PFE:ファイザーの配当推移
ファイザー(PFE)配当投資分析(2026年2月更新)
要旨:ファイザーは世界最大級の製薬会社として、2011年以降15年連続増配を続ける配当株であり、2025年の平均配当利回りは約6.6%(株価水準によっては6〜7%台)と高水準です。投資判断で最重要の「配当を現金でどれだけカバーできるか」を、営業CF/フリーCF双方から年次で検証し、さらにBS(資産・負債・自己資本)の推移も数表で提示します。2025年通期決算(2026年2月3日発表)時点で、COVID-19特需終了後の事業正常化が進み、肥満症治療薬パイプラインやM&Aによる将来成長基盤の強化も注目される中、配当の持続可能性と将来成長性を精密分析します。[1]
まず、ファイザー(Pfizer Inc.)の配当利回りと株価をチャート(直近90日間)で見てみます。
権利落ち日や配当性向(1株配当÷EPS、EPS比で配当を払い過ぎていないかを図る指標)等も確認してみます。
配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート
配当利回りと権利落ち・配当性向の確認
直近の利回り・権利落ち動向や、EPSベースの配当性向の推移は、PfizerのIRサイトに掲載されている配当情報や年次報告書(Form 10-K)・四半期報告書(Form 10-Q)で確認できます。長期の年次系列は、外部データベースの時系列データ(EPS・株価・配当・キャッシュフロー等)で補完しています。[2][3]
※本稿の数値は、原則として2008〜2025年の年次データおよび2025年通期決算(2026年2月3日発表)までの情報に基づいています。2026年配当やガイダンスに関する記述は会社開示資料をもとにした参考値であり、将来の実績とは異なる可能性があります。
年次:配当の推移(利回り・成長率・配当性向・年間配当・平均株価・EPS)
増配ピッチと「会計ベースの配当性向」の振れ幅を掴むための年次テーブル。
| 年 | 配当 | 平均株価 | 年EPS | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均利回り | 成長率 | 配当性向 | 年計($) | |||
| 2025 | 6.64% | 2% | 126% | 1.72 | 25.9 | 1.36 |
| 2024 | 6.02% | 2% | 119% | 1.68 | 27.9 | 1.41 |
| 2023 | 4.44% | 2% | 443% | 1.64 | 36.9 | 0.37 |
| 2022 | 3.21% | 3% | 29% | 1.60 | 49.8 | 5.47 |
| 2021 | 3.70% | 3% | 41% | 1.56 | 42.2 | 3.85 |
| 2020 | 4.36% | 6% | 93% | 1.52 | 34.9 | 1.63 |
| 2019 | 3.81% | 6% | 51% | 1.44 | 37.8 | 2.82 |
| 2018 | 3.67% | 6% | 73% | 1.36 | 37.1 | 1.87 |
| 2017 | 3.96% | 7% | 36% | 1.28 | 32.3 | 3.52 |
| 2016 | 3.86% | 7% | 103% | 1.20 | 31.1 | 1.17 |
| 2015 | 3.51% | 8% | 101% | 1.12 | 31.9 | 1.11 |
| 2014 | 3.62% | 8% | 73% | 1.04 | 28.7 | 1.42 |
| 2013 | 3.49% | 9% | 30% | 0.96 | 27.5 | 3.19 |
| 2012 | 4.00% | 10% | 45% | 0.88 | 22.0 | 1.94 |
| 2011 | 4.32% | 11% | 63% | 0.80 | 18.5 | 1.27 |
| 2010 | 4.53% | -10% | 71% | 0.72 | 15.9 | 1.02 |
| 2009 | 5.37% | -38% | 65% | 0.80 | 14.9 | 1.23 |
| 2008 | 6.99% | 10% | 107% | 1.28 | 18.3 | 1.20 |
※EPSはGAAPベース(特別要因で大きく振れる年あり)。配当性向は「1株配当÷EPS」。このため配当安全性の評価では下記のCF対比を見るのが実務的です。2025年のGAAP EPSは$1.36で、Q4に約44億ドルの非現金無形資産減損を計上した影響が大きく、調整後EPSは$3.22と堅調でした。[4]
配当の持続可能性を測る:現金ベースのカバー比率
指標の読み方
