UPS(ユナイテッドパーセル)今後の見通し

株価•決算,資本財

ユナイテッドパーセル・サービス(United Parcel Service, Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については関連記事(UPSとFDXを比較:ユナイテッドパーセルとフェデックス)を参照

直近決算

4月28日(米国時間)にユナイテッドパーセルは決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想1.03$→結果1.07$
・売上高:予想209.7億$→結果212億$(前年同期比+1%)
★ガイダンス
《通年》
・売上高:予想896億$→結果897億$
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreetinsiderを参照しました

企業概要

ユナイテッド・パーセル・サービス(United Parcel Service, Inc.、NYSE: UPS)は、世界最大級の小口貨物(小包)輸送会社で、200以上の国と地域にネットワークを持ちます。本社は米ジョージア州アトランタに所在します。【ミニ解説】「小口貨物」は郵便物・書類・小包など比較的軽量の荷物を指します。[1]

世界各地で速達便・小包配送、航空貨物、通関・国際貿易サポート、在庫・倉庫運用、エンド・ツー・エンドのサプライチェーン最適化など総合物流ソリューションを提供しています。最大の航空ハブはケンタッキー州ルイビル空港(SDF)のWorldportで、巨大な自動仕分け施設を中核に航空輸送と地上配送を一体運用しています。2025年時点で、同社は1日平均2,080万個の荷物を取り扱い、従業員数は約46万人でした。[2]

全米および海外で書類・小包などの小口貨物を配送するほか、航空貨物による国際運送、通関代行、グローバル・サプライチェーンサービスを展開しています。2024年には米郵便公社(USPS)の米国内航空輸送の主要契約を受注し、2024年9月30日から移行が開始されました。UPSは2024年第4四半期にこのUSPS航空貨物契約を本格的に取り込み、2025年も同契約が航空貨物収入と費用の双方に影響しました。[3]

UPSは単なる宅配便業者にとどまらず、テクノロジーと医療物流を強みとする総合物流サービスプロバイダーとしての地位を確立しています。ルート最適化「ORION」、RFIDによる追跡高度化、医療向け優先輸送「UPS Premier」、温度管理・コールドチェーン物流などを組み合わせ、収益性の高い顧客・貨物へのシフトを進めています。2025年は「Network of the Future」などの施策により、低採算ボリュームを抑えつつ、高付加価値物流へ寄せる年となりました。[4]

2025年通期の連結売上高は887.37億ドル、営業利益は78.75億ドル、純利益は55.63億ドル、希薄化後EPSは6.56ドルでした。営業キャッシュフローは84.54億ドル、調整後フリーキャッシュフローは54.99億ドルで、配当と自社株買いを合わせて64億ドルを株主に還元しました。2026年通期については、会社は売上高897億ドル、営業利益率9.6%、設備投資約35億ドルを見込んでいます。[5]

直近の2026年1–3月期(Q1)では、連結売上高は212.00億ドル、営業利益は13.03億ドル、純利益は8.64億ドル、希薄化後EPSは1.02ドルでした。調整後営業利益は16.44億ドル、調整後希薄化後EPSは1.30ドルです。UPSは同四半期を「転換期」と位置づけ、Amazon関連荷物の削減、建物閉鎖、ドライバー向けの任意退職・買い取り施策などを進めています。[6]

その事業は以下の3つのセグメントに分けられます(公式区分)。[7]

U.S. Domestic Package(米国内小包):米国内での地上・航空による小包配送。オンタイム配送と高度なトラッキング、eコマース向けの受取オプション等で個人から法人まで幅広く対応します。主要空港ハブと陸上網を組み合わせ、ラストマイルを効率化します。2025年通期の同セグメント売上高は561.54億ドル、営業利益は40.74億ドルでした。2026年Q1は、Amazon関連ボリューム削減の影響などにより売上高135.39億ドル、営業利益6.16億ドルとなりました。[8]

International Package(国際小包):国際急便・国際小包を扱う領域です。通関・関税手続き支援や多国間配送を含み、欧州・アジア・中南米などで空港ハブ(例:ケルン/ボン、香港、深圳、上海)を核に運用します。2025年通期の同セグメント売上高は180.29億ドル、営業利益は34.22億ドルでした。2026年Q1は売上高45.66億ドル、営業利益8.42億ドルで、米国からの輸出や欧州域内貨物が支えとなりました。[9]

Supply Chain Solutions(SCS):フォワーディング、3PL(倉庫・在庫・流通加工)、UPS Healthcare(温度管理が必要な医薬品・医療機器の物流)、臨床治験物流(Marken)などを含みます。2025年通期の同セグメント売上高は145.54億ドル、営業利益は5.25億ドルでした。2025年には独Frigo-Trans/Biotech & Pharma Logisticsの買収を完了し、同年11月にはカナダのAndlauer Healthcare Group(AHG)の買収も完了しました。これにより、欧州と北米の医療・コールドチェーン物流を強化しています。[10]

