ABBV:アッヴィの配当推移

ヘルスケア,配当





AbbVie(ABBV)配当利回り・配当安全性分析 2026年8月更新


【2026年8月更新】重要なアップデート

  • 最新配当:AbbVieは2026年6月18日、四半期配当1株1.73ドルを宣言しました。基準日は2026年7月15日、支払日は2026年8月14日です。現在の四半期配当を年率換算すると6.92ドルです。[1]
  • 2026年Q2決算:売上高は169.90億ドル(前年同期比10.2%増)、GAAP希薄化EPSは2.03ドル、調整後希薄化EPSは3.65ドルでした。[2]
  • 2026年上半期:売上高は319.92億ドル、AbbVieに帰属する純利益は43.08億ドル、GAAP希薄化EPSは2.42ドル、調整後希薄化EPSは6.30ドルでした。[2]
  • 2026年ガイダンス:通期の調整後希薄化EPS見通しは13.87~14.07ドルです。Apogee Therapeutics買収による0.14ドルの希薄化を見込む一方、既存事業の上振れ0.10ドルが大部分を相殺しています。[2]
  • 成長ドライバー:2026年Q2のSkyrizi売上は55.05億ドル(前年同期比24.4%増)、Rinvoqは25.25億ドル(同24.5%増)でした。Humiraは7.56億ドル(同35.9%減)まで縮小しましたが、SkyriziとRinvoqの増収がHumiraの減収を上回っています。[2]
  • 株価と参考利回り:2026年7月31日終値250.94ドルを基準にすると、年率配当6.92ドルに対する参考配当利回りは約2.76%です。[3]
  • キャッシュフロー:2026年Q2決算リリースには詳細なキャッシュフロー計算書と貸借対照表が含まれていないため、CF・BSの最新詳細値には2026年Q1 Form 10-Qを使用しています。2026年Q1の営業CFは38.29億ドル、設備投資は2.65億ドル、概算フリーCFは35.64億ドルでした。[4]

医薬品企業の配当持続性は、現在の売上高だけでなく、主力薬の特許存続期間、後継製品の成長、研究開発パイプライン、買収に伴う債務負担によって左右されます。

AbbVieはHumiraのバイオシミラー競争による減収を、Skyrizi、Rinvoq、Vraylar、Botox Therapeutic、Qulipta、Vyalevなどの成長で補う戦略を進めています。2026年Q2では免疫領域とニューロサイエンス領域の成長が続き、Humira後の事業構造への移行は一段と進みました。[2]

長期の配当推移(2013~2026年)

AbbVieは2013年にAbbott Laboratoriesから分社化しました。このため、AbbVie単体の配当実績は2013年以降です。S&P配当貴族指数ではAbbott時代からの系列が考慮されていますが、AbbVieという法人としての支払履歴と、分社化前を含む連続増配年数は分けて理解する必要があります。[1]

年間配当(1株)と増配率の推移

年間配当($) 前年比 コメント
2013 1.60 AbbVie分社化初年
2014 1.66 +4%
2015 2.02 +22%
2016 2.28 +13%
2017 2.56 +12%
2018 3.59 +40% 年途中に大幅増配
2019 4.28 +19%
2020 4.72 +10% Allergan買収完了
2021 5.20 +10%
2022 5.64 +8%
2023 5.92 +5%
2024 6.20 +5% 四半期1.55ドル×4回
2025 6.56 +6% 四半期1.64ドル×4回
2026e 6.92 +5.5% 現行ランレート。四半期1.73ドル×4回

2026年に支払済みまたは支払日が確定している配当は、2026年2月17日、5月15日、8月14日の各1.73ドルで、合計5.19ドルです。2026年通期の6.92ドルは、第4回目も1.73ドルが支払われると仮定した年率換算値です。[1]

2025年の年間配当は支払日ベースで6.56ドルでした。一方、2025年中に宣言された配当には、2026年2月17日に支払われた1.73ドルが含まれます。配当実績を比較するときは、「宣言した年」と「実際に支払った年」のどちらを基準にしているかを確認する必要があります。[5]

