UPS:ユナイテッドパーセルの配当推移
ユナイテッドパーセル(United Parcel Service, Inc.)の配当利回りと株価をチャート(直近90日間)で見てみます。
権利落ち日や配当性向(1株配当÷EPS、EPS比で配当を払い過ぎていないかを図る指標)等も確認してみます。
配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート
年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等
年平均の配当利回りや配当成長率、配当性向、年間の一株配当($)、平均株価、通年EPSの推移を確認してみます。
| 年 | 配当 | 平均株価 | 年EPS | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均利回り | 成長率 | 配当性向 | 年計 | |||
| 2026(見込み) | 6.0%* | 0%* | — | 6.56* | 109* | — |
| 2025 | 6.2% | 0.6% | 100% | 6.56 | 106 | 6.56 |
| 2024 | 4.68% | 1% | 97% | 6.52 | 139.4 | 6.75 |
| 2023 | 3.79% | 7% | 83% | 6.48 | 171.1 | 7.8 |
| 2022 | 3.21% | 49% | 46% | 6.08 | 189.3 | 13.2 |
| 2021 | 2.14% | 1% | 28% | 4.08 | 191 | 14.68 |
| 2020 | 3.11% | 5% | 262% | 4.04 | 129.8 | 1.54 |
| 2019 | 3.47% | 5% | 3.84 | 110.8 | 5.11 | |
| 2018 | 3.21% | 10% | 66% | 3.64 | 113.5 | 5.51 |
| 2017 | 2.97% | 6% | 59% | 3.32 | 111.9 | 5.61 |
| 2016 | 2.95% | 7% | 81% | 3.12 | 105.9 | 3.86 |
| 2015 | 2.90% | 9% | 55% | 2.92 | 100.7 | 5.35 |
| 2014 | 2.66% | 8% | 82% | 2.68 | 100.7 | 3.28 |
| 2013 | 2.80% | 9% | 54% | 2.48 | 88.6 | 4.61 |
| 2012 | 3.01% | 10% | 275% | 2.28 | 75.7 | 0.83 |
| 2011 | 2.94% | 11% | 54% | 2.08 | 70.7 | 3.84 |
| 2010 | 2.91% | 4% | 56% | 1.88 | 64.7 | 3.33 |
| 2009 | 3.45% | 0% | 92% | 1.8 | 52.2 | 1.96 |
| 2008 | 2.80% | 7% | 61% | 1.8 | 64.4 | 2.94 |
*2026年は年度途中のため見込み値。2026年Q1配当は$1.64/株が確定済み(年換算$6.56)。平均株価は2026年1月末時点の水準をもとにした参考値。
【出典】
一貫して成長する配当の実績
United Parcel Service(UPS)の配当実績は、物流業界の景気循環性や外部環境の変動にもかかわらず、長期的に見ると非常に安定した成長を示しています。2008年から2025年までのあいだ、年間配当は$1.80から$6.56へと約264%増加しており、減配は行っていません。[1]
上場は1999年で、以降およそ四半世紀にわたり、UPSは毎年配当を維持または増配してきました。[1] 2008年の金融危機、2020年のCOVID-19パンデミック、そして2024〜2025年の需要調整や貿易摩擦など、世界経済に大きな混乱が生じた局面でも減配に踏み切っていない点は、株主還元に対するコミットメントの強さを示しています。2026年Q1の配当も$1.64/株で据え置きが発表されています。[3]
2025年通期の業績実績と主な出来事
2025年のUPSは、事業ポートフォリオとコスト構造の見直しを大きく進めた変革の年となりました。2025年通期の売上高は$88.7Bで前年の$91.1Bから約2.6%減少しましたが、これは低収益ボリュームの意図的な削減によるものです。[2][3] 各四半期の推移は、Q1が$21.5B、Q2が$21.2B、Q3が$21.4B、Q4が$24.5Bでした。[3]
