JPM/BACを比較:JPモルガンとバンクオブアメリカの違いとは

ダウ30銘柄,金融,銘柄比較

JPモルガン・チェース(JPM)とバンク・オブ・アメリカ(BAC)の違いを踏まえて比較します。

両社は米国銀行株の代表格ですが、JPMは投資銀行、マーケッツ、資産運用を含む収益源の多様性と高い資本効率、BACは巨大な預金基盤と金利収益への感応度に特徴があります。

株価、最新決算、配当、収益性、自己資本、バリュエーションの違いから、今後の見通しと投資上の注意点を整理します。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移(VFH:Vanguard Financials Index Fund ETFを含めて比較)

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。


決算(予想:結果)

株価・決算については以下の関連記事を参照

JPM:JPモルガンチェース 今後の見通し

BAC:バンクオブアメリカ 今後の見通し

【米銀大手対決】JPMorgan Chase(JPM)vs Bank of America(BAC)

業績・収益性・配当を最新データで比較
(最新決算:2026年Q2、株価基準:2026年7月15日12時台UTC

◆ JPMorgan Chase(JPM)

  • Consumer & Community Banking、Commercial & Investment Bank、Asset & Wealth Managementの3事業部門にCorporateを加えた収益構造です。旧稿の「4本柱」という表現を、現在の報告区分に合わせて修正しました。
  • 2026年Q2の純利益は212億ドル、希薄化後EPSは7.70ドル、マネージド・ベースの収益は580億ドルでした。[1]
  • ただし、2026年Q2にはVisa株関連の純利益寄与など、一時的な重要項目が含まれます。これらを除いた純利益は169億ドル、EPSは6.14ドル、ROTCEは23%でした。[1]
  • 2026年Q2のCET1比率は、標準的手法で14.1%、先進的手法で14.2%と、引き続き高い資本余力を維持しています。[1]

◆ Bank of America(BAC)

  • Consumer Banking、Global Wealth and Investment Management、Global Banking、Global Marketsの4事業部門を持ち、全米有数の預金基盤を強みとします。
  • 2026年Q2のRevenue, net of interest expenseは316億ドル、純利益は91億ドル、希薄化後EPSは1.21ドルでした。[2]
  • 2026年Q2の純金利収益は前年同期比9%増の160億ドル、セールス・アンド・トレーディング収益は33%増の71億ドル、全社の投資銀行手数料は50%増の21億ドルでした。[2]
  • 2026年Q2の平均預金残高は2.02兆ドル、平均貸出・リース残高は1.22兆ドルで、預金と融資の規模がBACの収益基盤を支えています。[2]

今回の主要更新ポイント(2026年7月版)

  • 最新決算を更新:JPM、BACともに2026年7月14日に発表した2026年Q2の決算を反映しました。[1][2]
  • JPMの一時利益を区別:JPMの報告純利益212億ドル・EPS7.70ドルに加え、重要項目を除いた純利益169億ドル・EPS6.14ドルを併記しました。[1]
  • 株価を更新:JPMは342.89ドル、BACは60.62ドル(2026年7月15日12時台UTC時点)として、P/TBVと配当利回りを再計算しました。[3]
  • JPMの増配計画を追加:現在の四半期配当は1.50ドルですが、取締役会は2026年Q3から1.65ドルへ引き上げる意向を公表しています。新たな500億ドルの自社株買い枠も2026年7月1日に発効しました。[4]
  • BACの配当を更新:最新の取締役会決議に基づく普通株配当は、四半期0.28ドルです。[5]
  • バリュエーションを更新:2026年Q2末TBVPSと2026年7月15日12時台UTCの株価から計算したP/TBVは、JPMが約3.03倍、BACが約2.06倍です。

2026年Q2 業績ハイライト

指標(2026年Q2) JPM BAC
売上・収益 マネージド収益580億ドル
報告収益約573億ドル[1]
Revenue, net of interest expense
316億ドル[2]
純利益 212億ドル
重要項目除外後169億ドル[1]
91億ドル[2]
希薄化後EPS 7.70ドル
重要項目除外後6.14ドル[1]
1.21ドル[2]
ROTCE 29%
重要項目除外後23%[1]
17.0%[2]
CET1比率 標準的手法14.1%
先進的手法14.2%[1]
標準的手法11.2%[2]
TBVPS 113.35ドル
2026年Q2末[1]
29.37ドル
2026年Q2末[2]
純金利収益 256億ドル
前年同期比10%増[1]
160億ドル
前年同期比9%増[2]
与信費用 25億ドル[1] 14億ドル[2]
株主還元 普通株配当40億ドル
普通株純買い戻し62億ドル[1]
普通株配当20億ドル
普通株買い戻し60億ドル[2]

