HON(ハネウェルインターナショナル)今後の見通し
【2026年8月8日更新】 2026年6月29日のHoneywell Aerospace分離後の新しいHoneywell Technologies(NASDAQ: HON)を基準に全面更新しました。2026年Q2の継続HON事業は、売上高51.87億ドル、オーガニック売上高4%増、調整EPS1.95ドル、FCF4.56億ドルでした。会社は2026年通期の調整EPS見通しを8.05~8.35ドルへ引き上げています。[1]
ハネウェル(Honeywell Technologies)の今後の見通しを考えるために、まず金利と株価チャートの推移を参照し、次に直近の決算を確認します。
2026年6月29日にHoneywell Aerospaceが分離されたため、現在のHONは、旧Honeywell Internationalとは事業構成・株式数・EPS・配当が大きく異なります。本記事では、分離後のHoneywell Technologiesを中心に、目標株価、PER、配当、キャッシュフロー、事業別業績を整理します。[2]
- 1. 金利と株価:過去~現在
- 2. 株価・PER・目標株価:現在の位置
- 3. 直近決算
- 4. 2026年通期ガイダンス
- 5. 企業概要:現在のHONは自動化専業会社
- 6. 2026年Q2の事業別業績
- 7. 配当利回り・配当性向
- 8. 旧Honeywellの配当実績
- 9. 配当を支えるキャッシュフロー
- 10. バランスシートと負債
- 11. Honeywell Technologiesの成長戦略
- 12. 旧HON株主が確認したいHoneywell Aerospace(HONA)の初決算
- 13. 投資判断で確認したい強みとリスク
- 14. まとめ:航空宇宙分離後のHONをどう評価するか
- 15. よくある質問
- 16. 四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
- 17. EPSと売上:予想と結果
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、出来高などを確認します。リアルタイム表示ではないため、株価には遅延が生じる場合があります。
2026年6月29日前後のHON株価は単純比較できません。
Honeywell Aerospaceの分離と同時に、残存するHON株には1対2の株式併合が実施されました。旧HON株2株を保有していた株主は、原則として分離後に新HON株1株とHoneywell Aerospace(HONA)株1株を保有する形になっています。分離前後のHON株価やEPSをそのまま連続系列として比較すると、実態を誤解しやすいため注意が必要です。[2]
株価・PER・目標株価:現在の位置
2026年8月7日のHON終値は246.21ドルでした。分離後の2026年通期調整EPS見通し8.05~8.35ドルを用いると、参考予想PERは約29.5~30.6倍、中央値8.20ドルでは約30.0倍です。[3]
Q2のGAAP EPSは16.65ドルと非常に大きいため、これをそのまま年率換算してPERを計算するのは適切ではありません。2026年Q2のGAAP利益にはQuantinuumの非連結化に伴う一時利益が含まれており、継続的な収益力を見る場合は調整EPSを確認する方が実態に近くなります。[1]
2026年8月時点のInvesting.com集計では、アナリスト評価は買い15人、中立7人、売り2人で、12カ月平均目標株価は257.79ドル、最高298ドル、最低186ドルです。2026年8月7日終値246.21ドルから平均目標株価までの参考上昇余地は約4.7%です。[3]
ミニ解説:現在のHONは予想調整後PER約30倍であり、典型的な割安産業株という水準ではありません。Building Automationを中心とする売上成長、利益率改善、受注残高の消化、AI・ソフトウェアを活用した「自動化から自律化」への成長期待が株価に織り込まれていると考えられます。
直近決算
Honeywell Technologiesは2026年7月23日(米国時間、市場開始前)に2026年度第2四半期決算を発表しました。[1]
今回のQ2はHoneywell Aerospaceの分離が6月29日だったため、決算資料には「航空宇宙を含む旧連結ベース」と「今後のHONとなるHoneywell Technologies単独」の両方が掲載されています。今後のHONを分析する場合は、主にHoneywell Technologies単独の数値を見る必要があります。
Honeywell Technologies単独のQ2決算
| 2026年Q2 | 市場予想 | 結果 | 前年同期比等 |
|---|---|---|---|
| 調整EPS | 1.82ドル | 1.95ドル | +10% |
