ナイキ(NKE)の配当金・配当利回り|株価・配当月・増配推移

消費財,配当




ナイキ(NIKE, Inc.、NKE)の配当金、配当利回り、配当月、権利落ち日、株価と業績の推移を確認します。決算・配当などの確定情報は2026年10月8日時点、株価は米国市場の2026年10月7日終値を基準とします。

直近の四半期配当は1株0.41ドル、同額が4回続くと仮定した年間換算配当は1.64ドルです。2026年8月6日の配当宣言に基づき、基準日を2026年9月1日として2026年10月1日付の配当が設定されました。2025年11月の配当引き上げにより、同社が発表した連続増配年数は24年です。[1]

最新決算は2026年10月1日発表の2027年度第1四半期(2026年6~8月)です。2026年10月2日提出のForm 10-Qでキャッシュフローも確認し、2026年度通期・第4四半期の数値は比較資料として残しました。[2][3][4]

ナイキの配当・株価早見表

項目 2026年10月8日時点(株価は10月7日)
四半期配当 0.41ドル(直近宣言額)
年間換算配当 1.64ドル(同額継続を仮定)
主な配当支払月 1月・4月・7月・10月
直近の権利落ち日 2026年9月1日
次回の配当支払日 未発表(直近支払日:2026年10月1日)
連続増配 24年(2025年11月時点)
2026年度配当性向 約78%(2026年5月期実績)
2026年10月7日終値 34.36ドル
予想配当利回り 約4.77%

予想配当利回りは、年間換算配当1.64ドルを2026年10月7日終値34.36ドルで割って算出した約4.77%です。配当額の維持を仮定する指標であり、将来の配当を保証するものではありません。[5]

Contents

ナイキの配当月・権利落ち日・支払日

ナイキは四半期配当を実施しており、最近の配当支払月は1月・4月・7月・10月です。

2026年10月8日時点で確認できる直近4回の配当日程は次の通りです。米国市場の通常の現金配当では、2024年5月のT+1決済への移行後、権利落ち日と基準日が一致する例が多く、下表でも同日です。

配当宣言日 権利落ち日 基準日 支払日 1株配当
2025年11月20日 2025年12月1日 2025年12月1日 2026年1月2日 0.41ドル
2026年2月13日 2026年3月2日 2026年3月2日 2026年4月1日 0.41ドル
2026年5月4日 2026年6月1日 2026年6月1日 2026年7月1日 0.41ドル
2026年8月6日 2026年9月1日 2026年9月1日 2026年10月1日 0.41ドル

2026年8月6日に、四半期配当1株0.41ドルが正式に宣言されました。権利落ち日と基準日は9月1日、支払日は10月1日です。次回の配当額・権利落ち日・支払日は2026年10月8日時点では未発表です。例年の11月前後の配当改定も、正式な取締役会決定を待つ必要があります。[1][5]

米国株の配当を受け取るには、原則として権利落ち日の前営業日までに株式を購入しておく必要があります。取引日、決済日、証券会社の取扱時間、祝日の影響もあるため、実際の購入時には利用する証券会社の日程を確認してください。

年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等

年平均の配当利回り、配当成長率、配当性向、年間の1株配当、参考平均株価、通年EPSの推移を確認します。

ナイキの会計年度は5月31日に終了します。本表の「年度」は各年5月期を表し、年間配当は各会計年度中に宣言された配当額を株式分割調整後の金額で表示します。2027年度はまだ進行中のため、歴史表の末尾は2026年度です。

平均株価は各会計年度に対応する6月1日から翌年5月31日までの参考値です。2026年度の参考平均株価は、月次調整後終値の単純平均を用いています。[6]

年度 配当 参考
平均株価
希薄化後
EPS
平均利回り 成長率 配当性向 年計
2026 2.65% 4% 78% 1.630 61.6 2.10
2025 2.13% 8% 73% 1.570 73.7 2.16
2024 1.81% 9% 39% 1.450 79.9 3.73
2023 1.29% 11% 41% 1.325 102.5 3.23
2022 1.06% 11% 32% 1.190 112.2 3.75
2021 0.72% 12% 30% 1.070 148.9 3.56
2020 0.76% 11% 60% 0.955 125.0 1.60
2019 0.96% 10% 35% 0.860 89.9 2.49
2018 0.98% 11% 67% 0.780 79.7 1.17
2017 1.15% 13% 28% 0.700 60.7 2.51
2016 1.14% 15% 29% 0.620 54.3 2.16
2015 0.91% 16% 29% 0.540 59.4 1.85
2014 1.03% 15% 31% 0.465 45.1 1.49
2013 1.13% 17% 30% 0.405 35.9 1.35
2012 1.33% 16% 29% 0.348 26.1 1.20
2011 1.24% 13% 27% 0.300 24.1 1.12
2010 1.33% 8% 27% 0.265 20.0 0.97
2009 1.54% 11% 32% 0.245 15.9 0.76
2008 1.63% - 23% 0.220 13.5 0.94

