WMT/COSTを比較：ｳｫﾙﾏｰﾄとｺｽﾄｺ 戦略の違いとは
WMTとCOSTを違いを踏まえて比較します。（2025年10月更新）
ウォルマートとコストコは小売の代表格です。 その株価の推移（チャート）、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績（財務情報）はどうなっているのでしょうか。 これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価：過去～現在
※チャート左目盛り：株価推移（VDC：Vanguard Consumer Staples Index Fund ETFを含めて比較）
※チャート右目盛り：10年国債利回り
※株価の成長率や52週高値／安値のほか、PER（株価収益率）、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。
決算（予想：結果）
マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。 配当に関しては、利回りと配当性向（一株配当÷EPS）を掲載しています。
決算の予想：結果のグラフについては以下の関連記事を参照
【詳細分析】ウォルマート vs コストコ 徹底比較
米国の小売業界を象徴する2大巨人、ウォルマートとコストコ。「低価格」という共通点を持ちながら、そのビジネスモデルと成長戦略は大きく異なります。ウォルマートは配当を半世紀超にわたり増やし続ける安定したインカム銘柄（いわゆる「配当王」）、一方のコストコは高い成長性と不定期の特別配当で株主を魅了します。ここでは、両社の業績、配当戦略、そして将来性を徹底的に比較・分析し、どちらがあなたの投資スタイルに合っているかを探ります。
比較サマリー：一目でわかる両社の違い
| 項目 | ウォルマート (WMT) | コストコ (COST) |
|---|---|---|
| ビジネスモデル | 世界最大の総合スーパーマーケット。EDLP（毎日低価格）。 | 会員制の倉庫型店舗。年会費が利益の柱。 |
| 連続増配年数 | 52年（配当王） 出典 |
約21年 2004年以降の毎年増配（報道）出典 |
| 通常配当利回り（概算） | 約0.85–0.9% 出典 |
約0.53–0.56% 出典 |
| 特別配当 | なし | あり（不定期） |
| PER（TTM・概算） | 約40倍 出典 |
約51倍 出典 |
ビジネスモデルの核心：利益の源泉の違い
両社の最大の違いは利益の生み出し方にあります。ウォルマートは幅広い品揃えを超効率なサプライチェーンで回し「商品の販売利益」で稼ぎます。コストコは商品を薄利で提供する代わりに、年会費収入が安定収益の柱です。コストコの会員継続率は米国で約92％、世界で約90％と極めて高く（2025年時点）、この忠誠度がビジネスを強固にしています。（コストコ年次報告を引用した報道）出典
なお、コストコは2024年9月1日に米国・カナダで年会費を$60→$65（Executiveは$120→$130）に引き上げました。出典／報道
業績と成長性の詳細分析
売上規模はウォルマートが圧倒的ですが、近年の伸びはコストコがやや優勢という構図が続いています（会計年度ベース）。
| 年 | ウォルマート 売上高 (前年比) | コストコ 売上高 (前年比) |
|---|---|---|
| 2025 | $681.0 B (+5.1%) 出典 |
$275.2 B (+8.1%) ※Total revenue（売上高＋年会費）出典 |
| 2024 | $648.1 B (+6.0%) | $254.5 B (+4.6%) ※Total revenue |
| 2023 | $611.3 B (+6.7%) | $226.9 B (+15.8%) |
| 2022 | $572.8 B (+2.4%) | $195.9 B (+17.5%) |
| 2021 | $559.2 B (+6.7%) | $166.8 B (+9.2%) |
| 2020 | $524.0 B | $152.7 B |
| 年平均成長率（CAGR） | 約5.4%（2020→2025） | 約12.5%（2020→2025） |
※B=10億ドル。ウォルマートのFY2025＝2025年1月期、コストコのFY2025＝2025年8月期。コストコはIR開示のTotal revenue（Net sales＋Membership fees）で統一。出典
配当の詳細比較
通常配当：安定のWMT、成長のCOST
ウォルマートは52年連続増配を継続。2025年2月に年額$0.94へ13%増配を発表しました。出典 一方コストコは2025年4月に四半期配当を$1.16 → $1.30に引き上げ、年額換算$5.20へ。出典／IR
最重要ポイント：コストコの「特別配当」
通常配当利回りは低めでも、数年に一度まとまった「特別配当」を実施してきました。
過去の特別配当実績（1株あたり）:
特別配当を含めると、トータルの株主還元は大きく変わります。
配当についての関連記事
注意すべきリスク要因
- ウォルマートのリスク：eコマース分野でのAmazon等との競争、人件費・物流コストの上昇による利益率圧力、株価が上がった局面でのバリュエーション（PERは足元で約40倍）出典。
- コストコのリスク：会員数の伸び鈍化や会員維持コスト、高い評価倍率（PERは約51倍）に伴う期待剝落リスク、会員制度の変更（年会費改定等）への顧客反応。出典／年会費改定
結論：あなたに合うのはどちら？
「毎年の安定したインカム」を重視するなら → ウォルマート (WMT)
世界最大級の売上規模（FY2025：$6810億）と52年連続増配の実績が魅力。日々の生活必需品需要を取り込む堅牢さに加え、AIやオンラインとの連携強化で成長投資も継続しています。出典
「株価成長と特別なリターン」を狙うなら → コストコ (COST)
会員ビジネスの粘着性（米国継続率約92%）と薄利多売モデルの効率性が強み。通常配当は控えめでも、不定期の特別配当で大きな還元が期待できる局面があります。2024年の年会費改定後も業績は堅調（FY2025 Total revenue：$2752億）です。継続率／業績
※本ページの分析は2025年10月18日時点の公開情報に基づいています。株価指標（PER・配当利回り等）は変動します。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。