| 売上高 | 50.2億ドル | 51.87億ドル | +3% |
| オーガニック売上高 | — | +4% | — |
| セグメント利益率 | — | 19.0% | +100bp |
| 営業CF | — | 5.63億ドル | +201% |
| FCF | — | 4.56億ドル | +300% |
市場予想は調整EPS1.82ドル、売上高50.2億ドルでした。実績は調整EPS1.95ドル、売上高51.87億ドルとなり、いずれも市場予想を上回りました。[4]
受注は前年同期比16%増となり、2026年Q2末の受注残高は約200億ドルでした。年間売上高見通しが198~200億ドルであることを考えると、受注残高は年間売上高に近い規模です。[1]
旧連結ベースとの違い
| 2026年Q2 | 旧連結 航空宇宙を含む |
継続HON 自動化事業 |
|---|---|---|
| 売上高 | 97.19億ドル | 51.87億ドル |
| オーガニック成長 | +4% | +4% |
| 営業利益 | 17.37億ドル | 6.62億ドル |
| 営業利益率 | 17.9% | 12.8% |
| セグメント利益 | 22.40億ドル | 9.85億ドル |
| セグメント利益率 | 23.1% | 19.0% |
| GAAP EPS | 17.83ドル | 16.65ドル |
| 調整EPS | 4.52ドル | 1.95ドル |
| 営業CF | 12.76億ドル | 5.63億ドル |
| FCF | 12.52億ドル | 4.56億ドル |
| 受注残高 | 約380億ドル | 約200億ドル |
旧記事のQ1実績や2025年度実績にはHoneywell Aerospaceが含まれていました。そのため、現在のHONの成長率・PER・配当性向を評価する際は、旧連結数値ではなく分離後の継続HON数値を優先します。
GAAP EPS16.65ドルには一時利益が含まれる
2026年Q2の継続HONのGAAP EPSは16.65ドルでしたが、Quantinuumの非連結化に伴う一時利益が大きく寄与しています。通常の利益水準を見る際には、Q2調整EPS1.95ドル、通期調整EPS見通し8.05~8.35ドルを見る方が適切です。[1]
2026年通期ガイダンス
Q2決算を受けて、Honeywell Technologiesは2026年のオーガニック成長率、利益率、調整EPSの見通しを引き上げました。[1]
| 項目 | Q2決算前 | Q2決算後 | 変更 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 199~202億ドル | 198~200億ドル | 上限引き下げ |
| オーガニック成長率 | 2~3% | 3~4% | 上方修正 |
| セグメント利益率 | 19.8~20.3% | 20.1~20.5% | 上方修正 |
| 利益率改善幅 | 220~270bp | 250~290bp | 上方修正 |
| 調整EPS | 7.90~8.30ドル | 8.05~8.35ドル | 上方修正 |
| 営業CF | 約21億ドル | 約21億ドル | 据え置き |
| FCF | 約20億ドル | 約20億ドル | 据え置き |
売上高レンジ自体は若干引き下げられましたが、これは事業売却などによるポートフォリオ変更の影響を含みます。一方、本業の成長を示すオーガニック売上高、セグメント利益率、調整EPSは上方修正されました。
会社は2026年下半期のオーガニック売上高について4~6%増を見込んでいます。Q2に大きく増えた受注が下半期の売上高へ転換できるかが重要です。[1]
企業概要:現在のHONは自動化専業会社
Honeywell Technologies(NASDAQ: HON)は、2026年6月29日のHoneywell Aerospace分離後、ビル、産業、プロセス分野を中心とする自動化専業企業となりました。Honeywell Forgeなどのソフトウェア、制御システム、センサー、火災・安全設備、プロセス技術を組み合わせ、工場・建物・エネルギー設備などの自動化を支援します。[2]
旧Honeywellは2025年10月30日に先進材料事業をSolstice Advanced Materials(NASDAQ: SOLS)として分離し、2026年6月29日に航空宇宙事業をHoneywell Aerospace(NASDAQ: HONA)として分離しました。これにより、旧Honeywellを3社に分ける大型再編が完了しました。[2]
Honeywell Technologies
ティッカー:HON
Building Automation、Process Automation & Technology、Industrial Automationを中心とする自動化企業。
Honeywell Aerospace
