていないかを図る指標)等も確認してみます。

配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート

年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等

年平均の配当利回りや配当成長率、配当性向、年間の一株配当($)、平均株価、通年EPSの推移を確認してみます。

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配当 平均株価 年EPS
平均利回り 成長率 配当性向 年計
2024 4.26% 8% 67% 6.52 153.1 9.72
2023 3.77% 6% 53% 6.04 160.2 11.36
2022 3.57% 7% 31% 5.68 158.9 18.28
2021 5.10% 3% 65% 5.31 104.2 8.14
2020 5.84% 8% -174% 5.16 88.3 -2.96
2019 3.98% 6% 309% 4.76 119.6 1.54
2018 3.73% 4% 58% 4.48 120.2 7.74
2017 3.87% 1% 89% 4.32 111.5 4.85
2016 4.29% 0% -1589% 4.29 99.9 -0.27
2015 4.44% 2% 175% 4.28 96.4 2.45
2014 3.49% 8% 42% 4.21 120.5 10.14
2013 3.24% 11% 35% 3.9 120.2 11.09
2012 3.26% 14% 26% 3.51 107.6 13.32
2011 3.06% 9% 23% 3.09 100.9 13.44
2010 3.64% 7% 30% 2.84 78.1 9.48
2009 3.79% 5% 51% 2.66 70.2 5.24
2008 2.98% 12% 22% 25 84.9 11.67

【出典】

一貫した配当成長の実績

シェブロン(CVX)の配当実績は、エネルギー市場の大きな変動にもかかわらず、驚くべき一貫性を示しています。2024年時点で37年連続増配を継続しており、米国を代表する「配当貴族」(S&P500構成銘柄で25年以上連続増配企業)としての地位を確立しています。特筆すべきは、2020年のCOVID-19パンデミックにより55億ドルの純損失を計上しながらも増配を実施し、投資家への強いコミットメントを示したことです。この配当の堅実さは、同社の財務基盤の強さと長期的な株主還元への揺るぎない姿勢を反映しています。

配当成長率の推移

CVXの配当成長率は、市場環境に応じて変動しながらも、常にプラスを維持してきました:

  • 2008〜2013年:好調な原油市場で力強い成長(5〜14%)
  • 2014〜2017年:原油価格下落期も増配継続(0〜8%、平均2.7%)
  • 2018〜2020年:業績回復に伴う増配加速(4〜8%)
  • 2021年:パンデミック後の慎重な成長(3%)
  • 2022〜2024年:エネルギー価格高騰と業績回復による力強い増配(6〜8%)

このパターンは、同社が景気循環や原油価格サイクルに対応しながらも、配当の継続的成長にコミットしていることを示しています。特に注目すべきは、2016年と2020年という厳しい市場環境下でも配当増加を維持した点で、これはエネルギーセクターでは珍しい実績です。BPが同期間に大幅な配当削減を行ったのとは対照的に、シェブロンは配当を「聖域」として保護する姿勢を貫いています。

配当利回りの魅力

CVXの配当利回りは、長期的に市場平均を上回る魅力的な水準を維持しています。原油価格の低迷期(2015-2016年)や市場混乱期(2020年)には特に高い利回りを提供し、収入重視の投資家にとって魅力的な投資先となっています。

特に注目すべき点は:

  • 市場環境に応じて3%〜6%の範囲で推移する配当利回り
  • 原油価格低迷期には高い利回りを提供(防衛的特性)
  • 長期的に見て株価上昇と配当成長の両方で投資家に報いている

この安定した配当利回りは、シェブロンの「高品質エネルギー配当株」としての地位を強化しています。特に、BPなどの競合他社と比較して、配当の持続可能性と成長の両面で優位性を持っています。また、市場環境が悪化した際の配当利回りの上昇は、株価の下落幅が配当の成長によって部分的に相殺されていることを示しており、景気循環性の高いエネルギーセクターにおいて重要な「ダウンサイドプロテクション」を提供しています。

