【XOM】エクソンモービルの株価と決算、配当

2019年3月15日

広告

エクソンモービル(XOM:Exxon Mobil Corporation)はアメリカ最大手の総合エネルギー企業です。ロックフェラー設立のスタンダード・オイル社を前身とし、「エクソン」「エッソ」「モービル」の3ブランドを世界各地に展開しています。

その事業構成は以下の3分野に分かれ、その売上構成比は以下の比率となっています。

川上(石油・天然ガスの探鉱・開発・生産など) 10.1%
川下(精製・輸送・販売など) 77.8%
化学事業 12.1%

地域別に売上構成を見ると、米国が34.6%、米国以外が65.4%。

XOMの確認埋蔵量は石油換算ベースで212億2100万バレルあり、生産量・販売量は以下の通りでした。

石油・天然ガス 日量398.5万バレル
原油生産量 日量429.1万バレル
石油製品販売量 日量553万バレル

(※上記データは2017年12月末時点)。

この記事では、石油メジャーの一角を占めるCVXの株価チャートと最近の指標を見ていきます。

広告

【XOM】エクソンモービルの経営指標

 

まず、主要指標のデータを見てみます(出所はグーグルファイナンスなど)。

1/2株価 67.4
3/11株価 80
株価上昇率 18.80%
52週高値 87.4
52週安値 64.7
EPS 4.88
PER 16.4
配当(利回り) 3.28 (4.15%)
時価総額(億$) 3392
株式数(億) 42.4

【XOM】の株価推移

2015年に原油価格が下がってから株価は低空飛行を続けて、17年には減産合意で株価が底打ちしました。その後、激しい株価の変動が続いています。

(青線が株価、赤線が200日移動平均線)


その株価の推移を年ごとに見てみましょう。

★1:各年の株価伸び率(※19年終値は3/11)
XOM

初値

最安

最高

終値

上昇率

2019

67.4

#REF!

#REF!

80

19%

2018

83.8

65.5

89.1

68.2

-19%

2017

90.9

76.1

90.9

83.6

-8%

2016

77.5

73.2

95.1

90.3

16%

2015

92.3

68.7

93.4

78

-16%

2014

100.6

86.4

104.4

92.5

-8%

2013

87.8

85.2

101.5

101.2

15%

2012

86

77.6

93.5

86.6

1%

2011

73.7

68

88

84.8

15%

2010

68.7

56.6

73.4

73.1

6%

2009

80.1

62.2

81.6

68.2

-15%

2008

94.2

62.4

94.6

79.8

-15%

★2:各年初から2019/3/11までの伸び率
19年~

18年~

17年~

16年~

15年~

14年~

19%

-5%

-12%

3%

-13%

-20%

13年~

12年~

11年~

10年~

09年~

08年~

-9%

-7%

9%

16%

0%

-15%

【XOM】は米最大手のエネルギー企業

7万人以上の従業員を擁するXOMは20兆円以上の売上高(2016年は1975億ドル)を誇り、世界の200カ国以上でエネルギー事業を展開しています。

原油や天然ガスの生産と輸送、石油製品、石油化学品の製造などを手がけ、スーパーメジャー6社のなかで最大の規模を誇っています(本社はテキサス州)。

資源の探査と開発(川上)からガスや石油等の精製と販売(川下)を行い、「エクソン」「エッソ」「モービル」の3ブランドを展開しています。

同社の2016年報告書では、川上では39か国で積極的な探査と開発を行い、世界の16カ国に石油化学の拠点を持っているとも書かれていました。

2012~14年までは川上(upstream)が稼ぎ頭でしたが、15年以降の資源安により、16年以降は川下(downstream)と化学事業も重要な収益源となってきました。


(出所はXOMの年次報告書)

中国など新興国の成長が減速し、米国でのシェールオイル増産、OPECの生産水準維持などの要因があって原油価格が下がり、XOMもそのあおりを受けました。


OPEC諸国は2016年11月に8年ぶりの減産合意を行い、12月にはOPEC非加盟国の一部とも減産合意を重ねました。原油価格の下落がもたらしたメジャー5社へのインパクトについて、経産省の「エネルギー白書2017」は以下のように述べています。

「スーパーメジャー」と呼ばれる世界を代表する5社(ExxonMobil、Shell、BP、Chevron、Total)の石油・天然ガス開発企業においても、2016年の純利益は2014年比で約76%、投資額は約37%減少しています。

エクソンモービルを含むメジャーの利益はどの程度、減ったのでしょうか。

その規模がXOMの2016年年次報告書にもグラフ化されています。


投下資本(有利子負債+自己資本)に対して、どれだけの利益が上がったかを計る使用資本利益率で見ると、どの社も見事に減っています。

しかし、エクソン社は川下と化学でふんばっています。

【XOM】エクソンモービルの政治力

1999年12月にエクソン社とモービル社とで石油大手同士の合併を行い、エクソンモービル社ができました。その結果、北米とヨーロッパ中心だったエクソン社は、南米、アジア、中東アフリカへと事業範囲を広げていきます。