※JPMの2026年Q2報告値には、Visa株関連の45.5億ドルの税引前利益と、その他の株式投資に関する10.3億ドルの税引前利益が含まれます。BACとの収益力を比較する際は、JPMの重要項目除外後の数値も確認する必要があります。[1]

※2026年のFRBストレステストでは、厳しい景気後退シナリオのもとでも対象銀行全体が最低所要資本を上回る結果となりました。ただし、ストレステストは仮想シナリオであり、実際の損失を予測するものではありません。[6]

2026年Q2で特に注目したい違い

JPM:マーケッツと投資銀行の強さが際立つ

  • Commercial & Investment Bankの収益は前年同期比27%増の248.5億ドル、純利益は46%増の96.8億ドルでした。[1]
  • マーケッツ収益は35%増の121億ドルで、株式マーケッツ収益は86%増の60億ドルに達しました。[1]
  • 投資銀行収益は45%増の39億ドル、投資銀行手数料は30%増の32.8億ドルでした。[1]
  • Asset & Wealth Managementの運用資産は前年同期比18%増の5.14兆ドルとなりました。[1]

BAC:純金利収益の回復とマーケッツの伸長

  • 2026年Q2の純金利収益は前年同期比9%増の160億ドルとなり、貸出・預金残高の増加と固定金利資産の再投資が寄与しました。[2]
  • Global Marketsの収益は34%増の80億ドル、純利益は72%増の26億ドルでした。[2]
  • 株式セールス・アンド・トレーディング収益は70%増の36億ドル、FICC収益は9%増の35億ドルでした。[2]
  • Global Wealth and Investment Managementの顧客残高は前年同期比12%増の4.93兆ドルとなりました。[2]

主要指標ミニガイド

ROTCE(Return on Tangible Common Equity)
のれんなどを除いた有形普通株主資本に対する利益率です。銀行の資本効率を比較する代表的な指標で、一般に高いほど収益力が高いと評価されます。
CET1比率(Common Equity Tier 1 Ratio)
普通株や利益剰余金など、損失吸収力の高い資本がリスク資産に対してどの程度あるかを示します。高いほど損失への耐久力が強い一方、過剰資本は資本効率を下げる場合もあります。
TBVPS(Tangible Book Value per Share)
のれんなどを除いた1株当たり有形純資産です。銀行株の資産価値と株価を比較する際に用いられますが、将来の清算価値をそのまま示すものではありません。
P/TBV(Price to Tangible Book Value)
株価をTBVPSで割った倍率です。収益性、資本効率、成長期待、資産の質、信用リスクなどを反映します。
NII(Net Interest Income)
貸出金や債券などから受け取る利息収入から、預金や借入金などへ支払う利息を差し引いた純金利収益です。
配当利回り
1株当たり年間配当を株価で割った比率です。増配や減配、株価変動によって変化します。

通期売上高トレンド(2020~2025年)

以下では、JPMは米国会計基準上のTotal net revenue、BACはTotal revenue, net of interest expenseを使用しています。旧稿ではJPMのマネージド収益と報告収益が混在していたため、報告ベースに統一しました。

JPM BAC
2025 1,824億ドル[7] 1,131億ドル[8]
2024 1,776億ドル[7] 1,059億ドル[8]
2023 1,581億ドル[7] 986億ドル[8]
2022 1,287億ドル[7] 950億ドル[8]
2021 1,216億ドル[7] 891億ドル[8]
2020 1,200億ドル[7] 855億ドル[8]
年平均成長率
2020→2025
約8.7% 約5.7%

※各社で収益の表示方法や事業構成が異なるため、絶対額の単純比較だけで優劣を判断することはできません。JPMの2023年にはFirst Republic買収、2024年にはVisa株関連利益の影響が含まれます。[7]

株価バリュエーション&配当(2026年7月15日12時台UTC時点)