- 配当総額(現金支出):本来は「普通株主への現金配当支払額」(キャッシュフロー計算書の財務CF内の行)。年次10-Kで直近3年は厳密に確認できます。長期推移は、本文では年間DPS×希薄化後平均株式数の概算も併用しています(注1)。
- 営業CF対配当比率= 営業CF / 配当総額。中長期で1.5倍超が目安。
- フリーCF対配当比率=(営業CF − CAPEX)/ 配当総額。投資(CAPEX)を控除した「残余現金」でどれだけ配当を賄えるか。
注1: DPS(1株当たり年間配当)はIRの配当履歴等、希薄化後平均株式数は外部データベースの"Shares Outstanding"系列を用いて概算しています。年内の発行株式数変動や支払時期のずれにより、実際の現金配当支出額と数%の差が出る場合があります(会社開示が最優先)。なお、2025年通期の配当総額は決算発表時の開示(約98億ドル)に準拠しています。[5]
年次:配当総額(概算)とカバー比率
単位は百万ドル(M$)。カバー比率は小数2桁で表記。CFO/配当 & FCF/配当の両方を掲示。
| 年 | 配当総額(概算) | 営業CF | CAPEX(概算) | フリーCF(概算) | 営業CF/配当 | FCF/配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2008 | 7,780 | 18,238 | 2,200 | 16,038 | 2.34 | 2.06 |
| 2009 | 4,850 | 16,587 | 2,400 | 14,187 | 3.42 | 2.92 |
| 2010 | 4,350 | 11,454 | 2,600 | 8,854 | 2.63 | 2.04 |
| 2011 | 4,900 | 20,240 | 2,800 | 17,440 | 4.13 | 3.56 |
| 2012 | 5,350 | 16,746 | 3,000 | 13,746 | 3.13 | 2.57 |
| 2013 | 5,750 | 17,684 | 3,200 | 14,484 | 3.08 | 2.52 |
| 2014 | 6,200 | 17,084 | 3,400 | 13,684 | 2.76 | 2.21 |
| 2015 | 6,700 | 14,688 | 3,600 | 11,088 | 2.19 | 1.65 |
| 2016 | 7,150 | 16,192 | 3,800 | 12,392 | 2.26 | 1.73 |
| 2017 | 7,650 | 16,802 | 4,000 | 12,802 | 2.20 | 1.67 |
| 2018 | 8,100 | 15,827 | 4,200 | 11,627 | 1.95 | 1.44 |
| 2019 | 8,600 | 12,588 | 4,400 | 8,188 | 1.46 | 0.95 |
| 2020 | 8,850 | 14,403 | 4,600 | 9,803 | 1.63 | 1.11 |
| 2021 | 8,950 | 32,580 | 4,800 | 27,780 | 3.64 | 3.10 |
| 2022 | 9,200 | 29,267 | 5,000 | 24,267 | 3.18 | 2.64 |
| 2023 | 9,350 | 8,700 | 5,200 | 3,500 | 0.93 | 0.37 |
| 2024 | 9,512 | 12,744 | 2,909 | 9,835 | 1.34 | 1.03 |
| 2025 | 9,800 | 13,100 | 2,700 | 10,400 | 1.34 | 1.06 |
• 営業CFやCAPEX、配当総額は公開されたキャッシュフロー計算書および外部データベースの年次系列をもとに整理しています。2024年の配当総額・CAPEX・FCFは10-K確定値に更新しました。2025年の営業CF・CAPEX・FCFは、2026年2月時点で10-K未提出のため直近4四半期データからの概算です(詳細な情報源は末尾【注】参照)。[6]
キャッシュフロー計算書
読み方(要点)
- 営業CF:本業の現金創出力。配当の「元手」。
- 投資CF:CAPEXやM&Aなど。マイナス拡大=将来成長への投資。
- 財務CF:配当・自社株買い・借入返済などの株主/債権者との現金やり取り。
年次:営業CF・投資CF・財務CF
単位は百万ドル(M$)。(2008–2025)
| 年 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2008 | 18,238 | -12,835 | -6,560 |
| 2009 | 16,587 | -31,272 | 14,481 |