合併吸収後、XOMは巨大な政治力を発揮しましたが、そのなかでも有名な事例の概要を『石油の帝国』(スティーブ・コール著/森義雅訳、ダイヤモンド社)で見てみます。

当時、モービル社は70年代から独立闘争が続くインドネシアのアチェ州でガス田(アルンガス田)開発を続けており、合併後にその問題を引き継ぐことになります(アルンガス田はエクソンとの合併前の10年間にモービル海外石油ガス生産収入の1/5を占めた)。モービル社はインドネシア政府と交渉し、インドネシア軍にアルンガス田を警備させることを認めさせました。

また、独裁体制が続く中央アフリカのチャド共和国では、高い政治リスクに見合った有利な契約を政府との間で締結しています。

「本契約の期間中、将来いかなる政府も、当事者間の合意に基づかないで、契約共同体に反し、直接もしくは間接に、共同体の義務を加重し、あるいは支払い負担を増加させ、もしくは本契約によって享受される共同体の権利と経済的便益に有害な効果をもたらす行為を行わないことを国(チャド)を保証する」

要するに、何が起きても、エクソンに不利な契約改定は認めないというわけです。

その後、エクソン社はロシアでの資源採掘にも踏み込みました。

1996年にはサハリン1の開発条件に合意し、プーチン政権発足後まで交渉を続け、2002年にロシア政府との契約締結にこぎつけます。プーチンは当初、大統領令によって開発プロジェクトを進めようとしたのですが、その時にティラーソン社長(当時)は納得せず、「事業を大統領令に基づいては進めたくない、耐久性のある法律に基づいて進めたい」と迫りました。

その後、立法がなされたことについて、ティラーソン氏は「正確にロシア法に沿って細部まで注意を払いたかった。もしそれができないなら、プロジェクトを進めるつもりはなかった」と述べています。

米国をバックにして、エクソン社はロシア政府にも屈しない交渉力を発揮したわけです。

【XOM】エクソンモービルの配当

株価の次に、配当金と配当性向の推移をモーニングスター(MS)社のデータで見てみます。

★配当性向=1株当たり配当÷EPS×100〔純利益から配当金を支払っている割合〕

★MS社は非GAAPのEPSで配当性向を試算。GAAP基準のEPS試算〔=単純計算〕の箇所は筆者挿入。

年/月

EPS

配当

配当性向

(GAAP)

単純計算 MS試算
2008/12

8.66

1.55

17.9

17.8

2009/12

3.98

1.66

41.7

41.7

2010/12

6.22

1.74

28

27.9

2011/12

8.42

1.85

22

21.9

2012/12

9.7

2.18

22.5

22.5

2013/12

7.37

2.46

33.4

31.3

2014/12

7.6

2.7

35.5

33.2

2015/12

3.85

2.88

74.8

59.9

2016/12

1.88

2.98

158.5

138.3

2017/12

4.63

3.06

66.1

99

さらに、四半期ごとの配当も見てみます。

権利落ち日

1株配当

配当利回り

当日株価

2018/11/13

0.82

4.1%

78

2018/08/13

0.82

4.0%

78.56

2018/05/14

0.82

3.8%

81.83

2018/02/12

0.77

4.0%

76.42

2017/11/13

0.77

3.7%

82.89

2017/08/14

0.77

3.9%

78.23

2017/05/12

0.77

3.7%

82.55

2017/02/10

0.75

3.6%

82.52

2016/11/10

0.75

3.4%

87.05

2016/08/12

0.75

3.4%

87.85

2016/05/13

0.75

3.3%

88.66

2016/02/11

0.73

3.7%

79.6

2015/11/12

0.73

3.6%

79.41

【XOM】四半期決算(予想と実値)

エクソンモービルの18年四半期決算の概要は以下の通り。

  • 売上:719億$(市場予想77.3億$)
  • EPS:1.41$(市場予想1.08$)

CEOのダレンW.ウッズのコメント

  • 2018年の営業CFは360億ドル。2014年以来最高の結果
  • テキサス州とニューメキシコ州のペルム紀頁岩盆地からのエクソンの生産量は、前年同期比で90%増えた。液体の総生産量は、9月から12月の間に1日平均64000バレル増加し、前年比4.3%増の23億4,800万バレル/日となった
  • 大規模な自社株買いを開始する予定はない

ロイター予想値

さらに、決算の数字を見てみます。以下、ロイターのサイトに掲載されている予想値です(2019/2/1、売上単位は100万ドル)

