VZ:ベライゾンの配当推移
ベライゾンコミュニケーションズ(Verizon Communications Inc.)の配当利回りと株価をチャート(直近90日間)で見てみます。
権利落ち日や配当性向(1株配当÷EPS、EPS比で配当を払い過ぎていないかを図る指標)等も確認してみます。
配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート
年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等
年平均の配当利回りや配当成長率、配当性向、年間の一株配当($)、平均株価、通年EPSの推移を確認してみます。
| 年 | 配当 | 平均株価 | 年EPS | |||
| 平均利回り | 成長率 | 配当性向 | 年計 | |||
| 2026* | 5.9% | 2% | 56% | 2.76 | 47.0 | 4.93 |
| 2025 | 6.43% | 2% | 67% | 2.72 | 42.3 | 4.06 |
| 2024 | 6.52% | 2% | 65% | 2.685 | 41.2 | 4.14 |
| 2023 | 7.24% | 2% | 96% | 2.635 | 36.4 | 2.75 |
| 2022 | 5.57% | 2% | 51% | 2.585 | 46.4 | 5.06 |
| 2021 | 4.58% | 2% | 48% | 2.535 | 55.3 | 5.32 |
| 2020 | 4.30% | 3% | 58% | 2.485 | 57.8 | 4.3 |
| 2019 | 4.17% | 2% | 52% | 2.42 | 58.1 | 4.65 |
| 2018 | 4.55% | 2% | 63% | 2.37 | 52.1 | 3.76 |
| 2017 | 4.81% | 2% | 32% | 2.32 | 48.2 | 7.36 |
| 2016 | 4.42% | 2% | 71% | 2.27 | 51.4 | 3.21 |
| 2015 | 4.70% | 4% | 51% | 2.22 | 47.2 | 4.37 |
| 2014 | 4.40% | 3% | 88% | 2.14 | 48.6 | 2.42 |
| 2013 | 4.27% | 3% | 52% | 2.08 | 48.7 | 4 |
| 2012 | 4.81% | 3% | 652% | 2.02 | 42 | 0.31 |
| 2011 | 5.36% | 3% | 231% | 1.96 | 36.6 | 0.85 |
| 2010 | 6.47% | 3% | 212% | 1.91 | 29.5 | 0.9 |
| 2009 | 6.53% | -3% | 108% | 1.86 | 28.5 | 1.72 |
| 2008 | 5.89% | 16% | -249% | 1.92 | 32.6 | -0.77 |
* 2026年は会社ガイダンス(調整後EPS $4.90〜$4.95の中間値)をもとにした予想値を含む
【出典】
2026年最新動向:CEO交代・Frontier買収完了・19年連続増配
【重要更新】ベライゾン(Verizon Communications, ティッカー:VZ)は2025年9月に四半期配当を1.25セント増配し0.69ドル(年率換算2.76ドル)とし、19年連続の配当増加を達成しました。[1] 2026年2月初旬時点の株価約47ドルに対する配当利回りは約5.8〜5.9%の水準です。
2025年10月6日付でCEOがHans VestbergからDan Schulman(元PayPal CEO)に交代しました。Schulmanは「顧客を第一にする文化への転換」と「コスト構造・財務プロファイルの積極的な変革」を掲げ、2025年Q4には2019年以来最多のモバイル・ブロードバンド純増(100万件超)を達成しています。[2]
さらに、2026年1月20日にFrontier Communications(約200億ドル規模)の買収が完了し、ファイバー接続対象が3,000万超の家庭・事業所に拡大しました。加えて、3年間で250億ドルの自社株買いプログラム(2026年は少なくとも30億ドル)を発表し、株主還元姿勢を大幅に強化しています。[3]
2025年通期業績ハイライト:増収増益を達成
ベライゾンの2025年12月期通期実績は以下のとおりです。[4]
- 2025年通期売上高:138,190Mドル(前年134,788Mドルから2.5%増)
- 2025年通期GAAP EPS:4.06ドル(前年4.14ドルから減少)