社史をさかのぼると、1907年に米国で創業。効率的な配送ネットワークと先進的な物流技術を磨き、グローバルな輸送インフラの一角を担ってきました。近年はデジタル化を一段と加速し、ORIONによる動的ルート最適化、車両・施設へのRFID実装、医療向けにリアルタイム性を高めたUPS Premier等を展開しています。2025年時点では、SMB(中小企業)比率を米国内ボリュームの30%超に高めるなど、大口低採算荷物から収益性重視へ軸足を移しています。[11]

ポートフォリオ再編では、2021年にLTL事業のUPS FreightをTFI Internationalへ売却(現:TForce Freight)、2015年に買収したトラックブローカーのCoyote Logisticsは2024年にRXOへ売却完了しました。一方、2024年にはUSPSの米国内航空輸送契約を獲得し、2025年にはFrigo-TransとAHGの買収で医療物流を拡大しました。2025年以降は、Amazonなど低採算ボリュームへの依存を下げ、医療、SMB、国際、B2B、高付加価値貨物に注力する方針です。Amazonは2025年も同社売上の10%以上を占める主要顧客でしたが、UPSは2026年6月までにAmazon向け配送量を50%超削減する計画を進めています。[12]

日本市場では、UPSは自社の国際輸送網に加え、ヤマト運輸と国際配送で連携しています。例えば、ヤマトの「UPS Worldwide Express Saver」や「国際宅急便(International TA-Q-BIN)」では、米国側の通関・配達やドロップオフ地点の共同活用などでUPSネットワークが用いられます。国内宅配の共同運営ではなく、主に国際発送の接続での提携です。[13]

ミニ解説:UPSの現在の焦点は「量を増やす」よりも「利益率の高い荷物に寄せる」ことです。Amazon関連の低採算ボリュームを減らす一方、医療物流、SMB、国際小包、USPS航空貨物契約、デジタル運用でネットワークの収益性を高めようとしています。ただし、短期的には荷物量の減少、施設閉鎖、人員再配置、労務費上昇が利益を圧迫しやすい点に注意が必要です。

【注】(出典リンク)

  1. 会社概要・本社所在地・200以上の国と地域 → UPS Corporate FactsUPS 2025 Form 10-K(確認日:2026-05-10)
  2. Worldport・航空ハブ・荷物取扱数・従業員数 → Louisville Muhammad Ali International AirportUPS Air Operations FactsUPS Investor Relations(確認日:2026-05-10)
  3. USPS米国内航空輸送契約・移行開始・2025年の影響 → USPS声明UPS発表UPS 2025 Form 10-K(HTML)(確認日:2026-05-10)
  4. ORION・RFID・UPS Premier・高付加価値物流へのシフト → UPS PremierRFID JournalUPS 2025 Form 10-K(確認日:2026-05-10)
  5. 2025年通期業績・株主還元・2026年見通し → UPS 2025年Q4/通期決算決算リリースPDF(確認日:2026-05-10)
  6. 2026年Q1業績・転換期・Amazon削減・施設閉鎖・Driver Choice → UPS 2026年Q1決算UPS Q1 2026 Takeaways(確認日:2026-05-10)
  7. 3セグメント定義 → UPS 2025 Form 10-K(HTML)UPS 2025 Form 10-K(PDF)(確認日:2026-05-10)
  8. U.S. Domestic Packageの2025年通期・2026年Q1業績 → UPS 2025年Q4/通期決算UPS 2026年Q1決算(確認日:2026-05-10)
  9. International Packageの2025年通期・2026年Q1業績 → UPS 2025年Q4/通期決算UPS 2026年Q1決算(確認日:2026-05-10)
  10. Supply Chain Solutions・医療物流・Frigo-Trans/AHG買収 → UPS 2025年Q4/通期決算AHG買収完了UPS 2025 Form 10-K(買収注記)(確認日:2026-05-10)
  11. 創業・SMB比率・デジタル化・ネットワーク再編 → UPS HistoryUPS 2025 Form 10-K(戦略説明)(確認日:2026-05-10)
  12. UPS Freight売却・Coyote売却・Amazon依存削減 → UPS Freight売却発表RXO: Coyote買収完了UPS 2025 Form 10-K(主要顧客)UPS Q1 2026 Takeaways(確認日:2026-05-10)
  13. 日本における国際配送での連携 → ヤマト運輸:UPS Worldwide Express SaverYamato America: International TA-Q-BIN案内(確認日:2026-05-10)

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