DE:ディアアンドカンパニーの配当推移

資本財,配当

【2026年9月更新】 本記事は、Deere & Companyの2025年度通期決算に加え、2026年度第3四半期決算、2026年度第3四半期Form 10-Q、2026年8月に宣言された四半期配当、2026年度通期見通しを反映して更新しました。2026年度第3四半期(2026年8月2日終了)は、売上高・収益126.08億ドル、Deere帰属純利益13.79億ドル、希薄化後EPS5.10ドルでした。2026年度9カ月累計では、売上高・収益355.89億ドル、純利益38.08億ドル、EPS14.06ドルです。会社は2026年度通期の純利益見通しを47.5億〜50.0億ドルへ引き上げました。[1]

ディア・アンド・カンパニー(Deere & Company、ティッカー:DE)の配当利回りと株価をチャート(直近90日間)で見てみます。

権利落ち日や配当性向(1株配当÷EPS、EPS比で配当を払い過ぎていないかを見る指標)等も確認します。Deereは農業機械・建設機械の景気循環を受けやすい企業なので、EPSだけでなく、営業キャッシュフロー、設備投資、金融サービス部門の負債もあわせて確認する必要があります。

2026年8月26日には、四半期配当1.62ドルを2026年11月9日に支払うことが発表されました。基準日は2026年9月30日です。四半期配当は2025年末以降1.62ドルが維持されており、現行年率配当は6.48ドルです。[2]

配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート

年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等

年平均の配当利回りや配当成長率、配当性向、年間の一株配当、平均株価、通年EPSの推移を確認します。

Deereの決算期はおおむね10月末〜11月初旬で終了します。そのため、平均株価は会計年度に合わせた期間で見るのが望ましいですが、長期比較では年次ベースの平均株価と若干ずれる場合があります。

2026Eについては通年の平均株価ではなく、最新の終了済み取引日である2026年9月16日終値670.36ドルを用いた参考値です。現行年率配当6.48ドルに対する予想配当利回りは約0.97%です。[3]

年 配当 平均株価 年EPS
(希薄化後)
平均利回り
/参考利回り
成長率 配当性向 年計
2026E 約0.97%
(9月16日終値)
0% 約35〜37%
(会社純利益見通しから概算)
6.48
(現行年率)
670.36
(9月16日終値)
概算17.5〜18.5
(純利益見通しから概算)
2025 1.37% 10% 35% 6.48 473.3 18.50
2024 1.31% 16% 23% 5.88 448.3 25.62
2023 1.31% 16% 15% 5.05 384.5 34.63
2022 1.08% 21% 19% 4.36 404.5 23.28
2021 1.00% 19% 19% 3.61 362.7 18.99
2020 0.91% 0% 35% 3.04 334.6 8.69
2019 1.76% 18% 30% 3.04 172.7 10.15
2018 1.64% 8% 36% 2.58 157.6 7.24
2017 1.60% 0% 36% 2.40 149.7 6.68
2016 2.10% 0% 50% 2.40 114.3 4.81
2015 2.98% 8% 42% 2.40 80.6 5.77
2014 2.52% 12% 26% 2.22 88.0 8.63
2013 2.28% 11% 22% 1.99 87.4 9.09
2012 2.08% 18% 23% 1.79 86.0 7.63
2011 1.91% 31% 23% 1.52 79.5 6.63
2010 1.40% 4% 27% 1.16 82.9 4.35
2009 1.86% 6% 54% 1.12 60.1 2.06
2008 2.69% 16% 23% 1.06 39.4 4.70

※2025年の平均利回りは、年間配当6.48ドルを平均株価473.3ドルで割って計算した概算です。2026Eは2026年9月16日終値670.36ドルと現行年率配当6.48ドルで計算しています。2026EのEPSは、会社の通期純利益見通し47.5億〜50.0億ドルを、2026年度9カ月累計の希薄化後平均株式数約270.8百万株で割った概算です。[1][3][5]

Deere & Companyの配当と財務分析:堅実な成長と農業機器産業のリーダー

着実に成長する配当の実績

Deere & Companyの配当実績は、農業機器産業特有の周期性にもかかわらず、長期では大きく成長しています。2008年の1株当たり1.06ドルから2025年度には6.48ドルへと、17年間で約511%増加しました。2026年度も2026年8月時点で四半期1.62ドルが維持されており、現行年率配当は6.48ドルです。[4][2]

