XOM/CVXを比較:エクソンモービルとシェブロンの違いとは
XOMとCVXを違いを踏まえて比較します。(2025年6月更新)
エクソンモービル(Exxon Mobil Corp)とシェブロン(Chevron Corporation)は石油株の代表格です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(IYE:iShares US Energy ETFを含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。
決算(予想:結果)
マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。
決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照
★エクソンモービル(XOM)決算:予想と結果 売上&EPS
【石油メジャー対決】エクソンモービル(XOM) vs シェブロン(CVX)!配当と将来性を徹底比較
世界経済の血液である「石油」を供給し、インカム投資家のポートフォリオに安定をもたらしてきた二大巨頭、エクソンモービル(XOM)とシェブロン(CVX)。両社はともに数十年にわたり増配を続ける「配当貴族」であり、エネルギー価格の変動を乗り越えて株主への還元を続けてきました。
2024年から2025年にかけて、両社の巨大買収がついに完了し、その戦略に違いが明確に出ています。本記事では、この二大メジャーの業績、配当、そして今後の成長戦略を徹底的に比較・分析します。
比較サマリー:シェールガスか、海洋油田か
項目 | エクソンモービル (XOM) | シェブロン (CVX) |
---|---|---|
事業内容 | 石油・ガスの探査・生産(上流)、精製・販売(下流)、化学製品などを手掛ける統合エネルギー企業 | |
近年の戦略 | パイオニア・ナチュラル・リソーシズを買収(2024年5月完了)し、米国シェールオイル・ガスでの生産量を大幅に強化。 | ヘスを買収(2025年7月完了)し、南米ガイアナ沖の巨大な海洋油田の権益を獲得。将来の大きな成長源に。 |
連続増配年数 | 43年 (配当貴族) | 38年 (配当貴族) |
配当利回り(直近) | 約3.7% | 約4.4% |
PER (株価収益率) | 約14倍 | 約16倍 |
年間配当(2025年) | $3.96 | $6.84 |
重要:未来を賭けた巨大買収が完了
両社の将来を理解する上で、近年の大型買収完了は極めて重要です。
- エクソンモービル → パイオニア買収(2024年5月完了):米国内のシェールオイル・ガス田の優良企業を買収。低コストで安定した生産が見込めるパーミアン盆地での支配力を高める戦略です。
- シェブロン → ヘス買収(2025年7月完了):「21世紀最大級」と言われるガイアナ沖の海底油田の権益を獲得。高い成長が見込めるものの、海洋油田はより大きな初期投資とリスクを伴います。
この戦略の違いが、今後の両社の成長軌道を大きく左右します。
業績と成長性の詳細分析
エネルギー企業の業績は、原油・ガス価格に大きく左右されます。2020年のコロナ禍での落ち込みと、2022年のウクライナ侵攻後のエネルギー価格高騰による急回復が、両社の業績に明確に表れています。
2025年最新決算では、両社とも油価下落の影響を受けつつも、買収効果による生産量増加で収益を下支えしています。
年/四半期 | エクソンモービル EPS・業績 | シェブロン EPS・業績 |
---|---|---|
2025 Q2 | $1.64/株 (純利益$7.1B) パーミアン記録的生産1.6MM bpd |
$1.77/株(調整後) (純利益$2.5B) パーミアン1MM bpd達成 |
2025 Q1 | $1.76/株 (純利益$7.7B) 業界トップの株主還元$9.1B |
$2.18/株(調整後) (純利益$3.5B) 第四半期にヘス統合効果期待 |
2024 | 売上高 $344.6B (-16.0%) | 売上高 $195.8B (-16.0%) |
2023 | 売上高 $410.2B (+44.7%) | 売上高 $233.0B (+51.5%) |
2022 | 売上高 $283.5B (+57.4%) | 売上高 $153.8B (+78.6%) |
※B=10億ドル。会計年度や基準により数値は多少変動します。
配当の詳細比較:どちらも信頼厚い配当貴族
両社とも、原油価格が低迷した時期でも株主還元を続けることで、投資家からの信頼を勝ち取ってきました。2025年現在、シェブロンの配当利回りがやや高く、エクソンモービルの連続増配年数がより長いという特徴があります。
年 | XOM 年間配当 (増配率) | CVX 年間配当 (増配率) |
---|---|---|
2025 | $3.96 (+4.2%) | $6.84 (+4.9%) |
2024 | $3.80 (+2.7%) | $6.52 (+8.1%) |
2023 | $3.70 (+3.4%) | $6.03 (+6.0%) |
2022 | $3.58 (+1.1%) | $5.68 (+6.0%) |
2021 | $3.54 (+1.1%) | $5.36 (+3.9%) |
2020 | $3.50 (+3.2%) | $5.16 (+8.4%) |
配当については以下の関連記事を参照
結論:あなたに合うのはどちら?
両社の比較は、「安定的な国内シェール」と「高成長の海洋油田」という、未来の成長戦略のどちらをより評価するかにかかっています。
「盤石な基盤と安定性」を重視するなら → エクソンモービル (XOM)
世界最大の石油メジャーとしての規模と、米国内シェールという計算しやすい資産への投資は、より予測可能性の高い安定感を投資家にもたらします。43年連続増配という実績と、パイオニア買収による生産量倍増効果は、より保守的な選択を好む投資家に向いています。
「将来の大きな成長ポテンシャル」に期待するなら → シェブロン (CVX)
ガイアナ沖の巨大油田は、今後10年以上にわたりシェブロンの生産量とキャッシュフローを大きく押し上げる可能性を秘めています。より高い配当利回り(4.4%)と、ヘス買収による長期成長ポテンシャルを魅力に感じる投資家にとって、面白い選択肢となるでしょう。
※本ページの分析は2025年8月20日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。