XOM:エクソンモービルの配当推移
エクソンモービル(Exxon Mobil Corp)の配当利回りと株価をチャート(直近90日間)で見てみます。
権利落ち日や配当性向(1株配当÷EPS、EPS比で配当を払い過ぎていないかを図る指標)等も確認してみます。
配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート
年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等
年平均の配当利回りや配当成長率、配当性向、年間の一株配当($)、平均株価、通年EPSの推移を確認してみます。
年 | 配当 | 平均株価 | 年EPS | |||
平均利回り | 成長率 | 配当性向 | 年計 | |||
2024 | 3.38% | 4% | 49% | 3.84 | 113.5 | 7.84 |
2023 | 3.39% | 4% | 41% | 3.68 | 108.6 | 8.89 |
2022 | 3.87% | 2% | 27% | 3.55 | 91.7 | 13.26 |
2021 | 6.02% | 0% | 65% | 3.49 | 58 | 5.39 |
2020 | 7.82% | 1% | -66% | 3.48 | 44.5 | -5.25 |
2019 | 4.65% | 6% | 102% | 3.43 | 73.7 | 3.36 |
2018 | 4.04% | 6% | 66% | 3.23 | 80 | 4.88 |
2017 | 3.74% | 3% | 66% | 3.06 | 81.9 | 4.63 |
2016 | 3.46% | 3% | 159% | 2.98 | 86.2 | 1.88 |
2015 | 3.48% | 7% | 75% | 2.88 | 82.8 | 3.85 |
2014 | 2.77% | 10% | 36% | 2.7 | 97.3 | 7.6 |
2013 | 2.72% | 13% | 33% | 2.46 | 90.5 | 7.37 |
2012 | 2.52% | 18% | 22% | 2.18 | 86.5 | 9.7 |
2011 | 2.32% | 6% | 22% | 1.85 | 79.7 | 8.42 |
2010 | 2.68% | 5% | 28% | 1.74 | 65 | 6.22 |
2009 | 2.34% | 7% | 42% | 1.66 | 70.9 | 3.98 |
2008 | 1.87% | 13% | 18% | 1.55 | 82.7 | 8.66 |
【出典】
長期にわたり続く安定した配当の実績
エクソンモービル(XOM)の配当実績は、エネルギー市場の変動にもかかわらず、驚異的な安定性を示しています。2024年時点で62年連続増配を達成し、米国を代表する「配当王」(50年以上連続増配企業)としての確固たる地位を確立。特筆すべきは、2020年のCOVID-19パンデミックによるエネルギー需要急減と原油価格暴落の中でも、多くのエネルギー企業が配当削減を余儀なくされる中、XOMは微増ながらも増配を継続したことです。この50年以上にわたる連続増配の実績は、同社の卓越した財務基盤の強さと長期的な株主還元への揺るぎないコミットメントを示しています。
配当成長率の推移
XOMの配当成長率は市場環境に応じて変動しながらも、一貫してプラスを維持しています:
- 2008〜2014年:堅調な成長期(5〜18%の成長率)
- 2015〜2017年:原油価格低迷期でも成長継続(3〜7%)
- 2018〜2019年:回復基調(6%の安定成長)
- 2020〜2021年:パンデミック期の慎重な維持(0〜1%)
- 2022〜2024年:回復期での堅実な成長再開(2〜4%)
このパターンは、市場環境が厳しい時期にも配当を維持・成長させるXOMの能力を示しています。特に注目すべきは、2020年のパンデミック時には業績が大幅に悪化(純損失22,440M$を計上)しながらも配当を維持し、市場回復とともに成長路線に戻した点です。これは、同社が株主還元を最優先事項と位置づけ、長期的な視点で資本配分を行っていることを示しています。
配当利回りの推移と魅力
XOMの配当利回りは、株価の変動と配当の着実な成長により、長期的に魅力的な水準を維持しています。原油価格の低迷期(2015-2016年)や市場不安定期(2020年)には特に高い利回りを記録し、投資家にとってディフェンシブな特性を示しました。
特に注目すべき点は:
- 原油価格サイクルの低迷期には6%以上の高利回りを記録