ただし、Deereは景気循環に左右される資本財企業です。配当は安定的に増えていますが、EPSや営業キャッシュフローは農業機械需要、建設機械需要、金利、農産物価格、在庫サイクルの影響を受けます。そのため、単に増配実績だけを見るのではなく、低迷期でも配当性向が無理のない範囲に収まっているかを確認することが重要です。

配当成長率の推移と最新動向

DEの配当成長率は、農業市場のサイクルや事業環境を反映して変動していますが、長期では増加基調を維持しています。

  • 2008〜2010年:4〜16%の成長
  • 2011〜2014年:11〜31%の高い成長率
  • 2015〜2017年:成長減速期(8%、0%、0%)
  • 2018〜2024年:8〜21%の増配を継続
  • 2025年度:年間配当を5.88ドルから6.48ドルへ引き上げ、約10%増配
  • 2026年度:2026年8月時点まで四半期1.62ドルを維持し、現行年率配当は6.48ドル

このパターンは、農業および建設機器市場のサイクル、世界経済、そして同社の資本配分方針を反映しています。2016〜2017年の農業市場低迷期には配当を維持し、その後の回復局面では増配を再開しました。

2025年度は農業機械需要の調整により、Deere帰属純利益が2024年度の71.00億ドルから50.27億ドルへ減少しました。それでも、年間配当6.48ドルに対し希薄化後EPSは18.50ドルで、配当性向は約35%でした。[4]

配当性向の持続可能性と2025〜2026年の状況

配当性向(1株配当÷EPS)は、DEの配当政策を見るうえで重要な指標です。その推移を見ると:

  • 2008〜2014年:おおむね20%台
  • 2015〜2016年:収益低迷期に42〜50%へ上昇
  • 2017〜2020年:30〜36%前後
  • 2021〜2023年:好業績により15〜19%へ低下
  • 2024年:約23%
  • 2025年:約35%
  • 2026年度9カ月累計:約35%(宣言配当4.86ドル÷EPS14.06ドル)
  • 2026E:会社純利益見通し47.5億〜50.0億ドルをもとにすると、概算配当性向は約35〜37%

2026年度9カ月の確認点:2026年度9カ月累計の希薄化後EPSは14.06ドルでした。同期間の1株当たり宣言配当は4.86ドルで、単純なEPSベースの配当性向は約34.6%です。会社の通期純利益見通し47.5億〜50.0億ドルと現行年率配当6.48ドルから見ても、通期配当性向は概算で30%台半ばになる計算です。[1][5]

持続可能な配当性向の特徴:DEの配当性向は、好況期に低下し、農業機械市場の低迷期に上昇する傾向があります。2025年度の約35%、2026年度9カ月の約35%という水準は、過去の低迷局面と比べても極端に高い水準ではありません。ただし、Deereでは利益と営業CFの季節変動が大きいため、EPSだけでなく通期キャッシュフローも確認する必要があります。

財務パフォーマンスと成長見通し(2026年9月更新)

以下の表では、売上高、営業CF、純利益はM$(百万ドル)単位、営業CFマージンは%単位で表示しています。

主要財務指標の推移(2025年通期・2026年Q1〜Q3データ追加)

年度 売上高
(Net sales & revenues)
営業CF 同マージン 純利益
(Deere帰属)
希薄化後EPS
2026 9カ月 35,589 3,250 9% 3,808 14.06
2026 Q3 12,608 — — 1,379 5.10
2026 上半期 22,981 1,042 5% 2,429 8.97
2026 Q2 13,369 — — 1,773 6.55
2026 Q1 9,611 -890 -9% 656 2.42
2025 45,684 7,459 16% 5,027 18.50
2024 51,716 9,231 18% 7,100 25.62
2023 61,222 8,589 14% 10,166 34.63
2022 52,563 4,699 9% 7,131 23.28
2021 43,983 7,726 18% 5,963 18.99
2020 35,514 7,483 21% 2,751 8.69
2019 39,258 3,412 9% 3,253 10.15
2018 37,358 1,822 5% 2,368 7.24
2017 29,738 2,196 7% 2,159 6.68
2016 26,644 3,770 14% 1,524 4.81
2015 28,863 3,759 13% 1,940 5.77
2014 36,067 3,526 10% 3,162 8.63
2013 37,795 3,254 9% 3,537 9.09
2012 36,157 1,168 3% 3,065 7.63
2011 32,013 2,326 7% 2,800 6.63
2010 26,005 2,282 9% 1,865 4.35
2009 23,112 1,985 9% 874 2.06
2008 28,438 1,949 7% 2,053 4.70

