QCOM(クアルコム) 今後の見通し

半導体,情報技術,株価•決算

クアルコム(QUALCOMM, Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については関連記事(QCOM/AVGO:クアルコムとブロードコムを比較)を参照

直近決算

クアルコムは4月30日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想2.55$→結果2.65$
・売上高:予想105.8億$→結果106億$(前年同期比-2%)
★ガイダンス
《四半期》
・売上高:予想102.6億$→結果92~100億$
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。

企業概要

クアルコム(Qualcomm Incorporated:NASDAQ: QCOM)は、スマートフォンや無線通信の中核技術を生み出す米国の大手ファブレス半導体企業です。本社はカリフォルニア州サンディエゴにあり、1985年に設立されました。同社は半導体製品を扱うQCT、特許ライセンスを扱うQTL、戦略投資を担うQSIの3セグメントで事業を展開しています。[1]

クアルコムは携帯通信方式の進化(CDMA、LTE、5G)で重要な標準必須特許(SEP)を多数保有し、端末メーカー等にライセンス供与する一方、SnapdragonブランドのSoC、モデム、RFフロントエンド(RFFE)、車載向けプラットフォーム、IoT向けチップ、PC向けArm SoCなどを供給します。2025会計年度(2025年9月28日終了)の連結売上高は442.84億ドルで、2024会計年度の389.62億ドルから増加しました。[2]

その事業分野は以下の通りです。

半導体(QCT)事業
Snapdragonモバイルプラットフォーム:スマートフォン向けアプリ処理、AI、画像処理、モデム、通信機能を統合した中核製品です。2025会計年度のQCTハンドセット売上は277.93億ドルで、プレミアムAndroid端末向けのSnapdragon需要が伸びました。2026会計年度Q2(2026年3月29日終了四半期)のQCTハンドセット売上は60.24億ドルで、前年同期比13%減でした。これは一部スマートフォンOEMにおけるメモリ供給制約や需要変動の影響を受けたものです。[3][4]
PC・エッジ向け:Windows向けArm SoC「Snapdragon X Elite」を2024年に市場投入し、2025年9月には後継のSnapdragon X2 Elite Extreme/Snapdragon X2 Eliteを発表しました。Windows on Armの普及はまだ途上ですが、AI PC、低消費電力、高性能NPUを軸に、スマートフォン以外の成長分野として位置づけています。[5]
自動車:インフォテインメント、デジタルコックピット、コネクティビティ、ADAS、V2Xなどを束ねる「Snapdragon Digital Chassis」を展開しています。2025会計年度のQCT自動車売上は39.57億ドルで、2024会計年度比36%増でした。2026会計年度Q2のQCT自動車売上は13.26億ドルで、前年同期比38%増となり、四半期として過去最高を更新しました。[6]
IoT/エッジAI/RFFE:産業、ネットワーク、XR、コンシューマー機器、エッジAI向けに接続・AI処理デバイスやRF部品を提供します。2025会計年度のQCT IoT売上は66.17億ドルで、2024会計年度比22%増でした。2026会計年度Q2のQCT IoT売上は17.26億ドルで、前年同期比9%増でした。[3][4]

技術ライセンス(QTL)
携帯電話などに用いられる無線技術の特許を世界のメーカーにライセンス供与する事業です。QTLは売上規模ではQCTより小さいものの、利益率が高く、クアルコムの収益安定性を支えています。2025会計年度のQTLライセンス売上は55.82億ドル、税前利益は40.43億ドルで、税前利益率は72%でした。2026会計年度Q2のQTL売上は13.82億ドル、税前利益は9.94億ドルでした。[7]

QSI/その他
将来領域への戦略投資を担う部門です。2025会計年度のQSI税前利益は1.80億ドルでした。近年は、自動車、エッジAI、データセンター、開発者エコシステムを補強する買収や投資を進めています。2025年6月にはV2XのAutotalks買収を完了し、車車間・路車間通信技術をデジタル・シャシーに取り込みました。さらに2025年6月には、データセンター向け高速有線接続技術を持つAlphawave Semiの買収を発表しました。取引は2026年時点で、データセンター・AIインフラ領域への拡大策として位置づけられます。[8][9]

また、2025年10月にはArduinoを買収する契約を発表し、Qualcomm Dragonwingプラットフォームを搭載したArduino UNO Qも発表しました。これは、開発者、教育、産業向けプロトタイピング、エッジAI開発を取り込む狙いがあります。スマートフォン向け半導体企業という枠を超え、エッジAIや開発者コミュニティへ広げる動きと見ることができます。[10]

研究開発と標準化の牽引:クアルコムはCDMA以降の携帯通信で重要技術を提供し、5G、将来の6G、AI処理、低消費電力設計、RF統合、先端SoC、車載コンピューティング、エッジAI、データセンター向け接続などに継続投資しています。2025会計年度の研究開発費は90.42億ドルで、2024会計年度の88.93億ドルから増加しました。[11]