元の集計では2013年、2016年、2020年などの配当成長率がマイナスになっていましたが、これは株式分割前後の金額や集計期間が混在したためです。

株式分割調整後の「会計年度中に宣言された配当」へ統一すると、2008年度以降の本表では毎年増配となります。[6]

最新決算:2027年度第1四半期(2026年6~8月)

ナイキは2026年10月1日、2027年度第1四半期決算(2026年8月31日終了)を発表しました。売上高は112.13億ドルで前年同期比4%減(為替中立ベース5%減)、純利益は7.12億ドルで2%減、希薄化後EPSは0.48ドル(前年同期0.49ドル)でした。前年同期比で減収・減益が続き、事業回復は十分確認できません。[2]

項目 2027年度Q1 2026年度Q1 比較
売上高(M$) 11,213 11,720 -4%
為替中立売上成長率 -5% ― 前年同期比
売上総利益率 42.8% 42.2% +0.6pt
純利益(M$) 712 727 -2%
希薄化後EPS 0.48ドル 0.49ドル -2%
1株配当宣言額 0.410ドル 0.400ドル +2.5%
営業CF(M$) 135 222 -39%

売上総利益率は物流・倉庫コストの低下などにより前年同期の42.2%から42.8%へ改善した一方、NIKE Directと中国事業の減収が続きました。2027年度Q1の利益数値は、2026年度Q4で計上されたIEEPA関税回収見込みによる一時的な利益押し上げと区別して比較する必要があります。[2][4]

前回決算:2026年度第4四半期・通期(比較用)

以下は、2026年6月30日に発表された2026年度第4四半期および通期決算です。最新の2027年度Q1との比較のため、従来の記事内容と通期財務数値を残しています。

対象期間は、四半期が2026年3月から5月、通期が2025年6月1日から2026年5月31日です。[4]

項目 2026年度Q4 前年同期比 2026年度通期 前年度比
売上高 10,972M$ -1% 46,398M$ ほぼ横ばい
為替中立売上成長率 -4% - -2% -
売上総利益率 49.2% +8.9pt 42.9% +0.2pt
純利益 1,069M$ +407% 3,108M$ -3%
希薄化後EPS 0.72$ +414% 2.10$ -3%
1株配当宣言額 0.410$ +3% 1.630$ +4%

2026年度通期の売上高は463.98億ドルで、2025年度の463.09億ドルからほぼ横ばいでした。ただし、為替中立ベースでは2%減です。

純利益は31.08億ドル、希薄化後EPSは2.10ドルで、いずれも2025年度から3%減少しました。[4]

2026年度第4四半期だけを見ると、売上高は109.72億ドル、純利益は10.69億ドル、希薄化後EPSは0.72ドルでした。

しかし、この利益にはIEEPA関税の回収見込みによる一時的な恩恵が含まれます。会社によると、関税回収見込み額9.86億ドルがQ4の売上総利益率を約9ポイント、EPSを0.52ドル押し上げました。[4]

Q4の利益をそのまま回復力とみなさない

2026年度Q4の報告EPSは0.72ドルですが、会社が示した関税回収の寄与0.52ドルを単純に除くと、基礎的なEPSは約0.20ドルです。

粗利益率49.2%についても、一時的な約9ポイントの恩恵が含まれています。表面上の大幅増益だけでなく、通常の販売活動による収益力を分けて見る必要があります。[4]

卸売は改善、NIKE Directは減収が続く

2027年度Q1のNIKE Brand卸売売上は68億ドルで前年同期比1%減(為替中立ベースも1%減)でした。2026年度Q4は66億ドルで4%増でしたが、卸売の成長が世界全体で続いたとは言えません。北米に限れば卸売が前年同期比9%増となり、改善は地域によって異なります。[2]

