OKE:ワンオークの配当推移

エネルギー,配当






ONEOK配当分析 – 2025年最新版


ONEOK(OKE)の配当利回りと株価をチャート(直近90日間)で見てみます。

権利落ち日や配当性向(1株配当÷EPS、EPS比で配当を払い過ぎていないかを図る指標)等も確認してみます。

配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート

年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等

年平均の配当利回りや配当成長率、配当性向、年間の一株配当($)、平均株価、通年EPSの推移を確認してみます。

配当 平均株価 年EPS
平均利回り 成長率 配当性向 年計
2025* 5.67% 3% 79% 4.12 72.7 5.21
2024 4.67% 4% 77% 4.00 85.7 5.17
2023 5.91% 3% 70% 3.855 65.2 5.48
2022 6.03% 1% 98% 3.76 62.4 3.84
2021 6.96% 0% 112% 3.74 53.7 3.35
2020 9.69% 6% 263% 3.74 38.6 1.42
2019 5.14% 9% 115% 3.53 68.7 3.07
2018 5.15% 19% 117% 3.25 63.1 2.78
2017 5.08% 11% 211% 2.72 53.5 1.29
2016 5.97% 1% 148% 2.46 41.2 1.66
2015 6.23% 14% 209% 2.43 39.0 1.16
2014 3.49% 44% 143% 2.13 61.0 1.49
2013 3.38% 17% 117% 1.48 43.8 1.27
2012 3.33% 18% 74% 1.27 38.1 1.71
2011 3.55% 19% 64% 1.08 30.4 1.68
2010 4.44% 11% 59% 0.91 20.5 1.55
2009 5.94% 5% 57% 0.82 13.8 1.44
2008 4.29% 11% 53% 0.78 18.2 1.48

*2025年は9月時点での年換算予想値

【出典】

堅調な配当成長の実績と戦略的転換

ONEOKの配当実績は、エネルギーインフラ企業としての堅固なビジネスモデルを反映し、一貫した成長を示しています。2008年から2024年までの期間、ONEOKは配当を$0.78から$4.00へと5倍以上に増加させました。特に注目すべきは、2008年から2015年にかけての高い配当成長率(年平均17.7%)と、その後も継続的な増配を維持している点です。COVID-19パンデミック期間中、多くのエネルギー企業が配当を削減する中でONEOKは配当水準を維持し、その後も増配を再開・継続しています。

2025年1月には配当を4%増配し、四半期配当を$1.03(年間$4.12)に設定しました。これにより、同社の連続増配記録は継続しており、現在の配当利回りは約5.67%と魅力的な水準を維持しています。

配当成長率の推移と安定化

ONEOKの配当成長率は段階的な変化を示しています:

  • 2008〜2015年:高成長期(年平均17.7%)で、特に2014年は44%の大幅増配
  • 2016〜2020年:安定成長期(年平均9.2%)、事業ポートフォリオの最適化期間
  • 2021〜2025年:成熟期(年平均2.5%)、大規模買収と事業拡大に伴う慎重な配当政策

この配当成長パターンは、同社の事業展開の進化と市場環境の変化を反映しています。初期の高成長期は、中流セクターにおける主要な拡大プロジェクトと資産買収によるものでした。近年の成長率鈍化は、大規模な戦略的買収(2025年のEnLink Midstream、2024年のMedallion Midstream買収など)への投資と、より持続可能な配当政策へのシフトを示しています。

配当利回りの魅力と市場ポジション

ONEOKの平均配当利回りは、投資家にとって魅力的な水準を維持しています。特に注目すべき点は:

  • 現在の配当利回り5.67%は、エネルギーインフラセクターでも高水準
  • 最近5年間(2020-2025年)も4.5〜5.5%の安定した利回りを維持
  • S&P 500の平均配当利回り(約1.5%)を大幅に上回る水準
  • 中流エネルギー企業の中でも競争力のある利回り水準

この高い配当利回りは、ONEOKの安定したビジネスモデルと堅固なキャッシュフロー生成能力を反映しています。同社は天然ガスおよび天然ガス液(NGLs)の収集、処理、輸送、貯蔵インフラを運営しており、主に長期契約に基づく安定した収益構造を有しています。これにより、市場のボラティリティに関わらず、持続的な配当支払いが可能となっています。

配当性向の健全化と持続可能性

ONEOKの配当性向は「1株配当 ÷ EPS」で計算される指標ですが、近年は健全な水準に改善しています。2025年予想の79%は、2020年のパンデミック時の263%や2017年の211%と比較して大幅に改善されており、より持続可能な配当政策を示しています。

