OKTA(オクタ)今後の見通し
オクタ(Okta, Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
直近決算
OKTA(オクタ)は8月26日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想0.84$→結果0.91$
・売上高:予想7.12億$→結果7.28億$(前年同期比+13%)
★ガイダンス
《四半期》
・EPS:予想0.75$→結果0.74~0.75$
・売上高:予想7.23億$→結果7.28~7.3億$
《通年》
・EPS:予想3.28$→結果3.33~3.38$
・売上高:予想28.6億$→結果28.75~28.85億$
★出所
・IRプレスリリース
・予想値はstreet insider等を参照しました。
企業概要
オクタ(Okta, Inc.)は、クラウドベースのアイデンティティおよびアクセス管理(IAM)分野で世界的に知られる企業です。企業の従業員(Workforce)と顧客(Customer)の両面で、安全・快適なログイン体験と権限管理を提供します。上場はNASDAQ(ティッカー:OKTA)です。
組織や個人が安全かつ効率的にテクノロジーを利用できる環境を提供しており、近年はWorkforce Identity Cloud(WIC)とCustomer Identity Cloud(CIC/Auth0)の二本柱を明確化。Okta Integration Networkによる8,000以上の事前連携と19,000社超の顧客基盤が特徴です[2・3]。これにより、既存システムやSaaSとの接続、導入・運用の省力化が進みます。
主な事業として、クラウドベースのアイデンティティ管理サービスを提供しており、主な製品とサービスは次の通りです(機能名を現行呼称に更新)。
★ Okta Identity Cloud(=製品群の総称):
・Workforce Identity Cloud(社内ID向け)…SSO、Adaptive MFA、FastPass(パスワードレス)、Lifecycle Management(入社・異動・退職に伴う権限自動化)、Identity Governance(棚卸し・申請/承認)、Privileged Access(PAM)、Device Access、Identity Threat Protection with Okta AI(検知~自動対処)[4・5・6]。
・Customer Identity Cloud(Auth0)(顧客ID:CIAM)…パスキー/ソーシャルログイン、BOT/不正対策、Actions(拡張ルール)など、開発者が自社アプリに認証・認可を簡単に組み込める基盤。
★ シングルサインオン(SSO):一度の認証で複数アプリにアクセス。ヘルプデスク負荷(パスワードリセット)を抑え、統一ポリシーを適用可能。
★ 多要素認証(MFA/パスワードレス):FastPassやFIDO2/WebAuthn等のフィッシング耐性の高い認証で不正アクセスを抑止[5]。
★ ライフサイクル管理(LM):入社・異動・退職に合わせて権限を自動付与/回収し、過剰権限や“放置アカウント”を削減。
★ APIアクセス管理:OAuth/OIDC/SAML連携をベースに、細粒度の許可とトークン運用でAPIを保護。
初心者向けポイント:「SSO=共通入口」「MFA=合鍵でもう一段チェック」「LM=人の出入りに合わせ鍵の配布/回収を自動化」と覚えるとイメージしやすいです。
これらのサービスは主にAWS上で提供されつつ、WICはAWS/GCP/Azure対応のマルチクラウドで運用。CIC(Auth0)は標準のマルチテナントに加え、要件に応じAWS/Azureのシングルテナント・プライベートクラウドも選べます[12]。近年はOkta AIによる継続監視・自動対処(ログイン後もふるまい検知)を前面に出しています[4]。
社史をさかのぼると、Oktaは2009年にトッド・マッキノンとフレデリック・ケレストにより創業(前身はSaasure)。2017年4月にNASDAQへ上場。2021年にAuth0を買収して開発者向けCIAMを強化。2024年2月にはSpera Securityの買収を完了(アイデンティティ脅威検知/姿勢管理を補強)[10]、2025年9月4日にはAxiom Securityの買収をクローズし、PAM機能を拡張しました[11]。
セキュリティ面では、2023年10月にカスタマーサポートシステムへの不正アクセスが発生。当初は「1%未満(約134社)関連ファイルの閲覧」と公表→後日の更新で“サポートシステムの全ユーザーの氏名・メールを含むレポートDL”と追加報告(Auth0/CICサポートやFedRAMP High等は非該当)[7・8]。以降、OktaはSecure Identity Commitment等の取り組みで是正と標準化を推進しています[9]。
業績ハイライト:FY2025(期末2025/1)Q4売上は$682M(前年同期比+13%)、RPO+25%、営業・キャッシュフローは過去最高を更新するなど収益性が改善しました[1]。
競合比較(投資家向けざっくり地図)
- Microsoft Entra ID(旧Azure AD):M365/Windowsとのバンドル力と運用の一体感が最大の強み。外部IDはEntra External IDでCIAMも提供。強み=価格/統合、留意点=マルチクラウド/非MS環境での“中立性”[15・16]。
- Ping Identity(+ForgeRock):Thoma Bravo傘下で統合を進める老舗。複雑要件の大企業で強み。アクセス管理の評価も高い[17・18]。
- Cisco Duo:MFA/端末信頼・フィッシング耐性に強み。SSE/SASEやネットワーク領域と組み合わせやすい(※参考:Duo製品群)。
- CyberArk(PAM):特権ID管理の定番。OktaのPAM(Axiom統合後)と比較軸。
- AWS Cognito / Google Identity Platform(CIAM/開発者向け):クラウド/アプリ開発と親和性が高い“ビルド型”選択肢。強み=低レイヤ統合、留意点=ガバナンス/監査・業務運用は自前設計が増えがち[19・20]。
まとめ(競合の見立て):
・Okta=ベンダー中立・連携の広さ・運用自動化(LM/IGA)と開発者体験(Auth0)のバランス。
・Microsoft=コスト/統合に優位(ただし非MS資産が多い企業は“縛り”に注意)。
・Ping+ForgeRock=複雑要件・レガシー統合の安心感(製品統合の移行計画を要確認)。
・AWS/GCP=“作り込む自由”と引き換えに運用ガバナンスは自社設計が前提。
注
- 1. Okta FY2025 Q4/通期リリース(売上+13%、RPO+25%、FCF最高)。 ↩︎
- 2. Okta Integration Network(8,000+プリビルト連携)。 ↩︎
- 3. SSO製品ページ(More than 19,000 customers / 7,000+ integrations の表現)。 ↩︎
- 4. Identity Threat Protection with Okta AI(継続監視・自動対処)。 ↩︎ ↩︎
- 5. Okta FastPass(ヘルプ)(フィッシング耐性のあるパスワードレス)。 ↩︎ ↩︎
- 6. Okta Device Access(ヘルプ)。 ↩︎
- 7. 2023年10月インシデント更新(Oktaセキュリティブログ)。 ↩︎
- 8. Reuters:全サポートユーザーの氏名・メールを含むレポートDL。 ↩︎
- 9. Okta Secure Identity Commitment。 ↩︎
- 10. Spera Security買収(完了アナウンス)。 ↩︎
- 11. Axiom Security買収クローズ(2025/9/4更新)。 ↩︎
- 12. Secure Cloud Infrastructure(AWS/GCP/Azure対応)。 ↩︎
- 15. Microsoft Entra ID(Azure AD→Entra名称変更)。 ↩︎
- 16. Entra External ID(CIAM)。 ↩︎
- 17. Thoma Bravo:ForgeRockをPingへ統合。 ↩︎
- 18. Ping Identity:Access Management MQ リーダー掲載。 ↩︎
- 19. Amazon Cognito(開発者ガイド)。 ↩︎
- 20. Google Identity Platform(プロダクト概要)。 ↩︎
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】