| 2010 | 11,454 | -492 | -11,174 |
| 2011 | 20,240 | 1,843 | -20,607 |
| 2012 | 16,746 | 6,154 | -15,999 |
| 2013 | 17,684 | -10,544 | -14,975 |
| 2014 | 17,084 | -5,654 | -10,187 |
| 2015 | 14,688 | -2,980 | -10,409 |
| 2016 | 16,192 | -7,791 | -9,228 |
| 2017 | 16,802 | -4,740 | -13,350 |
| 2018 | 15,827 | 4,525 | -20,441 |
| 2019 | 12,588 | -3,945 | -8,485 |
| 2020 | 14,403 | -4,271 | -9,649 |
| 2021 | 32,580 | -22,546 | -9,816 |
| 2022 | 29,267 | -15,783 | -14,834 |
| 2023 | 8,700 | -32,278 | 26,066 |
| 2024 | 12,744 | 2,652 | -17,140 |
| 2025 | 13,100 | -5,800 | -16,000 |
主要なキャッシュフロー数値は、Pfizerの公開財務資料および長期データベースの年次系列から整理しています。2025年の各CF区分は10-K未提出時点の概算値であり、確定後に差異が生じる可能性があります(詳細な出典は末尾【注】参照)。[6]
- 2009年:ワイス買収(約680億ドル)による投資CF大幅マイナスと資金調達。
- 2021–2022年:COVID-19ワクチン成功により営業CFが過去最高圏(326億ドル、293億ドル)へ。
- 2023年:COVID-19特需終了と戦略投資集中により営業CF大幅減(87億ドル)、投資CF拡大(-323億ドル)。
- 2024年:営業CF回復(127億ドル)、投資CFプラス転換(27億ドル、Haleon株一部売却等による)で財務体質改善。
- 2025年:営業CFは131億ドル(概算)へ微増。投資CFは-58億ドル(概算)へ転換(Metsera買収約70億ドル、一方でHaleon株完全売却による約63億ドル受領が相殺)。[7]
損益・キャッシュ創出の推移(抜粋)
売上・営業CF・純利益の長期推移(M$)。
| 年 | 売上 | 営業CF | 純利益 |
|---|---|---|---|
| 2008 | 48,296 | 18,238 | 8,104 |
| 2010 | 65,165 | 11,454 | 8,257 |
| 2013 | 51,584 | 17,684 | 22,003 |
| 2017 | 52,546 | 16,802 | 21,308 |
| 2019 | 40,905 | 12,588 | 16,027 |
| 2021 | 81,288 | 32,580 | 21,979 |
| 2022 | 101,175 | 29,267 | 31,372 |
| 2023 | 59,554 | 8,700 | 2,119 |
| 2024 | 63,627 | 12,744 | 8,031 |
| 2025 | 62,579 | 13,100 | 7,771 |
売上高・純利益・営業CFなどの主要指標は、Pfizerの年次・四半期報告書と長期データベースに基づいて整理しています(詳細な出典は末尾【注】参照)。[4]
バランスシート:自己資本・負債の時系列
単位は百万ドル(M$)。自己資本率=株主資本/総資産、負債比率=総負債/株主資本。
| 年 | 総資産 | 総負債 | 株主資本 | 自己資本率(%) | 負債比率(%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2008 | 111,148 | 53,408 | 57,556 | 52 | 93 |
| 2009 | 212,949 | 122,503 | 90,014 | 42 | 136 |
| 2011 | 188,002 | 105,381 | 82,190 | 44 | 128 |
| 2013 | 172,101 | 95,481 | 76,307 | 44 | 125 |
| 2015 | 167,381 | 102,384 | 64,720 | 39 | 158 |
| 2017 | 171,797 | 100,141 | 71,308 | 42 | 140 |
| 2019 | 167,594 | 104,148 | 63,143 | 38 | 165 |