- 2025年通期調整後EPS:4.71ドル(前年4.59ドルから2.6%増)
- 2025年通期営業キャッシュフロー:37,100Mドル(前年36,912Mドルから微増)
- 2025年通期フリーキャッシュフロー:20,100Mドル(前年19,800Mドルから増加)
- 2025年通期調整後EBITDA:50,000Mドル
- 2025年通期設備投資:17,000Mドル
- Q4ポストペイド電話純増:616,000件(2019年以来最多、前年Q4は504,000件)
- FWA加入者:約570万件(Q4純増319,000件)
GAAP EPSが前年比で減少した背景には、CEO交代に伴う一時費用やリストラ関連の特別項目が含まれています。調整後ベースでは増益を達成しており、事業の基礎的な収益力は改善しています。
2026年ガイダンス:ターンアラウンドの本格始動
2026年についてはFrontier統合効果を含め、以下のガイダンスが示されています。[3]
- モバイル+ブロードバンドサービス収益成長率:2〜3%(約930億ドル規模)
- 調整後EPS:4.90〜4.95ドル(前年比4〜5%成長)
- 営業キャッシュフロー:375〜380億ドル
- 設備投資:160〜165億ドル(ファイバー敷設200万パッシング以上を含む)
- フリーキャッシュフロー:215億ドル以上(前年比約7%増、2020年以来最高見込み)
- ポストペイド電話純増:75万〜100万件(2025年の約2〜3倍)
- OpEx削減目標:50億ドル(人員削減、マーケティング効率化、契約見直し)
ワイヤレスサービス収益は2026年中はほぼ横ばいが見込まれますが、これは持続可能なボリューム成長への移行期にあたるためです。
安定した配当の実績
Verizonの配当実績は、米国の主要通信企業として極めて安定した軌跡を描いてきました。2008年の通期配当1.90〜1.92ドル前後から2025年の約2.72ドルまで、おおむね右肩上がりで推移しており、リーマンショック(2008年)、欧州債務危機(2011〜2012年)、新型コロナウイルス(2020年)、インフレ・急速利上げ局面(2022年以降)といった局面を通じても減配を避けつつ、毎年わずかでも増配を続けてきた点が特徴です。[1]
年平均の配当成長率はおおよそ2〜3%程度と派手さはありませんが、景気後退局面でも維持されていることから、「インフラ型ビジネス×高配当×緩やかな増配」という組み合わせを求める投資家にとってベンチマーク的な銘柄といえます。
配当成長率の推移
長期的な配当成長のパターンを整理すると、おおむね以下のように区分できます(年次配当ベース):
- 2000年代後半:インフラ拡張期に伴うやや高めの増配率(年率3〜5%前後)
- 2010〜2015年:4G展開とVodafone持分買い戻しの負担をこなしつつ、年率3%前後の増配を継続
- 2016〜2025年:5G投資を進めながらも、年率2%程度の「控えめだが安定した」増配を継続
このパターンは、Verizonが「成長投資の負担と、株主への安定還元」のバランスを取る中で、増配率を調整しながらも、配当を絶対額で減らさないというスタンスを守ってきたことを反映しています。Frontier買収完了とFCF拡大を受けて、今後は増配率をやや高める余地も出てくる可能性がありますが、現状は持続可能性を重視した慎重なペースにとどまっています。
配当利回りの安定性
Verizonの配当利回りは、過去10年以上にわたりおおむね4〜7%のレンジに収まってきました。株価の上下で一時的にレンジを外れることはあるものの、長期的には:
- 他の高配当セクター(REIT、公益株)と比較しても遜色ない水準
- 米国10年債利回りに対して一定のスプレッドを確保
- 景気後退局面で相対的にディフェンシブな動き
通信サービスは生活インフラとしての性格が強く、解約や利用削減が景気指標より遅れて現れる傾向があります。そのため、配当利回りの水準は景気サイクル全体で見ても大きく崩れにくく、ディフェンシブ高配当株としての役割を果たしてきました。
配当性向の持続可能性
Verizonの配当性向(配当÷希薄化後EPS)は、通信業界特有の会計要因もあり年によってブレますが、近年は概ね50〜70%程度のレンジに収まっています。[4]
- 2010年代前半:Vodafone持分買い戻し関連の一時的な会計影響などでEPSが変動し、配当性向が高く見える年もあった
- 2018〜2022年:5G投資や減損の影響も受けつつ、長期平均では60%前後
- 2023〜2025年:特別項目によりGAAP EPSが変動する年もあるが、調整後ベースでは58%前後で安定