売上予想

平均

上限

下限

期間

2019

346464

387334

310178

通年

6-19

81252

89493

72375

4半期

3-19

78860

88634

71921

4半期

売上

予想

結果

9-18

73547

76605

3058

4.16

6-18

72585

73501

916

1.26

3-18

63597

68211

4614

7.25

12-17

74314

66515

7799

10.49

9-17

63389

66165

2776

4.38

EPS予想

平均

上限

下限

期間

2019

5.73

7.19

4.27

通年

6-19

1.35

1.57

0.97

4半期

3-19

1.35

1.6

0.94

4半期

EPS

予想

結果

9-18

1.23

1.46

0.23

18.35

6-18

1.27

0.92

0.35

27.55

3-18

1.12

1.09

0.03

2.84

12-17

1.04

0.88

0.16

15.11

9-17

0.86

0.97

0.11

12.71

※決算予想では米国会計基準(GAAP)とは異なる「非GAAP基準」の数値が多用されています(後述のGAAP基準と異なる売上とEPSの数値は非GAAP基準)

四半期決算(GAAP基準)

GAAP基準での四半期会計の実績は以下の通りでした。

XOM

売上高

営業利益

純利益

EPS

09-2017

61100

5583

4085

0.93

12-2017

66515

3017

8409

1.97

03-2018

68211

7240

4783

1.09

06-2018

73501

6512

3986

0.92

09-2018

76605

9080

6446

1.46

通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を見てみます(売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。

損益計算(売上、純利益等)

売上高

営業CF

同マージン

純利益

2008/12

466278

59725

12.8%

6857

2009/12

303443

28438

9.4%

2915

2010/12

370125

48413

13.1%

4530

2011/12

467029

55345

11.9%

6771

2012/12

451509

56170

12.4%

4598

2013/12

420836

44914

10.7%

5903

2014/12

394105

45116

11.4%

616

2015/12

239854

30344

12.7%

-7829

2016/12

200628

22082

11.0%

-574

2017/12

237162

30066

12.7%

1311

※同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%以上あれば優良な数値。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや営業利益率など

営業利益率

EPS

DSO

2008/12

24.8

8.66

21.09

2009/12

9.3

3.98

27.88

2010/12

11.4

6.22

29.36

2011/12

12.4

8.42

27.47

2012/12

11

9.7

26.99

2013/12

9.6

7.37

23.58

2014/12

8.7

7.6

20.62

2015/12

5

3.85

22.35

2016/12

0.4

1.88

24.44

2017/12

5.1

4.63

28.71

※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。上記DSOの出所はモーニングスター社。

バランスシート

総資産

総負債

株主資本

自己資本率

2008/12

228052

110529

117523

51.5%

2009/12

233323

117931

115392

49.5%

2010/12

302510

149831

152679

50.5%

2011/12

331052

170308

160744

48.6%

2012/12

333795

162135

171660

51.4%

2013/12

346808

166313

180495

52.0%

2014/12

349493

168429

181064

51.8%

2015/12

336758

159948

176810

52.5%

2016/12

330314

156484

173830

52.6%

2017/12

348691

154191

194500

55.8%

 

ROAとROEなど

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業があげた利益の割合

★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業があげた利益の割合

★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る〔下表では資本が負債の何倍かを表記〕

ROA

ROE

流動比率

単位

倍率

2008/12

19.2

38.5

1.47

2009/12

8.4

17.3

1.06

2010/12

11.4

23.7

0.94

2011/12

13

27.3

0.94

2012/12

13.5

28

1

2013/12

9.6

19.2

0.83

2014/12

9.3

18.7

0.82

2015/12

4.7

9.4

0.79

2016/12

2.4

4.6

0.87

2017/12

5.8

11.1

0.82

キャッシュフロー

営業CF

投資CF

財務CF

フリーCF

2008/12

59725

-15499

-44027

40407

2009/12

28438

-22419

-27283

5947

2010/12

48413

-24204

-26924

21542

2011/12

55345

-22165

-28256

24370

2012/12

56170

-25601

-33868

21899

2013/12

44914

-34201

-15476

11245

2014/12

45116

-26975

-17888

12164

2015/12

30344

-23824

-7037

3854

2016/12

22082

-12403

-9293

5919

2017/12

30066

-15730

-15130

14664

 

【XOM】エクソンモービルは売りか買いか

原油価格は低迷していますが、長期的には世界の資源需要の伸びは止まらない以上、その基幹となる石油やLNG価格には揺り返しが来るかもしれません。

XOM社の株価推移を長期で見ると、一定の範囲で上下するボックス相場になっているので、株高を期待する銘柄というよりは、底値になった時に買い増し、配当増を狙う株のようにも見えます。

また、XOM社などの石油メジャーの株価に影響を与える18年の政治イベントとしては、サウジアラムコのIPOが想定されています。

しかし、ブルームバーグ(2017/10/14)は「サウジアラムコの国際市場IPOを19年に先送り検討」と報じました。

関係者の見解をもとに「国内IPOは18年に実施される可能性」があるが、政府は、国際市場での新規株式公開(IPO)を2019年に先送りすることを検討していることを紹介していたのです。

サウジアラムコは米国の石油メジャーの巨大なライバルなので、今後、その動きにも注視が必要でしょう。

【スポンサーリンク】