| 2021 | 181,476 | 104,013 | 77,463 | 43 | 134 |
| 2022 | 197,205 | 101,288 | 95,917 | 49 | 106 |
| 2023 | 226,501 | 137,213 | 89,288 | 39 | 154 |
| 2024 | 213,396 | 124,899 | 88,497 | 41 | 141 |
| 2025 | 208,730 | 115,640 | 93,090 | 45 | 124 |
主要なバランスシート数値は、長期データベースおよび金融情報サイトに掲載されたPFEのバランスシート情報、ならびにPfizerの決算資料をもとに整理しています。[8]
- 2009年:ワイス買収により総資産が倍増、自己資本率が52%→42%に低下。
- 2022年:COVID-19収益により自己資本率が49%まで改善、負債比率も106%に改善。
- 2023年:戦略投資(Seagen買収等)により負債比率が一時的に154%へ上昇。
- 2024年:財務体質改善により負債比率が141%へ低下、自己資本率も41%へ回復。
- 2025年:デレバレッジが進み、負債比率は124%へ低下、自己資本率は45%へ改善。グロスレバレッジ目標も3.25倍から2.7倍へ引き下げ。[5]
投資家向け分析
- 配当安全度:営業CFベースの配当カバーは通常時で1.5〜4.1倍が中心レンジ。2023年のカバー比率0.93倍から2024年は1.34倍へ回復し、2025年も1.34倍を維持(概算)。FCFカバーは2024年の1.03倍から2025年は1.06倍(概算)と、営業CF・FCFともに配当総額を上回る水準を確保しています。
- 配当成長の継続性:2011年以降15年連続増配を継続しており、2025年は年間$1.72(前年比約2.4%増)を実現しました。年間配当総額は約98億ドルで、これは同社の資本配分の最優先事項として位置づけられています。2026年についても長期的な増配方針が維持される見通しですが、具体的な増額は未発表です(2026年2月時点)。[9]
- COVID-19正常化と成長ドライバー:2025年通期では、COVID-19製品を除く売上が前年比6%の営業成長を達成。最近上市・買収した製品群は合計102億ドルの売上を記録し、前年比約14%の営業成長を実現しました。Vyndaqelファミリー、Eliquis、Padcev、Lorbrena、Abrysvoなどが成長を牽引しています。[4]
- 肥満症治療薬パイプライン:2025年にはMetsera社を約70億ドルで買収し、超長時間作用型GLP-1受容体作動薬PF’3944(MET-097i)を獲得。2026年2月に発表されたPhase 2b(VESPER-3)の結果は良好で、月1回投与への移行成功とプラセボ調整後10〜12.3%の体重減少を示しました。2026年にPhase 3開始が予定されています。加えて、YaoPharma社からの経口GLP-1小分子薬(YP05002)のライセンス契約も締結しました。[10]
- バランスシートとレバレッジ:負債比率124%は製薬業界として改善傾向。グロスレバレッジ目標を約2.7倍に引き下げ、デレバレッジを進めています。Haleon株の完全売却(2025年Q1に約63億ドル受領)やViiV Healthcare持分売却(18.75億ドル、2026年Q1完了予定)も財務体質改善に寄与。[7]
- コスト削減と効率化:全社的なコスト削減プログラムにより、2026年末までに約72億ドルの純コスト削減を達成予定。製造最適化プログラムでは2027年末までに計15億ドルの追加削減を見込んでいます。AIの全社導入も進めており、R&Dの生産性向上と業務効率化に活用しています。[5]
- 2026年ガイダンス:売上$59.5B〜$62.5B、調整後EPS $2.80〜$3.00を提示(2026年2月に再確認済)。COVID-19製品売上は約50億ドル(前年比約15億ドル減)を見込み、LOE(特許切れ)による売上減少も約15億ドルを想定。一方、TrumpRx薬価協定の影響や関税の影響も織り込んでいます。[4]
- 業界特性:製薬業界特有の収益変動(特許切れ・薬価改定・開発成功/失敗)に対応するため、キャッシュフローベースでの配当評価が重要。特許切れリスクを新薬開発・M&Aで補完する戦略が続いています。
出典(主要)とデータ利用に関する注意
本文中の財務数値は、Pfizerの開示資料(10-K/10-Q・年次報告書・決算リリース)および長期データベースの年次系列を組み合わせて整理したものです。長期のCF・BS・配当データについては、年次ごとの整合性を優先しつつ、一部で推計値(とくに配当総額・CAPEX概算)を含みます。2025年通期のキャッシュフロー・バランスシートの一部数値は、10-K提出前のため四半期データの合算や金融情報サイトの速報値を用いた概算です。厳密な年次金額は各年の10-K「Consolidated Financial Statements」およびキャッシュフロー計算書の「Dividends paid」項目を確認してください。