- 最大顧客(Amazon)との取引縮小:2025年Q1にAmazonとの取扱量を2026年6月までに50%以上削減する合意を発表。2025年Q4には1日あたり約100万個のAmazon由来ボリュームを削減し、高利益率の中小企業(SMB)やB2B顧客へのシフトを加速しました。[3][4]
- Transformation 2.0・Fit to Serveの完了:管理層の削減やプロセス改善を含むTransformation 2.0およびFit to Serve(管理職約1.4万人の削減)は2025年中に完了しました。[3]
- Network Reconfiguration & Efficiency Reimagined:ネットワーク再編と業務プロセスの抜本的見直しにより、オペレーション部門で約4.8万人(季節雇用1.5万人を含む)のポジション削減と93拠点の統合・閉鎖を実施。2025年に約$3.5Bの前年比コスト削減を達成しました。[3][4]
- ヘルスケア事業の拡大:2025年1月にドイツのFrigo-Transを買収、11月にはカナダのAndlauer Healthcare Group(AHG)を約$1.6Bで買収完了。ヘルスケアポートフォリオの売上は2025年に$11.2Bに達しました。[7]
- MD-11航空機の退役完了:Q4 2025にMD-11貨物機の全退役を完了し、フリート近代化を加速。これに伴い$137Mの非現金評価損を計上しました。[3]
- 関税・貿易摩擦への対応:2025年にかけて米国で発表された対中追加関税や、越境ECを巡る政策変更により、国際小口貨物需要に逆風が続きましたが、UPSは高付加価値貨物やB2B向けサービスへのシフトで対応しています。[3]
CEO のCarol Tomé氏は2025年Q4決算発表で「2025年はUPSにとって大きな前進の年であり、収益の質を強化し、より機敏なネットワークを構築するための行動を起こした」と総括しています。[3]
配当成長率の推移
UPSの配当成長率は、景気サイクルや投資フェーズを反映して変動していますが、長期的には右肩上がりのトレンドを維持しています。[1]
- 2008〜2010年:金融危機の影響期(増配は行うものの、年0〜7%程度の慎重な成長)
- 2011〜2015年:景気回復と共に8〜11%程度の安定した増配
- 2016〜2020年:eコマース拡大と大型投資が並行する「変革期」(年5〜10%の増配)
- 2021年:パンデミック後の調整局面で増配率は1桁前半
- 2022年:記録的な業績を背景に、年間配当を大幅に引き上げ(およそ+49%)
- 2023〜2025年:業績の「正常化」フェーズで、年1〜7%程度の穏やかな増配
2025年の年間配当は$6.56で、2024年の$6.52から約0.6%の微増にとどまりました。2026年もQ1配当は$1.64/株で変わらず、会社は通期の配当支払額を約$5.4Bと見込んでおり、現時点では据え置き方針と解釈できます。[3] 2026年以降のAmazon glide-down完了と利益成長を踏まえ、再び中程度の配当成長に戻る余地があります。
配当性向と持続可能性
配当性向(「1株配当 ÷ EPS」)は、UPSの場合、業績の山谷に応じて大きく変動しています。2025年通期のGAAPベース希薄化EPSは$6.56で、年間配当も$6.56であったため、配当性向はちょうど100%という高い水準でした。[2][3] ただし、Non-GAAPベースの調整後EPSは$7.16と配当を上回っており、変革コストなどの一時的費用を除けばカバーされていた計算になります。[3]
配当性向が高水準となった主な要因は、以下の通りです。
- 変革コストの一時的影響:Network Reconfiguration・Efficiency Reimagined関連で2025年に$509Mのプログラムコストを計上。加えてMD-11退役に伴う$137Mの評価損も利益を圧迫しました。[3]
- 貿易政策・関税の影響:追加関税や越境EC規制の強化により、一部国際貨物の荷動きが鈍化。
- 顧客ポートフォリオの入れ替え:Amazon取扱量の大幅削減により、短期的な売上が減少。U.S. Domesticの平均日次取扱量はQ4に前年比10.8%減少しましたが、1個あたり売上単価は8.3%上昇しました。[3]
一方で、フリーキャッシュフローの観点から見ると、配当の持続可能性は引き続き確認できます。2025年の営業キャッシュフローは$8.5Bで、Non-GAAPベースのフリーキャッシュフローは$5.5Bでした。[3] これに対して配当支払額は$5.4〜5.5B規模であり、FCFベースではほぼカバーされています。さらに2026年のFCFガイダンスは約$6.5Bと大幅改善が見込まれており、配当の安全性は高まる見通しです。[3][5]
