PM(フィリップモリス)今後の見通し
フィリップモリスインターナショナル(Philip Morris International Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
銘柄比較については関連記事(PMとMOを比較:フィリップモリスとアルトリア)を参照
直近決算
7月22日(米国時間)にPM(フィリップモリス)は決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想1.86$→結果1.91$
・売上高:予想103.1億$→結果101.4億$(前年同期比+7%)
★ガイダンス
《通年》
・EPS:予想7.47$→結果7.43~7.56$
★出所
・IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。
企業概要
フィリップ・モリス・インターナショナル(Philip Morris International, PMI)は、世界を代表するたばこ製品メーカーで、紙巻たばこに加え、加熱式たばこ・ニコチンパウチ・電子たばこ等のスモークフリー製品に事業の軸足を移しています。登記上の本社は米コネティカット州スタンフォード、事業運営中枢はスイス・ローザンヌです(2022年移転完了)。[1]
近年は加熱式たばこやニコチンパウチなど次世代製品への投資を拡大。2025年上期時点で、スモークフリー事業の売上構成比は41%、当社推計のスモークフリー製品ユーザーは4,100万人超、販売市場は97市場に拡大しています(2025年Q2ベース)。[2][3]
PMは、主に以下の3つの分野で事業を展開しています。
- 紙巻たばこ:Marlboro、L&M、Parliament などの国際ブランドを展開。市場毎の規制・嗜好に合わせたポートフォリオを構築しています。製品は世界約170市場で販売(2024年末時点)。[4]
- 次世代たばこ(スモークフリー):加熱式たばこ「IQOS(ILUMA など)」、ニコチンパウチ「ZYN」、電子たばこ「VEEV」等を展開。米国では2025年1月にZYNの20銘柄がFDAの販売許可(PMTA)を取得し、同年夏にはIQOSの改めての規制審査(MRTP更新審査)も進行中。IQOSは「有害成分の曝露低減」表示の限定的なMRTP(改正リスクたばこ)認可を受けています。[5][6][7]
- 地域別戦略:各国の規制・課税環境に応じ、紙巻からスモークフリーへの移行を推進。米国ではスウェディッシュマッチ(ZYN)買収(2022年)後、ZYNの供給増強に向け米国内の生産投資を継続。IQOSは2025年に一部都市(例:テキサス州)で限定販売を開始し、ILUMAの全米本格展開はFDAの販売許可後を想定しています。[8][9][10]
1847年に創業されたPMは、2008年に米国内の紙巻たばこ事業をAltriaに残し、海外事業主体のPhilip Morris Internationalとして分社化。以降、各国の法規制に対応しつつグローバル展開を継続し、2022年にはスウェディッシュマッチの買収でモダンオーラル領域(ZYN)を取り込み、スモークフリー転換を加速しています。[11][8]
2024通期の年次報告では、オペレーティング・インカム$134億(前年比+16.0%)などを公表。2025年Q2決算では、スモークフリーの拡大を背景にガイダンスを上方修正する一方、紙巻ボリュームの減少と地域ミックスにより売上は一部市場予想に届かない局面も見られました(いずれも“いつ時点”を明記)。[12][13]
PMは高配当銘柄としても知られますが、配当持続性はスモークフリー事業の拡大と規制対応の進捗に依存します。FDAの認可動向(IQOSの更新審査、ZYNの継続許可等)や主要市場の規制・課税は、事業戦略・収益に引き続き重要です(2025年時点)。[6][7]
ひとことで:「紙巻→スモークフリー」への転換が主戦略。2025年上期で売上の41%がスモークフリー、ユーザー4,100万人超。米国ではZYNが先行、IQOSはFDA許可の枠組み(MRTP更新・PMTA)を整えつつ段階展開中です。[2][5][6]
【注】(出典リンク)
- 本社(登記:スタンフォード/運営:ローザンヌ)・移転発表 → PMI News(2021-11-09) → PMI Release(2021-06-22)(確認日:2025-09-23) ↩
- スモークフリー売上比41%・ユーザー/市場(2025年Q2時点) → Q2 2025 投資家資料(確認日:2025-09-23) ↩
- 同:PMI公式「Our progress」 → Our progress(2025年更新)(確認日:2025-09-23) ↩
- 販売市場数(2024年末:約170市場) → PMI Integrated Report 2024(2025-04-03)(確認日:2025-09-23) ↩
- ZYN 20銘柄のFDA販売許可(PMTA) → FDA Release(2025-01-16) → FDA:Marketing Orders一覧(確認日:2025-09-23) ↩
- IQOSのMRTP(曝露低減)認可と更新審査 → FDA:MRTPページ → FDA:更新審査会合告知(2025-07-29)(確認日:2025-09-23) ↩
- MRTPの位置づけ(曝露低減であり疾病リスク低減ではない) → FDA Release(2022-03-10) → 学術解説(2021)(確認日:2025-09-23) ↩
- スウェディッシュマッチ買収(概要・進捗) → 買付提案リリース(2022-05-11) → Swedish Match IR:90%超取得・上場廃止(2022-12-30)(確認日:2025-09-23) ↩
- 米国でのIQOS段階展開(テキサス販売開始・ILUMA審査待ち) → Reuters(2025-03-27)(確認日:2025-09-23) ↩
- ZYN生産拡張(米国内投資) → Reuters(2024-08-27)(確認日:2025-09-23) ↩
- 沿革(2008年分社・FAQ) → PMI FAQ(About us)(確認日:2025-09-23) ↩
- 2024通期 年次報告(主要数値) → PMI Annual Report 2024(2025-03-14)(確認日:2025-09-23) ↩
- 2025年Q2決算とガイダンス → PMI Press(2025-07-22) → Reuters(同日)(確認日:2025-09-23) ↩
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】