まとめ:PFEは「高配当+景気非連動」の製薬株
ファイザーは、COVID-19ワクチン特需の反動で業績・株価が大きく揺れた一方、2025年通期時点では非COVID事業の堅調な成長(営業ベース前年比+6%)と財務体質のデレバレッジが進み、依然として高配当かつ景気非連動性の高い製薬株として位置づけられます。
同社の強みは以下の点にあります:
- 2011年以降の連続増配(15年連続)と、足元で6.5%前後の高い配当利回り
- ワクチン・がん領域(Padcev、Lorbrena等)・循環器(Vyndaqel)など多様なポートフォリオによる収益源の分散
- Metsera買収による肥満症治療薬パイプラインへの本格参入と、Segenポートフォリオの期待以上の進捗
- デレバレッジの進展とコスト削減による財務基盤の強化
一方で、投資家が意識すべきリスクとして:
- COVID-19関連売上の継続的縮小(2026年は約50億ドルへ減少見込み)
- 大型品の特許切れ(LOE)による売上減少リスク(2026年に約15億ドルの影響見込み)
- 薬価抑制策・規制強化(TrumpRx協定、メディケア薬価交渉、関税等)による収益圧力
- 肥満症治療薬市場での後発参入としての競争リスクと、パイプライン投資が期待通りのリターンを生まないリスク
投資家へのポイント:2025年のPFEは、COVID特需の反動がほぼ一巡し、非COVID事業の安定成長と肥満症領域への戦略投資が同時に進行するフェーズに入っています。配当利回りは6.5%前後と依然として高水準を維持し、営業CF・FCFともに配当を賄える水準に改善しています。2026年は約20件の重要ピボタル試験開始が予定されており、パイプラインの進捗が株価再評価のカタリストとなり得ます。配当利回りを重視しつつ、R&DパイプラインやM&Aの進捗を中長期目線でフォローできる投資家にとって、「高配当+成長カタリスト期待」の銘柄といえるでしょう。
よくある質問
PFEの配当はどれくらい安全ですか?
配当性向(EPSベース)はCOVID-19特需の反動で2023年に一時的に400%超まで跳ね上がり、2024年119%、2025年126%と依然として高めに推移しています。ただし、2025年のGAAP EPSにはQ4の約44億ドルの無形資産減損(非現金)が含まれており、調整後EPSは$3.22と配当$1.72を大きく上回っています。より重要な営業CFベースでは、平常時は1.5〜4倍程度のカバー比率を維持しており、2023年0.93倍→2024年・2025年ともに1.34倍へと安定しました。FCFベースのカバーも2024年1.03倍、2025年1.06倍(概算)と配当を上回っており、COVID調整局面を脱しつつあります。今後も、EPSではなく営業CF・FCFを軸に配当安全性をモニターすることが重要です。
高配当利回りは「減配リスクのシグナル」ではありませんか?
PFEの利回りは、株価調整により足元で6.5%前後と高水準です。一般論として高利回りは減配懸念のシグナルとなることもありますが、PFEの場合はCOVID特需後の成長鈍化と投資負担、そして市場の不透明感を織り込んだ結果として株価が下落している側面が大きいと考えられます。2025年時点で営業CFは配当総額を上回っており、経営陣も配当の維持・長期的な増配を資本配分の最優先事項と明言しています。肥満症治療薬の開発進展やSegenポートフォリオの好調な進捗が確認されれば、「高配当+業績回復」によるリレーティング余地も残されています。
COVID-19関連売上の縮小後、PFEの成長ドライバーは何ですか?
2025年通期では、COVID-19製品を除く売上が営業ベースで前年比6%成長を達成し、基礎事業力の底堅さが確認されました。主な成長ドライバーとしては、循環器(Vyndaqelファミリー)、がん領域(Padcev、Lorbrena、Braftovi)、免疫(Eliquis)、ワクチン(Abrysvo、Prevnarファミリー)が挙げられます。加えて、Metsera買収で本格参入した肥満症治療薬(PF’3944の月1回投与モデル、YP05002の経口GLP-1)は中長期の大きな成長ドライバーとなる可能性があります。2026年には約20件の重要ピボタル試験開始が予定されており、「2028年以降の業界トップクラスの成長」を目標に据えています。[4]
配当目当ての長期投資として、PFEと他の大型製薬株はどう比較できますか?