財務パフォーマンスと成長見通し
2025年通期実績と2026年見通し
| 期間 | 売上高($B) | 営業利益($B) | 希薄化EPS($) | 調整後EPS($) |
|---|---|---|---|---|
| 2026年通年見通し | 89.7 | — | — | — |
| 2025年Q4 | 24.5 | 2.6 | 2.10 | 2.38 |
| 2025年Q3 | 21.4 | 1.8 | 1.55 | 1.74 |
| 2025年Q2 | 21.2 | 1.7 | 1.51 | 1.55 |
| 2025年Q1 | 21.5 | 1.7 | 1.40 | 1.49 |
| 2025年通年(実績) | 88.7 | 7.9 | 6.56 | 7.16 |
| 2024年通年 | 91.1 | 8.5 | 6.75 | 7.72 |
2025年通期の営業利益$7.9BはGAAPベース。Non-GAAP調整後営業利益は$8.7B(調整後営業マージン9.8%)。2026年見通しの調整後営業マージンは約9.6%。[3]
2025年通期では、売上高$88.7B(前年比-2.6%)、GAAP営業マージン8.9%、調整後営業マージン9.8%という結果でした。[3] 売上の減少は、低収益のAmazonボリュームを意図的に削減していることが主因であり、利益率重視の方針を反映したものです。Q4は$24.5Bの売上を記録し、市場予想($24.0B)を上回りました。
2026年通年では、売上高約$89.7B、調整後営業マージン約9.6%が会社ガイダンスとして示されています。上半期はAmazon glide-down完了に伴う過渡的コストが残るものの、下半期にSMB・エンタープライズ顧客の取扱量が中一桁成長に転じ、マージンが改善する「前半弱・後半強」の構造が見込まれています。[3][5]
主要財務指標の推移
以下の表では、売上高、営業CF、純利益をM$(百万ドル)単位、営業CFマージン(表記は「同マージン」)を%単位で示します。2025年までは実績値です。[2][6]
| 年度 | 売上高 | 営業CF | 同マージン | 純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2025 | 88,700 | 8,500 | 10 | 5,600台 |
| 2024 | 91,070 | 10,122 | 11 | 5,782 |
| 2023 | 90,958 | 10,238 | 11 | 6,708 |
| 2022 | 100,338 | 14,104 | 14 | 11,548 |
| 2021 | 97,287 | 15,007 | 15 | 12,890 |
| 2020 | 84,628 | 10,459 | 12 | 1,343 |
| 2019 | 74,094 | 8,639 | 12 | 4,440 |
| 2018 | 71,861 | 12,711 | 18 | 4,791 |
| 2017 | 66,585 | 1,479 | 2 | 4,905 |
| 2016 | 61,610 | 6,473 | 11 | 3,422 |
| 2015 | 58,363 | 7,430 | 13 | 4,844 |
| 2014 | 58,232 | 5,726 | 10 | 3,032 |
| 2013 | 55,438 | 7,304 | 13 | 4,372 |
| 2012 | 54,127 | 7,216 | 13 | 807 |
| 2011 | 53,105 | 7,073 | 13 | 3,804 |
| 2010 | 49,545 | 3,835 | 8 | 3,338 |
| 2009 | 45,297 | 5,285 | 12 | 1,968 |
| 2008 | 51,486 | 8,426 | 16 | 3,003 |
2025年の営業CF $8.5BとFCF $5.5Bは決算発表時の確定値。純利益はEPS $6.56×希薄化後株式数からの概算値。[3]
収益性と効率性の分析
UPSの財務データを見ると、物流業界の景気感応度の高さと同時に、構造改革による収益性の底上げを狙う姿勢が読み取れます。2022年はeコマース需要のピークを背景に売上・利益ともに過去最高水準となりましたが、その後は需要の「正常化」とコスト上昇により、2023〜2025年の利益水準は一段落ち着いた状態です。[2][6]
- 売上高は2008年の$51,486Mから2022年には$100,338Mへとほぼ倍増。その後2023〜2025年は、低収益ボリュームの削減とマージン重視の戦略により横ばい〜微減で$88.7B。
