【UTX】ユナイテッドテクノロジーの株価と決算、配当

2019年8月7日

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ユナイテッドテクノロジーズは、軍用・民間用の航空機エンジンや航空システム、宇宙産業、空調、エレベーター、エスカレーター、セキュリティサービス等の多分野で力を発揮する複合企業(コングロマリット)です。

連続増配23年、S&P格付A-の優良企業で、NYダウ30銘柄にも名を連ねる優良企業です。

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UTXの事業分野

その事業構成をUTX社のHPで見てみます(出所:Businesses at a Glance)※B:10億ドル

事業 売上 営業利益 売上比率
コリンズエアロスペース 16.6B 2.6B 73300
プラットホイットニー 19.4B 1.6B 41600
キャリアー 18.9B 3.1B 54400
オーティス 12.9B 2B 68500

※今までに手掛けたヘリコプター事業は2015年にLMT(ロッキードマーティン)に売却されました

※18年12月時点の地域別売上高は、米国が59%、欧州が19%、アジア太平洋が13%程度。

オーティス

オーティスはエレベーターやエスカレーター、動く歩道を製造し、メンテナンスを行っています。世界で初めて安全なエレベーターを市場に投入。エレベーター、エスカレーター、動く歩道を管理しています。インド最大のエレベーター契約であるハイデラバード・メトロにもエレベーターとエスカレーターを提供しています。

キャリア―

火災の防衛、セキュリティ、ビルオートメーション、暖房、換気、空調、冷凍システムおよびサービスを担っています。キャリアの冷蔵コンテナを通して商品を運び、2002年以来、Kiddeは消防署に100万件以上の煙と一酸化炭素アラームを提供しています。

プラット&ホイットニー

Pratt&Whitneyは、航空機エンジンのリーディングカンパニー。軍用エンジンと商用エンジンを担い、航空機エンジンから補助機器、地上動力装置、小型ターボジェット推進装置等を設計、製造しています。プラット&ホイットニーの軍用エンジンは、世界の約30の軍隊に採用され、大型商用エンジンは、世界の主要な旅客機の25%以上に採用されています。

コリンズエアロスペース

今日のほぼ全ての航空機は、コリンズエアロスペースのシステムに依存しています。同社は航空宇宙および防衛製品の世界最大のサプライヤの1つとなっています。26カ国、160以上の拠点で事業を展開し、業界で最も大きく、最も包括的なアフターマーケット事業を展開。

・・・

航空機のエンジンや飛行システムの中核を握っているUTXは、なかなか他業種が突き崩せない競争優位を握っています。

主な指標を概観

まず、主要指標のデータを見てみます(出所はグーグルファイナンスなど)

1/2株価 105.2
7/26株価 135.6
株価上昇率 29.0%
52週高値 144.4
52週安値 100.5
EPS 6.13
PER 22.14
配当(利回り) 2.94 (2.17%)
時価総額(億$) 1170
株式数(億) 8.6

株価推移(チャートと伸び率)

次に、株価の推移を見てみます(青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線)

株価の推移を1年ごとに見てみましょう。

★1:各年の株価伸び率(※19年終値は7/26)
UTX 初値 最安 最高 終値 上昇率
2019 105.2 103.5 135.3 135.6 29%
2018 127.9 102.1 142.1 106.5 -17%
2017 110.4 108.2 128.1 127.6 16%
2016 94.5 84.7 111 109.6 16%
2015 115.1 86.8 124.1 96.1 -17%
2014 112.9 99.2 120.1 115 2%
2013 83.4 83.6 113.8 113.8 36%
2012 74.9 70.9 86.9 82 9%
2011 79.2 67.4 91.4 73.1 -8%
2010 70.2 63.2 79.5 78.7 12%
2009 53.5 37.6 70.5 69.4 30%
2008 76.5 43.2 76.5 53.6 -30%
★2:各年初から2019/7/26までの伸び率
19年~ 18年~ 17年~ 16年~ 15年~ 14年~
29% 6% 23% 44% 18% 20%
13年~ 12年~ 11年~ 10年~ 09年~ 08年~
63% 81% 71% 93% 154% 77%