一方、2027年度Q1のNIKE Directは41億ドルで前年同期比8%減(為替中立ベース9%減)でした。NIKE Brand Digitalは13%減、直営店は5%減で、直販チャネルの立て直しが依然として課題です。[2]

2026年度通期では卸売275億ドル(前年から6%増)、NIKE Direct177億ドル(6%減)でした。卸売パートナーとの関係改善が進む一方、直販の弱さを十分補うまでには至っていません。[4]

中国とConverseが引き続き課題

2027年度Q1のGreater China売上は11.80億ドルで前年同期比22%減、為替中立ベースでは26%減でした。前年同期15.12億ドルから一段と落ち込み、NIKEブランド全体の売上を押し下げました。[2]

Converseの2027年度Q1売上高は2.63億ドルとなり、前年同期比28%減です。北米売上は51.27億ドルで2%増だったものの、欧州・中東・アフリカは5%減となり、地域差が広がっています。[2]

2026年度通期のGreater Chinaは前年から報告ベースで11%減、Converse通期売上も11.74億ドルで31%減でした。2027年度Q1の数値は、両事業の立て直しがなお進行中であることを示します。[4][2]

24年連続増配は維持、ただし増配率は3%へ減速

ナイキは2025年11月20日、四半期配当を1株0.40ドルから0.41ドルへ3%引き上げました。

この配当改定により、会社が示す連続増配記録は24年となりました。2026年度中のその後の配当宣言に加え、2026年8月発表分も0.41ドルで据え置かれています。[1]

2026年度中に宣言された配当は1株1.63ドルです。2026年度EPS2.10ドルに対する配当性向は約78%となり、2025年度の約73%からさらに上昇しました。[4]

現在の四半期配当0.41ドルを4倍した年間換算配当は1.64ドルです。

会計年度中の実績1.63ドルと一致しないのは、2026年度の第1四半期に旧配当率0.40ドルが含まれるためです。

配当成長率の推移

株式分割調整後の会計年度ベースで見ると、ナイキの配当成長率は次のように変化しています。

  • 2008~2015年度:おおむね年率10%台半ばの増配
  • 2016~2023年度:おおむね年率10~15%の増配
  • 2024年度:約9%増配
  • 2025年度:約8%増配
  • 2026年度:約4%増配

増配自体は続いていますが、増配率は利益悪化に合わせて明確に減速しました。配当記録を守りながら、現金流出を抑える現実的な対応と評価できます。

配当利回りの特性

2026年度の参考平均株価61.6ドルに対する年間配当1.63ドルの平均利回りは約2.65%です。

一方、2026年10月7日終値34.36ドルと年間換算配当1.64ドルを用いると、予想配当利回りは約4.77%です。[5]

  • ナイキの過去の平均利回りと比べると高い
  • 四半期配当の直近宣言額は2026年10月8日時点で0.41ドル
  • 株価下落によって利回りが押し上げられている
  • 2026年度の配当性向は約78%と高い
  • 利益とキャッシュフローの回復が遅れれば、今後の増配余力は限られる

現在の高い利回りは、事業の安全性が以前より高まった結果ではありません。

市場が中国、直販、Converse、消費環境、在庫、収益性の回復に慎重な見方をしている結果と考えるべきです。

配当性向の持続可能性

配当性向は「1株配当 ÷ 希薄化後EPS」で計算します。近年の推移は次の通りです。

  • 2020年度:60%
  • 2021年度:30%
  • 2022年度:32%
  • 2023年度:41%
  • 2024年度:39%
  • 2025年度:73%
  • 2026年度:78%

2026年度はEPSが2.16ドルから2.10ドルへ減少した一方、年間配当は1.57ドルから1.63ドルへ増えました。そのため、配当性向はさらに上昇しています。[4]

約78%という配当性向は、直ちに減配を意味するものではありません。

ナイキは2026年5月末時点で、現金・現金同等物と短期投資を合計約90億ドル保有しています。ただし、従来のような二桁増配を続ける余地は小さく、利益が伸びなければ増配率を低く抑える必要があります。[4]