- 最近の市場回復により利回りは低下したものの、依然として4%前後の魅力的な水準を維持
- 競合他社と比較して、より安定した利回りパターンを示している
高い配当利回りは、エネルギーセクターとしてのXOMの魅力の一つですが、同社の場合は単に株価低迷の結果ではなく、長期的な配当成長と財務健全性に裏付けられています。この点が、他のエネルギー企業と一線を画す特徴と言えるでしょう。
配当性向の持続可能性
XOMの配当性向は、原油価格サイクルの影響を受けて変動しています。特に2016年(159%)と2019年(102%)には高い水準を記録しましたが、2020年のパンデミック時には純損失により計算上のマイナスとなりました。また、2022年には過去最高益を記録し、配当性向は27%まで低下しています。
配当性向の変動要因:エネルギー企業特有の純利益の変動性が配当性向に大きく影響しています:
- 原油価格の大幅な変動:2020年の暴落と2022年の高騰
- 資産減損:市場環境の変化による資産評価の見直し
- 事業ポートフォリオの最適化:低収益資産の売却や戦略的投資
- 税制変更や一時的費用:法人税率変更や組織再編コスト
しかし、XOMの強みは、純利益の変動にかかわらず、営業キャッシュフローが一貫して配当をカバーできる水準を維持している点にあります。2020年の厳しい環境下でも、営業CF(14,668M$)は配当支払いをカバーできる水準でした。この強力なキャッシュ創出能力が、同社の配当の持続可能性を支えています。
特に2022-2024年の期間は、営業CFが年間55,000M$以上(2024年は58,043M$)の高水準を維持しており、配当の安全性は非常に高いと評価できます。これにより、配当性向が適正な範囲内に収まっており、十分な余裕を持った配当政策を実施できているのです。
財務パフォーマンスと成長見通し
以下の表では、売上高、営業CF、純利益はM$(百万ドル)単位、営業CFマージン(表記は同マージン)は%単位で表示しています。
主要財務指標の推移
年度 | 売上高 | 営業CF | 同マージン | 純利益 |
---|---|---|---|---|
2008 | 477,359 | 59,725 | 13 | 45,220 |
2009 | 310,586 | 28,438 | 9 | 19,280 |
2010 | 383,221 | 48,413 | 13 | 30,460 |
2011 | 486,429 | 55,345 | 11 | 41,060 |
2012 | 480,681 | 56,170 | 12 | 44,880 |
2013 | 438,255 | 44,914 | 10 | 32,580 |
2014 | 411,939 | 45,116 | 11 | 32,520 |
2015 | 249,248 | 30,344 | 12 | 16,150 |
2016 | 208,114 | 22,082 | 11 | 7,840 |
2017 | 244,363 | 30,066 | 12 | 19,710 |
2018 | 290,212 | 36,014 | 12 | 20,840 |
2019 | 264,938 | 29,716 | 11 | 14,340 |
2020 | 181,502 | 14,668 | 8 | -22,440 |
2021 | 277,140 | 48,129 | 17 | 23,040 |
2022 | 400,737 | 76,797 | 19 | 55,740 |
2023 | 336,665 | 55,369 | 16 | 36,010 |
2024 | 344,582 | 55,022 | 16 | 33,680 |
収益性と効率性の変動
XOMの財務データは、石油・ガス産業特有の景気循環性を明確に示しています:
- 売上高は原油価格サイクルに連動し、2011年の486,429M$から2020年には181,502M$へと大幅に減少
- 営業CFマージンは比較的安定しており、特に2021-2024年は16-19%の高水準を維持
- 純利益は2022年に過去最高の55,740M$を記録するなど、原油価格環境に強く影響
- 2020年には純損失(-22,440M$)を記録したが、翌年には迅速に回復し、黒字転換
特筆すべきは、XOMの収益構造が景気循環性を持ちながらも、営業CFマージンが比較的安定している点です。これは同社の垂直統合型ビジネスモデル(上流の探鉱・生産から下流の精製・販売まで一貫した事業展開)により、原油価格の変動影響を部分的に相殺できる強みを示しています。