配当利回りと配当性向

さらに、配当利回りを見てみます。

権利落ち日 1株配当 配当利回り 当日株価
2019/08/16 0.735 #N/A #N/A
2019/05/17 0.735 2.2% 133.8
2019/02/15 0.735 2.2% 127.8
2018/11/16 0.735 2.2% 130.1
2018/08/17 0.7 2.1% 134.4
2018/05/18 0.7 2.2% 124.6
2018/02/16 0.7 2.1% 129.3
2017/11/17 0.7 2.3% 116.5
2017/08/18 0.7 2.3% 115.5
2017/05/19 0.66 2.2% 121.2
2017/02/17 0.66 2.4% 112.2
2016/11/18 0.66 2.5% 106.5
2016/08/19 0.66 2.4% 109.1

配当性向の推移もモーニングスター(MS)社のデータで確認してみましょう。

★配当性向=1株当たり配当÷EPS×100〔純利益から配当金を支払っている割合〕

★MS社は非GAAPのEPSで配当性向を試算。GAAP基準のEPS試算〔=単純計算〕の箇所は筆者挿入。

年/月 EPS 配当 配当性向
(GAAP) 単純計算 MS試算
08/12 4.9 1.34 27.3 27.5
09/12 4.12 1.54 37.4 37.4
10/12 4.74 1.7 35.9 35.8
11/12 5.49 1.86 33.9 34
12/12 5.66 2.03 35.9 37.9
13/12 6.25 2.19 35 37.6
14/12 6.82 2.36 34.6 34.8
15/12 8.61 2.56 29.7 39.6
16/12 6.12 2.62 42.8 56.1
17/12 5.7 2.72 47.7 41.4

四半期決算(2019予想など)

さらに、ロイターが調べた四半期決算のEPSと売上の予想を整理してみます(2019/4/25、売上単位は100万ドル)。

売上予想 平均 上限 下限 期間
2020 80785 82742 78285 1年
2019 77138 78243 76423 1年
9-19 19411 19594 19134 3カ月
6-19 19540 19894 19115 3カ月
売上 予想 結果
3-19 17985 18365 380 2.1
12-18 16910 18044 1134 6.7
9-18 16154 16510 356 2.2
6-18 16265 16705 440 2.7
3-18 14643 15242 599 4.1
12-17 15395 15680 285 1.9
9-17 14979 15447 468 3.1
EPS予想 平均 上限 下限 期間
2020 8.68 9 8 1年
2019 7.92 8.01 7.8 1年
9-19 2.05 2.11 1.99 3カ月
6-19 2.05 2.12 1.95 3カ月
EPS 予想 結果
3-19 1.71 1.91 0.20 11.5
12-18 1.53 1.95 0.42 27.2
9-18 1.81 1.93 0.12 6.4
6-18 1.85 1.97 0.12 6.6
3-18 1.51 1.77 0.25 16.8
12-17 1.56 1.60 0.04 2.5
9-17 1.23 1.34 0.11 2.5

※決算予想では米国会計基準(GAAP)とは異なる「非GAAP基準」の数値が多用されています。これは各社が経営実態を踏まえて調整した数値です(売上とEPSの数値が後述のGAAP基準での数値と異なる場合は、非GAAP基準の数値)

通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を見てみます(売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。

損益計算(売上、純利益等)

売上高 営業CF 同マージン 純利益
08/12 58681 6161 10.5% 4689
09/12 52920 5353 10.1% 3829
10/12 54326 5720 10.5% 4373
11/12 58190 6460 11.1% 4979
12/12 57708 6605 11.4% 5130
13/12 62626 7314 11.7% 5721
14/12 65100 6979 10.7% 6220
15/12 56098 6755 12.0% 7608
16/12 57244 6412 11.2% 5055
17/12 59837 5631 9.4% 4552
18/12 66501 6322 9.5% 5269

※同マージン=営業キャッシュフローマージン。15~35%程度あれば優良な数値。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや営業利益率など