項目 JPM BAC
株価 342.89ドル[3] 60.62ドル[3]
TBVPS 113.35ドル
2026年Q2末[1]
29.37ドル
2026年Q2末[2]
P/TBV 3.03倍 2.06倍
現在の四半期配当 1.50ドル
2026年Q2までの宣言済み水準[4]
0.28ドル
2026年Q2の宣言済み水準[5]
現在の年率換算配当 6.00ドル 1.12ドル
現在の配当利回り 1.75% 1.85%
増配計画反映後 四半期1.65ドル、年率6.60ドル
予想利回り約1.92%
取締役会の正式承認が条件[4]
2026年7月15日時点で、0.28ドルを上回る新たな普通株配当は未反映
PER(参考) 17.0倍
2026年7月15日12時台UTCの市場データ
15.0倍
2026年7月15日12時台UTCの市場データ

※P/TBVと配当利回りは、上記株価と2026年Q2末TBVPS、最新の宣言済み配当を使った概算です。株価は随時変動します。

JPMはBACよりP/TBVとPERが高く、市場から高い収益性、事業の多角化、資本配分能力に対するプレミアムを与えられています。一方、BACはJPMより低い倍率で取引されていますが、2026年7月15日時点ではP/TBVが2倍を超えており、単純に「割安な銀行株」と断定できる水準ではありません。

投資判断のヒント

◆ 収益性と事業分散を重視するならJPM
JPMは2026年Q2の重要項目除外後ROTCEが23%、標準的手法のCET1比率が14.1%でした。投資銀行、マーケッツ、決済、資産運用、個人金融という複数の収益源を持ち、市場環境が良好な局面では高い収益力を発揮します。[1]
◆ 金利収益の回復とバリュエーションを重視するならBAC
BACは2026年Q2に純金利収益が前年同期比9%増加し、ROTCEも17.0%へ改善しました。固定金利資産の再投資、貸出残高の増加、預金コストの変化が今後の収益を左右します。[2]
◆ JPMの2026年Q2利益は一時項目を分けて見る
JPMの報告EPS7.70ドルには、Visa株などに関する重要項目が1株当たり合計1.56ドル含まれます。継続的な収益力を評価する場合は、重要項目除外後のEPS6.14ドルとROTCE23%を重視する方が適切です。[1]
◆ 配当だけでなく総還元を見る
2026年Q2にJPMは普通株配当40億ドルと普通株純買い戻し62億ドル、BACは普通株配当20億ドルと自社株買い60億ドルを実施しました。銀行株では配当利回りに加え、資本規制、株価水準、余剰資本に応じた買い戻し余力が重要です。[1][2]
◆ 信用コストと景気循環を確認する
2026年Q2の与信費用はJPMが25億ドル、BACが14億ドルでした。足元の信用環境は比較的安定していますが、失業率上昇、カード延滞、商業用不動産、企業倒産などが悪化すれば、貸倒引当金と純貸倒損失が増える可能性があります。[1][2]

結論:多角化された収益源、高い資本効率、厚い資本余力を重視する場合はJPMが比較上の有力候補です。一方、巨大な預金基盤、純金利収益の回復、JPMより低いバリュエーションを重視する場合はBACが候補になります。

ただし、JPMは高い収益力が株価に織り込まれ、2026年7月15日時点のP/TBVは約3.03倍です。BACもP/TBVが約2.06倍まで上昇しています。どちらを選ぶ場合も、四半期ごとのNII、マーケッツ収益、投資銀行手数料、与信費用、CET1比率、TBVPS、自社株買い価格を確認する必要があります。

ミニ解説:

  • JPMは全社収益について、米国会計基準上の報告収益に加えて「マネージド・ベース」を公表しています。BACは「Revenue, net of interest expense」を使用するため、売上高の定義は完全には一致しません。[1][2]
  • JPMのROTCEとBACのReturn on average tangible common shareholders’ equityは、いずれも有形普通株主資本に対する収益性を見る非GAAP指標です。計算方法の細部は各社資料で異なる可能性があります。[1][2]
  • 銀行株の低いP/TBVは必ずしも割安を意味しません。市場が低い収益性、信用損失、資産評価損、資本不足を織り込んでいる場合もあります。

変更箇所(今回)

