DE(ディアアンドカンパニー)今後の見通し
ディア・アンド・カンパニー(Deere & Company)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
銘柄比較については関連記事(CATとDEを比較:キャタピラーとディア)を参照
直近決算
ディアは5月21日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想5.7$→結果6.55$
・売上高:予想115.6億$→結果133.7億$(前年同期比+5%)
★出所
・IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。
企業概要
ディア(Deere & Company、ブランド名:John Deere)は、農業・建設・林業機械と関連サービスを提供する世界有数の装置メーカーです。本社は米イリノイ州モリーンにあります。[1]
1837年に創業者ジョン・ディアが鋼製プラウを考案したことを起点に発展し、今日では「機械 × デジタル(精密農業/施工管理) × 金融」を組み合わせた顧客価値の提供に注力しています。2025年の年次報告書では、同社のSmart Industrial Operating Modelを支える要素として、自動化、自律化、デジタル化、ライフサイクル・ソリューション、Solutions as a Service(SaaS)が位置づけられています。[2]
事業セグメントは、(1)Production & Precision Agriculture(大規模農業と精密農業)、(2)Small Agriculture & Turf(中小規模農業・芝地)、(3)Construction & Forestry(建設・林業)、(4)Financial Services(金融)の4区分です。2025年通期の売上高・収益は456.84億ドル、Deere & Companyに帰属する純利益は50.27億ドルでした。農業機械サイクルの悪化で2024年からは減益となりましたが、同社は在庫管理、コスト管理、デジタル・自律化投資の継続により、次の回復局面に備えています。[3]
主な事業領域
★農業機械(Production & Precision Agriculture/Small Agriculture & Turf):トラクター、コンバイン、播種機、散布機、牧草・畜産関連機械、芝管理機械などを提供します。衛星測位、自動操舵、可変施肥・可変散布、センシングを統合した精密農業に注力し、クラウド基盤「John Deere Operations Center」で圃場データ、機械データ、作業履歴を可視化・最適化します。[4]
・See & Spray:カメラとAIで作物と雑草を判別し、必要箇所だけに薬剤を散布する技術です。除草剤使用量の削減、作業効率の改善、環境負荷の低減を狙う精密農業の中核技術の一つです。[5]
・自動化・自律化:自律走行対応の8R/9R系トラクターや、自律化レトロフィットに対応するPrecision Upgradeなどを展開しています。2025年のCESでは、農業、建設、商業造園向けに自律化技術を拡張する新機種群を披露しました。さらに、E-Power電動トラクターの試験も進めており、同社は電動化をディーゼル機の全面置き換えではなく、果樹園、ブドウ園、自治体、畜産など一部用途に合う選択肢として位置づけています。[6][7]
★建設・林業(Construction & Forestry):ブルドーザー、ホイールローダー、バックホー、掘削機、モーターグレーダー、ハーベスター、フォワーダーなどを提供します。施工の生産性・安全性を高めるため、マシンガイダンス、遠隔アップデート、フリート管理、施工データの可視化を展開しています。2026年Q2(2026年5月3日終了四半期)には同セグメントの売上が37.90億ドルとなり、前年同期比29%増と回復が目立ちました。営業利益も5.61億ドルとなり、前年同期比48%増でした。[8]
★金融(Financial Services):ディーラーや顧客向けのローン、リース、在庫金融などを提供し、装置販売とアフター市場の裾野を支えます。2025年通期のFinancial Servicesの売上高・収益は62.89億ドルで、セグメント営業利益は11.14億ドルでした。2026年Q2のFinancial Services純利益は1.90億ドルで、前年同期比18%増でした。金利、延滞、貸倒、残価リスクには注意が必要ですが、同社の機械販売を支える重要な補完機能です。[3][8]
最近のトピック(2025〜2026年)
- 2025年通期は農業機械サイクルの谷に近い局面:2025年通期の売上高・収益は456.84億ドル、純利益は50.27億ドルでした。2024年通期の売上高・収益517.16億ドル、純利益71.00億ドルから減少しており、大型農業機械需要の低迷が主因です。[3]
- 2026年Q2は小型農業・建設が堅調:2026年Q2(2026年5月3日終了四半期)の売上高・収益は133.69億ドル(前年同期比+5%)、Deere & Companyに帰属する純利益は17.73億ドル、希薄化後EPSは6.55ドルでした。上半期では売上高・収益が229.81億ドル(前年同期比+8%)、純利益が24.29億ドルでした。[8]
- 大型農業機械はなお弱い:2026年Q2のProduction & Precision Agricultureは売上45.03億ドル(前年同期比-14%)、営業利益7.06億ドル(-39%)でした。大型農業機械の需要は、農家所得、作物価格、金利、投入コスト、在庫調整の影響を受けやすく、2026年時点でも回復は緩やかです。[8]