- 営業CFマージンは8〜18%の範囲ながら、多くの年度で2桁を維持。ただし2025年は変革コストや一時費用の影響で営業CFが$8.5Bに減少し、マージンは約10%にとどまりました。
- 純利益は2012年・2020年に一時的な落ち込みが見られる一方、2021〜2022年には記録的な水準まで回復しており、景気や一時要因に応じて振れが大きい。
- 2026年は、Amazon glide-down完了とコスト削減効果の本格発現により「変曲点(inflection point)」となることが会社から示唆されています。[3]
キャッシュフロー基盤の安定性
以下の表では、営業CF、投資CF、財務CFをM$(百万ドル)単位、営業CF成長率(「成長率」)を%単位で示します。[6]
| 年度 | 営業CF | 成長率 | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|---|
| 2025 | 8,500 | -16 | — | — |
| 2024 | 10,122 | -1 | -217 | -6,850 |
| 2023 | 10,238 | -27 | -7,133 | -5,534 |
| 2022 | 14,104 | -6 | -7,472 | -11,185 |
| 2021 | 15,007 | 43 | -3,818 | -6,823 |
| 2020 | 10,459 | 21 | -5,283 | -4,517 |
| 2019 | 8,639 | -32 | -6,061 | -1,727 |
| 2018 | 12,711 | 759 | -6,330 | -5,692 |
| 2017 | 1,479 | -77 | -4,971 | 3,287 |
| 2016 | 6,473 | -13 | -2,563 | -3,140 |
| 2015 | 7,430 | 30 | -5,309 | -1,565 |
| 2014 | 5,726 | -22 | -2,801 | -5,161 |
| 2013 | 7,304 | 1 | -2,114 | -7,807 |
| 2012 | 7,216 | 2 | -1,335 | -1,817 |
| 2011 | 7,073 | 84 | -2,537 | -4,862 |
| 2010 | 3,835 | -27 | -654 | -1,346 |
| 2009 | 5,285 | -37 | -1,248 | -3,045 |
| 2008 | 8,426 | 650 | -3,179 | -6,702 |
2025年の営業CFは$8.5B(確定)。2025年は株主還元(配当+自社株買い)で合計$6.4Bを返還。設備投資は約$3.5B。2025年の投資CF・財務CFの内訳は10-K公表後に確定予定。[3]
UPSの強みは、景気変動局面でも比較的安定したキャッシュフローを確保している点にあります。2025年の営業CFは$8.5Bと、前年の$10.1Bから減少しましたが、これは変革プログラムに伴う一時的な費用が主因です。[3] 重要なのは、2026年のFCFガイダンスが$6.5Bと大幅に改善する見通しが示されていることで、配当(約$5.4B)と設備投資(約$3.0B)の双方を賄えるキャッシュ創出力への回復が期待されています。[3][5]
財務構造の安定性
以下の表では、総資産、総負債、株主資本をM$(百万ドル)単位、自己資本率と負債比率を%単位で示します。[2][6]
| 年度 | 総資産 | 総負債 | 株主資本 | 自己資本率 | 負債比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025 | 71,000前後* | 55,000前後* | 16,000前後* | 23* | 344* |
| 2024 | 70,070 | 53,327 | 16,743 | 24 | 319 |
| 2023 | 70,857 | 53,543 | 17,314 | 24 | 309 |
| 2022 | 71,124 | 51,321 | 19,803 | 28 | 259 |
| 2021 | 69,405 | 55,136 | 14,269 | 21 | 386 |
| 2020 | 62,408 | 61,739 | 657 | 1 | 9,397 |
| 2019 | 57,857 | 54,574 | 3,267 | 6 | 1,670 |
| 2018 | 50,016 | 46,979 | 3,021 | 6 | 1,555 |