2027年度の利益見通しと配当

2026年10月1日に公表された2027年度の会社予想は調整後EPS1.15~1.35ドルです。年間配当1.64ドルが維持されると仮定すれば、その額は調整後EPSの約121~143%に相当します。ただし、調整後EPSは再編関連費用を除いた非GAAP指標であり、正式な配当性向(GAAP利益ベース)とは異なります。将来の減配が決まったわけではありませんが、従来以上に現金収支と今後の配当宣言を確認する必要があります。[2]

財務パフォーマンスと成長見通し

主要財務指標の推移

以下の表では、売上高、営業キャッシュフロー、純利益をMドル単位で表示しています。

2026年度は2026年7月15日に提出されたForm 10-Kの正式な通期キャッシュフローを反映しました。[7]

年度 売上高
(M$)
営業CF
(M$)
営業CF
マージン
純利益
(M$)
2026 46,398 2,868 6.2% 3,108
2025 46,309 3,698 8.0% 3,219
2024 51,362 7,429 14.5% 5,700
2023 51,217 5,841 11.4% 5,070
2022 46,710 5,188 11.1% 6,046
2021 44,538 6,657 14.9% 5,727
2020 37,403 2,485 6.6% 2,539
2019 39,117 5,903 15.1% 4,029
2018 36,397 4,955 13.6% 1,933
2017 34,350 3,846 11.2% 4,240
2016 32,376 3,399 10.5% 3,760
2015 30,601 4,680 15.3% 3,273
2014 27,799 3,013 10.8% 2,693
2013 25,313 3,032 12.0% 2,472
2012 23,331 1,824 7.8% 2,211
2011 20,117 1,812 9.0% 2,133
2010 19,014 3,164 16.6% 1,907
2009 19,176 1,736 9.1% 1,487
2008 18,627 1,936 10.4% 1,883

2026年度は売上横ばい、2027年度Q1は再び減収

2025年度は、売上高が2024年度の513.62億ドルから463.09億ドルへ約10%減、純利益は57.00億ドルから32.19億ドルへ約44%減少しました。

営業キャッシュフローも74.29億ドルから36.98億ドルへ約50%減少しています。[8]

2026年度は売上高が463.98億ドルとわずかに増加しましたが、為替中立ベースでは2%減でした。純利益も31.08億ドルと3%減少しています。

営業キャッシュフローは28.68億ドルとなり、2025年度から約22%減少しました。営業CFマージンも8.0%から6.2%へ低下しています。[7]

このため、「売上の底打ちに近づいた可能性」はあるものの、利益とキャッシュフローの成長を伴う本格的な回復が確認されたとは言いにくい状況です。

2026年度Q4の増益には一時的な関税回収見込みが大きく寄与しました。通常の販売活動では、NIKE Directの減収、中国の低迷、Converseの大幅減収、値引き、在庫、消費環境の弱さが続いています。

さらに2027年度Q1の売上高は前年同期比4%減、純利益は2%減となりました。2026年度通期の横ばいだけでは、回復局面入りを判断できません。[2]

新経営陣による事業再建への取り組み

CEOのElliott Hill氏は、スポーツ起点の事業再建を進めています。従来の「Win Now」に加え、スポーツ別に組織と商品開発を連動させる「Sport Offense」を強調しています。

2026年度には、組織、商品、ブランド、地域・都市単位での販売体制を再構築しました。[4]

  • スポーツ回帰:ランニング、バスケットボール、フットボールなど競技別の商品開発を強化
  • 新商品の増加:過度に依存した定番商品の比率を下げ、新モデルを拡大
  • 卸売関係の修復:小売パートナーへの商品供給を増やし、販売接点を回復
  • デジタルの正常化:値引き依存を抑え、ブランド価値を維持する販売体制へ移行
  • 中国の再構築:現地消費者に合う商品、店舗、マーケティングへ見直し
  • コスト管理:販売管理費と組織構造を見直し、効率改善を進める

卸売と北米には改善が見られますが、直販、中国、Converseは弱いままです。全事業が同じ速度で回復しているわけではなく、再建はなお途中段階です。

新たな事業構造改革「Pace」

2026年10月1日、ナイキは新たな全社改革プログラム「Pace」を発表しました。2026年3月公表の費用見直しも包含し、サプライチェーン改革、地域運営体制の再編、インドでの新拠点構築、組織のスリム化などを進めます。2027年度以降に人員関連の再編が伴う予定です。[2]