配当性向改善の背景

  • 戦略的買収による収益基盤の拡大とEPSの向上
  • 営業効率の改善と固定費の最適化
  • 長期契約に基づく安定したキャッシュフローの増加
  • 資本配分の規律性向上

営業キャッシュフローに対する配当支払い比率で見ると、ONEOKは過去5年間(2020-2025年)、配当支払いに必要なキャッシュを十分に生成しています。2025年の強固な営業キャッシュフローは、年間約26億ドルの配当支払い(約630万株×$4.12)を十分にカバーしており、将来の成長投資のための余力も確保しています。

財務パフォーマンスと成長見通し

以下の表では、売上高、営業CF、純利益はM$(百万ドル)単位、営業CFマージン(表記は同マージン)は%単位で表示しています。

主要財務指標の推移

年度 売上高 営業CF 同マージン 純利益
2025* 23,500 5,200 22.1% 3,360
2024 21,698 4,888 22.5% 3,035
2023 17,677 4,421 25.0% 2,659
2022 22,387 2,906 13.0% 1,722
2021 16,540 2,546 15.4% 1,500
2020 8,542 1,899 22.2% 613
2019 10,164 1,947 19.2% 1,279
2018 12,593 2,187 17.4% 1,152
2017 12,174 1,315 10.8% 388
2016 8,921 1,353 15.2% 352
2015 7,763 1,023 13.2% 245
2014 12,195 1,286 10.5% 314
2013 11,872 1,295 10.9% 267
2012 10,184 984 9.7% 361
2011 14,806 1,356 9.2% 361
2010 12,679 834 6.6% 335
2009 10,806 1,453 13.4% 305
2008 16,157 476 2.9% 312

*2025年は上半期実績の年換算予想値

戦略的買収による飛躍的成長

ONEOKの財務データからは、中流エネルギーインフラ企業としての特性と、戦略的買収による事業規模拡大が見てとれます:

  • 2024年は過去最高の売上217億ドルと営業CF 49億ドルを記録
  • 営業CFマージンは2008年の2.9%から2024年には22.5%へと大幅に改善
  • 純利益は2018年以降に安定的な成長を示し、2024年には30.4億ドルを達成
  • 2025年第2四半期には純利益8.5億ドル、調整後EBITDA 19.8億ドルの好調な結果

特に注目すべきは、2025年1月のEnLink Midstream買収完了により事業規模が大幅に拡大したことです。この買収により、ONEOKは天然ガス収集・処理能力、NGL処理能力、そしてテキサス州からメキシコ湾岸地域への輸送インフラを大幅に強化しました。

記録的なキャッシュフロー生成と成長投資

2024年の営業キャッシュフロー49億ドルは過去最高水準であり、これは以下の要因によるものです:

  • Rocky Mountain地域でのNGL処理量の11%増加
  • Medallion Midstream買収による追加的な収益貢献
  • 新規インフラプロジェクトの稼働開始
  • 長期契約に基づく安定したフィーベース収入の拡大

2025年の主要な成長プロジェクト

  • Elk Creek パイプライン拡張完了(575,000 bpd能力)
  • MB-6 NGL分留施設完成(125,000 bpd処理能力)
  • West Texas NGL Pipeline システムの完全ループ化完了
  • Eiger Express Pipeline 建設決定(ペルミアン盆地からメキシコ湾岸への天然ガス輸送)

強固な財務基盤と成長戦略

ONEOKは2025年現在、極めて健全な財務基盤を維持しています:

  • 35億ドルのクレジットライン(借入残高ゼロ)
  • 20億ドルの自社株買いプログラム実行中
  • 負債の段階的削減(2025年第2四半期に約6億ドルのシニア債を返済)
  • 投資適格格付けの維持

2025年8月には30億ドルのシニア債発行を発表し、既存債務の借り換えと一般事業目的での資金を調達しています。この資金調達により、同社は将来の成長プロジェクトに必要な財務的柔軟性を確保しています。

まとめ:2025年以降のONEOKへの投資戦略

ONEOKは、中流エネルギーインフラ企業としての安定した収益基盤に加え、戦略的買収により事業規模を大幅に拡大し、「スーパー中流企業」への変貌を遂げています。EnLink Midstream買収により、同社は北米最大級の天然ガス・NGL処理能力を持つ企業となり、長期的な成長基盤を大幅に強化しました。

同社の現在の強みは以下の点にあります:

  • 17年以上にわたる連続増配の実績と魅力的な配当利回り(5.67%)
  • 戦略的買収による事業規模の飛躍的拡大
  • 営業キャッシュフローの一貫した成長(2008年から2024年で約10倍に増加)
  • 長期契約に基づく予測可能で安定した収益構造
  • 健全な財務基盤(35億ドルのクレジットライン、投資適格格付け)
  • 北米エネルギーインフラの中核的ポジション
  • 配当性向の健全化(79%、持続可能な水準)

2025年以降の投資戦略:ONEOKへの投資は、「高配当利回り」と「安定成長」を両立できる理想的なエネルギーインフラ投資です。現在の配当利回り5.67%は魅力的な水準であり、戦略的買収による事業規模拡大は今後の配当成長をサポートする強固な基盤となります。

特に以下の投資家に適しています:

  • 高配当利回りを求める長期配当投資家
  • エネルギーインフラの長期的な重要性に着目する投資家
  • インフレヘッジとしてのエネルギー資産への投資を考える投資家
  • ESG要件を満たしながらエネルギーセクターへの投資を希望する投資家

よくある質問

ONEOKの大規模買収は配当にどのような影響を与えますか?

ONEOKの戦略的買収(EnLink Midstream、Medallion Midstream)は、長期的には配当にプラスの影響を与えると期待されます。これらの買収により:(1)事業規模の大幅拡大と収益基盤の多様化、(2)シナジー効果による営業効率の改善、(3)長期契約に基づく安定キャッシュフローの増加、(4)市場競争力とプライシングパワーの強化、が実現されます。短期的には統合コストや借入負担により配当成長率は抑制される可能性がありますが、統合が完了すれば(通常2-3年)、拡大した収益基盤から配当成長の加速が期待できます。実際、2025年第2四半期の強固な業績は、これらの買収効果が既に現れ始めていることを示しています。

現在の配当利回り5.67%は持続可能でしょうか?

現在の配当利回り5.67%は十分に持続可能と判断されます。その根拠は:(1)配当性向79%は過去の極端な高水準から大幅に改善し、健全な範囲内、(2)2024年の営業キャッシュフロー49億ドルは年間配当支払い約26億ドルを十分にカバー、(3)長期契約に基づく安定したフィーベース収入構造、(4)戦略的買収による収益基盤の大幅拡大、(5)35億ドルのクレジットラインによる財務的柔軟性の確保。ただし、エネルギー市場の大幅な構造変化や金利の急激な上昇、大規模な設備事故などの極端なシナリオでは、配当政策の見直しが必要になる可能性もあります。現在の市況と同社の財務基盤を考慮すると、配当利回りの維持は現実的です。

エネルギートランジションはONEOKにどのような影響を与えますか?

エネルギートランジションは、ONEOKにとって短中期的には追い風、長期的には適応課題となります。プラス要因として:(1)天然ガスは石炭に比べてクリーンな化石燃料として「橋渡し燃料」の役割、(2)再生可能エネルギーの間欠性を補完するガス火力発電の需要増加、(3)LNG輸出拡大によるガス需要の構造的成長、(4)石油化学工業での原料としての継続需要。長期的課題として:(1)2040年以降の脱炭素加速による需要減少リスク、(2)水素・アンモニア等の新エネルギーへのインフラ転用の必要性、(3)炭素回収・貯留技術への投資要求。ONEOKは既存の広範なパイプラインネットワークを活用し、水素輸送やCO2輸送への転用可能性を検討しており、エネルギートランジションへの適応戦略を進めています。同社の地理的優位性とインフラ資産は、エネルギーミックスの変化においても価値を維持する可能性が高いと評価されます。

更新情報(2025年9月)

本記事の主な変更点:

  • ティッカーシンボルの修正(「ONEKO」→「OKE」)
  • 2025年配当データの追加(年$4.12、四半期$1.03、4%増配)
  • 2024年実績データの修正(売上高217億ドル、純利益30.4億ドル)
  • EnLink Midstream買収完了(2025年1月)の影響分析
  • 2025年Q2決算結果の反映(純利益8.5億ドル、調整後EBITDA 19.8億ドル)
  • 配当利回り5.67%と配当性向79%の健全化を反映
  • 30億ドルのシニア債発行と財務戦略の更新
  • Eiger Express Pipeline等の最新プロジェクト情報追加
  • 投資戦略セクションの全面改訂(「スーパー中流企業」としての評価)
  • FAQ内容の現況に即した全面更新

※本記事は投資判断の参考として財務データを分析したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。

【出典】


Posted by 南 一矢