ティッカー:HONA
航空機エンジン、補助動力装置、アビオニクス、航法、航空宇宙・防衛関連システムを展開。
Solstice Advanced Materials
ティッカー:SOLS
冷媒、特殊材料、電子材料などを手掛ける先進材料会社。2025年10月30日に分離。
分離の意味:旧Honeywellの株主価値を確認するときは、HONだけを見るのではなく、分配されたHONAと、2025年に分離されたSOLSも合わせて考える必要があります。旧Honeywellの株価・EPS・配当を新HONだけに引き継ぐと、企業分割の経済的効果を正しく比較できません。
2026年Q2の事業別業績
| セグメント | 売上高 | 報告売上 前年比 |
オーガニック 成長率 |
セグメント利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| Building Automation | 20.02億ドル | +10% | +9% | 5.42億ドル | 27.1% |
| Process Automation & Technology |
16.79億ドル | +4% | -1% | 3.71億ドル | 22.1% |
| Industrial Automation | 15.01億ドル | -5% | +4% | 2.58億ドル | 17.2% |
Building Automation
2026年Q2のBuilding Automation売上高は20.02億ドル、オーガニック売上高は9%増でした。データセンター、医療施設、ホテルなどの需要が強く、受注も前年同期比13%増加しました。セグメント利益率は前年同期から90ベーシスポイント改善し、27.1%となっています。[1]
Process Automation & Technology
2026年Q2の売上高は16.79億ドルで報告ベース4%増でしたが、オーガニックでは1%減でした。LNGや大型オートメーションプロジェクトは伸びた一方、前年同期の触媒出荷が多かった反動などでアフターマーケットが弱くなりました。
一方、受注はLNG需要などを背景に24%増となっています。利益率は前年同期の23.9%から22.1%へ低下しており、今後は受注増を利益率改善につなげられるかが焦点です。[1]
Industrial Automation
2026年Q2の売上高は15.01億ドルで報告ベース5%減でしたが、事業売却などの影響を除くオーガニック売上高は4%増でした。公益事業向けプロジェクト、センシング、計測機器、倉庫関連ソリューションなどが成長しました。
セグメント利益率は前年同期16.3%から17.2%へ改善しています。[1]
配当利回り・配当性向
Honeywell Technologiesは2026年7月24日、分離後初となる四半期配当を1株0.70ドルと発表しました。基準日は2026年8月14日、支払日は2026年9月4日です。[5]
四半期配当0.70ドルが今後も維持されると仮定すると、現行年率配当は2.80ドルです。2026年8月7日終値246.21ドルに対する参考配当利回りは約1.14%です。[3][5]
予想配当性向は約33.5~34.8%
2026年通期調整EPS見通し8.05~8.35ドルに対し、現行年率配当2.80ドルを比較すると、予想配当性向は約33.5~34.8%です。
旧Honeywellでは40~60%台になる年も多かったため、新HONは分離後の利益規模に合わせて配当負担をかなり抑えた形です。利益に対しては余裕があり、研究開発、買収、債務削減、自社株買いなどへ資金を振り向ける余地があります。
権利落ち日は2026年8月14日
2026年9月4日支払い分の基準日は2026年8月14日です。米国株ではT+1決済移行後、通常の現金配当で基準日が営業日の場合、原則として権利落ち日も基準日と同日になります。このため今回の権利落ち日は2026年8月14日です。[6]
旧Honeywellの1.19ドルから単純な「減配」とは言えない
分離前の旧HONでは四半期1.19ドルが支払われていましたが、新HONの0.70ドルと直接比較することはできません。
旧HON株2株を保有していた株主は、原則として分離後に新HON株1株+HONA株1株を受け取っています。また、新HONには1対2の株式併合が実施されています。したがって、株主への経済的な還元を評価する際はHONだけでなくHONAも考慮する必要があります。[2]
旧Honeywellの配当実績
以下は企業分割前の旧Honeywellにおける配当実績です。「年計」は実際の年間支払額ではなく、各年末時点の四半期配当を年率換算した値です。2026年6月29日以降の新HONとは株式数・事業構成が異なるため、長期的な参考系列として掲載します。[7]
| 年 | 年末時点の 年率配当 |
増配率 | GAAP EPS 継続事業 |
参考 配当性向 |
