PFE(ファイザー)今後の見通し
ファイザー(Pfizer Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
銘柄比較については関連記事(JNJとPFEを比較:ジョンソンエンドジョンソンとファイザー)を参照
直近決算
PFE(ファイザー)は8月5日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想0.57$→結果0.78$
・売上高:予想134.7億$→結果146.5億$(前年同期比+10%)
★ガイダンス
《通年》
・EPS:予想3.01$→結果2.9~3.1$
・売上高:予想625.7億$→結果610~640億$
★出所
・IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。
企業概要
ファイザー(Pfizer Inc., PFE)は、医療用医薬品とワクチンを中心に研究開発(R&D)・製造・販売をグローバルに展開する世界大手の製薬企業です。最新の年次報告(2024通期)および2025年Q2時点の開示では、オンコロジー、ワクチン、希少疾患・心血管、炎症・免疫、バイオ医薬/バイオシミラーなどに重点領域を配分しています。[1]
企業理念「Breakthroughs that change patients’ lives」に基づき、R&D投資は2025年通期で調整後$10.4〜$11.4bnのレンジ(ガイダンス)と開示。2024年の通期見通し・翌期ガイダンスからも、二桁十億ドル規模の継続投資が示されています。[2][3]
配当については、2025年も四半期配当$0.43/株を継続(第1〜第3四半期)。連続配当実績は300回超です。[4]
主な事業領域と製品は以下の通りです(“いつ時点”を併記)。
★医薬品事業(オンコロジー、心血管・代謝、免疫、疼痛ほか)
・イブランス(Ibrance):乳がん治療薬。米国での価格・競争環境の影響はあるものの、主要製品として位置づけ。[1]
・エリキュース(Eliquis):BMSと共同の経口抗凝固薬。2025年Q2に堅調(BMS側開示でも増収)。[5]
・ビンダケル/ビンダマックス(Vyndaqel/Vyndamax):トランスサイレチン型心アミロイドーシス治療薬。2025年Q2に高い需要。[6]
・パデセブ(Padcev)/アドセトリス(Adcetris)/チヴダ(Tivdak)/トゥキサ(Tukysa):2023年12月のSeagen買収で組み入れた抗体薬物複合体(ADC)群など、オンコロジー製品群を拡充。[7]
・ヌルテックODT/ヴィドゥラ(Nurtec ODT/Vydura)、ローブレナ(Lorbrena)、ブラスボイ(Braftovi)+メクトビ(Mektovi) なども成長ドライバーとして言及あり(2025年時点)。[6]
・(レガシー)リピトール(Lipitor)、リリカ(Lyrica)、エンブレル(Enbrel):主要特許切れ・地域別権利の違いを踏まえた成熟ブランド(エンブレルは米加を除く地域でPfizerが権利)。[1]
★ワクチン事業
・コミナティ(Comirnaty):2025–2026シーズンの変異株(LP.8.1)対応で、2025年8月にFDA承認更新。EUでも2025年7月に承認更新。[8]
・アブリスボ(Abrysvo):RSVワクチン。成人の推奨が2024年6月にACIPで拡張(75歳以上、60–74歳の高リスク)。[9]
・プレベナー20(Prevnar 20):肺炎球菌ワクチンとして各国で展開(年次報告参照)。[1]
★COVID-19治療薬
・パクスロビド(Paxlovid):2023年5月に成人適応でFDAの通常承認。小児(12歳以上)についてはEUAを併存。[10]
★バイオテクノロジー/次世代治療
・遺伝子治療、免疫療法、ADC等に重点。Seagenの統合(2023年12月完了)によりオンコロジー研究・商業組織を強化(2024年1月に新「Pfizer Oncology Division」稼働)。[7]
社史:1849年に創業。20世紀を通じ抗生物質・ワクチンなどで拡大し、2003年Pharmacia、2009年Wyethなど大型M&Aを経て事業基盤を強化。2023年12月のSeagen買収(総額約$43bn)でオンコロジー領域を再加速させました。[7]
足元業績(“いつ時点”):2025年Q2は売上$14.7bn(前年同期比+10%)、調整後EPS$0.78。通期2025年ガイダンスは売上$61–64bnを再確認し、調整後EPSレンジを$2.90–$3.10へ引き上げ(3SBio契約に伴う一過性影響▲$0.20を織り込み)。コスト最適化は累計$7.2bnの見込み(年度内の進捗言及)。[6]
ひとことで:COVID関連の正常化後は、オンコロジー(Seagen統合)、心血管(Eliquis・Vyndaqel)とワクチン(Prevnar/Abrysvo/Comirnaty改良版)が柱。2025年はEPSガイダンスを引き上げ、R&Dは$10–11bn規模を維持しつつ、コスト最適化とパイプラインの質で勝負。[2][6]
【注】(出典リンク)
- 事業構成・主要製品(2024通期 10-K) → Pfizer 2024 Form 10-K(2025-02-27)(確認日:2025-09-23) ↩
- 2025年ガイダンス(R&D/SG&Aレンジ等) → Pfizer PR(2024-12-17)(確認日:2025-09-23) ↩
- 2024年見通し(Seagen反映・R&Dレンジ) → Pfizer PR(2023-12-13)(確認日:2025-09-23) ↩
- 四半期配当$0.43(2025年1Q~3Q) → PR(2024-12-12) → PR(2025-04-23) → PR(2025-06-25)(確認日:2025-09-23) ↩
- Eliquisの共同製品・足元増収(2025年Q2) → Reuters(2025-07-31)(確認日:2025-09-23) ↩
- 2025年Q2 決算・通期ガイダンス引き上げ → Q2’25 決算資料(2025-08-05) → IR(Quarterly Results)(確認日:2025-09-23) ↩
- Seagen買収完了と組織統合 → Pfizer PR(2023-12-14) → SEC掲載プレス(2023-12-14) → 統合説明資料(2023-12-13)(確認日:2025-09-23) ↩
- Comirnaty 2025–26シーズン承認更新(米FDA・EU) → FDA Comirnatyページ(更新:2025-08-28) → Pfizer PR(2025-08-27)(確認日:2025-09-23) ↩
- Abrysvo(成人)推奨拡張(ACIP, 2024-06) → Pfizer PR(2025-04-16、経緯記載)(確認日:2025-09-23) ↩
- PaxlovidのFDA通常承認(成人, 2023-05-25) → FDA PR(2023-05-25) → 承認レター(確認日:2025-09-23) ↩
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】