UPS(ユナイテッドパーセル)今後の見通し

資本財

ユナイテッドパーセル・サービス(United Parcel Service, Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については関連記事(UPSとFDXを比較:ユナイテッドパーセルとフェデックス)を参照

直近決算

1月30日(米国時間)にユナイテッドパーセルは決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想2.52$→結果2.75$
・売上高:予想25410億$→結果25300億$(前年同期比+2%)
★ガイダンス
《四半期》
・売上高:予想95010億$→結果89000~億$
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreetinsiderを参照しました

企業概要

ユナイテッドパーセルは世界首位の小口貨物輸送会社として知られており、全世界220か国以上に配送ネットワークを展開しています。

ジョージア州アトランタ近郊に本社を構え、世界220か国以上で速達便、貨物輸送、サプライチェーン管理、物流ソリューションを提供。

全米および海外で郵便物、文書、小包などの小口貨物を配送するほか、航空貨物による国際運送、国際貿易手続き業務、グローバル・サプライチェーンサービス、そして小口トラック輸送など多岐にわたるサービスを提供(ケンタッキー州ルイビル国際空港を主要な航空ハブとして活用。航空輸送と地上集荷・配送が一体となったネットワークが運営され、迅速かつ正確な配送サービスを実現)。

UPSは単なる宅配便業者にとどまらず、総合物流サービスプロバイダーとしての地位を確立しています

その事業は以下の3つのセグメントに分けられます。

■小包・貨物配送事業(世界中への小包配送と貨物輸送):国内外での迅速かつ確実な配送サービスにより、個人向けから法人向けまで幅広い顧客層に対応。UPSは「オンタイム配送」や「トラッキングシステム」を駆使し、配送の正確性と安全性に定評があります。特急便や国際便、冷凍・温度管理が必要な医療・食品関連配送など、多様なニーズに応えるサービスラインナップを展開。

■サプライチェーン管理および物流ソリューション

配送サービスに留まらず、企業のサプライチェーン全体の最適化を支援するソリューションを提供。倉庫管理、在庫管理、輸送ネットワークの最適化、関税手続きのサポートなどが含まれ、グローバルに展開する企業の効率化を実現。eコマース市場の拡大に伴い、UPSの統合物流ソリューションは多くの企業にとって欠かせない存在となっています。

■国際物流および特殊輸送:国際物流においても強固なネットワークを構築しており、通関手続きや多国間配送、危険物輸送、医療機器や高価値商品の輸送など、特殊なニーズに対応するサービスも提供しています。航空貨物や陸上輸送、海上輸送を組み合わせたマルチモーダル輸送も展開し、複雑な国際物流課題の解決に貢献しています⁶。

社史をさかのぼると、1907年にアメリカで設立されて以来、効率的な配送ネットワークと先進的な物流技術を発展させ、グローバルな輸送インフラの構築に貢献してきました。

特に、20世紀後半からインターネットの普及や国際貿易の拡大に伴い、企業向け物流サービスやeコマース向け配送サービスが急速に成長しました。

近年では、物流業界における技術革新を先導し、最新のIT技術とデジタル化を積極的に推進。

・高度なトラッキングシステム:GPSやRFID技術を活用し、配送状況をリアルタイムで把握できるシステムにより、顧客は安心して配送を利用できます⁷。

・デジタル最適化:AIやビッグデータ解析を用いたルート最適化や需要予測システムの導入により、配送効率の向上とコスト削減を実現しています。

・自動化とロボティクス:倉庫内での自動化や無人搬送車(AGV)の導入など、物流センターの自動化技術にも注力し、迅速な対応と正確な在庫管理を支えています⁸。

現在では、UPSは単なる宅配便業者にとどまらず、グローバルなサプライチェーン全体の最適化を支援する企業へと進化しています。

北米市場の強固な実績を基盤に、欧州、アジア、ラテンアメリカ、アフリカなど、世界各地域での事業展開を推進。

2015年にトラック積載仲介大手「Coyote Logistics」を買収するなど、物流ネットワークの拡大とデジタル技術の導入に注力しています。

日本市場においては、ヤマト運輸との業務提携を通じ、国内の配送体制の強化とサービス向上を実現しています。

【出典】

【事業構成】

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【地域別売上高】

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Posted by 南 一矢