|---|---|---|---|---|
| 2025 | 4.76ドル | 約5% | 6.94ドル | 約69% |
| 2024 | 4.52ドル | 約5% | 7.58ドル | 約60% |
| 2023 | 4.32ドル | 約5% | 7.36ドル | 約59% |
| 2022 | 4.17ドル | 約5% | 7.58ドル | 約55% |
| 2021 | 3.97ドル | 約4% | 8.24ドル | 約48% |
| 2020 | 3.77ドル | 約8% | 6.99ドル | 約54% |
| 2019 | 3.63ドル | 約10% | 9.08ドル | 約40% |
| 2018 | 3.36ドル | 約12% | 9.88ドル | 約34% |
2008~2017年の配当実績を表示
| 年 | 年末時点の 年率配当 |
増配率 | GAAP EPS 継続事業 |
参考 配当性向 |
|---|---|---|---|---|
| 2017 | 3.06ドル | 約12% | 2.24ドル | 約137% |
| 2016 | 2.74ドル | 約14% | 7.01ドル | 約39% |
| 2015 | 2.45ドル | 約15% | 6.82ドル | 約36% |
| 2014 | 2.15ドル | 約11% | 6.14ドル | 約35% |
| 2013 | 1.87ドル | 約10% | 5.49ドル | 約34% |
| 2012 | 1.68ドル | 約12% | 4.09ドル | 約41% |
| 2011 | 1.53ドル | 約13% | 2.94ドル | 約52% |
| 2010 | 1.37ドル | 0% | 2.91ドル | 約47% |
| 2009 | 1.21ドル | 約10% | 2.05ドル | 約59% |
| 2008 | 1.21ドル | 約10% | 1.19ドル | 約102% |
※2025年に実際に支払われた旧Honeywellの配当は、1.13ドルを3回、1.19ドルを1回の合計4.58ドルです。4.76ドルは2025年末時点の年率換算額です。
配当を支えるキャッシュフロー
| 項目 | 2026年Q2 | 2026年通期見通し |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.63億ドル | 約21億ドル |
| FCF | 4.56億ドル | 約20億ドル |
| 推定配当負担 | 約2.22億ドル | 約8.88億ドル |
| FCF配当カバー率 | 約2.1倍 | 約2.3倍 |
| FCF配当性向 | 約49% | 約44% |
2026年6月29日の1対2株式併合後、発行済株式数は約3.17億株となりました。四半期配当0.70ドルを単純に掛けると、1四半期の配当負担は約2.22億ドル、年間では約8.88億ドルです。[2]
会社の2026年FCF見通し約20億ドルに対するFCF配当性向は約44%、FCF配当カバー率は約2.3倍となります。利益だけでなくキャッシュフローベースでも、現行配当には一定の余裕があります。
旧Honeywellのキャッシュフローとの比較
| 年度 | 営業CF | 会社定義FCF | 配当支払 | 自社株買い |
|---|---|---|---|---|
| 2025 | 60.75億ドル | 51.02億ドル | 29.36億ドル | 43.50億ドル |
| 2024 | 51.12億ドル | — | 28.46億ドル | 38.56億ドル |
| 2023 | 53.40億ドル | — | — | — |
| 2022 | 52.74億ドル | — | — | — |
| 2021 | 60.38億ドル | — | — | — |
| 2020 | 62.08億ドル | — | — | — |
| 2019 | 68.97億ドル | — | — | — |
旧Honeywellは航空宇宙を含む大きな事業規模を背景に、配当と自社株買いを同時に行ってきました。新HONは事業規模が小さくなった一方、配当支払負担も大幅に縮小したため、FCFに対する配当余力は改善しています。[7]
バランスシートと負債
2026年Q2はHoneywell Aerospaceの分離、Quantinuumの非連結化、買収・事業売却が重なったため、2025年末との単純比較には注意が必要です。[8]
| 項目 | 2025年末 | 2026年Q2末 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 現金・現金同等物 | 124.87億ドル | 87.51億ドル | -37.36億ドル |
| 短期投資 | 4.43億ドル | 4.45億ドル | +0.02億ドル |
| 総資産 | 736.81億ドル | 773.44億ドル | +36.63億ドル |