同じ大型製薬株でも、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)やメルク(MRK)、イーライリリー(LLY)などと比べると、PFEは現時点でより高い配当利回りと、COVID特需後の調整局面という事情から、株価バリュエーションは割安圏にあるケースが多いと考えられます。一方で、肥満症治療薬市場ではLLYやNVOが先行しており、PFEは後発参入のリスクとチャンスの両面を持ちます。「高配当+パイプラインによるリレーティング期待」を取るか、「高成長+低配当」を取るかは投資家の好みとリスク許容度によります。PFEは、配当重視のポートフォリオにおいて製薬セクターの高利回り枠として検討しやすい銘柄と言えるでしょう。
免責
本記事は投資助言ではありません。最終判断はご自身の責任でお願いします。数値は信頼できると考えられる公開情報に基づきますが、エラーや改定により変更される可能性があります。投資にあたっては、製薬業界特有のリスク(特許切れ、規制変更、開発失敗、薬価圧力等)を十分ご理解の上、分散投資をご検討ください。
【注】(出典リンク)
- 配当履歴・利回り・連続増配年数:Pfizer Investor Relations「Investors」内の株主向け情報(Stock Information / Dividend History 等)。Pfizer Dividend & Split History(確認日:2026-02-06)↩
- 年次・四半期報告書・決算資料:Pfizer Investor Relations「Financial Reports / Annual Reports / Quarterly Results」等。売上高・EPS・営業CF・配当支払額などの一次情報に利用。Pfizer Quarterly Results(確認日:2026-02-06)↩
- 長期財務データ:Macrotrends「Pfizer Financial Statements」(Revenue / Net Income / Cash Flow / Dividends / Total Assets 等の年次系列)。本文の長期テーブルを補完するために利用。Macrotrends – PFE Financial Statements(確認日:2026-02-06)↩
- 2025年通期決算発表(2026年2月3日):Pfizer Inc.「Pfizer Reports Solid Full-Year 2025 Results And Reaffirms 2026 Guidance」プレスリリース。売上$62.6B、GAAP EPS $1.36、調整後EPS $3.22、2026年ガイダンス等。Pfizer FY2025 Earnings Release → PDF版(確認日:2026-02-06)↩
- 2025年通期決算 Q4カンファレンスコール:CFO Dave Denton発言。配当$9.8B返還、デレバレッジ進捗(グロスレバレッジ目標2.7倍)、コスト削減計画($7.2B)等。Motley Fool – PFE Q4 2025 Transcript(確認日:2026-02-06)↩
- キャッシュフロー長期データ:StockAnalysis「Pfizer Cash Flow Statement」。営業CF・CAPEX・FCF・投資CF・財務CF等の年次系列。2025年通期の一部数値はTTMベースの概算を含む。StockAnalysis – PFE Cash Flow(確認日:2026-02-06)↩
- 2025年の主要企業開発:Metsera買収完了(2025年11月、企業価値約70億ドル)、Haleon株完全売却(2025年1月・3月、合計約63億ドル)、ViiV Healthcare持分売却合意(18.75億ドル、2026年Q1完了予定)。Pfizer Investor Relations(確認日:2026-02-06)↩
- バランスシート詳細:金融情報サイトに掲載されたPfizer Inc. (PFE) の最新バランスシート情報(Total Assets / Total Liabilities / Total Equity 等)。2025年末数値はQ4決算速報値。Seeking Alpha – PFE Balance Sheet → Yahoo Finance – PFE Balance Sheet(確認日:2026-02-06)↩
- 2025年配当増額発表:Pfizer Inc.「Pfizer Declares First-Quarter 2025 Dividend」(2024年12月発表)。四半期配当を$0.42→$0.43に増額、年間$1.72。Pfizer Q1 2025 Dividend Release(確認日:2026-02-06)↩
- 肥満症パイプライン:VESPER-3 Phase 2b結果(PF’3944/MET-097i、月1回投与、体重減少10〜12.3%)および YaoPharma社ライセンス契約(YP05002、経口GLP-1)。2025年通期決算プレスリリース内「Recent Notable Developments」セクション参照。PFE Q4 2025 Earnings Release PDF(確認日:2026-02-06)↩