※2026 Q1は2026年2月1日終了四半期、Q2は2026年5月3日終了四半期、Q3は2026年8月2日終了四半期です。2026年度9カ月累計の営業CFは3,250Mドルで、前年同期の3,464Mドルから約6%減少しました。[5]

収益性と効率性の分析(2026年Q3・関税影響を含む)

DEの財務データからは、農業機器業界特有の景気循環性と、事業ポートフォリオによる下支えが見て取れます。

  • 売上高・収益は2016年の26,644Mドルから2023年に61,222Mドルへ拡大した後、2024〜2025年は農業機械需要の調整で減少
  • 2025年度の売上高・収益は45,684Mドルで、2024年度から12%減少
  • 2025年度の純利益は5,027Mドルで、2024年度から29%減少
  • 2026年度Q3は売上高・収益12,608Mドル、純利益1,379Mドル、EPS5.10ドル
  • 2026年度9カ月累計は売上高・収益35,589Mドルで前年同期比7%増
  • 2026年度9カ月累計の純利益は3,808Mドルで前年同期比4%減
  • 2026年度通期の会社純利益見通しは4.75B〜5.00Bドルへ引き上げ
【2026年度第3四半期の実績】 2026年度第3四半期は、世界全体の売上高・収益が12.608Bドルとなり前年同期比5%増、Deere帰属純利益は1.379Bドルで7%増、希薄化後EPSは5.10ドルでした。大型農業機械は引き続き弱いものの、Small Ag & TurfとConstruction & Forestryの伸びが全社を支えました。会社は通期純利益見通しの下限を4.5Bドルから4.75Bドルへ引き上げています。[1]

Q3には関税関連の回収額として110Mドル、2026年度9カ月累計では382Mドルが計上されています。したがって、Q3の利益改善を見る際には、価格実現、販売数量、材料費などの基礎的な要因と関税関連の回収効果を分けて見る必要があります。[1]

セグメント別に見た2026年度第3四半期

セグメント Q3 FY2026
売上・収益
前年同期比 Q3 FY2026
営業利益/純利益
コメント
Production & Precision Ag 3,998M$ -6% 527M$ 大型農業機械の弱さが継続。営業利益は前年同期比-9%、営業利益率13.2%。
Small Ag & Turf 3,383M$ +12% 622M$ 出荷増と価格実現が寄与。営業利益は+28%、営業利益率18.4%。
Construction & Forestry 3,618M$ +18% 436M$ 出荷増と価格実現が寄与。営業利益は+84%、営業利益率12.1%。
Financial Services 1,371M$
(収益)
-3% 219M$
(純利益)
平均ポートフォリオ縮小の影響を、金融利ざや改善が補い、純利益は+7%。

2026年度第3四半期は、全社では増収増益となりましたが、セグメント間の差は大きい状態です。Production & Precision Agricultureは減収減益でしたが、Small Ag & TurfとConstruction & Forestryは二桁増収となり、特に建設・林業部門の営業利益が大きく回復しました。[1]

農業機械サイクルは底打ちに近づいたか

Deereは2026年度第3四半期決算で、「2026年度が現在の農業機械サイクルの底になる」との見方を維持しました。一方、地域別の需要にはまだ弱さが残っています。[1]

  • 米国・カナダの大型農業機械:2026年度は前年比15〜20%減見通し
  • 欧州農業機械:横ばい見通し
  • 南米のトラクター・コンバイン:15〜20%減見通し
  • 米国・カナダのSmall Ag & Turf:横ばい〜5%増見通し
  • アジア農業機械:横ばい見通し