会社は2031年度までの累計削減効果約25億ドルを見込みます。一方で、2026年度に計上済みの約3億ドルとは別に、2031年度までに約10億ドルの税引前費用を見込んでいます(2027年度計上見込み約3億ドル)。25億ドルは累計の削減見込みであり、単年度利益の増加額ではありません。[2][3]

最高財務責任者の交代

David Denton氏は2026年8月17日付でナイキの最高財務責任者(CFO)に就任しました。前CFOのMatthew Friend氏はCEOアドバイザーへ移った後、2026年9月4日付で退社しています。[9]

さらに、Chief Accounting Officer兼Corporate ControllerだったJohanna Nielsen氏も2026年9月4日付で退任しました。後任が決まるまで、Denton氏がInterim Corporate Controllerを兼務し、principal accounting officerを務めています。[9]

事業再建の途中で財務責任者と経理責任者が入れ替わったため、2027年度以降のコスト管理、在庫、資本配分、配当、自社株買いの方針にも注目が必要です。

営業キャッシュフロー:2027年度Q1は1.35億ドル

最新の2027年度Q1の営業キャッシュフローは1.35億ドルで、前年同期の2.22億ドルから約39%減少しました。未払費用・負債の減少や在庫積み増しが資金流出要因となり、関税回収債権の入金に伴う売掛金減少は一部を相殺しました。以下に続く長期推移表は2026年度までの通期実績です。[3]

2026年度の営業キャッシュフローは28.68億ドルでした。2025年度の36.98億ドルから約22%減少しています。[7]

2026年度の純利益は31.08億ドルでしたが、売掛金の増加、未払費用やその他負債の減少、税金支払いなどが営業キャッシュフローを圧迫しました。

売掛金の増加には、IEEPA関税の未回収債権も含まれます。2026年5月末時点では、9.86億ドルの関税回収額のうち3.02億ドルを受け取り、残る6.84億ドルを売掛金として計上していました。

会社はForm 10-Kで、期末後に未回収額の大部分を受け取ったと説明しています。このため、2026年度の営業CF悪化には回収時期のずれも含まれます。[7]

年度 営業CF
(M$)
成長率 投資CF
(M$)
財務CF
(M$)
2026 2,868 -22% -488 -2,292
2025 3,698 -50% -275 -5,820
2024 7,429 +27% 894 -5,888
2023 5,841 +13% 564 -7,447
2022 5,188 -22% -1,524 -4,836
2021 6,657 +168% -3,800 -1,459
2020 2,485 -58% -1,028 2,491
2019 5,903 +19% -264 -5,293
2018 4,955 +29% 276 -4,835
2017 3,846 +13% -1,008 -2,148
2016 3,399 -27% -1,034 -2,974
2015 4,680 +55% -175 -2,790
2014 3,013 -1% -1,207 -2,914
2013 3,032 +66% -940 -1,045
2012 1,824 +1% 586 -2,100
2011 1,812 -43% -1,021 -1,972
2010 3,164 +82% -1,268 -1,061
2009 1,736 -10% -798 -734
2008 1,936 +3% -490 -1,226

2027年度Q1もフリーキャッシュフローは配当を下回る

2027年度Q1は営業キャッシュフロー1.35億ドルに対し、設備投資が1.99億ドルとなりました。簡易フリーキャッシュフローはマイナス0.64億ドルで、配当の現金支出6.10億ドルを事業由来のFCFだけでは賄えていません。なお、これは単一四半期の実績であり、通期の結果と同一視できません。[3]

項目 2027年度Q1 2026年度Q1
営業CF 1.35億ドル 2.22億ドル
設備投資 -1.99億ドル -2.07億ドル
簡易FCF -0.64億ドル 0.15億ドル
現金配当支払額 6.10億ドル 5.91億ドル

2026年度の営業キャッシュフローは28.68億ドル、設備投資は6.84億ドルでした。

営業キャッシュフローから設備投資を差し引いた簡易的なフリーキャッシュフローは、約21.84億ドルです。[7]

項目 2026年度
営業キャッシュフロー 28.68億ドル
設備投資 -6.84億ドル
簡易フリーキャッシュフロー 21.84億ドル
現金配当支払額 24.07億ドル
簡易FCFによる配当カバー率 約91%