  • 最新決算へ更新:JPM、BACともに2026年Q1から2026年Q2の決算へ更新しました。[1][2]
  • JPMの報告区分を修正:「4本柱」という表現を、現在の3事業部門とCorporateという開示区分へ修正しました。
  • JPMの決算を更新:純利益212億ドル、EPS7.70ドル、マネージド収益580億ドル、報告ROTCE29%、標準的手法CET1比率14.1%、TBVPS113.35ドルへ更新しました。[1]
  • JPMの一時項目を明確化:Visa株などの重要項目を除いた純利益169億ドル、EPS6.14ドル、ROTCE23%を追加しました。[1]
  • BACの決算を更新:収益316億ドル、純利益91億ドル、EPS1.21ドル、ROTCE17.0%、CET1比率11.2%、TBVPS29.37ドルへ更新しました。[2]
  • 業績要因を更新:JPMの株式マーケッツ・投資銀行・資産運用、BACの純金利収益・マーケッツ・投資銀行の伸びを2026年Q2データへ更新しました。[1][2]
  • 株価を更新:2026年7月15日12時台UTC時点のJPM342.89ドル、BAC60.62ドルを反映しました。[3]
  • バリュエーションを更新:P/TBVをJPM約3.03倍、BAC約2.06倍、PERをJPM約17.0倍、BAC約15.0倍へ更新しました。
  • JPMの増配計画を追加:2026年Q3から四半期配当を1.65ドルへ引き上げる意向と、500億ドルの新しい自社株買い枠を追加しました。[4]
  • 配当利回りを更新:現在の宣言済み配当ベースではJPM約1.75%、BAC約1.85%、JPMの増配計画反映後では約1.92%となることを示しました。
  • 株主還元を更新:2026年Q2のJPMの普通株配当40億ドル・純買い戻し62億ドル、BACの普通株配当20億ドル・買い戻し60億ドルを反映しました。[1][2]
  • 通期収益を修正:JPMの2020~2025年について、マネージド収益と報告収益が混在していた旧数値を、米国会計基準上のTotal net revenueへ統一しました。[7]
  • CAGRを修正:報告収益ベースの2020~2025年平均成長率を、JPM約8.7%、BAC約5.7%へ修正しました。
  • リスク分析を追加:JPMの高い評価倍率、BACの金利感応度、信用コスト、重要項目を除いた利益、買い戻し価格の重要性を分析に追加しました。

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価、配当、バリュエーション、自己資本、業績などは本文と各注に記載した時点の情報であり、随時変動します。将来の配当計画は取締役会の承認などを条件としており、実施を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

【注】(出典リンク)

  1. JPM 2026年Q2決算(収益、純利益、EPS、ROTCE、CET1比率、TBVPS、事業別業績、株主還元) → JPMorganChase 2026年Q2 Earnings ReleaseSEC 2026年7月14日Form 8-K 確認日:2026-07-15
  2. BAC 2026年Q2決算(収益、純利益、EPS、ROTCE、CET1比率、TBVPS、事業別業績、株主還元) → Bank of America 2026年Q2 Earnings ReleaseBank of America Quarterly Earnings 確認日:2026-07-15
  3. 株価・PER試算の前提(JPM342.89ドル、BAC60.62ドル、2026年7月15日12時台UTC) → Yahoo Finance:JPMYahoo Finance:BAC 確認日:2026-07-15
  4. JPMの配当・資本計画(現行四半期1.50ドル、1.65ドルへの増配意向、500億ドルの自社株買い枠) → JPMorganChase Capital Plan(2026-06-24)JPMorganChase Dividend Declaration(2026-05-18) 確認日:2026-07-15
  5. BAC普通株配当(四半期0.28ドル) → Bank of America 2026年Q2 Stock DividendsBank of America Dividend History 確認日:2026-07-15
  6. 2026年FRBストレステスト・大手銀行資本要件 → Federal Reserve 2026 Stress Test ResultsFederal Reserve Large Bank Capital Requirements(2026-06、PDF) 確認日:2026-07-15
  7. JPM通期収益推移(2020~2025年、Total net revenue) → JPMorganChase 2025 Annual ReportJPMorgan Chase 2022 Annual Report 確認日:2026-07-15
  8. BAC通期収益推移(2020~2025年、Total revenue, net of interest expense) → Bank of America 2025 Annual ReportBank of America 2022 Annual Report 確認日:2026-07-15

Posted by 南 一矢