- Small Agriculture & TurfとConstruction & Forestryが下支え:2026年Q2のSmall Agriculture & Turfは売上34.85億ドル(前年同期比+16%)、営業利益7.19億ドル(+25%)でした。Construction & Forestryは売上37.90億ドル(+29%)、営業利益5.61億ドル(+48%)で、農業機械の弱さを補う形になりました。[8]
- 2026年通期見通しは維持:会社側は2026年Q2決算時点で、2026年通期のDeere & Company帰属純利益見通しを45億〜50億ドルに据え置きました。大型農業機械は引き続き厳しい一方、小型農業・芝地、建設・林業の需要が相対的に堅調です。[8]
- 2026年通期のセグメント見通し:会社側は2026年Q2時点で、Production & Precision Agricultureの売上を5〜10%減、Small Agriculture & Turfを約15%増、Construction & Forestryを約20%増、Financial Services純利益を約8.60億ドルと見込んでいます。[8]
- Tenna買収で建設テックを補強:ディアは2026年2月、建設機械の運用管理・資産追跡ソリューションを手がける米Tenna LLCを買収しました。買収額は取得現金控除後で4.39億ドルで、Construction & Forestryセグメントに割り当てられています。[9]
- 精密農業の中核基盤:Operations Centerの機能拡張を継続し、機械、作業、収量、施肥・散布などのデータを統合・可視化しています。農家は、圃場ごとの作業履歴や機械稼働状況を把握し、次の作業計画や投入量の最適化に活用できます。[4]
- AI×センシングの現場実装:See & Sprayなどのビジョン技術を、散布量削減や作業最適化に応用しています。これは、農薬・肥料コストの上昇や環境規制への対応という意味でも重要です。[5]
- 自律化ロードマップ:自律トラクター、建設機械、商業造園向け機械などに自律化技術を拡張しています。自律化は単なる無人化ではなく、労働力不足、作業適期の短さ、安全性、熟練オペレーター不足への対応策として位置づけられています。[6]
沿革(抜粋)
- 1837年:ジョン・ディアが鋼製プラウを考案し、米イリノイ州で事業の基礎を築きました。[2]
- 20世紀後半〜:農業機械に加え、建設・林業機械、ディーラー網、金融機能を整備し、機械販売と金融を組み合わせた事業モデルを拡大しました。[3]
- 2010年代〜:精密農業、接続機能、自動操舵、可変施用、クラウド連携を強化しました。Operations Centerを通じて、圃場・機械・作業データをつなぐプラットフォーム化を進めています。[4]
- 2020年代:AI/コンピュータビジョン(See & Spray)、自律走行、自律化レトロフィット、電動機械などを前進させています。2025年の年次報告書では、2030年に向けたLeap Ambitionsを見直し、自動化・自律化・デジタル化・ライフサイクル・ソリューション・SaaSを重視する姿勢を明確にしました。[5][6][3]
ミニ解説
ディアは「大型機械メーカー」であると同時に、圃場・機械・作業データをつなぐ精密農業のプラットフォーマーでもあります。機械販売だけでなく、ソフトウェア、接続サービス、部品・保守、金融までを束ねることで、顧客との関係を長期化しやすい構造を持っています。もっとも、2025年〜2026年時点では大型農業機械の需要が弱く、農家所得、金利、投入コスト、在庫調整の影響を受けています。投資家は、農業機械サイクルの底入れ時期と、精密農業・自律化投資がどれだけ利益率を押し上げるかを分けて見る必要があります。[8]
【注】(出典リンク)
- 本社所在地・会社概要 → Deere & Company Form 10-K 2025(SEC) → Deere Investor Relations(確認日:2026-05-23) ↩
- 創業と鋼製プラウ・会社の歴史 → The John Deere Story → John Deere History(確認日:2026-05-23) ↩
- 2025年通期業績・事業セグメント・2030年に向けたLeap Ambitions → Deere & Company Form 10-K 2025(SEC) → 2025 Annual Report PDF(確認日:2026-05-23) ↩
- Operations Center・精密農業プラットフォーム → John Deere Operations Center(確認日:2026-05-23) ↩
- See & Spray・AI選択散布 → John Deere See & Spray(確認日:2026-05-23) ↩
- 自律化技術・自律トラクター → John Deere Autonomous Tractor → Reuters:CES 2025 autonomous machines(確認日:2026-05-23) ↩
- E-Power電動トラクター → John Deere:All Quiet on the Farm(確認日:2026-05-23) ↩
- 2026年Q2業績・セグメント別売上・2026年通期見通し → Deere Reports Second Quarter Net Income of $1.773 Billion → Deere 2Q26 Earnings Release PDF(確認日:2026-05-23) ↩
- Tenna買収・建設テック補強 → Deere 2Q26 Earnings Release PDF → John Deere to Acquire Tenna(確認日:2026-05-23) ↩
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】