2026年度の現金配当支払額は24.07億ドルであり、簡易フリーキャッシュフローを約2.23億ドル上回りました。

したがって、2026年度は通常の事業活動から生じたフリーキャッシュフローだけで、配当を余裕をもって全額賄えた状態ではありません。

ただし、期末時点で6.84億ドルの関税回収債権が残り、その大部分が期末後に回収されています。回収時期のずれを考慮すると、表面上の不足額だけで直ちに配当危機と判断するのも適切ではありません。[7]

配当を優先し、自社株買いを大幅に抑制

2025年度の現金配当支払額は23.00億ドル、自社株買いによる現金流出は29.85億ドルでした。

2026年度は配当支払額が24.07億ドルへ増えた一方、自社株買いによる現金流出は1.46億ドルまで縮小しました。[7][8]

決算発表資料で示される1.23億ドルは、2026年度に退蔵・消却された1.8百万株の取得額です。キャッシュフロー計算書上の株式取得による現金流出は1.46億ドルとなっており、集計基準が異なります。

  • 配当優先:2026年度の配当支払額は前年から約5%増加
  • 自社株買い抑制:現金流出額は29.85億ドルから1.46億ドルへ縮小
  • 現金防衛:事業再建中の流動性と投資余力を維持
  • 今後の焦点:利益だけでなく営業CFとフリーCFが回復するか

増配記録を守る一方で、自社株買いを抑える資本配分は合理的です。

営業キャッシュフローが弱いまま大規模な自社株買いを続けるよりも、配当、商品開発、マーケティング、販売体制の再建に資金を振り向ける方が財務の安定につながります。

2027年度Q1には自社株買いが実施されませんでした。同四半期の配当支払額は6.10億ドルです。会社は2026年6月に180億ドルの買い戻し枠を期限を設けず再承認しましたが、枠の存在と実際の取得は区別する必要があります。[3]

負債水準と資本構成

最新の2026年8月31日時点では総資産377.94億ドル、株主資本152.20億ドル、自己資本比率約40.3%となりました。現金・現金同等物69.03億ドルと短期投資14.65億ドルの合計は83.68億ドルです。2026年5月末の90.27億ドルから減少しています。[3]

項目 2026年8月末 2026年5月末
総資産(M$) 37,794 38,410
総負債(M$) 22,574 23,545
株主資本(M$) 15,220 14,865
自己資本比率 40.3% 38.7%
現金+短期投資(M$) 8,368 9,027

期末現金・短期投資は長期債務の1年以内返済予定分20億ドルと長期債務58.93億ドルの合計約78.93億ドルをなお上回ります。ただし短期CFが弱く、資金残高の厚さだけで将来の増配を保証できません。[3]

年度 総資産
(M$)
総負債
(M$)
株主資本
(M$)
自己資本比率 負債比率
2026 38,410 23,545 14,865 38.7% 158%
2025 36,579 23,366 13,213 36.1% 177%
2024 38,110 23,680 14,430 37.9% 164%
2023 37,531 23,527 14,004 37.3% 168%
2022 40,321 25,040 15,281 37.9% 164%
2021 37,740 24,973 12,767 33.8% 196%
2020 31,342 23,287 8,055 25.7% 289%
2019 23,717 14,677 9,040 38.1% 162%
2018 22,536 12,724 9,812 43.5% 130%
2017 23,259 10,852 12,407 53.3% 87%
2016 21,379 9,121 12,258 57.3% 74%
2015 21,597 8,890 12,707 58.8% 70%
2014 18,594 7,770 10,824 58.2% 72%
2013 17,545 6,464 11,081 63.2% 58%
2012 15,465 5,084 10,381 67.1% 49%
2011 14,998 5,155 9,843 65.6% 52%
2010 14,419 4,665 9,754 67.7% 48%
2009 13,250 4,557 8,693 65.6% 52%
2008 12,443 4,617 7,825 62.9% 59%

2026年5月31日時点の総資産は384.10億ドル、株主資本は148.65億ドルでした。

自己資本比率は2025年度の36.1%から38.7%へ改善し、負債比率は177%から158%へ低下しました。[4]

現金・現金同等物は75.63億ドル、短期投資は14.64億ドルで、合計は約90.27億ドルです。

一方、1年以内に返済予定の長期債務は20億ドル、長期債務は59.42億ドルでした。現金と短期投資は有利子負債を上回っています。[7]