| 総負債 | 586.51億ドル | 584.87億ドル | -1.64億ドル |
| 株主資本 | 150.30億ドル | 188.57億ドル | +38.27億ドル |
| 自己資本率 | 約20.4% | 約24.4% | +4.0ポイント |
| 有利子負債 | 345.80億ドル | 339.88億ドル | -5.92億ドル |
| 概算ネット有利子負債 | 220.93億ドル | 252.37億ドル | +31.44億ドル |
2026年Q2末の現金・現金同等物は87.51億ドル、有利子負債は339.88億ドルでした。現金を差し引いた概算ネット有利子負債は約252.37億ドルです。
ただし、Q2末は企業分割直後であり、資産・負債の移転やQuantinuumの会計処理変更なども含まれています。今後の新HONの財務状態を判断するには、Q3以降のバランスシートを継続して確認する必要があります。
Honeywell Technologiesの成長戦略
「自動化」から「自律化」へ
Honeywell Technologiesは、工場やビル、エネルギー設備の自動化だけでなく、AI、データ、ソフトウェアを組み合わせた「automation to autonomy(自動化から自律化)」を長期的な成長テーマとしています。
2026年6月のInvestor Dayでは、今後3年間の財務目標として、オーガニック売上高成長率4~6%、年間60ベーシスポイント超の利益率改善、年間10%超の調整EPS成長、90%超のFCF転換率を示しました。[9]
会社のInvestor Relationsでは中期的な目安として、セグメント利益率約24%、調整EPS約6ドル、FCF30億ドル超という長期的な財務フレームワークも示されています。ただし、これらは現在の2026年通期ガイダンスとは期間が異なるため、混同しないよう注意が必要です。[9]
Johnson MattheyのCatalyst Technologiesを取得
Honeywell Technologiesは2026年7月17日、Johnson MattheyのCatalyst Technologies事業の取得を完了しました。買収額は13.25億ポンドの現金取引です。LNG、持続可能燃料、化学・エネルギープロセス向けの触媒技術を取り込み、Process Automation & Technologyを強化します。[10]
WWSの売却は2026年7月27日に完了
記事BではWarehouse and Workflow Solutions(WWS)を「売却予定」としていましたが、Honeywell Technologiesは2026年7月27日にAmerican Industrial Partnersへの売却完了を発表しました。対象事業はIntelligrated、Transnormブランドなどで展開されていました。[10]
WWSの売却によって、Honeywell Technologiesはビル、産業、プロセス市場の自動化事業へさらに集中します。
PSSは売却契約済み
Productivity Solutions and Services(PSS)はBrady Corporationへの14億ドルの現金売却が発表されています。Honeywellが2026年7月27日にWWS売却完了を発表した時点では、PSSの取引完了を「2026年8月上旬」と見込んでいました。今回の記事では、Honeywellによる完了発表を確認できたWWSと、売却契約段階のPSSを区別して記載しています。[10]
ポートフォリオ再編の見方:Honeywell Technologiesは、航空宇宙と先進材料を分離しただけでなく、PSS・WWSなど周辺事業を売却し、触媒技術など自動化との相乗効果が高い事業を取得しています。売上高の単純な増減より、オーガニック成長率と利益率の推移が重要になります。
旧HON株主が確認したいHoneywell Aerospace(HONA)の初決算
旧HON株主はHONA株も受け取っているため、新HONだけでなくHoneywell Aerospaceの動向も重要です。
Honeywell Aerospaceは2026年8月5日、独立後初となる単独決算を発表しました。2026年Q2の売上高は45.2億ドルで前年同期比5%増、調整EPSは1.87ドルでしたが、市場予想の売上高46.1億ドル、EPS2.12ドルを下回りました。[11]
さらにHONAは、2026年通期のオーガニック売上高成長率見通しを従来の7~9%から4~5%へ引き下げ、調整EPS見通しを7.60~7.90ドルとしました。供給網制約や製品構成の悪化が重荷となっています。[11]
この発表を受け、HONA株は2026年8月6日に約23%下落しました。旧HON株主にとっては、新HONの業績が堅調でも、分配されたHONAの値動きによって旧Honeywell由来の保有資産全体の価値が大きく動くことがあります。[11]