法規制・係争の状況(要点):米連邦取引委員会(FTC)が提起した独禁訴訟については、2020年8月に米第9巡回区が地裁判決を覆し、FTCの主張を退けました。また、2020年にHuaweiと長期ライセンスを締結し、QTL収入の安定化に寄与しました。一方で、2025年10月には中国当局がAutotalks買収をめぐって独禁法上の調査を開始したと報じられており、米中関係・各国競争法・輸出規制は引き続き重要なリスクです。[12][13]

最近の業績トピック(抜粋):2025会計年度の連結売上高は442.84億ドル、GAAP希薄化後EPSは5.01ドル、Non-GAAP希薄化後EPSは12.03ドルでした。GAAP EPSがNon-GAAP EPSを大きく下回った主因は、2025会計年度Q4に連邦繰延税金資産に関する評価性引当金の設定により、57億ドルの税金費用を計上したことです。2026会計年度Q2には、この評価性引当金の取り崩しにより57億ドルの税金利益を計上したため、GAAP EPSは6.88ドル、Non-GAAP EPSは2.65ドルとなりました。[2][4]

2026会計年度Q2の連結売上高は105.99億ドルで、前年同期比3%減でした。QCT売上は90.76億ドル、QTL売上は13.82億ドルでした。会社側は2026会計年度Q3について、売上高92億〜100億ドル、QCT売上79億〜85億ドル、QTL売上11.5億〜13.5億ドル、Non-GAAP希薄化後EPS2.10〜2.30ドルを見込んでいます。[4]

社史:創業当初は無線通信の研究開発から出発し、1990年代にCDMAの採用拡大で成長しました。2015年に英CSRを買収してBluetoothやオーディオ等を強化し、2018年のBroadcomによる買収提案は米国の安全保障上の懸念で不成立となりました。以降はスマートフォン以外の領域、すなわち自動車、PC、IoT、エッジAI、データセンター向け接続へ多角化を加速しています。[1]

ミニ解説

  • QCTとQTL:QCTは「作って売る」半導体、QTLは「使わせて収益化」する特許ライセンスです。QTLは売上規模は小さいものの利益率が高く、スマホ半導体のサイクル変動を下支えします。
  • PC・自動車・IoTの伸長:Arm版Windows PC(Snapdragon X系)、自動車(Digital Chassis)、IoT・エッジAIが、スマートフォン依存度を下げるための成長領域です。
  • 投資家が見るべき点:Apple、Samsung、Xiaomiなど大口顧客への依存、Apple内製モデムの進展、中国スマートフォン需要、QTLライセンス更新、自動車売上の量産拡大、データセンター参入、買収に伴う規制リスクを確認する必要があります。

【注】(出典リンク)

  1. セグメント構成(QCT/QTL/QSI)・事業概要・本社所在地 → Qualcomm FY2025 Form 10-K(SEC)Qualcomm Annual Reports(確認日:2026-05-10)
  2. FY2025通期業績・売上高442.84億ドル・EPS・税金費用 → Qualcomm Announces Fourth Quarter and Fiscal 2025 ResultsQualcomm FY2025 Form 10-K(確認日:2026-05-10)
  3. FY2025 QCT売上内訳(Handsets、Automotive、IoT) → Qualcomm FY2025 Form 10-K:Segment ResultsQualcomm FY2025 Results(確認日:2026-05-10)
  4. FY2026 Q2業績・QCT/QTL売上・Q3見通し・税金利益・株主還元 → Qualcomm Announces Second Quarter Fiscal 2026 ResultsSEC Exhibit 99.1:FY2026 Q2 Earnings Release(確認日:2026-05-10)
  5. Snapdragon X Elite/Snapdragon X2 Elite・Windows on Arm → Snapdragon X EliteSnapdragon X2 Elite発表(確認日:2026-05-10)
  6. 自動車売上・Snapdragon Digital Chassis → Qualcomm FY2026 Q2 ResultsSnapdragon Digital Chassis(確認日:2026-05-10)
  7. QTL売上・利益率・ライセンス契約 → Qualcomm FY2025 Form 10-K:QTL SegmentQualcomm FY2026 Q2 Earnings Release(確認日:2026-05-10)
  8. Autotalks買収完了・V2X強化 → Qualcomm Acquires Autotalks(確認日:2026-05-10)
  9. Alphawave Semi買収発表・データセンター向け接続 → Qualcomm to Acquire Alphawave Semi(確認日:2026-05-10)
  10. Arduino買収合意・Arduino UNO Q → Qualcomm to Acquire ArduinoArduino UNO Q powered by Qualcomm Dragonwing(確認日:2026-05-10)
  11. 研究開発費・技術領域 → Qualcomm FY2025 Form 10-K:Research and Development(確認日:2026-05-10)
  12. FTC v. Qualcomm・第9巡回区判決 → Ninth Circuit OpinionQualcomm FY2025 Form 10-K(確認日:2026-05-10)
  13. Autotalks買収をめぐる中国当局調査 → Reuters:China says Qualcomm admitted acquiring Autotalks without informing regulator(確認日:2026-05-10)

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