2021年以降の業績回復は特に顕著で、エネルギー価格の上昇と厳格なコスト管理、戦略的投資の成果が現れています。2023-2024年は、原油価格の正常化にもかかわらず、売上高と営業CFは高水準を維持しており、事業基盤の強さを示しています。
強力なキャッシュフロー基盤
以下の表では、営業CF、投資CF、財務CFはM$(百万ドル)単位で表示しています。
年度 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
---|---|---|---|
2008 | 59,725 | -15,499 | -44,027 |
2009 | 28,438 | -22,419 | -27,283 |
2010 | 48,413 | -24,204 | -26,924 |
2011 | 55,345 | -22,165 | -28,256 |
2012 | 56,170 | -25,601 | -33,868 |
2013 | 44,914 | -34,201 | -15,476 |
2014 | 45,116 | -26,975 | -17,888 |
2015 | 30,344 | -23,824 | -7,037 |
2016 | 22,082 | -12,403 | -9,293 |
2017 | 30,066 | -15,730 | -15,130 |
2018 | 36,014 | -16,446 | -19,446 |
2019 | 29,716 | -23,084 | -6,618 |
2020 | 14,668 | -18,459 | 5,285 |
2021 | 48,129 | -10,235 | -35,423 |
2022 | 76,797 | -14,742 | -39,114 |
2023 | 55,369 | -19,274 | -34,297 |
2024 | 55,022 | -19,938 | -42,789 |
XOMの最大の強みは、その強力なキャッシュ創出能力にあります。石油メジャーとしての規模と効率性を活かし、景気循環を通じて安定したキャッシュフローを確保しています:
- 2020年のパンデミック時でさえ、14,668M$の営業CFを確保
- 2022年には過去最高の76,797M$の営業CFを記録
- 2023-2024年も55,000M$超という高水準を維持
- 2021-2024年の財務CFの大幅なマイナス(-35,423M$~-42,789M$)は、積極的な株主還元と負債削減を反映
投資CFに注目すると、2021年は抑制的な投資(-10,235M$)ながら、2022年以降は徐々に投資を拡大(-14,742M$から-19,938M$へ)し、将来の成長基盤を構築していることがわかります。特に近年は、ガイアナやパーミアン盆地などの高収益プロジェクトへの集中投資や、低炭素事業への戦略的投資が進められています。
キャッシュフロー分析のポイント:XOMのキャッシュフローは「投資・成長・還元」の好循環を実現しています。高い営業CFをベースに、成長投資と株主還元をバランスよく実施。特に2021年以降は、十分な成長投資を行いながらも、過去最高水準の株主還元(配当と自社株買い)を実現しています。この強力なキャッシュ創出能力と規律ある資本配分が、XOMの長期的な競争優位性の源泉となっています。
健全な負債水準と資本構成
以下の表では、総資産、総負債、株主資本はM$(百万ドル)単位、自己資本率は%単位で表示しています。
年度 | 総資産 | 総負債 | 株主資本 | 自己資本率 | 負債比率 |
---|---|---|---|---|---|
2008 | 228,052 | 110,529 | 112,965 | 50 | 98 |
2009 | 233,323 | 117,931 | 110,569 | 47 | 107 |
2010 | 302,510 | 149,831 | 146,839 | 49 | 102 |
2011 | 331,052 | 170,308 | 154,396 | 47 | 110 |
2012 | 333,795 | 162,135 | 165,863 | 50 | 98 |
2013 | 346,808 | 166,313 | 174,003 | 50 | 96 |
2014 | 349,493 | 168,429 | 174,399 | 50 | 97 |
2015 | 336,758 | 159,948 | 170,811 | 51 | 94 |
2016 | 330,314 | 156,484 | 167,325 | 51 | 94 |
2017 | 348,691 | 154,191 | 187,688 | 54 | 82 |