投資判断で確認したい強みとリスク
新HONの強み
- 2026年Q2の継続HON受注が16%増。
- 2026年Q2末の受注残高は約200億ドル。
- Building Automationのオーガニック売上が2026年Q2に9%増。
- データセンター、医療、ホテル、LNG、公益事業など複数分野に需要がある。
- 2026年調整EPS見通しを8.05~8.35ドルへ上方修正。
- 現行配当の予想配当性向は約34%。
- 2026年FCF見通し約20億ドルに対し、年間配当負担は概算約8.9億ドル。
- AI、ソフトウェア、データ、自動化・自律化という長期的な成長テーマを持つ。
注意すべきリスク
- 高めのバリュエーション:2026年8月7日株価では予想調整後PERが約30倍。
- 低い配当利回り:現行年率配当2.80ドルに対する参考利回りは約1.14%。
- 事業分散の低下:航空宇宙分離後のHONは旧Honeywellほど事業が分散されていない。
- Process Automationの利益率:2026年Q2は22.1%へ低下。
- 買収・売却の統合リスク:Johnson Matthey事業の統合、PSSなどの売却処理が続く。
- GAAP EPSの特殊要因:Quantinuumの非連結化で2026年Q2のGAAP利益が大きく膨らんでいる。
- 分離コスト:航空宇宙分離に伴うシステム、契約、税務、重複コストの整理が続く。
- 景気敏感性:工場、建物、エネルギー設備への設備投資が景気後退時に弱くなる可能性。
- 旧HON株主固有のリスク:HONだけでなくHONA・SOLSの株価や資本政策も保有資産全体へ影響する。
まとめ:航空宇宙分離後のHONをどう評価するか
2026年6月29日のHoneywell Aerospace分離により、現在のHONは航空宇宙・自動化を併せ持つ複合企業から、自動化専業のHoneywell Technologiesへ変わりました。[2]
2026年Q2の継続HON事業は、売上高51.87億ドル、オーガニック成長率4%、調整EPS1.95ドル、FCF4.56億ドルでした。受注は16%増加し、受注残高は約200億ドルです。会社は2026年通期の調整EPS見通しを8.05~8.35ドルへ引き上げています。[1]
配当は分離後に四半期0.70ドル、年率換算2.80ドルとなりました。2026年8月7日終値246.21ドルに対する参考利回りは約1.14%であり、高配当株とは言いにくい水準です。一方、調整EPS見通しに対する予想配当性向は約34%、FCF見通しに対する配当性向も約44%で、配当の財務的な余裕は比較的大きくなっています。
株価は調整EPS見通し中央値に対して約30倍で、将来の成長を一定程度織り込んでいます。そのため、現在のHONは「高配当の成熟複合企業」という旧来の見方よりも、Building Automation、Process Automation、Industrial Automationの成長と利益率改善を狙う産業テクノロジー株として評価する方が実態に近いでしょう。
旧HON株主は、HONだけでなく、2026年6月に分配されたHONAと2025年に分離されたSOLSも合わせて評価する必要があります。特にHONAは2026年8月5日の初決算で通期見通しを引き下げており、旧Honeywell由来の保有資産全体を見る際には3社を分けて確認することが重要です。[11]
今後の確認ポイント:①受注と約200億ドルの受注残高、②オーガニック売上高成長率、③セグメント利益率、④Building Automationの成長、⑤Process Automationの利益率回復、⑥年間約20億ドルのFCF達成、⑦Johnson Matthey事業の統合、⑧PSS売却、⑨HONA・SOLSを含めた旧HON株主の合計価値、を継続的に確認する必要があります。
よくある質問
ティッカーHONは引き継いでいますが、2026年6月29日にHoneywell Aerospaceを分離したため、事業内容は大きく変わりました。現在のHoneywell Technologiesはビル、産業、プロセス分野の自動化を中心とする会社です。
原則として、新HON株1株とHoneywell Aerospace(HONA)株1株を保有する形になりました。HONには同時に1対2の株式併合が行われています。端株は現金で精算されます。[2]
2026年7月24日に発表された四半期配当は1株0.70ドルです。基準日は2026年8月14日、支払日は9月4日です。年率換算では2.80ドルです。[5]
2026年8月7日終値246.21ドルと年率配当2.80ドルを用いると、参考配当利回りは約1.14%です。
新HONだけを見ると配当額は小さくなりましたが、単純な減配率を計算するのは適切ではありません。旧HON株2株は分離後に新HON株1株とHONA株1株になり、新HONには1対2の株式併合も行われたためです。