配当性向はGAAP EPSだけで判断しない

医薬品企業では、買収した無形資産の償却、仕掛研究開発費、マイルストーン支払い、条件付対価の公正価値変動、訴訟費用などにより、GAAP純利益とEPSが大きく変動することがあります。

2026年上半期のGAAP希薄化EPSは2.42ドルでしたが、調整後希薄化EPSは6.30ドルでした。両者の差には、無形資産償却、条件付対価の公正価値変動、取得IPR&D・マイルストーン費用などが含まれます。[2]

現在の年率配当6.92ドルを2026年の調整後EPSガイダンス13.87~14.07ドルで割ると、調整後EPSベースの配当性向は約49~50%です。調整後EPSだけで安全性が決まるわけではありませんが、現在の配当水準には一定の余裕があります。

年次の配当支払額とフリーCF対配当カバー(2013~2026年)

配当総額はキャッシュフロー計算書の支払額を優先し、古い年については年間配当と平均株式数を用いた概算を含みます。フリーキャッシュフロー(FCF)は「営業CF-設備投資」で計算しています。[4][5]

フリーCF対配当カバーと営業CF対配当カバー

年・期間 キャッシュフロー(M$) 配当支払額
(M$)
カバー比率
営業CF 設備投資 FCF FCF/配当 営業CF/配当
2026 Q1 3,829 265 3,564 3,086 1.16 1.24
2025 19,030 1,214 17,816 11,657 1.53 1.63
2024 18,806 974 17,832 11,025 1.62 1.71
2023 22,839 777 22,062 10,539 2.09 2.17
2022 24,943 1,100 23,843 10,107 2.36 2.47
2021 22,777 1,300 21,477 9,399 2.29 2.42
2020 17,588 1,500 16,088 8,518 1.89 2.06
2019 13,324 1,200 12,124 6,497 1.87 2.05
2018 13,427 1,100 12,327 5,457 2.26 2.46
2017 9,960 1,000 8,960 4,096 2.19 2.43
2016 7,041 1,300 5,741 3,671 1.56 1.92
2015 7,535 1,200 6,335 3,293 1.92 2.29
2014 3,549 1,000 2,549 2,706 0.94 1.31
2013 6,267 900 5,367 2,528 2.12 2.48

2026年Q1の読み方:営業CF38.29億ドルから設備投資2.65億ドルを差し引いた概算FCFは35.64億ドルでした。配当支払額30.86億ドルに対するFCFカバーは1.16倍です。[4]

年間ベースの2025年は1.53倍だったため、2026年Q1だけを見ると余裕が縮小したように見えます。ただし、四半期の営業CFは運転資金、税金、賞与、訴訟関連支払い、条件付対価の支払い時期によって変動します。配当安全性は単一四半期ではなく、通期または複数四半期で評価する必要があります。

配当カバーの評価

  • 2025年通期では十分なカバー:FCF178.16億ドルに対し、配当支払額は116.57億ドルでした。
  • 2026年Q1もFCFの範囲内:FCFカバーは1.16倍で、配当支払額を上回っています。
  • 余剰幅は以前より縮小:2021~2023年のFCFカバーはおおむね2倍以上でしたが、2024年以降は1.5倍前後へ低下しています。
  • 自社株買いも資金を使用:AbbVieは2026年Q1に約11億ドルで500万株を買い戻しました。配当だけでなく、自社株買いを含めた総還元額を確認する必要があります。[4]
  • Apogee買収が新たな資金需要:約109億ドルの買収が予定されており、買収後の負債、金利負担、統合費用が将来の配当余力に影響します。[2]

業績の長期推移(2013~2026年)

2025年まではForm 10-K、2026年上半期の売上高・純利益は2026年7月31日に公表されたQ2決算資料に基づいています。2026年上半期の詳細な営業CFはQ2決算リリースでは開示されていないため、表では空欄としています。[2][5]