注目ポイント:シェブロンは37年連続増配の「配当貴族」として、市場環境に左右されない安定した配当成長を実現しています。同社は原油価格の変動に対して、配当を保護するため、必要に応じて資本的支出の削減、非中核資産の売却、短期的な負債増加などの施策を実施します。株主還元を最優先する同社の姿勢は、特に不安定な市場環境下での投資家の信頼を高めています。また、直近ではパイオニア・ナチュラル・リソーシズ買収への対抗姿勢を見せたことからもわかるように、同社は大型買収よりも既存事業の効率化と段階的な成長を重視する「財務規律の高さ」も特徴です。

配当性向の持続可能性

CVXの配当性向は、原油価格サイクルに伴って大きく変動します。2015年(174%)、2019年(307%)といった高い配当性向や、2016年と2020年には純損失により計算上マイナスとなる期間もありました。一方で、好調な2022年には31%と低水準の配当性向を記録しています。

配当性向変動の理解:エネルギー企業特有の純利益の変動性が配当性向に大きく影響しています:

  • 2015-2016年:原油価格急落による減益と資産減損で配当性向が急上昇
  • 2019年:下流事業の一時的要因による収益悪化で配当性向が307%に
  • 2020年:COVID-19パンデミックによる原油価格暴落で純損失を計上
  • 2022年:エネルギー価格高騰による過去最高益で配当性向が31%に低下

このような極端な配当性向の変動は、会計上の一時的要因による純利益の変動が大きく影響しています:

  • 資産減損:市場環境の変化による資産評価の見直し
  • 在庫評価:原油価格の急激な変動による棚卸資産の評価損益
  • 税制変更:法人税率や税控除の変更による一時的影響
  • 統合・再編コスト:合併や事業再編に伴う一時費用

シェブロンの強みは、純利益の大きな変動にもかかわらず、営業キャッシュフローが一貫して配当をカバーできる水準を維持している点にあります。2020年の厳しい環境下でも、営業CF(10,577M$)は配当支払いをカバーできる水準でした。2022年以降は営業CFが年間30,000M$以上を維持しており、配当の安全性は非常に高いと評価できます。これにより、2024年に配当性向が67%と適正範囲内に収まっていることからも、今後も持続可能な配当政策を継続できると考えられます。

財務パフォーマンスと成長見通し

以下の表では、売上高、営業CF、純利益はM$(百万ドル)単位、営業CFマージン(表記は同マージン)は%単位で表示しています。

主要財務指標の推移

年度 売上高 営業CF 同マージン 純利益
2008 273,005 29,632 11 23,931
2009 171,636 19,373 11 10,483
2010 204,928 31,354 15 19,024
2011 253,706 41,095 16 26,895
2012 241,909 38,812 16 26,179
2013 228,848 35,002 15 21,423
2014 211,970 31,475 15 19,241
2015 138,477 19,456 14 4,587
2016 114,472 12,690 11 -497
2017 141,722 20,338 14 9,195
2018 166,339 30,618 18 14,824
2019 146,516 27,314 19 2,924
2020 94,692 10,577 11 -5,543
2021 155,067 29,187 19 15,625
2022 235,916 49,602 21 35,465
2023 194,799 35,609 18 21,369
2024 195,568 31,492 16 17,661

収益性と効率性の変動

CVXの財務データからは、エネルギー産業特有の景気循環性と、同時に効率的な事業運営が見てとれます:

  • 売上高は原油価格に連動して変動し、2011年の253,706M$から2020年には94,692M$へと大幅に減少
  • 営業CFマージンは景気循環を通じて11%〜21%の範囲で推移し、業界平均を上回る安定性
  • 純利益は2022年に過去最高の35,465M$を記録する一方、2016年と2020年には赤字を計上
  • 2021年以降は高水準の収益性を維持し、2024年も安定した業績を継続

特筆すべきは、シェブロンの営業CFマージンが業界平均を一貫して上回り、特に2018-2023年の期間は18-21%という高水準を維持していることです。これは同社の効率的な事業運営、低コスト生産資産へのポートフォリオシフト、そして厳格なコスト管理の成果と言えるでしょう。また、2024年も16%の営業CFマージンを維持しており、原油価格環境の正常化にもかかわらず、高い収益性を確保しています。