通信企業では、減価償却負担やスペクトラム取得費用などの影響で「会計上の利益」がブレやすく、配当性向だけで安全性を判断するのは適切ではありません。実務的には、営業キャッシュフローやフリーキャッシュフローに対する配当負担を重視するのが自然です。
2025年通期ベースで見ると、営業キャッシュフロー37,100Mドルに対し、配当総額はおおよそ114〜115億ドル規模(発行済株式数約42億株×配当$2.72)であり、営業キャッシュフローに対する配当負担は31%程度にとどまります。これは、高配当株としては十分に余力のある水準です。[4]
財務パフォーマンスと成長見通し
以下の表では、売上高、営業CF、純利益はMドル(百万ドル)単位、営業CFマージン(表記は「同マージン」)は%単位で表示しています。2025年までは実績値を、2026年は会社ガイダンスをもとにした参考水準として整理しています。[4]
主要財務指標の推移
| 年度 | 売上高 | 営業CF | 同マージン | 純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2026* | 143,000 | 37,750 | 26 | 21,000 |
| 2025 | 138,190 | 37,100 | 27 | 17,610 |
| 2024 | 134,788 | 36,912 | 27 | 17,506 |
| 2023 | 133,974 | 37,475 | 28 | 11,614 |
| 2022 | 136,835 | 37,141 | 27 | 21,256 |
| 2021 | 133,613 | 39,539 | 30 | 22,065 |
| 2020 | 128,292 | 41,768 | 33 | 17,801 |
| 2019 | 131,868 | 35,746 | 27 | 19,265 |
| 2018 | 130,863 | 34,339 | 26 | 15,528 |
| 2017 | 126,034 | 24,318 | 19 | 30,101 |
| 2016 | 125,980 | 21,689 | 17 | 13,127 |
| 2015 | 131,620 | 39,027 | 30 | 17,879 |
| 2014 | 127,079 | 30,631 | 24 | 9,625 |
| 2013 | 120,550 | 38,818 | 32 | 11,497 |
| 2012 | 115,846 | 31,486 | 27 | 875 |
| 2011 | 110,875 | 29,780 | 27 | 2,404 |
| 2010 | 106,565 | 33,363 | 31 | 2,549 |
| 2009 | 107,808 | 31,390 | 29 | 4,894 |
| 2008 | 97,354 | 27,452 | 28 | -2,193 |
* 2026年は参考水準(会社ガイダンス・市場コンセンサスをもとにした目安、Frontier統合効果を含む)
収益性と効率性の安定
この長期データから見えてくるポイントは次のとおりです:
- 売上高は2008年の97,354Mドルから2025年の138,190Mドルへと拡大(年平均成長率約2%台前半)
- 営業CFマージンは一貫して高水準(20%台後半を中心に推移)
- パンデミック期(2020年)でも売上減少は限定的で、むしろ営業CFは増加
- 5G投資やスペクトラム取得で投資負担は重いものの、キャッシュ創出力は堅調
- 2025年はFrontier買収関連費用やCEO交代に伴う一時費用で純利益が圧迫されたが、営業CFは前年並みを維持
Verizonは「急成長銘柄」ではありませんが、インフラ企業としては十分な売上成長と非常に安定したキャッシュフローを持っています。これは、月額課金モデル・長期契約・ネットワーク規模の経済など、通信事業の構造的な強みが反映されたものです。
キャッシュフローの安定性
以下の表では、営業CF、投資CF、財務CFはMドル(百万ドル)単位、営業CF成長率(表記は「成長率」)は%単位で表示しています。投資CFには設備投資(Capex)やスペクトラム取得などが含まれます。[4]
| 年度 | 営業CF | 成長率 | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|---|
| 2026* | 37,750 | 2 | -16,250 | -20,000 |
| 2025 | 37,100 | 1 | -17,000 | -18,000 |