一方、2026年度のセグメント別会社予想では、Production & Precision Agの売上は約10%減を見込むのに対し、Small Ag & Turfは約15%増、Construction & Forestryは約20%増を見込んでいます。大型農業機械だけを見ると低迷局面が続いていますが、会社全体では小型農機や建設機械が下支えしています。[1]

キャッシュフロー基盤(2025年通期・2026年9カ月)

以下の表では、営業CF、投資CF、財務CFはM$(百万ドル)単位、営業CF成長率は%単位で表示しています。

年度 営業CF 成長率 投資CF 財務CF 配当支払 自社株買い
2026 9カ月 3,250 -6% -825 -1,828 1,316 697
2026 上半期 1,042 +83% 93 -1,627 878 500
2026 Q1 -890 — 1,822 -2,490 441 302
2025 7,459 -19% -2,057 -4,579 1,720 1,138
2024 9,231 7% -6,464 -2,717 1,605 4,007
2023 8,589 83% -8,749 2,808 — —
2022 4,699 -39% -8,485 826 — —
2021 7,726 3% -5,750 -1,078 — —
2020 7,483 119% -3,319 -980 — —
2019 3,412 87% -3,924 509 — —
2018 1,822 -17% -8,176 876 — —
2017 2,196 -42% -1,662 4,286 — —
2016 3,770 0% -1,177 -2,406 — —
2015 3,759 7% -1,059 -2,138 — —
2014 3,526 8% -2,881 -288 — —
2013 3,254 179% -4,821 407 — —
2012 1,168 -50% -4,004 3,880 — —
2011 2,326 2% -2,621 140 — —
2010 2,282 15% -2,109 -1,010 — —
2009 1,985 2% -57 470 — —
2008 1,949 -29% -1,426 -649 — —

DEのキャッシュフロー推移には、業績の周期性が明確に表れます。

  • 2025年度の営業CFは7.459Bドルで、2024年度の9.231Bドルから減少
  • 2025年度の配当支払は1.720Bドル、自社株買いは1.138Bドル
  • 2026年度9カ月の営業CFは3.250Bドルで、前年同期の3.464Bドルから約6%減少
  • 2026年度9カ月の配当支払は1.316Bドル、自社株買いは697Mドル
  • 2026年度9カ月の営業CFは配当支払額の約2.5倍

2026年度9カ月のキャッシュフロー評価:2026年度上半期の営業CFは1.042Bドルでしたが、Q3を含む9カ月累計では3.250Bドルまで増えました。ただし、前年同期の3.464Bドルをやや下回っています。配当支払1.316Bドルは営業CFの約40%であり、現時点では営業CFが配当を上回っていますが、2025年度通期のカバー率より余裕は小さく見えます。Deereは年内の運転資本変動が大きいため、最終的な評価にはQ4を含む通期CFを確認する必要があります。[5]

キャッシュフロー分析のポイント:DEは市場環境が良好な局面で強いキャッシュフローを生み、配当と自社株買いを拡大し、低迷局面では自社株買いを抑えながら配当を維持する傾向があります。2026年度9カ月の自社株買い697Mドルは、2024年度通期の4.007Bドルを大きく下回っています。

健全な財務基盤と資本構成(2025年通期・2026年Q3)

以下の表では、総資産、総負債、株主資本はM$(百万ドル)単位、自己資本率は%単位で表示しています。負債比率は総負債÷株主資本で計算しています。

年度 総資産 総負債 株主資本 自己資本率 負債比率
2026 Q3 107,607 79,566 27,997 26% 284%
2026 Q2 107,001 79,541 27,413 26% 290%
2026 Q1 103,436 77,079 26,307 25% 293%
2025 105,996 79,989 25,956 24% 308%
2024 107,320 84,395 22,843 21% 369%
2023 104,087 82,201 21,886 21% 376%
2022 90,030 69,673 20,357 23% 342%
2021 84,114 65,680 18,434 22% 356%
2020 75,091 62,147 12,944 17% 480%
2019 73,011 61,580 11,413 16% 540%
2018 70,108 58,803 11,288 16% 521%
2017 65,786 56,212 9,557 15% 588%
2016 57,919 51,374 6,520 11% 788%
2015 57,948 51,190 6,743 12% 759%
2014 61,336 52,271 9,063 15% 577%
2013 59,521 49,254 10,266 17% 480%
2012 56,266 49,404 6,842 12% 722%
2011 48,207 41,393 6,800 14% 609%
2010 43,267 36,963 6,290 15% 588%
2009 41,133 36,310 4,819 12% 753%
2008 38,735 32,202 6,533 17% 493%