安定したキャッシュフロー基盤

以下の表では、営業CF、投資CF、財務CFはM$(百万ドル)単位で表示しています。

年度 営業CF 投資CF 財務CF
2008 29,632 -17,081 -10,400
2009 19,373 -16,572 -3,546
2010 31,354 -20,915 -5,165
2011 41,095 -27,489 -11,769
2012 38,812 -24,796 -8,980
2013 35,002 -35,609 -3,821
2014 31,475 -29,893 -4,999
2015 19,456 -23,808 2,815
2016 12,690 -16,370 25
2017 20,338 -8,320 -14,554
2018 30,618 -12,290 -13,699
2019 27,314 -11,458 -19,758
2020 10,577 -6,965 -3,736
2021 29,187 -5,865 -23,113
2022 49,602 -12,108 -24,978
2023 35,609 -15,232 -30,109
2024 31,492 -8,936 -23,472

シェブロンの強みは、その安定したキャッシュフロー創出能力にあります。石油メジャーとしての規模と効率性を活かし、景気循環を通じて堅調なキャッシュフローを確保しています:

  • 2020年のパンデミック時でも10,577M$の営業CFを確保
  • 2022年には過去最高の49,602M$の営業CFを記録
  • 2023-2024年も30,000M$以上の高水準を維持
  • 2021-2024年の財務CFの大幅なマイナス(-23,113M$〜-30,109M$)は、積極的な株主還元と負債削減を反映

投資CFに注目すると、シェブロンは市場環境に応じて投資規模を柔軟に調整していることがわかります。2020年(-6,965M$)と2021年(-5,865M$)のパンデミック時には投資を抑制し、その後の2022-2023年には回復基調となっています。また、2024年の投資CF(-8,936M$)は前年より減少していますが、これは選択と集中による投資効率の向上を反映している可能性があります。

キャッシュフロー分析のポイント:シェブロンのキャッシュフロー管理は「安定性と成長のバランス」を重視しています。好調な時期(2021-2024年)には豊富なキャッシュを株主還元(配当と自社株買い)と負債削減に振り向け、財務基盤を強化。同時に、高収益が見込める重点プロジェクト(パーミアン盆地、ガイアナ沖、豪州LNGなど)への選択的投資を継続し、将来の成長基盤を構築しています。この規律ある資本配分が、配当の持続可能性を高めています。

健全な財務基盤

以下の表では、総資産、総負債、株主資本はM$(百万ドル)単位、自己資本率は%単位で表示しています。

年度 総資産 総負債 株主資本 自己資本率 負債比率
2008 161,165 74,048 86,648 54 85
2009 164,621 72,060 91,914 56 78
2010 184,769 78,958 105,081 57 75
2011 209,474 87,293 121,382 58 72
2012 232,982 95,150 136,524 59 70
2013 253,753 103,326 149,113 59 69
2014 266,026 109,835 155,028 58 71
2015 264,540 110,654 152,716 58 72
2016 260,078 113,356 145,556 56 78
2017 253,806 104,487 148,124 58 71
2018 253,863 98,221 154,554 61 64
2019 237,428 92,220 144,213 61 64
2020 239,790 107,064 131,688 55 81
2021 239,535 99,595 139,940 58 71
2022 257,709 97,467 160,242 62 61
2023 261,632 99,703 161,929 62 62
2024 256,938 103,781 153,157 60 68

シェブロンの資本構成は、石油メジャーの中でも特に健全性が高いと評価できます:

  • 自己資本率は54%〜62%の高水準で推移し、業界平均を大きく上回る
  • 負債比率は2008年の85%から2022年には61%まで低下し、近年は60%台で安定
  • 総資産は2014年にピーク(266,026M$)を記録後、効率化により適正規模を維持
  • 株主資本は2013年から2023年にかけて約9%増加し、着実な成長を実現

資本構成の変化には、以下の要因が影響しています:

  • 2008-2013年:積極的な投資拡大期で総資産が増加
  • 2015-2016年:原油価格の急落による資産評価の見直しと効率化
  • 2020年:パンデミックによる一時的な負債比率の上昇(81%)
  • 2021-2023年:原油高によるキャッシュフロー増加と負債削減で財務基盤を強化
  • 2024年:株主還元強化に伴う株主資本の若干の減少

特筆すべきは、シェブロンの負債比率が2020年のパンデミック時に81%まで上昇したものの、2022年には61%まで急速に改善した点です。これは、厳しい環境下でも健全な財務運営を迅速に回復させる同社の能力を示しています。また、2023-2024年も60%台の負債比率を維持しており、石油メジャーの中でも特に保守的な財務戦略を採用しています。

この強固な財務基盤は、不安定なエネルギー市場において重要な競争優位性となります。特に、原油価格が低迷する局面でも、配当維持と戦略的投資を継続できる余力を持っていることが、長期的な株主価値創造につながっています。また、低水準の負債と高い自己資本比率は、融資コストの低減や投資機会への迅速な対応能力向上にもつながっています。

まとめ:長期配当投資家にとってのCVXとは?

シェブロンは、エネルギー業界の変動性の高い環境においても、長期的な株主価値の創造と安定した配当政策を両立させてきました。原油価格サイクルや地政学的リスク、エネルギートランジションの課題にもかかわらず、37年連続増配を達成し、米国株式市場において「配当貴族」としての地位を確立しています。

同社の強みは以下の点にあります:

  • 37年連続増配という優れた配当実績(S&P500指数の「配当貴族」)
  • 業界トップクラスの財務健全性(高い自己資本率と低い負債比率)
  • 安定した営業キャッシュフロー創出能力(原油価格低迷期にも耐性あり)
  • 効率的な低コスト生産資産へのポートフォリオ最適化
  • 垂直統合型ビジネスモデルによる市場変動への耐性
  • 規律ある資本配分と投資効率の向上
  • 低炭素事業への段階的・実用的アプローチ

一方で、投資家が留意すべき点としては:

  • 原油価格依存による収益変動性(ただし競合他社と比較して変動は小さい)
  • 長期的なエネルギートランジションへの対応リスク
  • 炭素税や環境規制強化による収益性への潜在的影響
  • 電気自動車普及加速によるガソリン需要減少リスク
  • 再生可能エネルギー企業との競争激化
  • 地政学的リスク:資源国での政治的不安定性や資源ナショナリズム
  • 資産評価損のリスク:気候変動政策強化に伴う座礁資産化

投資家へのポイント:シェブロンは「安定性と成長のバランス」を重視するエネルギーセクターの代表的な配当銘柄です。同社は配当を最優先事項とし、37年間の連続増配実績は、景気循環を通じた配当コミットメントの強さを示しています。特に、インカム重視の投資家にとっては、4%前後の魅力的な配当利回りと、増配による「インフレヘッジ」機能が魅力です。同社は伝統的な石油・ガス事業からの安定したキャッシュフローを基盤に、低炭素事業への段階的移行を進めています。この実用的アプローチは、短期的な配当の安全性と長期的な事業の持続可能性のバランスを取るものと評価できます。強固な財務基盤と低コスト生産資産のポートフォリオを持つシェブロンは、様々な市場環境下でも配当を維持・成長させる能力を持っており、長期的な配当投資家にとって核心的な保有銘柄と位置づけられるでしょう。

よくある質問

シェブロンの連続増配記録は今後も続くと期待できますか?

シェブロンの37年連続増配という実績は、今後も継続する可能性が高いと評価できます。同社は配当を経営の最優先事項として位置づけ、2016年や2020年といった厳しい市場環境下でも増配を継続してきました。この持続可能性を支える要因として、(1)堅固な財務基盤(自己資本率60%、負債比率68%)、(2)低コスト生産資産へのポートフォリオシフトによる収益性向上、(3)柔軟な資本支出計画(必要に応じて投資を抑制)、(4)営業CFが配当の約3倍という十分なカバレッジ、が挙げられます。また、石油メジャーとしての規模と垂直統合モデルは、市場変動への耐性を高めています。短中期的には、パーミアン盆地やガイアナ沖など高収益プロジェクトの拡大が、安定したキャッシュフロー基盤を強化するでしょう。長期的なエネルギートランジションはリスク要因ですが、同社は実用的アプローチで対応しており、配当の安全性を最優先する姿勢は変わらないと考えられます。

シェブロンはエネルギートランジションにどのように対応していますか?