| 2024 | 36,912 | -2 | -18,674 | -17,100 |
| 2023 | 37,475 | 1 | -23,432 | -14,657 |
| 2022 | 37,141 | -6 | -28,662 | -8,529 |
| 2021 | 39,539 | -5 | -67,153 | 8,277 |
| 2020 | 41,768 | 17 | -23,512 | 1,325 |
| 2019 | 35,746 | 4 | -17,581 | -18,164 |
| 2018 | 34,339 | 41 | -17,934 | -15,377 |
| 2017 | 24,318 | 12 | -18,456 | -6,151 |
| 2016 | 21,689 | -44 | -9,874 | -13,376 |
| 2015 | 39,027 | 27 | -30,043 | -15,112 |
| 2014 | 30,631 | -21 | -15,856 | -57,705 |
| 2013 | 38,818 | 23 | -14,833 | 26,450 |
| 2012 | 31,486 | 6 | -20,502 | -21,253 |
| 2011 | 29,780 | -11 | -17,250 | -5,836 |
| 2010 | 33,363 | 6 | -15,054 | -13,650 |
| 2009 | 31,390 | 14 | -23,156 | -16,007 |
| 2008 | 27,452 | 2 | -31,474 | 12,651 |
* 2026年は参考水準(会社ガイダンスをもとにした目安)
営業CFはリーマンショック・パンデミック・金利急騰局面を通じて一度もマイナスになっておらず、「2〜4兆円規模のキャッシュを毎年安定的に吐き出すビジネス」であることがわかります。一方で、投資CFは4G・5G・スペクトラム取得に応じて大きくマイナスとなる年があり、特に2021年のCバンド取得では-67,153Mドルと突出しています。
2025年は設備投資が17,000Mドルに抑制され、FCFは20,100Mドルに改善しました。2026年はCapexがさらに低下する計画(160〜165億ドル)で、FCFは215億ドル超と2020年以来の水準が見込まれています。
負債水準と資本構成
以下の表では、総資産、総負債、株主資本はMドル(百万ドル)単位、自己資本比率・負債比率は%単位で表示しています。[5]
| 年度 | 総資産 | 総負債 | 株主資本 | 自己資本率 | 負債比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025 | 388,300 | 282,000 | 106,300 | 27 | 265 |
| 2024 | 384,711 | 284,136 | 100,575 | 26 | 283 |
| 2023 | 380,255 | 286,456 | 93,799 | 25 | 305 |
| 2022 | 379,680 | 287,217 | 92,463 | 24 | 311 |
| 2021 | 366,596 | 283,396 | 83,200 | 23 | 341 |
| 2020 | 316,481 | 247,209 | 67,842 | 21 | 364 |
| 2019 | 291,727 | 228,892 | 61,395 | 21 | 373 |
| 2018 | 264,829 | 210,119 | 53,145 | 20 | 395 |
| 2017 | 257,143 | 212,456 | 43,096 | 17 | 493 |
| 2016 | 244,180 | 220,148 | 22,524 | 9 | 977 |
| 2015 | 244,175 | 226,333 | 16,428 | 7 | 1,378 |
| 2014 | 232,616 | 218,940 | 12,298 | 5 | 1,780 |
| 2013 | 274,098 | 178,682 | 38,836 | 14 | 460 |
| 2012 | 225,222 | 139,689 | 33,157 | 15 | 421 |
| 2011 | 230,461 | 144,553 | 35,970 | 16 | 402 |
| 2010 | 220,005 | 133,093 | 38,569 | 18 | 345 |
| 2009 | 226,907 | 142,764 | 41,382 | 18 | 345 |