2018 | 346,196 | 147,668 | 191,794 | 55 | 77 |
2019 | 362,597 | 163,659 | 191,650 | 53 | 85 |
2020 | 332,750 | 168,620 | 157,150 | 47 | 107 |
2021 | 338,923 | 163,240 | 175,683 | 52 | 93 |
2022 | 369,067 | 166,594 | 202,473 | 55 | 82 |
2023 | 376,317 | 163,779 | 212,538 | 56 | 77 |
2024 | 453,475 | 182,869 | 270,606 | 60 | 68 |
XOMの資本構成は、石油メジャーの中でも特に健全性が高いと評価できます:
- 自己資本率は2009年の47%から2024年には60%へと改善
- 負債比率は同期間に107%から68%へと大幅に低下
- 株主資本は2009年の110,569M$から2024年には270,606M$へと約2.5倍に増加
- 2020年のパンデミック時には一時的に財務指標が悪化したが、その後急速に回復
資本構成の変化には、以下の要因が影響しています:
- 2010-2011年:戦略的買収による資産・負債の拡大
- 2015-2016年:原油価格の急落による資産評価見直しと投資抑制
- 2020年:パンデミックによる純損失と追加借入
- 2021-2024年:原油高によるキャッシュフロー増加と負債削減、そして2024年の大型買収(Pioneer Natural Resources)
特筆すべきは、2024年の総資産の大幅増加(376,317M$から453,475M$へ)が、主にPioneer買収によるものでありながら、自己資本率はむしろ改善している点です。これは、買収が株式交換中心で行われ、追加負債を最小限に抑えたためです。結果として、負債比率は68%まで低下し、同業他社と比較しても極めて健全な財務体質を実現しています。
この強固な財務基盤は、XOMが景気循環や原油価格の変動に対する耐性を高めると同時に、長期的な成長投資と安定配当のための基盤となっています。特に、最近の低炭素事業への戦略的投資においても、追加負債を抑えながら実施できる余力を持っていることが大きな強みです。
まとめ:長期配当投資家にとってのXOMとは?
エクソンモービルは、エネルギー業界の厳しい市場環境においても、長期的な株主価値の創造と安定した配当政策を両立させてきました。原油価格サイクルや地政学的リスク、エネルギートランジションの圧力にもかかわらず、驚異的な62年連続増配を継続し、米国株式市場における「配当王」としての地位を確立しています。
同社の強みは以下の点にあります:
- 卓越したキャッシュフロー生成能力と規律ある資本配分
- 62年連続増配という類まれな実績(米国株式市場における「配当王」の地位)
- 健全な財務体質(業界トップクラスの自己資本比率)
- 垂直統合型ビジネスモデルによる原油価格変動への耐性
- 低コスト生産資産への集中投資(ガイアナ、パーミアン盆地など)
- 戦略的多角化と低炭素事業への段階的移行
- 効率的なコスト管理と継続的な業務改善
一方で、投資家が留意すべき点としては:
- 原油価格サイクルに伴う収益変動性
- エネルギートランジションに伴う長期的な需要リスク
- 環境規制強化のリスク:炭素税や排出規制
- 再生可能エネルギーとの競争激化
- 地政学的リスク:国際情勢の変化や資源ナショナリズム
- 短期的には、大型買収後の統合コストと効率化の課題
- 気候変動対応戦略に対する投資家の評価の二極化
投資家へのポイント:XOMは、「信頼性の高い配当」と「成長機会」を兼ね備えたエネルギーセクターの代表的な銘柄です。特に、インカム重視の投資家にとって、不確実性の高い市場環境下での安定性と4%前後の魅力的な配当利回りは大きな魅力となるでしょう。62年という長期にわたる連続増配の実績は、同社の株主還元に対する揺るぎないコミットメントを示しています。同社は、原油・ガスの主力事業を収益の柱としながらも、低炭素事業への段階的移行を進めており、エネルギートランジションにも対応した長期戦略を構築しています。また、Pioneer買収により北米シェールでの競争力も大幅に強化され、中長期的な成長基盤も整いつつあります。収益の変動性はあるものの、強固な財務基盤と営業キャッシュフロー創出能力により、配当の安全性は高いと評価できます。長期保有を前提とした配当投資家にとって、XOMは核心的な保有銘柄と位置づけられるでしょう。
よくある質問
XOMの配当はどれくらい安全ですか?