シェブロンのエネルギートランジション戦略は「実用的・段階的アプローチ」が特徴で、急激な事業転換ではなく、既存の強みを活かした計画的移行を目指しています。具体的には、(1)主力の石油・ガス事業での炭素強度削減(メタン排出量削減、フレアリング廃止など)、(2)自社技術・知見を活かせる低炭素事業(再生可能燃料、水素、CCUS:炭素回収・利用・貯留)への選択的投資、(3)2050年カーボンニュートラル目標に向けた段階的移行、という3つの柱で進めています。年間約25億ドルを低炭素事業に投資していますが、これはBPなど欧州メジャーと比較すると控えめな規模です。重要なのは、シェブロンが短期的な事業転換ではなく、長期的な視点で石油・ガス事業からの安定収益を確保しながら、低炭素技術の成熟に合わせて投資を拡大する戦略を採用していることです。これにより、配当の安定性を損なうことなく、エネルギートランジションへの対応を進めることができると考えられます。

2016年と2020年の赤字にもかかわらず配当を増加できた理由は何ですか?

シェブロンが2016年(-497M$の損失)と2020年(-5,543M$の損失)という厳しい状況でも配当増加を継続できた理由は複数あります。まず、これらの純損失は主に資産減損など非現金項目によるもので、営業キャッシュフローはプラスを維持していました(2016年は12,690M$、2020年は10,577M$)。加えて、シェブロンは「配当を守るための複数層の防衛策」を実施:(1)資本的支出の大幅削減(2016年は前年比-35%、2020年は約-30%)、(2)非中核資産の売却加速、(3)厳格なコスト削減プログラムの実施(2020年は運営費を約20%削減)、(4)必要に応じた短期的な負債増加(2020年は負債比率が一時的に81%に上昇)、(5)自社株買いの一時停止によるキャッシュ保全。こうした多角的アプローチにより、厳しい市場環境でもキャッシュフローを確保しました。さらに、シェブロンは「配当は景気循環を通じて維持・成長させるべき」という経営哲学を持っており、一時的な業績悪化で配当政策を変更することは株主の長期的利益に反すると考えています。この長期視点の配当政策が、37年間の連続増配を可能にしていると言えるでしょう。

シェブロンとエクソンモービル、どちらが配当投資に適していますか?

シェブロンとエクソンモービルは、どちらも米国を代表する石油メジャーで、長期連続増配の実績を持つ優良配当銘柄です。両社の比較ポイントとしては:(1)連続増配実績では、エクソンモービルが62年連続増配の「配当王」であるのに対し、シェブロンは37年連続増配の「配当貴族」です。(2)財務健全性では、シェブロンの自己資本率(約60%)がエクソンモービルをやや上回っています。(3)事業ポートフォリオでは、エクソンモービルが化学事業でより強みを持ち、シェブロンはLNG(液化天然ガス)事業で優位性があります。(4)投資効率では、近年シェブロンがROEやROCEでやや優位な傾向があります。(5)配当成長率は両社とも年率3-8%程度で推移しています。どちらが優れているかは投資家の優先事項によりますが、シェブロンはやや保守的な財務運営と段階的な成長戦略を特徴とする一方、エクソンモービルはより長い増配実績と規模の大きな低炭素投資を特徴としています。安定性を重視する投資家にはシェブロン、長期実績を重視する投資家にはエクソンモービルが向いているかもしれません。実際には、エネルギーセクターのリスク分散の観点から、両社を保有するポートフォリオ構築も合理的な選択肢です。

※本記事は投資判断の参考として財務データを分析したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。

【出典】

Posted by 南 一矢