営業利益率 EPS DSO
08/12 13.0 4.9 55.8
09/12 12.2 4.12 60.6
10/12 13.2 4.74 58.4
11/12 13.9 5.49 57.9
12/12 13.3 5.66 65.3
13/12 14.7 6.25 65.7
14/12 15.0 6.82 63.9
15/12 13.0 8.61 71.5
16/12 14.3 6.13 70.6
17/12 14.5 5.7 73.4
18/12 12.9 6.5 73.7

※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。上記DSOの出所はモーニングスター社。

バランスシート

総資産 総負債 株主資本 自己資本率
08/12 56837 40156 16681 29.3%
09/12 55762 34763 20999 37.7%
10/12 58493 36161 22332 38.2%
11/12 61452 38632 22820 37.1%
12/12 89409 62340 27069 30.3%
13/12 90594 57375 33219 36.7%
14/12 91206 58642 32564 35.7%
15/12 87484 58640 28844 33.0%
16/12 89706 60537 29169 32.5%
17/12 96920 65499 31421 32.4%
18/12 134211 93601 40610 30.3%

ROAとROEなど

ROA ROE 流動比率
単位 倍率
08/12 8.5 25.2 1.2
09/12 6.8 21.3 1.3
10/12 7.7 21.1 1.3
11/12 8.3 23.0 1.4
12/12 6.8 21.5 1.2
13/12 6.4 19.8 1.3
14/12 6.8 19.7 1.3
15/12 8.5 26.0 1.2
16/12 5.7 18.4 1.3
17/12 4.9 15.9 1.4
18/12 4.6 15.5 1.1

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業があげた利益の割合

★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業があげた利益の割合

★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る〔表では資本が負債の何倍かを表記〕

キャッシュフロー

営業CF 投資CF 財務CF
08/12 6161 -2336 -2238
09/12 5353 -1104 -4191
10/12 5720 -3150 -3140
11/12 6460 -672 -3983
12/12 6605 -18795 8021
13/12 7314 -1323 -5931
14/12 6979 -1967 -4249
15/12 6755 -2794 -10776
16/12 6412 -2509 -1188
17/12 5631 -3019 -993
18/12 6322 -16973 7965

UTX社によるロックウェル・コリンズ買収

近年のユナイテッドテクノロジー社の大きなニュースとしてはCOL(ロックウェル・コリンズ)の買収があります。

17年9月4日にUTX社は航空機部品の大手企業であるロックウェル・コリンズを約230億ドル(2.5兆円相当)で買収することで合意し、コックピットディスプレイからエンジンまで幅広く装備を供給する巨大なメーカーとなりました。

これは航空機分野で最大級の買収であり、UTX社は航空機メーカーからの圧力に耐えられるようになるとも言われています。

この買収の背景については、日経電子版(2017/9/6)が解説記事を書いていました。

日経電子版はユナイテッドテクノロジーの収益源となる航空機エンジンのアフターサービスに最大顧客のBA(ボーイング)とエアバスのビッグ2が参入したことを重視しています。

BAが2017年7月に民間機、軍用機に次ぐ3つ目の事業として「BAグローバルサービシズ」の運営を開始し、「航空機の修理・保守から、部品販売、ビッグデータを使った機材の最適運用支援までサービス事業に注力する」方針を打ち出しました。航空機の新たな受注が鈍化する中で「サービスは最も成長が見込める分野」(デニス・ミュイレンバーグCEO)と見なしたわけです。

ユナイテッドテクノロジーはこれに対抗すべく、「BAやエアバスと駆け引きする能力」を強化するためにCOLを買収。そして「ビッグ2にとって『なくてはならない存在』になることで、サービス分野でのビッグ2の動きをけん制する」ことを目指しました。

そのほか、航空エンジンビジネスの大手としてはGEや、米航空関連機器大手にはHON(ハネウェル)があります。

米国の航空事業の競争は厳しくなってきているので、UTXが競争優位を保てるかどうか、今後の展開を注視していきたいものです。