RTX(レイセオンテクノロジーズ)今後の見通し

株価•決算,資本財,軍事株

レイセオンテクノロジーズ(Raytheon Technologies Corporation)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については以下を参照

関連記事1(LMTとRTXを比較:ロッキードマーチンとレイセオンテクノロジーズ

関連記事2(BAとRTXを比較:ボーイングとレイセオンテクノロジーズ

直近決算

米国時間で7月22日にRTXは四半期決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想1.44$→結果1.56$
・売上高:予想206.8億$→結果216億$(前年同期比+9%)
★ガイダンス
《通年》
・EPS:予想5.96$→結果5.8~5.95$
・売上高:予想843億$→結果847.5~855億$
★出典
IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照。

企業概要

RTXコーポレーション(RTX Corporation)は、軍事大手レイセオンと、ユナイテッド・テクノロジーズ(UTC)の航空宇宙・防衛部門の統合により2020年4月に誕生(旧名:Raytheon Technologies)。
2023年6月に「RTX」へのブランド変更を発表し[1]、現在はコリンズ・エアロスペース(Collins Aerospace)/プラット&ホイットニー(Pratt & Whitney)/レイセオン(Raytheon)の3事業体制。

【2025年業績ハイライト】
2025年1Q売上高は203億ドル(前年比+5%)[2]2Q売上高は216億ドル(+9%)[3]
受注残は2,360億ドル商用1,440億/防衛920億[3]、従業員は約18.5万人[3](いずれも2025年2Q時点)。
RTXは世界最大級の航空宇宙・防衛企業。

旧UTCは「航空機エンジン」「飛行システム」に強み、旧レイセオンは「ミサイル」「センサー/電子戦」等で優位。両者を握るRTXは、LMT(ロッキード・マーチン)と並ぶ国防大手の柱となっています。

傘下のPratt & Whitneyは軍用/商用エンジン、Collins Aerospaceは多角的な航空宇宙製品・サービス、Raytheonはミサイル・防空・レーダー・宇宙/サイバー領域を担います。

(※90年代以降、軍では「指揮(Command)」「統制(Control)」「通信(Communication)」「コンピューター(Computer)」の4Cと「情報(Intelligence)」「監視(Surveillance)」「偵察(Reconnaissance)」の役割が拡大。旧レイセオンはこの部門【C4ISR】を強化してきた)。

航空システムとミサイルという現代戦の中核を担うRTXは、米国・同盟国の装備を支える重要企業です。


【事業構成】

コリンズ・エアロスペース(Collins Aerospace):航空機用アビオニクス、客室内装、酸素供給、各種部品など。

【2025年事業再編】
2025年7月、飛行制御・アクチュエーション事業のSafranへの売却がクローズ(約18億ドル)[4]
さらに、Collins源流のSimmonds Precision Products事業をTransDigm7.65億ドルで売却合意[5]
※いずれもコア事業集中(ポートフォリオ最適化)の一環。

プラット&ホイットニー(Pratt & Whitney):軍用/商用エンジン(例:F135〈F-35〉、PW1100G-JM〈A320neo〉)。

【粉末金属問題の現状】
2023年に判明した粉末金属の品質問題は、主として民間GTF系(PW1100G-JM等)が対象2023–2026年に600~700基の追加点検・修理税引前影響$3~3.5B2025年フリーCF影響約$1.5Bの見積りが公表されています[6]
F135(F-35用)については該当粉末の使用は確認されておらず、運用への影響は限定的[6]

レイセオン(Raytheon)(旧:Intelligence & Space/Missiles & Defenseを統合):ミサイル、防空、レーダー、宇宙・サイバー等(例:Patriot、Tomahawk、SM-3、GPS OCX)。

【2025年契約ハイライト】
米海軍からAIM-9X Block II生産で$1.1B契約、年産2,500発体制に拡張[7]
日本の三菱電機(MELCO)ESSM Block 2ライセンス生産で$250Mの契約[8]


ミニ解説

  • 需要環境(2025年):商用航空のアフターマーケット回復と地政学リスクの高まりで、防衛も旺盛。2Qの受注残2,360億ドルは中期の成長を下支え[3]
  • リスク:GTF点検・修理で2025年のCFに逆風。ただし売上・マージン影響は限定的との見解[6]
  • 資産入替:非中核資産の売却(Safran/TransDigm)で、資本効率と重点領域への投資余力を確保[4][5]

【注】(出典リンク)

  1. ブランド変更告知(2023/6/18) → RTX公式リリースIRイベント一覧(確認日:2025-10-02)
  2. 2025年1Q決算(売上$20.3B、+5%) → PR Newswire(RTX公式配信)GovConWire(確認日:2025-10-02)
  3. 2025年2Q決算(売上$21.6B、+9%/受注残$236B/従業員約185,000) → RTX公式リリースPR Newswire(確認日:2025-10-02)
  4. Collinsの飛行制御・アクチュエーション事業の売却クローズ(約$1.8B、2025/7/21) → Safran公式Reuters(確認日:2025-10-02)
  5. Simmonds Precision Productsの売却合意($765M、2025/6/30) → SEC 8-K(TransDigm)Reuters(確認日:2025-10-02)
  6. GTF粉末金属問題(600–700基、Pretax $3–3.5B、2025年CF影響約$1.5B/F135は影響限定) → RTX公式(2023/9/11)SEC 8-K(RTX)(確認日:2025-10-02)
  7. AIM-9X Block II($1.1B契約、年産2,500体制、2025/6/4) → RTX公式Reuters(確認日:2025-10-02)
  8. ESSM Block 2(MELCO、$250M、2025/6/24) → RTX公式PR Newswire(確認日:2025-10-02)

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