【XOM】エクソンモービルの株価と決算、配当

2019年9月20日

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エクソンモービル(XOM:Exxon Mobil Corporation)はアメリカ最大手の総合エネルギー企業です。

ロックフェラー設立のスタンダード・オイル社を前身とし、ガソリンスタンドに関して「エクソン」「エッソ」「モービル」の3ブランドを世界各地に展開しています。

その事業構成は以下の3分野に分かれ、2018年末の売上構成比は以下の比率となっています。

川上(石油・天然ガスの探鉱・開発・生産など) 9.1%
川下(精製・輸送・販売など) 79.2%
化学事業 11.6%

地域別に売上構成を見ると、米国が34.7%、米国以外が65.3%。

XOMの確認埋蔵量は石油換算ベースで242億9300万バレルあり、生産量・販売量は以下の通りでした(2018年末)。

石油・天然ガス 日量383.3万バレル
原油生産量 日量427.2万バレル
石油製品販売量 日量551.2万バレル

この記事では、石油メジャーの一角を占めるCVXの株価チャートと最近の指標を見ていきます。

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主な指標を概観

まず、主要指標のデータを見てみます(指標と株価はgooglefinance関数から取得。配当利回り〔税込み〕のみブルームバーグ)

1/2株価 67.4
9/13株価 72.6
株価上昇率 8%
52週高値 87.4
52週安値 64.7
EPS 4.15
PER 17.5
配当利回り 4.83%
時価総額(億$) 3073
株式数(億) 42.3

株価推移(チャートと伸び率)

次に、株価の推移を見てみます(青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線)。

株価の推移を1年ごとに見てみましょう

★1:各年の株価伸び率(※19年終値は9/13)
XOM 初値 終値 上昇率
2019 67.4 72.6 8%
2018 83.8 68.2 -19%
2017 90.9 83.6 -8%
2016 77.5 90.3 16%
2015 92.3 78 -16%
2014 100.6 92.5 -8%
2013 87.8 101.2 15%
2012 86 86.6 1%
2011 73.7 84.8 15%
2010 68.7 73.1 6%
2009 80.1 68.2 -15%
2008 94.2 79.8 -15%
★2:各年初から19/9/13までの伸び率
19年~ 18年~ 17年~ 16年~
8% -13% -20% -6%
15年~ 14年~ 13年~ 12年~
-21% -28% -17% -16%
11年~ 10年~ 09年~ 08年~
-1% 6% -9% -23%

XOMは米最大手のエネルギー企業

同社の2016年報告書では、川上では39か国で積極的な探査と開発を行い、世界の16カ国に石油化学の拠点を持っているとも書かれていました。

2012~14年までは川上(upstream)が稼ぎ頭でしたが、15年以降の資源安により、2年ほどは川下(downstream)と化学事業で耐え忍びました。

(出所はXOMの年次報告書)

中国など新興国の成長が減速し、米国でのシェールオイル増産、OPECの生産水準維持などの要因があって原油価格が下がり、XOMもそのあおりを受けました。

OPEC諸国は2016年11月に8年ぶりの減産合意を行い、12月にはOPEC非加盟国の一部とも減産合意を重ねました。原油価格の下落がもたらしたメジャー5社へのインパクトについて、経産省の「エネルギー白書2017」は以下のように述べています。

「スーパーメジャー」と呼ばれる世界を代表する5社(ExxonMobil、Shell、BP、Chevron、Total)の石油・天然ガス開発企業においても、2016年の純利益は2014年比で約76%、投資額は約37%減少しています。

エクソンモービルを含むメジャーの利益はどの程度、減ったのでしょうか。

その規模がXOMの2016年年次報告書にもグラフ化されています。

投下資本(有利子負債+自己資本)に対して、どれだけの利益が上がったかを計る使用資本利益率で見ると、どの社も見事に減っています。

しかし、エクソン社は川下と化学でふんばっています。

エクソンモービルの政治力

1999年12月にエクソン社とモービル社とで石油大手同士の合併を行い、エクソンモービル社ができました。その結果、北米とヨーロッパ中心だったエクソン社は、南米、アジア、中東アフリカへと事業範囲を広げていきます。