DEの資本構成は、2010年代半ばと比較すると改善しています。

  • 自己資本率は2016年度の11%から2025年度末に24%へ改善
  • 2026年度第3四半期末の自己資本率は約26%
  • 負債比率は2016年度の788%から2026年度第3四半期末には約284%へ低下
  • 2026年度第3四半期末の総資産は107.607Bドル、総負債は79.566Bドル、株主資本は27.997Bドル
  • 金融サービス部門を持つため、製造業だけの企業に比べて負債比率が高く見えやすい

2026年度第3四半期末の財務:現金・現金同等物は8.928Bドル、現金・現金同等物と制限付き現金の合計は9.150Bドルでした。株主資本は2025年度末の25.956Bドルから27.997Bドルへ増加しています。一方、金融サービス部門に伴う借入が大きいため、単純な総負債だけで製造部門の財務リスクを判断しないことが重要です。[5]

まとめ:長期配当投資家にとってのDEとは?(2026年9月更新版)

Deere & Companyは、農業・建設機器産業のリーダーとして、景気循環性の高い事業を持ちながら、長期では配当と利益を拡大してきた企業です。

2026年度は大型農業機械の低迷が続いていますが、Q3ではSmall Ag & TurfとConstruction & Forestryが伸び、会社は通期純利益見通しを47.5億〜50.0億ドルへ引き上げました。経営陣は2026年度を現在の農業機械サイクルの底とみています。[1]

同社の強みは以下の点にあります:

  • 2008年以降、長期で大きく増加してきた配当実績
  • 2025年度に年間配当6.48ドルへ約10%増配
  • 2026年8月時点でも四半期配当1.62ドルを維持
  • 2026年度9カ月累計のEPSベース配当性向は約35%
  • 強力なブランドと農業機械市場での競争力
  • 精密農業、デジタル技術、自動化への長期投資
  • Small Ag & TurfとConstruction & Forestryが大型農機の低迷を補っている点
  • 2026年度通期純利益見通しを4.75B〜5.00Bドルへ引き上げた点
  • 受注動向を背景に、会社が2026年度を農業機械サイクルの底とみている点

一方で、注意すべき点としては:

  • 農業市場の周期性と短期的な利益変動
  • 農産物価格や農家所得への依存
  • 大型農業機械需要は2026年度も弱い状態
  • 南米・欧州の農業機械市場の軟化
  • 関税・材料コストと、関税関連回収額を除いた利益の見極め
  • 高度な技術への移行に伴う研究開発投資
  • 金融サービス部門の借入と金利環境
  • 2026年度9カ月の営業CFが前年同期をやや下回っている点
  • 2026年9月16日時点の配当利回りが約0.97%と低い点
  • 株価が農業機械サイクル回復への期待を相当程度織り込んでいる可能性

2026年9月時点の投資家へのポイント:DEは高配当株というより、農業機械サイクルと長期的な増配力を組み合わせて評価する銘柄です。Q3では通期利益見通しが改善し、建設・林業、小型農機が好調でした。一方、大型農機は依然として弱く、営業CFも9カ月累計では前年同期をやや下回っています。今後は、2027年度に大型農機の受注回復が実際の売上・利益へつながるか、Q4で営業CFがどこまで増えるかが重要になります。

よくある質問(2026年9月更新)

農業機械市場の低迷下でもDEの配当は維持できますか?

2026年9月時点の数字では、現在の配当額に対する利益面の余裕は残っています。2025年度はEPS18.50ドルに対して年間配当6.48ドルで配当性向は約35%でした。2026年度9カ月累計でも、EPS14.06ドルに対して宣言配当4.86ドルで、配当性向は約35%です。会社の通期純利益見通し47.5億〜50.0億ドルをもとにすると、通期の概算配当性向も約35〜37%となります。[1][5]

ただし、2026年度9カ月の営業CFは3.250Bドルで、前年同期の3.464Bドルをやや下回っています。配当支払は1.316Bドルで営業CFを下回っていますが、Deereでは季節性と金融サービス部門の資金移動が大きいため、通期のキャッシュフローまで確認した方がよいでしょう。

2026年度の業績は上半期時点より改善していますか?

