フィリップ・モリス(PM)とアルトリア(MO)の違い|配当・株価・将来性を比較

タバコ株,必需品,銘柄比較

最終更新:2026年8月5日

フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)とアルトリア・グループ(MO)の2026年Q2決算、配当、通期見通しを反映しました。株価、配当利回り、PERなど日々変動する指標は、記事内の株価スプレッドシートで最新値をご確認ください。

PMとMOは、2008年にアルトリアからフィリップ・モリス・インターナショナルが分離して誕生した別会社です。[1]

  • フィリップ・モリス(PM):世界市場を中心に、IQOS、ZYN、VEEVなどの無煙製品を成長軸とする企業です。現在は米国でもZYNなどを展開しています。
  • アルトリア(MO):米国市場を中心に、Marlboroなどの紙巻たばこ、on!・on! PLUSなどのニコチンパウチを展開する企業です。

利益成長と無煙製品への事業転換を重視する場合はPM、現在の高い配当利回りと株主還元を重視する場合はMOが主な比較対象になります。ただし、両社とも規制、訴訟、紙巻たばこ市場の縮小、無煙製品の競争といったリスクがあります。

Contents

PMとMOの違いを比較|国際市場のPM、米国市場のMO

フィリップ・モリス・インターナショナルとアルトリアは、いずれも「Philip Morris」の歴史を持ちますが、現在は資本関係のない別会社です。2008年3月28日にアルトリアがPMI株式を株主へ分配し、フィリップ・モリス・インターナショナルは独立した上場会社になりました。[1]

項目 フィリップ・モリス
(PM)
アルトリア
(MO)
正式名称 Philip Morris International Inc. Altria Group, Inc.
ティッカー PM MO
主な市場 世界市場が中心。米国ではZYNなどを展開 米国市場が中心
主力ブランド・製品 IQOS、ZYN、VEEV、Marlboroなど Marlboro、on!、on! PLUS、Black & Mildなど
成長戦略 無煙製品の世界展開、IQOS・ZYNの成長 紙巻の価格戦略、on!の拡大、新カテゴリー開拓
2026年Q2の特徴 売上・調整後EPSが2桁増。無煙製品が売上の約42% 売上は小幅増。Marlboroとon!の数量減が課題
四半期配当 1.47ドル 1.06ドル
投資上の性格 配当+利益成長・事業転換 高配当・株主還元
主なリスク 規制、為替、ZYN競争、投資負担 米国紙巻数量減、シェア低下、規制・訴訟

※株価、配当利回り、PERは日々変動します。本記事では、更新負担を抑えるため、最新値を株価スプレッドシートへ集約しています。

フィリップ・モリス(PM)とは|国際市場と無煙製品が中心

フィリップ・モリス・インターナショナルは、米国に本社を置き、世界各国でたばこ・ニコチン製品を販売する企業です。従来は米国外の紙巻たばこ事業が中心でしたが、Swedish Matchの買収後は米国でZYNを展開しており、現在のPMを単純に「米国外だけの会社」と説明するのは正確ではありません。

2026年Q2のPMのNet revenuesは111.92億ドルで前年同期比10.4%増、オーガニックでは7.6%増でした。調整後希薄化EPSは2.20ドルで15.2%増です。IQOS、ZYN、VEEVなどを含む無煙製品は売上高の約42%を占めました。[2]

PMの主な強み

  • 世界各国でIQOSを展開し、加熱式たばこの市場基盤を持つ
  • ZYNを米国だけでなく世界60市場へ拡大
  • 2026年Q2の無煙製品出荷数量は前年同期比7.5%増
  • 紙巻たばこの価格改定と無煙製品の成長が同時に利益へ寄与
  • 2026年の営業キャッシュフローを約135億ドルと見込む

PMの主なリスク

  • 無煙製品に関する各国の規制・課税変更
  • 米国ニコチンパウチ市場での競争激化
  • 為替変動によるドル換算業績への影響
  • 製造能力、広告、研究開発への先行投資
  • 買収に伴う無形資産償却や減損

アルトリアグループ(MO)とは|米国のMarlboroと高配当が中心

アルトリア・グループは、米国内の成人向けニコチン市場を中心に事業を展開する持株会社です。子会社のPhilip Morris USAがMarlboroを販売するほか、John Middletonの葉巻、Helix Innovationsのon!・on! PLUSなどを保有します。[3]

