PMとMOを比較:フィリップモリスとアルトリアの違いとは
PMとMOを違いを踏まえて比較します。(2025年8月更新)
フィリップモリスインターナショナル(Philip Morris International Inc.)とアルトリアグループ(Altria Group, Inc.)はタバコ銘柄の代表格です。 その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。 これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(VDC:Vanguard Consumer Staples Index Fund ETFを含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。
決算(予想:結果)
決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照
【詳細分析】フィリップ・モリス(PM) vs アルトリア(MO) 徹底比較
高配当株ポートフォリオの常連、フィリップ・モリス(PM)とアルトリア・グループ(MO)。かつては一つの企業でしたが、現在はそれぞれが「米国外」と「米国内」の市場を担当する形で事業を展開しています。両社はともに「たばこ」という斜陽産業にありながら、株主への高い還元を続けることで投資家を魅了してきました。ここでは、「加熱式たばこ」で世界を席巻するPMと、驚異的な配当利回りを誇るMOの業績、配当、そして将来性を徹底的に比較・分析します。
比較サマリー:国際のPM、国内のMO
項目 | フィリップ・モリス (PM) | アルトリア・グループ (MO) |
---|---|---|
事業地域 | 米国外の世界市場 | 米国内市場のみ |
主力製品 | マールボロ (海外)、加熱式たばこ「IQOS」、ニコチンパウチ「ZYN」 | マールボロ (米国)、電子たばこ「NJOY」、オーラルたばこ |
成長ドライバー | 「IQOS」「ZYN」のグローバル展開 | 紙巻たばこの価格維持、米国内での電子たばこ事業 |
連続増配年数 | 17年 (スピンオフ後) | 55年 (配当王) |
配当利回り(直近) | 約3.2% | 約6.2% |
PER (株価収益率) | 約16倍 | 約13倍 |
業績と成長性の詳細分析
業績を見ると、両社の進む道の違いが明確に現れます。フィリップ・モリスは加熱式たばこ「IQOS」とニコチンパウチ「ZYN」の成功により、売上・利益ともに成長軌道を維持しています。一方、アルトリアは喫煙率が低下する米国市場で、緩やかな減収傾向にあります。
年 | フィリップ・モリス 売上高 (前年比) | アルトリア 売上高 (前年比) |
---|---|---|
2024 | $37.88 B (+7.7%) | $24.02 B (-1.9%) |
2023 | $35.17 B (+10.7%) | $24.48 B (-2.4%) |
2022 | $31.76 B (+1.1%) | $25.10 B (-3.5%) |
2021 | $31.41 B (+8.4%) | $26.02 B (-1.7%) |
2020 | $28.98 B | $26.47 B |
年平均成長率(CAGR) | 6.8% | -2.5% |
※B=10億ドル。会計年度や基準により数値は多少変動します。
配当の詳細比較:利回りのMO、成長性のPM
アルトリアの6%を超える配当利回りは全銘柄の中でもトップクラスです。しかし、過去10年の増配率を見ると、両社とも安定した配当政策を維持しています。PMは無煙製品事業の成長により将来の増配余力が期待できる一方、MOは高い配当性向を維持しながら株主還元を重視しています。
年 | PM 年間配当 (増配率) | MO 年間配当 (増配率) |
---|---|---|
2024 | $5.40 (+3.8%) | $4.08 (+4.1%) |
2023 | $5.20 (+2.8%) | $3.92 (+4.3%) |
2022 | $5.06 (+1.6%) | $3.76 (+4.4%) |
2021 | $4.98 (+1.6%) | $3.60 (+4.7%) |
2020 | $4.90 (+4.3%) | $3.44 (+2.4%) |
2019 | $4.70 (+2.6%) | $3.36 (+4.1%) |
2018 | $4.58 (+2.7%) | $3.20 (+14.3%) |
2017 | $4.46 (+6.2%) | $2.80 (+6.1%) |
2016 | $4.20 (+2.9%) | $2.64 (+7.8%) |
2015 | $4.08 (+2.0%) | $2.45 (+8.4%) |
2014 | $4.00 | $2.26 |
10年平均増配率(CAGR) | 3.1% | 6.1% |
結論:あなたに合うのはどちら?
両社の比較は、「現在の高い利回り」と「将来の成長性・安定性」のどちらを重視するかという問いに集約されます。
「高配当利回り」を最優先するなら → アルトリア・グループ (MO)
6%を超える利回りは、インカム投資家にとって抗いがたい魅力です。米国内の喫煙率低下という逆風はありますが、強力な価格支配力で利益を確保し、55年連続増配という配当王の地位を維持しています。株価の大きな成長は期待しにくいものの、「今」のキャッシュフローを最大化したい投資家に向いています。
「配当と事業の成長性」を両立させたいなら → フィリップ・モリス (PM)
加熱式たばこ「IQOS」とニコチンパウチ「ZYN」の成功により、斜陽産業の中でも成長を続けている稀有な存在です。配当利回りはMOに劣るものの、無煙製品事業の拡大により将来の安定した増配につながる期待が持てます。「配当」と「企業の成長」のバランスを取りたい投資家にとって、より安心して長期保有できる選択肢と言えるでしょう。特に2024年は売上高前年比+7.7%と堅調な成長を示しており、事業転換の成功が数字に表れています。
配当については以下の関連記事を参照
※本ページの分析は2025年8月20日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。