売上高・営業CF・純利益

年・期間 売上高
(M$)
営業CF
(M$)
営業CF
マージン
AbbVie帰属
純利益(M$)
2026 H1 31,992 4,308
2025 61,160 19,030 31% 4,233
2024 56,334 18,806 33% 4,286
2023 54,318 22,839 42% 4,873
2022 58,054 24,943 43% 11,836
2021 56,197 22,777 41% 11,542
2020 45,804 17,588 38% 4,616
2019 33,266 13,324 40% 7,882
2018 32,753 13,427 41% 5,687
2017 28,216 9,960 35% 5,309
2016 25,638 7,041 27% 5,953
2015 22,859 7,535 33% 5,144
2014 19,960 3,549 18% 1,774
2013 18,790 6,267 33% 4,128

2026年上半期の売上高319.92億ドルは、前年同期の287.66億ドルから約11.2%増加しました。AbbVieに帰属する純利益は43.08億ドルで、前年同期の22.24億ドルを大きく上回りました。[2]

純利益の増加には事業成長に加え、条件付対価の公正価値変動などの会計要因も影響しています。2026年上半期の調整後EPSは6.30ドルで、前年同期の5.43ドルから約16%増加しました。[2]

2026年Q2の主要業績

指標 2026年Q2 前年同期比
売上高 16,990M$ +10.2%
GAAP営業利益 6,432M$ +31.4%
AbbVie帰属純利益 3,613M$ +285.2%
GAAP希薄化EPS 2.03ドル +290.4%
調整後希薄化EPS 3.65ドル +22.9%
GAAP営業利益率 37.9% 前年同期31.7%
調整後営業利益率 48.3%

2026年Q2は売上高だけでなく、GAAP営業利益率と調整後EPSも改善しました。取得IPR&D・マイルストーン費用は2.91億ドルで、調整後EPSに対して1株0.17ドルのマイナス影響を与えています。[2]

BS・CFの補足(読み方とABBVの特性)

バランスシート指標(M$/比率)

年・時点 総資産 総負債 株主資本 自己資本率 負債比率
2026年3月末 136,463 143,075 -6,656 -4.9% 算出困難
2025年末 133,960 137,188 -3,270 -2.4% 算出困難
2024年末 135,161 131,797 3,325 2.5% 3,964%
2023年末 134,711 124,314 10,397 7.7% 1,196%
2022年末 138,805 121,518 17,287 12.5% 703%
2021年末 146,529 131,093 15,436 10.5% 849%
2020年末 150,565 137,468 13,076 8.7% 1,051%
2019年末 89,115 97,287 -8,172 -9.2% 算出困難
2018年末 59,352 67,798 -8,446 -14.2% 算出困難
2017年末 70,786 65,689 5,097 7.2% 1,289%
2016年末 66,099 61,463 4,636 7.0% 1,326%
2015年末 53,050 49,105 3,945 7.4% 1,245%
2014年末 27,513 25,771 1,742 6.3% 1,479%
2013年末 29,198 24,706 4,492 15.4% 550%

総負債に対して非支配持分が別に計上されているため、「総資産-株主資本」と総負債が完全には一致しません。負債比率は総負債÷株主資本で計算し、株主資本がマイナスの年は「算出困難」としています。

2026年3月末の総資産は1,364.63億ドル、総負債は1,430.75億ドル、AbbVie株主に帰属する株主資本はマイナス66.56億ドルでした。2025年末のマイナス32.70億ドルから、株主資本のマイナス幅が拡大しています。[4]

2026年Q1には30.86億ドルの配当支払いと14.89億ドルの自己株式取得が行われました。GAAP利益がプラスでも、利益を上回る配当、自社株買い、その他の包括利益、買収会計などによって株主資本が減少する場合があります。[4]

株主資本がマイナスでも、直ちに資金繰り危機とは限らない

AbbVieは、のれん・無形資産の比率が高く、配当と自社株買いによる資本還元も大きい企業です。このため、会計上の株主資本は事業の現金創出力とは異なる動きをすることがあります。

ただし、株主資本がマイナスである以上、財務評価では自己資本率よりも、営業CF、FCF、現金残高、債務残高、支払利息、債務返済期限を重視する必要があります。

2026年3月末の主要財務項目

  • 現金及び現金同等物:93.91億ドル
  • 長期債務の流動部分:83.26億ドル
  • 長期債務:645.32億ドル
  • 有利子負債合計:約728.58億ドル
  • 概算ネット有利子負債:約634.67億ドル
  • 2026年Q1の支払利息を含む純支払利息:6.45億ドル