MOの収益の中心は引き続き米国の紙巻たばこです。紙巻数量の減少を価格改定、コスト管理、自社株買いで補いながら、配当を含む株主還元を続けています。一方、2026年Q2は生活費上昇を背景に割安ブランドへ消費が移り、Marlboroの出荷数量は前年同期比7.4%減、on!も4.2%減となりました。[4]

MOの主な強み

  • Marlboroを中心とする米国紙巻市場でのブランド力
  • 成熟事業から生み出す高いキャッシュフロー
  • 配当と自社株買いを重視する資本配分
  • on! PLUSの全国展開と新フレーバー投入
  • 2026年通期の調整後EPS成長を見込む

MOの主なリスク

  • 米国紙巻たばこ市場の長期的な数量減少
  • Marlboroから割安ブランドへの需要移動
  • ニコチンパウチ市場におけるZYNなどとの競争
  • NJOY ACEの輸入・販売停止
  • 規制、課税、訴訟、違法製品市場の拡大

PMとMOの2026年Q2決算を比較

2026年Q2は、PMが無煙製品と紙巻たばこの双方で増収を確保した一方、MOは売上を小幅に伸ばしたものの、Marlboroとon!の数量減が利益成長の重荷となりました。

項目 PM MO
2026年Q2売上 Net revenues
111.92億ドル
前年比10.4%増
物品税控除後売上高
53.6億ドル
前年比1.2%増
調整後希薄化EPS 2.20ドル
前年比15.2%増
1.48ドル
市場予想1.50ドルを下回る
主な数量指標 無煙製品7.5%増
ZYN出荷1.8%増
Marlboro 7.4%減
on! 4.2%減
2026年調整後EPS見通し 8.26~8.41ドル 5.61~5.72ドル
通期見通しの要点 オーガニック売上5~7%増
営業CF約135億ドル
EPS予想の下限を引き上げ
紙巻の価格・数量が焦点

※PMはNet revenues、MOはRevenues net of excise taxes(物品税控除後売上高)を掲載しています。売上高の定義が異なるため、規模を単純比較するのではなく、各社の前年同期比と利益成長を確認してください。[2][4]

PM:無煙製品が成長を支える

PMの2026年Q2は、無煙製品のNet revenuesが前年同期比14.2%増、オーガニックで11.8%増でした。ZYNの米国出荷数量は前年同期比1.8%増の29億パウチとなり、Q1の在庫調整による大幅減少から回復しています。ただし、米国事業全体の売上はオーガニックで0.9%減となり、ZYNへの追加投資と競争環境を継続的に確認する必要があります。[2]

MO:割安ブランドへの移行がMarlboroの逆風

MOの2026年Q2は、物品税控除後売上高が1.2%増の53.6億ドルとなりましたが、調整後EPSは1.48ドルで市場予想をわずかに下回りました。Marlboroの出荷数量は7.4%減、割安紙巻ブランドは67.3%増となり、消費者の節約志向が鮮明です。会社は2026年通期の調整後EPS見通しを5.61~5.72ドルへ変更し、従来予想から下限を引き上げました。[4]

売上高の比較(2020~2025年)

PM
Net revenues
MO
Net revenues
2020 289.8億ドル 264.7億ドル
2021 314.1億ドル 260.2億ドル
2022 317.6億ドル 251.0億ドル
2023 351.7億ドル 244.8億ドル
2024 378.8億ドル 240.2億ドル
2025 406.5億ドル
前年比7.3%増
232.8億ドル
前年比3.1%減
年平均成長率
2020→2025
約7.0% 約-2.5%

※B=10億ドル。PM・MOともに各社が開示するNet revenuesを掲載しています。端数は丸めています。[5][6]

PMとMOの配当を比較|利回り・配当性向・増配

PMとMOはいずれも四半期配当を実施しています。1株当たりの年率換算配当額はPMの方が大きい一方、株価に対する配当利回りはMOの方が高くなることが多くあります。実際の利回りは株価によって毎日変動するため、記事内の株価チャートで最新値をご確認ください。

項目 PM MO
四半期配当 1.47ドル 1.06ドル
年率換算 5.88ドル 4.24ドル
直近権利落ち日 2026年6月25日 2026年6月15日
直近支払日 2026年7月20日 2026年7月10日
会社予想EPSに対する
参考配当性向
約70~71% 約74~76%
配当の特徴 利益成長と増配の両立を目指す 高利回りと株主還元を重視

