ABBV(アッヴィ)今後の見通し

バイオ製薬&ゲノム,ヘルスケア,株価•決算

アッヴィ(AbbVie Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

直近決算

ABBV(アッヴィ)は4月29日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想2.59$→結果2.65$
・売上高:予想147.3億$→結果150億$(前年同期比+12%)
★ガイダンス
《通年》
・EPS:予想14.21$→結果14.08~14.28$
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。

企業概要

アッヴィ(AbbVie Inc.:NYSE: ABBV)は、米イリノイ州ノースシカゴに本社を置く大手バイオ医薬品企業です。2013年にアボット・ラボラトリーズから分社して発足し、現在は免疫・腫瘍・神経科学・美的医療(Allergan Aesthetics)・眼科などを重点領域として、同社製品は175超の国で治療に用いられています。2025年通期の売上高は611.60億ドル、2026年Q1の売上高は150.02億ドルでした。[1][2]

経営体制では、2024年7月にロバート・A・マイケル氏がCEOに就任し、前CEOのリチャード・ゴンザレス氏はエグゼクティブ・チェアマンへ移りました。その後、マイケル氏は2025年7月1日付で取締役会会長(Chairman)も兼務し、ゴンザレス氏は同日付で取締役を退任しました。[3]

成長ドライバーは免疫領域のSkyrizi(リサンキズマブ)Rinvoq(ウパダシチニブ)です。2025年通期はSkyriziが175.62億ドル、Rinvoqが83.04億ドルへ拡大し、Humiraのバイオシミラー競合による減収を補いました。2026年Q1もSkyriziが44.83億ドル、Rinvoqが21.19億ドルと高成長が続いています。一方、Humiraの2026年Q1売上は6.88億ドルで、前年同期比38.6%減でした。[4][2]

腫瘍領域ではVenclexta(ロシュと共同)が伸長する一方、Imbruvicaは競合増や米メディケア薬価交渉の影響を受けやすい局面にあります。Imbruvicaは初回適用年2026年の米メディケア薬価交渉対象に選定されており、J&J(ヤンセン)との50/50の損益折半契約も踏まえて収益動向を見る必要があります。2026年Q1のVenclexta売上は7.70億ドル、Imbruvica売上は5.56億ドルでした。[5][2]

神経科学では抗精神病薬Vraylar、片頭痛治療薬Ubrelvy/Qulipta、治療用Botox Therapeuticなどを展開しています。2024年にはCerevel Therapeuticsの買収を完了し、パーキンソン病など中枢神経領域のパイプラインを拡充しました。2026年Q1の神経科学ポートフォリオ売上は28.75億ドルで、前年同期比26.0%増でした。[6][2]

オンコロジーの抗体薬物複合体(ADC)領域では、2024年にImmunoGen買収を完了し、卵巣がん向けADCELAHEREを獲得しました。2026年Q1のELAHERE売上は1.98億ドルでした。また、2025年にはc-Metを標的とするEmrelisが、特定の非小細胞肺がん向けに米FDAの加速承認を受けており、AbbVieはADCを腫瘍領域の重要な成長候補に位置づけています。[7][2]

感染症ではC型肝炎治療薬Mavyretが、2025年に急性HCVへの8週間治療で米FDA承認を獲得しました。急性または慢性HCVに対し、成人および3歳以上の小児で使える経口パンジェノタイプ直接作用型抗ウイルス薬として、感染症領域の主要製品の一つです。[8]

主な事業領域

  • 免疫学:Skyrizi、Rinvoq、(レガシー)Humira。2026年Q1の免疫領域売上は72.90億ドルで、SkyriziとRinvoqが成長の中心です。[2]
  • 腫瘍学:Venclexta、Imbruvica(J&Jと損益折半)、ELAHERE、Emrelisなど。Imbruvicaは減少基調ですが、VenclextaとADC製品が下支えしています。[5][7]
  • 神経科学:Vraylar、Ubrelvy、Qulipta、Botox Therapeutic、Vyalev、Cerevel由来パイプライン。2026年Q1にはVraylarが9.05億ドル、Botox Therapeuticが10.09億ドルでした。[2][6]
  • 美的医療・眼科:Botox Cosmetic、JUVÉDERM、眼科関連製品など。2020年のAllergan買収により取得した領域で、2026年Q1の美的医療ポートフォリオ売上は11.86億ドルでした。[9][2]
  • 希少疾患・その他:Horizon Therapeutics買収で加わったTEPEZZA、KRYSTEXXA、UPLIZNA、感染症のMavyretなど。希少疾患は買収後の収益多角化に貢献しています。[10]