| 2017 | 45,574 | 44,550 | 994 | 2 | 4,482 |
| 2016 | 40,377 | 39,948 | 405 | 1 | 9,864 |
| 2015 | 38,311 | 35,820 | 2,470 | 6 | 1,450 |
| 2014 | 35,440 | 33,282 | 2,141 | 6 | 1,555 |
| 2013 | 36,212 | 29,724 | 6,474 | 18 | 459 |
| 2012 | 38,863 | 34,130 | 4,653 | 12 | 734 |
| 2011 | 34,701 | 27,593 | 7,035 | 20 | 392 |
| 2010 | 33,597 | 25,550 | 7,979 | 24 | 320 |
| 2009 | 31,883 | 24,187 | 7,630 | 24 | 317 |
| 2008 | 31,879 | 25,099 | 6,780 | 21 | 370 |
* 2025年のバランスシートはQ3時点(総資産$70.9B、総負債$55.2B、株主資本$15.8B)からの概算値。10-K提出後(2026年2月下旬予定)に確定します。[6]
UPSの資本構成は、2014〜2020年にかけて自己資本率1〜6%という非常にタイトな局面を経験しましたが、その後利益の積み上げと自社株買い・退職給付債務のコントロールなどにより大きく改善し、2023〜2025年には自己資本率23〜24%程度を維持しています。[2] 2025年にはAndlauer Healthcare Groupの買収($1.6B)があったものの、資産売却やリースバック取引による資金確保もあり、大幅な悪化は見られません。
まとめ:長期配当投資家にとってのUPSとは?
United Parcel Service(UPS)は、2025年に一連の大規模変革プログラムをほぼ完了し、2026年を「変曲点(inflection point)」と位置づけて新たな成長フェーズに入ろうとしています。長期配当投資家にとっては依然として注目すべき銘柄です。
同社の強みは以下の点にあります:
- 上場以来25年間、一度も減配していない配当実績(2026年Q1も$1.64/株で配当維持を確認)[1][3]
- 安定したキャッシュフロー生成能力(変革コスト込みの2025年でも営業CF $8.5B、FCF $5.5Bを確保)[3]
- グローバルな物流ネットワークとブランド力:ヘルスケア事業を$11.2B規模に拡大し、高付加価値分野でのポジションを強化[7]
- 2021年以降の財務基盤の改善:自己資本率が20%台前半〜後半のレンジに安定化
- 2025年に$3.5Bのコスト削減を達成、2026年にさらに約$3Bの追加削減を見込む[3][4]
- 過去の危機からの回復力(金融危機、パンデミック、貿易摩擦といったイベントを経験しても減配なし)[1]
一方で、注意すべき点としては:
- 貿易政策の影響:対中追加関税などが国際小口貨物の需要に影響し得る点[3]
- 2026年上半期の過渡的コスト:Amazon glide-down完了に伴う移行コスト(Ground Saver製品関連等)が上半期の利益を圧迫する見通し[3][5]
- 大手顧客依存からの脱却リスク:Amazonボリューム削減後に、中小企業やエンタープライズ顧客で十分に代替できるかどうかが鍵
- 労働コストの上昇と労使交渉の不確実性
- 競争環境の変化:テクノロジー企業による物流内製化や、新興プレーヤーとの競争
- EPSベースの配当性向の高さ:2025年はGAAPベースでちょうど100%。ただし調整後EPSベースでは92%程度、2026年はFCF改善により安全マージンが広がる見込み
よくある質問
UPSの配当はどれくらい安全ですか?
UPSの配当は、2025年のGAAP EPSベースで見ると配当性向100%とかなり高い水準でした。[3] ただし、Non-GAAP調整後EPSは$7.16と配当($6.56)を上回っており、一時的な変革コストを除けばカバーされていました。さらに重要なのはキャッシュフローです。2025年のFCFは$5.5Bで配当支払いとほぼ同額でしたが、2026年のFCFガイダンスは$6.5Bと大幅改善が見込まれており、配当の安全マージンは着実に広がる方向にあります。[3][5]
1999年の上場以来25年間、危機的状況においても減配を行っていない実績や、2026年のキャッシュフロー改善見通しを踏まえると、短期的なリスクは管理可能と考えられますが、2026年上半期の実績を確認するまでは注視が必要です。
2025年の変革プログラムの成果はどうでしたか?