PMは2026年6月11日に1株1.47ドルの四半期配当を発表し、7月20日に支払いました。MOは1株1.06ドルの四半期配当を維持し、直近分は7月10日に支払われました。[7][8]

参考配当性向の計算:PMは年率換算配当5.88ドルを2026年調整後EPS見通し8.26~8.41ドルで、MOは年率換算配当4.24ドルを同5.61~5.72ドルで割っています。会社予想と現在の四半期配当が通期を通じて維持されると仮定した参考値であり、将来の配当や利益を保証するものではありません。

配当の安全性はどちらが高いか

両社とも調整後EPS見通しの範囲内で配当を賄える計算ですが、配当性向は低くありません。PMは利益成長率が高く、配当を増やす余地を作りやすい一方、無煙製品への投資と為替の影響を受けます。MOは成熟した米国事業から安定した現金を生み出しますが、紙巻数量の減少が長期的に続く場合、価格改定だけで配当成長を支え続けられるかが焦点になります。

したがって、PMを「低利回りだから安全」、MOを「高利回りだから危険」と単純に分類することはできません。利益成長、キャッシュフロー、負債、配当性向、規制環境を合わせて確認する必要があります。

PMとMOの将来性|無煙製品と紙巻たばこの違い

PMの将来性:IQOSとZYNを世界規模で拡大

PMの成長性を左右する中心テーマは、紙巻たばこからIQOS、ZYN、VEEVなどへの事業転換です。2026年Q2は無煙製品が売上の約42%を占め、無煙製品全体の出荷数量も7.5%増えました。国際市場でIQOSが成長を続ける一方、米国ではZYN ULTRAや新しい強度・フレーバーを投入し、競争力の維持を図っています。[2]

ただし、米国ZYNの売上はQ2にほぼ横ばいで、追加投資によって米国部門の利益が圧迫されています。ZYNの成長を長期的な利益へ結び付けられるか、IQOS ILUMAの米国投入を円滑に進められるかが重要です。

MOの将来性:紙巻の現金を無煙製品へ移せるか

MOはMarlboroを中心とする紙巻事業で現金を生み出し、その資金を配当、自社株買い、on!・on! PLUSなどへ振り向けています。2026年Q2は割安紙巻ブランドへの移行が目立ち、Marlboroの数量と価格支配力に対する懸念が強まりました。[4]

on!の出荷数量も前年同期比で減少しており、ニコチンパウチ市場でZYNなどに対抗する必要があります。また、NJOY ACEが販売できない状態が続いているため、電子たばこ事業を成長軸として評価しにくい点もリスクです。

両社を比較するとPMの成長率が高い

2020年から2025年までのNet revenuesの年平均成長率は、PMが約7.0%、MOが約マイナス2.5%です。直近の2026年Q2でも、PMは売上と調整後EPSが2桁増となりました。現在の利益成長を重視する場合はPMが優位です。

一方、MOは低成長を前提に、配当と自社株買いによって株主リターンを生み出す設計です。成長率だけで優劣を決めるのではなく、購入時の株価、配当利回り、許容できる事業リスクを考える必要があります。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移(生活必需品ETFのVDCを含めて比較)
※チャート右目盛り:米国10年国債利回り
※株価成長率、52週高値・安値、PER、PBR、PSR、時価総額、配当利回りなどを掲載しています。株価は最大20分遅延です。

決算(予想:結果)

決算の予想と結果については、以下の関連記事でも個別に整理しています。[9]

PMとMOのどちらを選ぶべきか

高い配当利回りと株主還元を重視するならMO

MOは米国内の紙巻市場縮小という逆風を抱えていますが、Marlboroを中心とする事業の現金創出力と株主還元が特徴です。現在の配当収入を重視し、紙巻数量減少や規制リスクを許容できる場合に比較対象となります。

配当と利益成長の両方を重視するならPM

PMはMOより配当利回りが低くなりやすい一方、IQOSやZYNなどの無煙製品を通じて、売上と利益を伸ばしています。成熟産業の中でも事業転換による成長を重視する場合に比較対象となります。

比較の要点:

  • PM:配当+成長。無煙製品への転換が進むが、評価が高くなりやすい
  • MO:高配当+還元。低成長と米国紙巻市場の縮小を受け入れる必要がある

両社を同時に保有しても、たばこ・ニコチン産業へのセクター集中は解消されません。地域と製品の分散にはなりますが、規制や訴訟など共通リスクも残ります。

配当の長期推移は、以下の記事で詳しく掲載しています。[10]