| 2008 | 202,352 | 123,447 | 41,706 | 21 | 296 |
2013〜2015年にかけて負債比率が一時的に非常に高水準まで上昇しているのは、Vodafoneが保有していたVerizon Wireless持分の買い戻しを実施した影響が大きく、巨額の負債調達と特別配当が重なったためです。その後は利益の内部留保と負債削減により、自己資本比率は20%台後半まで回復してきました。
2025年末時点では、Frontier買収に向けた資金調達により長期負債が139,530Mドル(前年121,380Mドルから増加)となったものの、現金及び現金同等物は19,050Mドルと大幅に増加しています。ネット無担保負債/調整後EBITDA倍率は2.2倍(2024年末の2.3倍から改善)で、投資適格級の格付けを維持しています。[5]
2026年前後の成長戦略と中期見通し
Frontier統合・5G・FWA・企業向けソリューション
新CEOのDan Schulmanの下で、Verizonの成長戦略は大きな転換期を迎えています。[6]
- Frontier統合:ファイバー接続対象が3,000万超に拡大。固定+モバイルの収束戦略を全国規模で展開可能に。2026年は200万パッシング以上のファイバー新設を計画
- FWA(固定無線アクセス):加入者約570万件に成長。2028年までに800〜900万件を目標
- 5Gモバイル:Cバンドを活用した広域カバレッジとミリ波によるスポット高容量エリア
- 企業向け5G/プライベートネットワーク:工場、物流、ヘルスケアなどでのユースケース開拓
- コスト構造の改革:2026年に50億ドルのOpEx削減を目標。人員削減、マーケティング効率化、契約見直しの三段階で推進
Schulman CEOは「Verizonはもはや競合他社の狩り場ではない」と宣言し、顧客解約率の低下と高品質な純増を最重要課題に据えています。MVNOパートナーであるCharterおよびComcastとの長期契約も刷新・強化しており、「モバイル+固定」のバンドル戦略が国レベルで展開可能な体制が整いつつあります。
収益性向上と資本効率化
5G投資のピークアウトとFrontier統合効果に伴い、2020年代後半にかけては以下のような構図が想定されます:
- Capex(設備投資)の比率が徐々に低下(2025年の170億ドル → 2026年は160〜165億ドル)
- スペクトラム取得に伴う特大投資は一巡
- Frontier統合によるファイバー資産の収益化とクロスセル効果
- フリーキャッシュフローの拡大により、負債削減・自社株買い・配当増の三つの選択肢が同時に進行
250億ドルの自社株買いプログラムは、Verizonにとって過去に例のない規模であり、FCF成長に対する経営陣の自信の表れと解釈できます。
まとめ:長期配当投資家にとってのVerizon
総合すると、Verizonは次のような性格を持つ銘柄と整理できます。
- 高水準の配当利回り(足元約5.8〜5.9%)
- 19年連続の増配実績
- 景気や物価のショックに対して相対的に強いディフェンシブ性
- Frontier統合・FWA・企業向けソリューションによる中長期の成長オプション
- 新CEO主導の大規模コスト削減と顧客獲得戦略の転換
- 250億ドルの自社株買いプログラムによるEPS押し上げ効果
- 一方で、売上・利益の伸びは「低〜中一桁成長」にとどまる成熟企業
- Frontier統合リスク、ワイヤレス競争の激化、依然として大きな負債残高はリスク要因
したがって、Verizonは「キャピタルゲインで大きく狙う成長株」ではなく、「高配当・安定配当を軸にインカムリターンを狙う守備的銘柄」としてポートフォリオに位置づけるのが自然です。2025年後半からのCEO交代とFrontier買収は、この銘柄に久しぶりの「変化のカタリスト」をもたらしており、新体制の実行力次第では従来の成熟企業イメージからの脱却も視野に入ります。
よくある質問
Verizonの配当はどれくらい安全ですか?
直近の配当性向はGAAPベースで67%(2025年通期)、調整後ベースでは58%程度のレンジにあり、営業キャッシュフローに対する配当負担は31%程度にとどまります。さらに、19年連続増配の実績と、FCFが20,100Mドルに対して配当総額が約114億ドルという構造は、現行水準の配当が直ちに減配されるリスクは低いことを示唆しています。ただし、Frontier統合コストの想定超過や金利上昇が長期化するシナリオでは、将来の増配ペースが抑制される可能性はあります。
CEO交代は配当にどう影響しますか?