合併吸収後、XOMは巨大な政治力を発揮しましたが、そのなかでも有名な事例の概要を『石油の帝国』(スティーブ・コール著/森義雅訳、ダイヤモンド社)で見てみます。

当時、モービル社は70年代から独立闘争が続くインドネシアのアチェ州でガス田(アルンガス田)開発を続けており、合併後にその問題を引き継ぐことになります(アルンガス田はエクソンとの合併前の10年間にモービル海外石油ガス生産収入の1/5を占めた)。モービル社はインドネシア政府と交渉し、インドネシア軍にアルンガス田を警備させることを認めさせました。

また、独裁体制が続く中央アフリカのチャド共和国では、高い政治リスクに見合った有利な契約を政府との間で締結しています。

「本契約の期間中、将来いかなる政府も、当事者間の合意に基づかないで、契約共同体に反し、直接もしくは間接に、共同体の義務を加重し、あるいは支払い負担を増加させ、もしくは本契約によって享受される共同体の権利と経済的便益に有害な効果をもたらす行為を行わないことを国(チャド)を保証する」

要するに、何が起きても、エクソンに不利な契約改定は認めないというわけです。

その後、エクソン社はロシアでの資源採掘にも踏み込みました。

1996年にはサハリン1の開発条件に合意し、プーチン政権発足後まで交渉を続け、2002年にロシア政府との契約締結にこぎつけます。プーチンは当初、大統領令によって開発プロジェクトを進めようとしたのですが、その時にティラーソン社長(当時)は納得せず、「事業を大統領令に基づいては進めたくない、耐久性のある法律に基づいて進めたい」と迫りました。

その後、立法がなされたことについて、ティラーソン氏は「正確にロシア法に沿って細部まで注意を払いたかった。もしそれができないなら、プロジェクトを進めるつもりはなかった」と述べています。

米国をバックにして、エクソン社はロシア政府にも屈しない交渉力を発揮したわけです。

配当利回りと配当性向

XOMの年次報告書では配当成長率の高さが強調されています。

その配当利回りと配当性向の推移をモーニングスター(MS)社のデータで見てみましょう。

権利落ち日 配当 利回り 株価
2019/08/13 0.87 4.80% 70.5
2019/05/13 0.87 4.40% 75.7
2019/02/11 0.82 4.43% 74.1
2018/11/13 0.82 4.14% 78
2018/08/13 0.82 4.05% 78.6
2018/05/14 0.82 3.83% 81.8
2018/02/12 0.77 4.03% 76.4
2017/11/13 0.77 3.69% 82.9
2017/08/14 0.77 3.89% 78.2
2017/05/12 0.77 3.66% 82.6
2017/02/10 0.75 3.64% 82.5
2016/11/10 0.75 3.45% 87.1

配当性向の推移もモーニングスター(MS)社のデータで確認してみましょう。

★配当性向=1株当たり配当÷EPS×100〔純利益から配当金を支払っている割合〕

★単純計算=EPS÷1株配当。MS試算=モーニングスター社の試算値

年/月 EPS 配当 配当性向
(GAAP) 単純計算 MS試算
08/12 8.66 1.55 17.9 17.8
09/12 3.98 1.66 41.7 41.7
10/12 6.22 1.74 28.0 27.9
11/12 8.42 1.85 22.0 21.9
12/12 9.7 2.18 22.5 22.5
13/12 7.37 2.46 33.4 31.3
14/12 7.6 2.7 35.5 33.2
15/12 3.85 2.88 74.8 59.9
16/12 1.88 2.98 158.5 138.3
17/12 4.63 3.06 66.1 99
18/12 4.9 3.2 66.2 58.5
19/12

四半期決算(2019予想など)

さらに、ロイターが調べた四半期決算のEPSと売上の予想を整理してみます。

(※下記図表では、Y=年度決算、Q=四半期決算、日/月=データの日時、その右欄にあるのは1カ月前、2か月前の予想値を記載)。

EPS:予想と結果

予想 9/1 1月前 2月前
Y:20/12 5.11 5.4 5.51
Y:19/12 3.64 3.96 4.03
Q:19/12 1.08 1.2 1.23
Q:19/9 1.05 1.16 1.22
EPS 予想 結果
19/6 0.66 0.73 0.7 10.6
19/3 0.7 0.55 -0.15 -21.43
18/12 1.08 1.41 0.33 30.6
18/9 1.23 1.46 0.23 18.7
18/6 1.27 0.92 -0.35 -27.6
18/3 1.12 1.09 0.03 2.8
         