AbbVieは2026年3月に総額約80億ドルの長期債を発行しました。債務返済資金や企業買収などに使用できる現金を確保した一方、有利子負債と将来の金利負担は増加しています。[4]

キャッシュフロー計算書(抜粋:営業・投資・財務、M$)

年・期間 営業CF 投資CF 財務CF
2026 Q1 3,829 -574 919
2025 19,030 -6,643 -12,724
2024 18,806 -20,820 -5,211
2023 22,839 -2,009 -17,222
2022 24,943 -623 -24,803
2021 22,777 -2,344 -19,039
2020 17,588 -37,557 -11,501
2019 13,324 596 18,708
2018 13,427 -1,006 -14,396
2017 9,960 -274 -5,512
2016 7,041 -6,074 -3,928
2015 7,535 -12,936 5,752
2014 3,549 -926 -3,293
2013 6,267 879 -3,442
  • 2026年Q1の営業CF:38.29億ドルで、前年同期の16.35億ドルから増加しました。増収、運転資金のタイミング、訴訟関連支払いの減少が主因です。[4]
  • 設備投資負担は比較的小さい:2026年Q1の設備投資は2.65億ドルで、営業CFの約7%でした。
  • 財務CFがプラス:2026年Q1は長期債約79.91億ドルの発行が、配当、自社株買い、短期借入金返済による流出を上回りました。
  • 配当の源泉は営業CF:研究開発型医薬品企業であるAbbVieは設備投資額が製造業ほど大きくなく、営業CFの多くを配当、買収、債務返済、自社株買いへ配分できます。
  • 買収の年は投資CFが大きく変動:2020年のAllergan買収、2024年のCerevel・ImmunoGen関連支出などにより、投資CFは年ごとに大幅に変化しています。

AbbVieのビジネス構造と成長ドライバー

免疫領域:SkyriziとRinvoqが成長の中心

製品・事業 2026年Q2売上高 前年同期比
免疫領域全体 8,786M$ +15.1%
Skyrizi 5,505M$ +24.4%
Rinvoq 2,525M$ +24.5%
Humira 756M$ -35.9%

2026年Q2のSkyriziとRinvoqの合計売上高は80.30億ドルで、前年同期の64.51億ドルから15.79億ドル増加しました。一方、Humiraは前年同期の11.80億ドルから7.56億ドルへ4.24億ドル減少しています。

SkyriziとRinvoqの増収額がHumiraの減収額を大きく上回っており、Humira依存からの移行は数字の上でも明確になっています。[2]

ニューロサイエンス:第2の成長エンジン

  • ニューロサイエンス売上高:2026年Q2は32.28億ドルで、前年同期比20.3%増でした。
  • Vraylar:10.71億ドル、前年同期比18.9%増。
  • Botox Therapeutic:10.42億ドル、同12.2%増。
  • Ubrelvy:3.92億ドル、同16.0%増。
  • Qulipta:3.50億ドル、同30.9%増。
  • Vyalev:2.56億ドルとなり、パーキンソン病領域の新たな成長製品になっています。[2]

オンコロジー:製品ごとの差が拡大

  • オンコロジー全体:2026年Q2売上高は16.50億ドルで、前年同期比1.5%減でした。
  • Venclexta:7.71億ドル、前年同期比11.6%増。
  • Imbruvica:5.32億ドル、同29.4%減。
  • Elahere:2.11億ドル、同33.1%増。
  • Epkinly:1.03億ドル、同46.8%増。

オンコロジー領域ではImbruvicaの減収が続く一方、Venclexta、Elahere、Epkinlyが成長しています。新製品の伸びがImbruvicaの減収を完全に補えるかが重要です。[2]

エステティクス:回復は限定的

  • エステティクス全体:2026年Q2売上高は12.82億ドルで、報告ベースでは0.3%増、為替影響を除く事業ベースでは0.9%減でした。
  • Botox Cosmetic:7.28億ドル、前年同期比5.2%増。
  • Juvederm:2.45億ドル、同6.0%減。

