CAT(キャタピラー)今後の見通し

ダウ30銘柄,株価•決算,資本財

キャタピラー(Caterpillar Inc)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については関連記事(CATとDEを比較:キャタピラーとディア)を参照

直近決算

CAT(キャタピラー)は8月5日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想4.9$→結果4.72$
・売上高:予想162.7億$→結果166.9億$(前年同期比-1%)
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。

企業概要

キャタピラー(Caterpillar Inc.)は建設、鉱山、エネルギー、輸送など幅広い分野で使われる重機とサービスを提供する世界最大級のメーカーです。本社はテキサス州アービング(2022年にイリノイ州ディアフィールドから移転)[1]。2024年の売上高は648億ドルで、約190か国を独立系ディーラーネットワーク(約152社)でカバーしています[2]

製品は「頑丈さ」と「効率性」で知られ、機械の提供にとどまらず、メンテナンス・部品・デジタル監視(テレマティクス)・金融までを束ねたライフサイクル支援で稼働率を高めます。再生(リマン)事業「Cat Reman」により部品を再製品化し、コストと環境負荷の低減にも取り組んでいます[3]

その事業は3つの事業セグメント+金融で構成されています[4]

(1) 建設機械(Construction Industries):ブルドーザー、油圧ショベル、ホイールローダー、バックホー、路面機械など。インフラ・住宅・商業建設で活躍し、堅牢性と稼働時間の長さが評価されています。

(2) 資源産業(Resource Industries):超大型ダンプ、鉱山用ショベル、ドリル、ドラグライン等。過酷環境での耐久性と保守容易性が強み。2011年のビュサイラス・インターナショナル買収で鉱山機械ラインアップを拡充しました[5]

(3) エネルギー&輸送(Energy & Transportation):ディーゼル・天然ガスエンジン、発電機、Solar®ガスタービン、ディーゼル電気機関車(Progress Rail)など。発電・油ガス・海洋・鉄道向けに展開。

(4) 金融商品(Financial Products):販売金融・リース・延長保証などで機械の導入と運用を支援(Cat Financial)[6]

近年は、接続機(テレマ機)のデータを使って稼働監視や予防保全を行う「Cat Digital」を強化。条件監視や遠隔解析により、ダウンタイムの低減と燃費最適化を図ります[7]

最近の業績・見通し:2024年通期の売上高は648億ドル。2025年はディーラー在庫の正常化と一部地域の需要鈍化で慎重さが残る一方、会社側は2025年通期売上を「2024年比でわずかに増加」と見込む更新見通し(Q2決算)を発表。高い収益性を維持しつつ、配当と自社株買いも継続しています[8][9]

社史トピック:1925年、ホルト社とベスト・トラクター社が合併して誕生。第二次大戦後のインフラ需要を背景に国際展開を進め、1960年代以降は欧州・アジア・南米へ拡大。2011年のビュサイラス買収で鉱山機械を強化し、2022年に本社をアービングへ移転しました[1][5]


ひとこと解説
「総合力」が収益源:ハード(機械)+サービス(部品・MRO)+デジタル+金融の組み合わせで、景気循環に左右されにくい収益構造を志向。
E&Tの底堅さ:建機が減速しても、発電・油ガス・鉄道向けエンジン・タービンが全社の安定剤に。
リマン(再生):稼働中機の再生部品でコスト・CO₂・リードタイムを圧縮。


【注(出典)】

  1. 本社移転(2022/6、アービングへ):Caterpillar PRReuters
  2. 売上高と国数:IRサイト(2024売上648億ドル)At a Glance(約190か国・152ディーラー)
  3. リマンの概要:Cat Reman
  4. 事業セグメント(Construction/Resource/E&T+Financial):Annual Report Segment Highlights
  5. ビュサイラス買収(2011/7、約88億ドル):PR Newswire
  6. 金融(Cat Financial):Cat Financial
  7. デジタル・稼働監視(例:Condition Monitoring):Future of AI at Caterpillar
  8. 2024年通期・2024Q4決算:Caterpillar PR(2025/1/30)(PDF: 4Q24資料)。
  9. 2025年Q2決算・見通し(通期わずかに増加見込み、キャッシュフロー・株主還元):IRリリース(2025/8/5)

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