新CEOのDan Schulmanは就任直後の決算発表で配当を「鉄壁のコミットメント」と表現しており、減配のリスクは現時点では低いと考えられます。むしろ、250億ドルの自社株買いプログラムの発表は、株主還元をさらに強化する方向性を示しています。ただし、コスト削減の進捗やFrontier統合の成否が中期的な配当成長余地に影響を与える点は注視が必要です。
Frontier買収のメリットとリスクは?
メリットとしては、ファイバー接続対象が3,000万超に拡大し、モバイルとの収束戦略を全国展開できる点が挙げられます。クロスセル効果やコストシナジーによるFCF押し上げも期待されています。一方、約200億ドルの買収による負債増加、統合コスト、旧Frontier地域のネットワーク品質改善の必要性がリスク要因です。長期負債は2025年末時点で約1,395億ドルまで増加しており、統合が計画通り進まない場合は財務負担が長期化する可能性があります。
他の高配当株と比べた場合の魅力度は?
REITやエネルギー株のようなセクターと比べると、Verizonの配当利回りは「最上位」ではないものの、事業の安定性・規制環境・生活必需インフラ性などを踏まえると、リスク調整後リターンは比較的バランスが取れていると評価できます。特に、商品市況に左右されにくく、金利動向にも過度に依存しない点は、ポートフォリオ全体の安定化に寄与します。新体制での自社株買いプログラム追加は、従来の「配当だけの銘柄」からの差別化要因ともいえます。
【出典】(詳細なリンクは以下【注】に集約)
- Verizon公式IR(配当情報・年次報告書・10-K/10-Q など)
- 各種財務データベース(売上・キャッシュフロー・バランスシートの長期データ)
- 市場データ(株価・利回りなど)
ミニ解説:2025年10月のCEO交代(Vestberg→Schulman)とそれに伴う経営方針の大幅な転換、2026年1月のFrontier買収完了は、Verizonの投資テーマを大きく変える出来事です。Schulmanは「コスト構造改革」「顧客第一主義への転換」「250億ドルの自社株買い」という三本柱を掲げており、従来の「緩やかな増収+高配当」から「積極的なターンアラウンド+株主還元強化」へと投資ストーリーが変わりつつあります。2026年のガイダンス(調整後EPS $4.90〜$4.95、前年比4〜5%成長)はその方向性の第一歩であり、今後の四半期決算で実行力を確認していくことが重要です。
【注】(出典リンク)
- 配当情報・連続増配年数・2025年9月増配発表 →
Verizon 19th Consecutive Dividend Increase(公式リリース 2025年9月) →
Verizon Dividend History(公式IR) →
Macrotrends – Verizon Dividend Growth
(確認日:2026-02-06) ↩ - CEO交代(Vestberg→Schulman)に関する発表 →
Verizon Announces CEO Transition(公式リリース 2025年10月) →
CNBC – Verizon names Dan Schulman as new CEO
(確認日:2026-02-06) ↩ - 2025年Q4・通期決算、2026年ガイダンス、Frontier買収完了、自社株買いプログラム →
Verizon Q4 2025 Earnings Release(公式リリース 2026年1月30日) →
Verizon Quarterly Earnings →
SEC EDGAR – Verizon Communications Inc.
(確認日:2026-02-06) ↩ - 売上・利益・キャッシュフローなどの長期財務データ →
Verizon Annual Reports / Form 10-K →
SEC EDGAR – Verizon Communications Inc. →
Macrotrends – Verizon Financial Statements
(確認日:2026-02-06) ↩ - バランスシート・負債水準・格付け →
Verizon 10-K / 10-Q →
Simply Wall St – Verizon Balance Sheet
(確認日:2026-02-06) ↩ - 5G・FWA・Frontier統合・コスト削減戦略に関する説明 →
Verizon Quarterly Earnings Presentation →
Verizon 5G Overview →
Verizon & Frontier Regulatory Approval
(確認日:2026-02-06) ↩