2026年度は利益とキャッシュフローが伸びなかったものの、自社株買いを大幅に減らしたことで株主資本は増加しました。

現時点で配当支払いが直ちに財務危機を引き起こす状況ではありませんが、配当の余裕を回復するには営業キャッシュフローの改善が必要です。

2027年度の見通し

2026年10月1日に公表された会社予想では、2027年度通期(2027年5月期)売上高は前年から一桁台後半の減少が見込まれます。調整後希薄化EPSは1.15~1.35ドルの予想で、2026年度実績2.10ドルを大きく下回る水準です。調整後EPSは2027年度の「Pace」に伴う再編費用の影響(1株当たり約0.15ドル)を除いています。[2]

この予想は従来記事の「2027年度上期は一桁台前半~半ばの減収」という説明を置き換える最新の通期ガイダンスです。税率は20%台半ばが見込まれています。正式な見通しと分析上の推定値を混同しないよう注意が必要です。[2]

成長分野のランニングなどでは商品投入と卸売関係の修復が進むものの、NIKE Sportswear、Jordan Brand、Greater China、デジタル販売に弱さが残っています。「Pace」による効率改善も支出を先行させる側面があるため、事業再建の成果がキャッシュフローに反映されるまでを追う必要があります。[2][3]

次の確認点:2026年10月8日時点では2027年度第2四半期決算の正式な発表日時を本記事の一次資料で確認できていません。会社のIRで告知される日程を参照してください。前回の第1四半期決算は2026年10月1日に発表済みです。[2]

今後確認したい指標

  • NIKE Direct:デジタルと直営店の減収率が縮小するか
  • 卸売:売上増加が値引きや在庫押し込みに依存していないか
  • Greater China:二桁減収から脱出できるか
  • Converse:30%を超える減収に歯止めがかかるか
  • 粗利益率:関税回収の一時要因を除いた利益率が改善するか
  • 営業キャッシュフロー:売掛金、未払費用、税金支払いによる資金流出が正常化するか
  • フリーキャッシュフロー:配当支払額を安定して上回る水準へ戻るか
  • 配当性向:EPS回復によって70%台から低下するか
  • 増配率:次回の配当改定でも小幅増配を維持できるか
  • 在庫:販売の弱さに対して過剰在庫が積み上がらないか

まとめ:長期配当投資家にとってのナイキとは

ナイキは、世界的なブランド認知度と24年連続増配という実績を持ちます。直近宣言額の四半期配当0.41ドルを4倍した年間換算配当は1.64ドルです。2026年10月7日終値34.36ドルに対する予想配当利回りは約4.77%となります。[1][5]

ただし高い利回りは株価下落の結果であり、その水準が今後も維持されることを意味しません。2027年度Q1の売上は前年同期比4%減、中国は為替中立で26%減、NIKE Directは8%減、Converseは28%減でした。[2]

配当の観点で注目すべき点は、利益の見通しとフリーキャッシュフローの弱さです。2026年度通期の配当性向は約78%、2027年度Q1の簡易FCFはマイナス0.64億ドルでした。2027年度通期の調整後EPS予想は1.15~1.35ドルであり、現在の年間換算配当1.64ドルよりも低い水準です。[4][3][2]

一方、2026年8月末時点で約83.68億ドルの現金・短期投資を保有し、2027年度Q1の自社株買いを停止した点は短期的な資金繰りの柔軟性を示します。事業再編「Pace」の効果が現れるかも重要です。[3][2]

投資家への示唆:配当利回りの高さだけで判断せず、次回配当の正式発表、2027年度の利益予想の変化、営業CF・FCF、中国・直販・在庫の改善状況を継続的に確認する必要があります。現時点で減配が決まったわけではありませんが、従来の二桁増配を当然視できる経営環境ではありません。

よくある質問

ナイキの現在の配当利回りは何%ですか?

2026年10月7日終値34.36ドルと年間換算配当1.64ドルを使うと、予想配当利回りは約4.77%です。これは配当額据え置きを仮定した計算で、株価と将来の配当額によって変わります。[5]

ナイキの配当月はいつですか?

最近の配当支払月は通常1月・4月・7月・10月です。直近の支払日は2026年10月1日でした。次回の支払日は2026年10月8日時点で正式発表されていません。[1]

ナイキの権利落ち日はいつですか?

直近の権利落ち日と基準日は2026年9月1日です。次回の権利落ち日は次の配当宣言などを確認してください。[1][5]

2026年度の1株配当はいくらですか?