売上高:予想と結果

予想 9/1 1月前 2月前
Y:20/12 290801 299619 301934
Y:19/12 275748 284194 284694
Q:19/12 68375 70738 69940
Q:19/9 70370 73462 74822
予想 結果
19/6 65765 69091 3326 5.5
19/3 64817 63625 -1192 -1.8
18/12 77277 71895 -5382 -7
18/9 73547 76605 3058 4.2
18/6 72585 73501 916 1.3
18/3 63597 68211 4614 7.3
         

決算予想と結果では米国会計基準(GAAP)とは違う「非GAAP基準」の数値(各社が経営実態を踏まえて調整した数値)が多用されています。そのため、本節の売上とEPSは次節のGAAP基準の値と同じになるとは限りません。

通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を見てみます(売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。

損益計算(売上、純利益等)

売上高 営業CF 営業CFマージン 純利益
08/12 477359 59725 12.5% 45220
09/12 310586 28438 9.2% 19280
10/12 383221 48413 12.6% 30460
11/12 486429 55345 11.4% 41060
12/12 480681 56170 11.7% 44880
13/12 438255 44914 10.2% 32580
14/12 411939 45116 11.0% 32520
15/12 249248 30344 12.2% 16150
16/12 208114 22082 10.6% 7840
17/12 244363 30066 12.3% 19710
18/12 290212 36014 12.4% 20840

※同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%もあれば優良。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや営業利益率など

営業利益率 EPS DSO
08/12 24.8 8.66 21.1
09/12 9.3 3.98 27.9
10/12 11.4 6.22 29.4
11/12 12.4 8.42 27.5
12/12 11.0 9.7 27.0
13/12 9.6 7.37 23.6
14/12 8.7 7.6 20.6
15/12 5.0 3.85 22.4
16/12 0.4 1.88 24.4
17/12 5.1 4.63 28.7
18/12 7.9 4.88 26.7

※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。上記DSOの出所はモーニングスター社。

バランスシート

総資産 総負債 株主資本 自己資本率
08/12 228052 110529 117523 51.5%
09/12 233323 117931 115392 49.5%
10/12 302510 149831 152679 50.5%
11/12 331052 170308 160744 48.6%
12/12 333795 162135 171660 51.4%
13/12 346808 166313 180495 52.0%
14/12 349493 168429 181064 51.8%
15/12 336758 159948 176810 52.5%
16/12 330314 156484 173830 52.6%
17/12 348691 154191 194500 55.8%
18/12 346196 147668 198528 57.3%

ROAとROEなど

ROA ROE 流動比率
単位 倍率
08/12 19.2 38.5 1.5
09/12 8.4 17.3 1.1
10/12 11.4 23.7 0.9
11/12 13.0 27.3 0.9
12/12 13.5 28.0 1.0
13/12 9.6 19.2 0.8
14/12 9.3 18.7 0.8
15/12 4.7 9.4 0.8
16/12 2.4 4.6 0.9
17/12 5.8 11.1 0.8
18/12 6.0 11.0 0.8

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業があげた利益の割合

★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業があげた利益の割合

★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る〔表では資本が負債の何倍かを表記〕

キャッシュフロー

営業CF 投資CF 財務CF
08/12 59725 -15499 -44027
09/12 28438 -22419 -27283
10/12 48413 -24204 -26924
11/12 55345 -22165 -28256
12/12 56170 -25601 -33868
13/12 44914 -34201 -15476
14/12 45116 -26975 -17888
15/12 30344 -23824 -7037
16/12 22082 -12403 -9293
17/12 30066 -15730 -15130
18/12 36014 -16446 -19446

エクソンモービルは売りか買いか

原油価格は低迷していますが、長期的には世界の資源需要の伸びは止まらない以上、その基幹となる石油やLNG価格には揺り返しが来るかもしれません。

XOM社の株価推移を長期で見ると、一定の範囲で上下するボックス相場になっているので、株高を期待する銘柄というよりは、底値になった時に買い増し、配当増を狙う株のようにも見えます。

また、XOM社などの石油メジャーの株価に影響を与える18年の政治イベントとしては、サウジアラムコのIPOが想定されています。

しかし、ブルームバーグ(2017/10/14)は「サウジアラムコの国際市場IPOを19年に先送り検討」と報じました。

関係者の見解をもとに「国内IPOは18年に実施される可能性」があるが、政府は、国際市場での新規株式公開(IPO)を2019年に先送りすることを検討していることを紹介していたのです。

サウジアラムコは米国の石油メジャーの巨大なライバルなので、今後、その動きにも注視が必要でしょう。