Botox Cosmeticは回復しましたが、Juvedermの減収が続いています。美容医療は保険償還薬と異なり、消費者心理、可処分所得、競合製品の影響を受けやすい事業です。[2]

Apogee Therapeutics買収

AbbVieは2026年6月、Apogee Therapeuticsを総株式価値約109億ドルで買収する契約を発表しました。取引は2026年Q3の完了が見込まれています。[2]

Apogeeの主力候補zumilokibart(APG777)は、アトピー性皮膚炎を対象とする長時間作用型の抗IL-13抗体です。ほかにも喘息などを対象とした免疫疾患パイプラインを保有しています。

買収によりAbbVieはSkyrizi、Rinvoqに続く次世代の免疫領域パイプラインを強化できます。一方、臨床試験の失敗、承認の遅れ、競合薬との差別化不足、買収価格に見合う売上を得られないリスクがあります。

用語ミニ解説

  • 特許切れ(Patent Cliff):独占販売期間の終了により、後発医薬品やバイオシミラーとの競争が始まり、売上高が大幅に減少する局面です。
  • 調整後EPS:無形資産償却、取得IPR&D、条件付対価の変動など、会社が指定した項目を除いた1株利益です。
  • FCF:営業キャッシュフローから設備投資を差し引いた値です。配当、買収、債務返済、自社株買いに使用できる資金の目安になります。
  • IPR&D:買収やライセンス契約で取得した開発段階の研究資産に関する費用です。短期的にGAAP利益と調整後EPSを押し下げる場合があります。
  • 条件付対価:買収した薬の承認や売上目標の達成などに応じて、将来追加で支払う金額です。見積価値の変化が損益に計上されます。

配当の安全性:シナリオ別の見立て

2026年Q2決算後の通期調整後EPSガイダンスは13.87~14.07ドルです。年率配当6.92ドルに対する調整後EPSベースの配当性向は約49~50%であり、利益面では一定の余裕があります。[2]

一方、2026年Q1のFCFカバーは1.16倍でした。四半期単位の変動はありますが、配当支払後に残るFCFの余裕は、2021~2023年に比べて小さくなっています。今後はApogee買収に伴う支出と負債負担も加わるため、調整後EPSだけでなくCFと債務の確認が重要です。

ベースシナリオ

  • SkyriziとRinvoqが20%前後の成長を続け、Humiraの減収を吸収する。
  • ニューロサイエンス領域が2桁成長を維持する。
  • 調整後EPSは会社見通しの13.87~14.07ドル付近で着地する。
  • FCFカバーが年間で1.4~1.6倍程度を維持する。
  • 年率5%前後の緩やかな増配が継続する。

逆風シナリオ

  • SkyriziまたはRinvoqの成長が競合薬、価格交渉、保険償還条件によって鈍化する。
  • HumiraとImbruvicaの減収が予想以上に進む。
  • Apogee買収後のパイプラインが臨床試験で期待した結果を示さない。
  • 買収資金による債務と金利負担が増加する。
  • IRAによる薬価交渉、訴訟、減損、研究開発失敗がCFを圧迫する。
  • 増配率が1~3%程度に鈍化する可能性がある。

追い風シナリオ

  • SkyriziとRinvoqの適応拡大により、会社予想を上回る成長が続く。
  • Vyalev、Qulipta、Vraylar、Elahere、Epkinlyなどの新製品が拡大する。
  • Apogeeの免疫パイプラインが良好な臨床結果を示す。
  • エステティクス市場が本格回復する。
  • FCFが配当増加を上回って成長し、債務削減と増配を両立できる。

主要リスクとモニタリングKPI

主要リスク

  • 米国の薬価交渉制度と保険償還条件の変化
  • Skyrizi、Rinvoqなど主力薬への競合参入
  • 将来の特許切れとバイオシミラー競争
  • 研究開発・承認・上市の失敗
  • Apogee買収資産の減損と統合リスク
  • 債務増加と金利負担
  • 訴訟、製造、品質、規制対応コスト
  • エステティクス市場の景気感応度
  • 為替変動