2026年5月期に宣言された年間配当は1株1.63ドルです。現在の四半期配当0.41ドルを4倍した年間換算額は1.64ドルです。[1][4]

ナイキ株を100株保有すると配当金はいくらですか?

現在の年間換算配当1.64ドルが維持された場合、100株当たりの年間配当金は164ドルです。

これは米国と日本の税金、証券会社の手数料、為替変動を考慮する前の金額です。

ナイキに株主優待はありますか?

ナイキの公式な株主還元資料では、日本企業でみられる商品券や自社製品などの株主優待制度は案内されていません。

株主還元の中心は、現金配当と自社株買いです。2026年度は配当を優先し、自社株買いを大幅に抑制しました。[4][7]

24年連続増配の記録は今後も続きますか?

連続増配24年は2025年11月時点の実績です。2026年度の配当性向は約78%で、2027年度Q1の簡易FCFもマイナスとなりました。会社の2027年度調整後EPS予想1.15~1.35ドルは現在の年間換算配当1.64ドルより低く、次の増配が保証される状況ではありません。一方、2026年8月末の現金・短期投資83.68億ドルには一定の余裕があり、減配が決定したわけでもありません。[1][2][3]

2026年度Q4は大幅増益だったのではありませんか?

報告ベースでは大幅増益でしたが、EPS0.72ドルのうち0.52ドルはIEEPA関税の回収見込みによる恩恵です。

通常の事業活動による利益回復とは分けて評価する必要があります。[4]

ナイキの事業再建は進んでいますか?

北米や一部競技向け商品には改善の兆しがあります。しかし2027年度Q1は減収で、中国・直販・Converseの売上減が続きました。会社は新たな組織改革「Pace」を発表し、2027年度通期売上高は一桁台後半の減少を予想しています。再建はなお途中段階です。[2]

配当と自社株買いの両方を続けられますか?

2026年度の現金配当支払額は24.07億ドル、自社株買いの現金流出は1.46億ドルでした。2027年度Q1には配当6.10億ドルを支払う一方、自社株買いは実施していません。利益・キャッシュフロー回復まで配当と流動性を優先する動きが続く可能性があります。[7][3]

※本記事は投資判断の参考として財務データを分析したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資にあたってはご自身の判断で検討してください。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。

記事中の通期財務指標は主に2026年度Form 10-K、直近四半期の数値は2027年度Q1決算資料および2026年10月2日提出のForm 10-Qによります。配当・事業見通しは2026年10月8日までに公表された資料、株価は2026年10月7日終値です。

※ナイキは5月決算企業のため、本記事の「2026年度」は2026年5月期、「2027年度Q1」は2026年6~8月期を指します。

【注】(出典リンク)

  1. 直近配当・連続増配 → NIKE 配当宣言(2026-08-06)/NIKE 増配発表(2025-11-20)(確認日:2026-10-08) ↩
  2. 2027年度Q1決算・Pace・最新通期見通し → NIKE FY2027 Q1 決算発表(2026-10-01)/SEC Exhibit 99.1(確認日:2026-10-08) ↩
  3. 2027年度Q1キャッシュフロー・財政状態・自社株買い → NIKE FY2027 Q1 Form 10-Q(SEC、2026-10-02)(確認日:2026-10-08) ↩
  4. 2026年度Q4・通期決算 → NIKE FY2026 Q4・通期決算(2026-06-30)/SEC Exhibit 99.1(確認日:2026-10-08) ↩
  5. 株価・配当履歴と利回り計算 → Stock Analysis:NKE終値(2026-10-07)/NIKE Stock Information/Stock Analysis:NKE Dividend History(確認日:2026-10-08) ↩
  6. 歴代配当・EPS・株式分割調整 → NIKE Stock Information/NIKE Annual Reports/NIKE SEC Filings(確認日:2026-10-08) ↩
  7. 2026年度通期財務諸表・CF → NIKE FY2026 Form 10-K(SEC、2026-07-15)(確認日:2026-10-08) ↩
  8. 2025年度財務・株主還元 → NIKE FY2025 Form 10-K(SEC)/NIKE FY2025決算発表(確認日:2026-10-08) ↩
  9. CFOと経理責任者の交代 → NIKE Form 8-K:CFO交代/NIKE Form 8-K:CAO退任(確認日:2026-10-08) ↩


Posted by 南 一矢