PMとMOに関するよくある質問

フィリップ・モリスとアルトリアは同じ会社ですか

同じ会社ではありません。2008年3月28日にアルトリアがフィリップ・モリス・インターナショナルを分離し、現在はPMとMOという別々の上場会社になっています。[1]

PMとMOの最大の違いは何ですか

PMは世界市場と無煙製品の成長が中心で、MOは米国市場と高い株主還元が中心です。PMはIQOS・ZYN、MOはMarlboro・on!が重要なブランドです。

フィリップ・モリスはどこの国の企業ですか

フィリップ・モリス・インターナショナルは米国に本社を置く企業です。ただし、事業は世界各国に広がっており、売上の中心は国際市場です。現在は米国でもZYNなどを販売しています。

アルトリアグループはどのような会社ですか

アルトリアは米国のたばこ・ニコチン製品を中心とする持株会社です。子会社のPhilip Morris USAがMarlboroを販売し、Helix Innovationsがon!などを展開しています。[3]

PMとMOではどちらの配当利回りが高いですか

株価によって変動しますが、MOの配当利回りがPMより高くなることが多くあります。1株当たりの年率換算配当額はPMが5.88ドル、MOが4.24ドルですが、利回りは配当額を株価で割って計算するためです。

PMとMOではどちらの配当が安全ですか

どちらも減配しないと保証することはできません。2026年会社予想EPSに対する参考配当性向は、PMが約70~71%、MOが約74~76%です。PMは利益成長が強い一方で投資負担があり、MOは現金創出力が高い一方で紙巻数量減少が続いています。

PMとMOの無煙製品には何がありますか

PMにはIQOS、ZYN、VEEVなどがあります。MOにはon!、on! PLUS、NJOYなどがあります。ただし、NJOY ACEは輸入・販売停止の影響を受けています。

PMとMOを両方保有する意味はありますか

PMは世界市場、MOは米国市場が中心なので、地域と製品構成は異なります。ただし、両社ともたばこ・ニコチン産業に属するため、規制、訴訟、課税などの共通リスクがあります。一般的な業種分散とは異なります。

PMとMOではどちらに成長性がありますか

足元の売上・利益成長ではPMが優位です。2026年Q2のPMは売上が10.4%増、調整後EPSが15.2%増でした。MOは配当と自社株買いを重視する低成長型の性格が強くなっています。[2][4]

免責事項:本記事は公開情報を基にした情報提供であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。株価、配当、会社見通し、規制環境は変化します。たばこ・ニコチン関連企業には、健康被害に関する訴訟、販売規制、課税、広告規制、製品認可などの固有リスクがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

【注】(出典リンク)

  1. PMIの分離・独立:Altria Investor Relations「Frequently Asked Questions」PMI「About Us FAQ」(確認日:2026-08-05)
  2. PM 2026年Q2決算・無煙製品・ZYN・通期見通し:Philip Morris International「2026 Second-Quarter & First Six-Months Results」(2026-07-22、確認日:2026-08-05)
  3. アルトリアの事業・主要会社・製品:Altria「About Altria」(確認日:2026-08-05)
  4. MO 2026年Q2決算・Marlboro・on!・通期見通し:Reuters「Altria misses quarterly profit estimates as premium cigarette demand weakens」Altria IR「2026 Second-Quarter Webcast」(確認日:2026-08-05)
  5. PM 2020~2025年の年次データ:SEC「PMI 2025 Annual Report」PMI Annual Report(確認日:2026-08-05)
  6. MO 2020~2025年の年次データ:Altria IR「Annual Data」Altria「2025 Full-Year Results」(確認日:2026-08-05)
  7. PMの四半期配当1.47ドル、権利落ち日・支払日:PMI「Declares Regular Quarterly Dividend of $1.47 Per Share」(2026-06-11、確認日:2026-08-05)
  8. MOの四半期配当1.06ドル、権利落ち日・支払日:Altria「Declares Regular Quarterly Dividend of $1.06 Per Share」(2026-05-14、確認日:2026-08-05)
  9. 当サイトの決算関連記事:PM(売上高・EPS)MO(売上高・EPS)(確認日:2026-08-05)
  10. 当サイトの配当関連記事:PMの配当推移MOの配当推移(確認日:2026-08-05)

Posted by 南 一矢