会社見通しという点では改善しています。Q2時点の2026年度純利益見通しは4.5B〜5.0Bドルでしたが、Q3決算では下限が引き上げられ、4.75B〜5.0Bドルとなりました。Q3単独でも純利益は前年同期比7%増でした。[1]

ただし、改善の中身は一様ではありません。Production & Precision AgはQ3も売上6%減、営業利益9%減でした。一方、Small Ag & Turfは売上12%増、Construction & Forestryは18%増となっています。したがって、「大型農機が全面回復した」というより、事業ポートフォリオ全体が農業機械低迷を補っている状態と見る方が実態に近いです。

DEの株価670.36ドル(2026年9月16日終値)はどのような水準ですか?

2026年9月16日終値670.36ドルに対し、現行年率配当6.48ドルの予想配当利回りは約0.97%です。2025年度EPS18.50ドルを基準にするとPERは約36倍です。2026年度純利益見通しから概算したEPS17.5〜18.5ドルを基準にすると、PERはおおむね36〜38倍です。[3][1]

配当利回りだけを見ると過去のDEと比べても低い水準です。一方、市場は現在の大型農機低迷よりも、2026年度を底として2027年度以降に業績が回復するシナリオを重視していると考えられます。したがって、現在の株価を見る場合は、配当利回りだけでなく、次の農業機械サイクルで利益がどこまで回復するかを合わせて確認する必要があります。

農業市場の軟化はいつまで続きますか?

2026年度Q3時点で会社は、2026年度を現在の農業機械サイクルの底とする見方を維持しています。ただし、2026年度の米国・カナダ大型農業機械市場は15〜20%減、南米のトラクター・コンバインも15〜20%減の見通しです。[1]

したがって、「底打ち」はすでに大型農業機械需要が強く回復しているという意味ではありません。受注、ディーラー在庫、中古機在庫、農家所得、トウモロコシ・大豆などの農産物価格、金利環境を確認しながら、2027年度の販売回復が実際に進むかを見る必要があります。

※本記事は投資判断の参考として財務データを整理・分析したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。

数値はいずれも公表資料にもとづきますが、簡略化や四捨五入により実際の開示値と若干異なる場合があります。詳細な出典は本文末の【注】をご確認ください。

ミニ解説: DEは高配当株ではありません。2026年9月16日時点の予想配当利回りは約0.97%です。現在の注目点は、配当そのものよりも、2026年度が農業機械サイクルの底になるという会社見通しが実現するか、Construction & ForestryやSmall Ag & Turfの強さが続くか、そして2027年度に大型農機の利益が回復するかです。

【注】(出典リンク)

  1. 2026年度第3四半期決算・9カ月累計業績・通期純利益見通し・セグメント動向・農業機械市場見通し → 一次情報:SEC EDGAR「Deere FY2026 Q3 Earnings Release」 → SEC EDGAR「Deere FY2026 Q3 Earnings Call Slides」(確認日:2026-09-17) ↩
  2. 2026年8月宣言の四半期配当1.62ドル・基準日・支払日 → 一次情報:Deere & Company「Quarterly Dividend, August 26, 2026」 → Deere Investor Relations「Stock Information」(確認日:2026-09-17) ↩
  3. 2026年9月16日株価・配当利回り・PER参考値 → 参考情報:StockAnalysis「DE Historical Stock Price」 → StockAnalysis「Deere & Company」(確認日:2026-09-17) ↩
  4. 2025年度通期決算・EPS・年間配当・営業CF・長期財務 → 一次情報:SEC EDGAR「Deere FY2025 Q4 / Full-Year Results」 → Deere Annual Reports(確認日:2026-09-17) ↩
  5. 2026年度Q3 Form 10-Q・営業CF・投資CF・財務CF・配当・自社株買い・貸借対照表 → 一次情報:SEC EDGAR「Deere FY2026 Q3 Form 10-Q」(確認日:2026-09-17) ↩

Posted by 南 一矢