NFLXとDISを比較:ネットフリックスとウォルトディズニーの戦略の違いとは

銘柄比較

NFLXとDISを違いを踏まえて比較します。(2025年6月更新)

ネットフリックス(Netflix Inc.)とウォルトディズニー(The Walt Disney Company)は動画配信企業の代表格です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移(VOX:Vanguard Communication Services Index Fund ETFを含めて比較)

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。

株価推移や成長率比較については以下の関連記事を参照

NFLX:ネットフリックス 今後の見通し

DIS:ウォルトディズニー 今後の見通し

決算(予想:結果)

決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照

ネットフリックス(NFLX)決算:予想と結果 売上&EPS

ウォルトディズニー(DIS)決算:予想と結果 売上&EPS

【エンタメ巨人対決】ネットフリックス(NFLX) vs ディズニー(DIS)!ストリーミングの王か、メディアの帝国か?

世界のエンターテイメント業界の覇権を争う2大巨人、ネットフリックス(NFLX)ウォルト・ディズニー・カンパニー(DIS)。「ストリーミング」という戦場で激突する両社ですが、その成り立ち、事業構造、そして収益源は全く異なります。

本記事では、ストリーミングのパイオニアとして確固たる地位を築くネットフリックスと、テーマパークから映画、スポーツまでを網羅する巨大メディア帝国ディズニーの、業績、戦略、そして投資対象としての魅力を徹底的に比較・分析します。

最重要ポイント:ビジネスモデルの決定的な違い

  • ネットフリックス (NFLX) → ストリーミング専業
    事業はストリーミング配信サービスがほぼ100%。有料会員からのサブスクリプション収入と、広告付きプランからの広告収入が収益の全てです。「いかに多くの会員を獲得し、満足させて維持するか」という一点に集中した、純粋なテクノロジー・メディア企業です。
  • ディズニー (DIS) → 総合エンターテイメント帝国
    事業は大きく3つの柱で構成されます。①テーマパーク・リゾート事業(Experiences)、②ストリーミングや映画・TV事業(Entertainment)、③スポーツ専門チャンネルESPN(Sports)。ストリーミングはあくまで一部であり、特に利益の大部分はテーマパーク事業が生み出しています。

配当方針の違い:無配のNFLX、復活のDIS

株主還元に対する姿勢も対照的です。

  • ネットフリックス → 配当なし
    創業以来、一度も配当を支払っていません。利益は全てコンテンツ制作や技術開発に再投資する「グロース株」です。
  • ディズニー → 2024年に配当を復活
    長年安定した配当を支払っていましたが、コロナ禍でテーマパーク事業が大打撃を受けた2020年に配当を停止。その後、業績の回復を受けて2024年に少額ながら配当を復活させました。

比較サマリー:集中戦略のNFLX、分散戦略のDIS

項目 ネットフリックス (NFLX) ディズニー (DIS)
事業内容 ストリーミング専業 テーマパーク、映画、ストリーミング等の複合体
現在の利益源 サブスクリプション収入 テーマパーク・リゾート事業
最大の課題 熾烈な競争とコンテンツ制作費の増大 ストリーミング事業の黒字化と、TV事業の衰退
配当方針 配当なし 2024年に配当を再開(利回りは低い)

業績と成長性の詳細分析

ネットフリックスはパスワード共有の禁止や広告付きプランの導入が成功し、再び成長軌道に乗っています。一方、ディズニーの売上はテーマパーク事業の好調に支えられていますが、ストリーミング事業はまだ投資段階にあります。

NFLX 売上高 (前年比) DIS 売上高 (前年比)
2024 $33.72 B (+6.7%) $88.90 B (+7.5%)
2023 $31.61 B (+6.5%) $82.72 B (+22.7%)
2022 $29.70 B (+18.8%) $67.42 B (+3.1%)
2021 $25.00 B (+24.0%) $65.39 B (-6.1%)
2020 $20.16 B $69.61 B

※B=10億ドル。両社は決算月が異なるため、各社会計年度に基づき比較しています。

結論:あなたに合うのはどちら?

両社への投資は、「ストリーミング事業そのもの」の将来性を買うか、「不滅のキャラクター帝国」の総合力を買うかの選択になります。

「ストリーミング」という事業の純粋な成長に賭けるなら → ネットフリックス (NFLX)

ストリーミングのパイオニアであり、すでに全世界で利益を出すビジネスモデルを確立しています。競合は多いものの、その地位は盤石です。配当はありませんが、事業の成長に集中した分かりやすいストーリーを好むグロース投資家に向いています。

「世界最強のIP(知的財産)」がもたらす総合力に賭けるなら → ディズニー (DIS)

ミッキーマウスからマーベル、スター・ウォーズまで、ディズニーが保有するIP(キャラクターや物語)は唯一無二の資産です。これらのIPは、テーマパーク、映画、グッズ、そしてストリーミングと、形を変えて何度も利益を生み出します。ストリーミング事業の黒字化という課題はありますが、帝国全体の底力を信じる長期投資家にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。


※本ページの分析は2025年6月9日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。

Posted by 南 一矢