XOMの配当は極めて安全と評価できます。同社は2020年のパンデミック時に純損失を計上した際にも配当を維持し、62年連続の増配を継続しています。配当をカバーする営業キャッシュフローは直近3年間で年間55,000M$以上と極めて高水準で、特に2024年は58,043M$を記録し、配当総額の約3倍を超えています。また、自己資本率60%、負債比率68%という健全な財務体質も配当の安全性を高めています。石油メジャーの中でも特に財務規律が高く、原油価格の変動に対する耐性も強いため、短中期的な配当削減リスクは非常に低いと言えるでしょう。長期的には、エネルギートランジションによる構造変化への対応が課題となりますが、現時点では十分な時間的余裕をもって戦略的対応を進めています。
エネルギートランジションはXOMの配当にどのような影響を与えますか?
エネルギートランジションは長期的にXOMの事業モデルに変化をもたらす可能性がありますが、同社は段階的かつ現実的なアプローチで対応しています。XOMの特徴は、急激な転換ではなく、強みを活かした低炭素技術(CCS:二酸化炭素回収・貯留、水素、バイオ燃料など)への選択的投資を行っている点です。2050年カーボンニュートラル目標に向けたロードマップを策定し、年間約35億ドルを低炭素事業に投資しています。この戦略により、短中期的には伝統的な石油・ガス事業からの強力なキャッシュフローを維持しながら、長期的には低炭素事業へのポートフォリオシフトを進める計画です。この段階的アプローチにより、急激な配当政策の変更は避けられると考えられます。特に、Pioneer買収により確保した低コスト生産資産は、原油価格の下落にも耐え得る収益基盤となり、配当の安全性をさらに高める効果が期待できます。
2020年の純損失にもかかわらず配当を維持できた理由は何ですか?
2020年にXOMが22,440M$の純損失を計上しながらも配当を維持(むしろ微増)できた理由は複数あります。まず、純損失の大部分は資産減損や評価損など非現金項目によるもので、営業キャッシュフローは14,668M$のプラスを確保していました。また、同社は危機的状況に備えて、以下の対応を迅速に実施しました:(1)資本的支出を当初計画から約30%削減し、不要不急の投資を延期、(2)運営コストを約15%削減する緊急コスト削減プログラムを実施、(3)短期的な流動性確保のための債券発行と与信枠の拡大、(4)非中核資産の売却加速。加えて、XOMは長期的な配当政策を重視しており、一時的な業績悪化で配当を削減することは株主価値を損なうと判断しました。同社の長年の財務規律と、「景気循環を通じて配当を維持・成長させる」という経営哲学が、この厳しい状況下での配当維持を可能にしたのです。結果的に、この判断は2021年以降の市場回復と業績改善によって正当化されました。
2024年のPioneer買収は配当政策にどのような影響を与えますか?
2024年に完了したPioneer Natural Resourcesの約600億ドルでの買収は、XOMの配当政策にポジティブな影響をもたらすと予想されます。この買収により、XOMはパーミアン盆地における生産量を約2倍に拡大し、低コスト・高収益の石油・ガス資産を大幅に強化しました。具体的な影響としては:(1)一株当たり利益(EPS)の即時的な増加と、それに伴う配当カバレッジの向上、(2)統合による年間約20億ドルのコスト削減と運営効率の改善、(3)より低いブレークイーブン価格(約35ドル/バレル)による原油価格下落時の耐性強化、(4)Pioneer保有の質の高い低コスト埋蔵資産による長期的な生産・収益基盤の確保。特に、Pioneerが保有していた良質なパーミアン盆地の資産は、北米シェールの中でも特に収益性が高く、XOMの技術力との組み合わせでさらなる効率化が期待できます。この買収は、短期的な配当カバレッジの向上と、中長期的な配当成長余力の拡大につながる戦略的投資と評価できるでしょう。ただし、買収後の統合プロセスとシナジー実現には時間がかかるため、配当成長率の急激な上昇は期待せず、これまでと同様の安定的な増加が続くと予想されます。
【出典】
- ExxonMobil投資家情報
- 年次報告書
- ニュースリリース
- エネルギー・カーボンサマリー
- 平均株価はグーグルファイナンス関数を用いて計算