2026年調整EPS見通し8.05~8.35ドルに対する予想配当性向は約33.5~34.8%です。また、FCF見通し約20億ドルに対する年間配当負担は概算約8.9億ドルで、FCF配当性向は約44%です。現時点では一定の余裕があります。
通常のバリュエーション分析には適しません。Quantinuumの非連結化に伴う一時利益が含まれているためです。継続的な収益力を見る場合は調整EPS1.95ドルや通期調整EPS見通し8.05~8.35ドルを用いる方が実態に近くなります。
2026年8月7日時点の参考配当利回りは約1.14%であり、高配当株とは言いにくい水準です。配当よりも、オーガニック成長、利益率、受注、FCF、自動化・ソフトウェア事業の成長を重視して評価する銘柄です。
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比較します。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
EPSと売上:予想と結果
※免責事項
本記事は公開情報を整理・分析したものであり、特定銘柄の売買を推奨または勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
数値は四捨五入や筆者計算により、会社開示値と若干異なる場合があります。
最終更新日:2026年8月8日
【注】(出典リンク)
- 2026年Q2決算・継続HON業績・受注・FCF・2026年通期見通し・発表時間 → 一次情報:Honeywell Technologies「Second Quarter 2026 Results」 → Honeywell Technologies「Q2 Results Schedule」(確認日:2026-08-08) ↩
- Honeywell Aerospace分離完了・HONA株分配・HON株式併合・分離後の会社構成 → 一次情報:Honeywell Technologies「Completes Spin-Off of Honeywell Aerospace」 → Honeywell「Spin-Off and Reverse Stock Split」(確認日:2026-08-08) ↩
- 2026年8月7日株価・目標株価・アナリスト評価 → 参考情報:MarketWatch「HON」 → Investing.com「HON Stock Forecast & Price Target」(確認日:2026-08-08) ↩
- 2026年Q2市場予想 → 二次情報:StreetInsider「HON Q2 2026 Earnings」(確認日:2026-08-08) ↩
- 分離後の四半期配当0.70ドル・基準日・支払日 → 一次情報:Honeywell Technologies「Quarterly Dividend, July 24, 2026」 → Honeywell Dividend History(確認日:2026-08-08) ↩
- T+1移行後の権利落ち日の扱い → 一次情報:FINRA Rule 11140 → Investor.gov「Ex-Dividend Dates」(確認日:2026-08-08) ↩
- 旧Honeywellの2025年業績・配当・キャッシュフロー・長期配当実績 → 一次情報:Honeywell 2025 Form 10-K(SEC) → Honeywell Dividend History(確認日:2026-08-08) ↩
- 2026年Q2バランスシート・負債・Quantinuum・キャッシュフロー → 一次情報:Honeywell Technologies 2026 Q2 Form 10-Q → Honeywell Technologies「Q2 2026 Results」(確認日:2026-08-08) ↩
- Honeywell Technologiesの3か年財務目標・自動化から自律化への戦略 → 一次情報:Honeywell Technologies 2026 Investor Day → Honeywell Technologies Investor Relations(確認日:2026-08-08) ↩
- Johnson Matthey Catalyst Technologies買収・WWS売却完了・PSS売却 → 一次情報:Honeywell Technologies News → WWS売却完了発表 → PSS売却発表(確認日:2026-08-08) ↩
- Honeywell Aerospaceの2026年Q2初単独決算・通期見通し・株価反応 → 二次情報:Reuters「Honeywell Aerospace cuts 2026 forecast」 → The Wall Street Journal「Honeywell Aerospace Q2」(確認日:2026-08-08) ↩