確認したいKPI

  1. SkyriziとRinvoqの売上成長率
  2. HumiraとImbruvicaの減収額
  3. ニューロサイエンス領域の成長率
  4. 調整後EPSガイダンス
  5. 営業CFとFCF
  6. FCF/配当カバー比率
  7. 現金、有利子負債、純有利子負債
  8. 支払利息
  9. Apogee買収完了後の財務計画
  10. 新薬の臨床試験、申請、承認、上市の進捗

まとめ:配当重視投資家にとってのABBV

  • 配当実績:AbbVieは2013年の分社化以降、毎年配当を増やしてきました。現在の四半期配当は1.73ドル、年率換算では6.92ドルです。
  • 現在の利回り:2026年7月31日終値250.94ドルを基準にした参考配当利回りは約2.76%です。
  • 利益カバー:2026年調整後EPSガイダンスに対する配当性向は約49~50%で、利益面では一定の余裕があります。
  • CFカバー:2025年通期のFCFカバーは1.53倍、2026年Q1は1.16倍でした。配当はFCFの範囲内ですが、余裕は以前より縮小しています。
  • 成長の中心:SkyriziとRinvoqがHumiraの減収を上回る成長を続け、ニューロサイエンスも第2の成長エンジンになっています。
  • 財務面の注意:2026年3月末の株主資本はマイナス66.56億ドルで、有利子負債は約728.58億ドルでした。
  • 新たな変化:約109億ドルのApogee買収により免疫領域の将来性が高まる一方、債務、統合、臨床開発のリスクも増加します。

投資判断のポイント

AbbVieは、Humira後の成長移行を進めながら、比較的高い配当と増配を続けている医薬品企業です。2026年Q2ではSkyrizi、Rinvoq、ニューロサイエンスが成長し、売上高と調整後EPSはいずれも2桁成長となりました。

現在の調整後EPSベースの配当性向は約49~50%であり、直ちに減配が懸念される水準ではありません。一方、FCFカバーは以前より低下し、株主資本はマイナス、債務残高も大きくなっています。

したがって、AbbVieは単純な「高利回り株」としてではなく、主力薬の成長、研究開発、企業買収、負債管理によって将来の配当余力が変化する医薬品配当株として評価する必要があります。

配当投資では、利回りだけでなく、SkyriziとRinvoqの成長率、FCF/配当カバー、純有利子負債、Apogee買収後の財務計画を継続的に確認することが重要です。

免責事項

免責事項:本記事は公開情報を基に財務データ、配当政策、事業動向を分析したものであり、特定の金融商品の購入または売却を推奨するものではありません。医薬品企業の業績は、臨床試験、承認、特許、訴訟、薬価制度、競合製品などによって大きく変動します。投資にあたっては最新のForm 10-K、Form 10-Q、決算資料などを確認し、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。

【注】(出典リンク)

  1. 配当額・支払日・長期配当履歴 → 一次情報:AbbVie「AbbVie Declares Quarterly Dividend」(2026-06-18)AbbVie IR「Stock Information / Dividend History」(確認日:2026-08-03)
  2. 2026年Q2・上半期決算、製品別売上、通期ガイダンス、Apogee買収 → 一次情報:AbbVie「AbbVie Reports Second-Quarter 2026 Financial Results」(確認日:2026-08-03)
  3. 2026年7月31日株価・参考配当利回り → 一次情報:AbbVie IR「Stock Information」 → 二次情報:MarketWatch「AbbVie Inc. stock underperforms Friday」(確認日:2026-08-03)
  4. 2026年Q1キャッシュフロー・貸借対照表・債務・自社株買い → 一次情報:SEC EDGAR「AbbVie Form 10-Q for the quarter ended March 31, 2026」(確認日:2026-08-03)
  5. 2025年通期財務データ・配当支払額・長期CF・BS → 一次情報:SEC EDGAR「AbbVie Form 10-K for the year ended December 31, 2025」AbbVie「Full-Year and Fourth-Quarter 2025 Financial Results」(確認日:2026-08-03)


Posted by 南 一矢