Transformation 2.0およびFit to Serveは2025年中に完了し、Network Reconfiguration & Efficiency Reimagined で$3.5Bの前年比コスト削減を達成しました。[3][4] 約4.8万人のポジション削減と93拠点の閉鎖により、自動化された施設は従来型比28%低いコスト/個を実現しています。
2026年にはさらに約$3Bの追加コスト削減が見込まれており、Network Reconfiguration & Efficiency Reimaginedは2027年までに完了予定です。[3] CEO Tomé氏は「2026年がAmazon glide-down完了に伴う戦略の変曲点となる」と述べています。
現在の配当利回りは持続可能ですか?
2026年2月初旬時点でUPSの配当利回りは約5.9%と、過去10年の平均(おおよそ3〜4%台)を上回る水準にあります。2025年夏には株価下落により一時7%台まで上昇した場面もありました。[5]
- 短期的には、2026年上半期の過渡的コストや貿易摩擦の不透明感が続くなか、利回りがやや高い水準で推移する可能性があります。
- 中長期的には、Amazon glide-down完了後の利益成長が順調に進めば、株価のリバウンドにより利回りは4〜5%程度の「より通常に近い水準」に戻るシナリオも十分考えられます。
- 2026年のFCFガイダンス$6.5Bは配当($5.4B)を大きく上回る水準であり、配当カバーの改善は明確です。[3]
したがって、「現在の利回りがそのまま永続する」と考えるよりも、「変革完了後の収益回復期における過渡的な高利回り」と理解するほうが現実的です。
本記事は、公表されている財務データや会社開示資料をもとにUPSの配当・財務状況を整理したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任と判断により行ってください。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。出典については本文末の「【注】(出典リンク)」をご参照ください。
【注】(出典リンク)
- 配当履歴・減配なしの実績(25年間)・2008〜2025年の増配推移 → UPS Investors – Dividends → UPS Form 10-K(SEC EDGAR)(確認日:2026-02-06) ↩
- 2024年通期の売上高$91.1B・純利益$5.8B・EPS$6.75・営業CF$10.1Bなど主要業績 → UPS Q4 2024 Earnings Release → UPS Financial Results(確認日:2026-02-06) ↩
- 2025年通期実績(売上$88.7B・GAAP EPS$6.56・調整後EPS$7.16・営業CF$8.5B・FCF$5.5B)、Q1〜Q4四半期業績、2026年ガイダンス(売上$89.7B・調整後営業マージン9.6%・配当$5.4B・FCF$6.5B)、変革プログラム進捗($3.5B削減達成、2026年$3B追加見込み)、MD-11退役 → UPS Releases 4Q 2025 Earnings and Provides 2026 Guidance(2026年1月27日)(確認日:2026-02-06) ↩
- Network Reconfiguration & Efficiency Reimagined、人員削減規模(オペレーション約4.8万人含む季節雇用1.5万人+管理職Fit to Serve約1.4万人)、93拠点統合・閉鎖 → AP News – UPS leans heavily on automation as it cuts jobs and closes buildings → Reuters – UPS job cuts and cost savings plan(確認日:2026-02-06) ↩
- 2026年2月時点の配当利回り約5.9%、2026年のFCFガイダンス$6.5B、ターンアラウンド見通し → Motley Fool – Is UPS Stock a Buy Now?(2026年2月) → Motley Fool – Could 2026 Be a Turnaround Year for UPS Stock?(確認日:2026-02-06) ↩
- 2008〜2024年の売上高・営業CF・純利益・キャッシュフロー区分・バランスシートなどの長期推移 → Macrotrends – UPS Financial Statements → SEC EDGAR – UPS Filings(10-K等)(確認日:2026-02-06) ↩
- Andlauer Healthcare Group買収($1.6B、2025年11月完了)・Frigo-Trans買収(2025年1月完了)・ヘルスケアポートフォリオ$11.2B → UPS Acquires Andlauer Healthcare Group(2025年11月3日) → Yahoo Finance – UPS Q4 2025 Earnings Call Highlights(確認日:2026-02-06) ↩