社史とM&A(抜粋)

2013年にアボット・ラボラトリーズから分社。2020年にアラガンを買収し、Botox、JUVÉDERM、眼科関連資産、美的医療事業を取り込みました。2023年10月にはHorizon Therapeuticsを買収し、TEPEZZA、KRYSTEXXA、UPLIZNAなど希少疾患製品を加えました。2024年にはImmunoGen買収でELAHEREを取得し、Cerevel買収で神経科学パイプラインを強化しました。[9][10][7][6]

最近のトピック

  • 2025年通期売上高は611.60億ドル(前年比+8.6%)。SkyriziとRinvoqの合計売上は258.66億ドルとなり、Humira減収後の成長を支える主力製品になりました。[4]
  • 2026年Q1売上高は150.02億ドル(前年同期比+12.4%)、GAAP希薄化後EPSは0.39ドル、調整後希薄化後EPSは2.65ドルでした。買収関連のIPR&D・マイルストーン費用の影響を受けつつも、免疫・神経科学・美的医療が成長をけん引しました。[2]
  • 2026年通期の調整後希薄化後EPSガイダンスは、従来の13.96〜14.16ドルから14.08〜14.28ドルへ引き上げられました。[2]
  • Rinvoqについては、2025年9月に米国で後発品申請を行ったメーカーとの訴訟和解を発表し、一定条件のもとで米国での後発品参入は2037年4月より前には想定されないと説明されています。[11]
  • 2026年Q1には、Skyriziのクローン病向け皮下注導入療法、Rinvoqの重症円形脱毛症向け適応について、米FDAへの申請を発表しました。既存大型製品の適応拡大が、引き続き成長戦略の中心です。[2]

ミニ解説

  • ポートフォリオの新陳代謝:Humiraの特許崖は続いていますが、SkyriziとRinvoqがそれを上回る勢いで伸びています。2025年通期、両製品の合計売上は258.66億ドルとなり、AbbVieの新しい収益の柱になりました。
  • M&Aの狙い:Allerganで美的医療、Horizonで希少疾患、ImmunoGenでADC、Cerevelで神経科学を補強しました。Humira依存からの脱却を、内製品の適応拡大と買収の組み合わせで進めています。
  • 制度面の注目:Imbruvicaは米メディケア薬価交渉の初回対象であり、Otezlaなどにも薬価・償還政策の影響が出ています。高成長品の伸びだけでなく、価格政策・競合・特許期限を合わせて見る必要があります。

【注】(出典リンク)

  1. 会社概要・本社所在地・重点領域・175超の国での展開 → AbbVie公式「Who We Are」AbbVie公式「Locations」(確認日:2026-05-10)
  2. 2026年Q1業績・製品別売上・2026年EPSガイダンス → AbbVie Reports First-Quarter 2026 Financial ResultsAbbVie Financial Releases(確認日:2026-05-10)
  3. Robert A. MichaelのCEO就任・会長兼務 → CEO就任リリース会長就任リリース(確認日:2026-05-10)
  4. 2025年通期業績・Skyrizi/Rinvoq/Humira売上 → AbbVie Reports Full-Year and Fourth-Quarter 2025 Financial ResultsAbbVie Annual Report & Proxy(確認日:2026-05-10)
  5. Imbruvica・Venclexta・メディケア薬価交渉 → CMS Selected Drugs and Negotiated PricesAbbVie Q1 2026 Financial Results(確認日:2026-05-10)
  6. Cerevel買収・神経科学ポートフォリオ → AbbVie Completes Acquisition of Cerevel TherapeuticsAbbVie Q1 2026 Financial Results(確認日:2026-05-10)
  7. ImmunoGen買収・ELAHERE・Emrelis → AbbVie Completes Acquisition of ImmunoGenAbbVie 2025 Form 10-K(確認日:2026-05-10)
  8. Mavyret急性HCV適応拡大 → AbbVie Mavyret FDA ApprovalFDA Mavyret Label(確認日:2026-05-10)
  9. Allergan買収・美的医療事業 → AbbVie Completes Acquisition of AllerganAbbVie Q1 2026 Financial Results(確認日:2026-05-10)
  10. Horizon Therapeutics買収・希少疾患製品 → AbbVie Completes Acquisition of Horizon TherapeuticsAbbVie Q1 2026 Financial Results(確認日:2026-05-10)
  11. Rinvoq後発品訴訟和解・米国での後発品参入時期 → AbbVie 2025 Form 10-K(確認日:2026-05-10)

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