TMO(サーモフィッシャーサイエンティフィック)今後の見通し
サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific, Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
銘柄比較については関連記事(DHRとTMOを比較:ダナハーとサーモフィッシャーサイエンティフィック)を参照
直近決算
7月23日(米国時間)にTMO(サーモフィッシャーサイエンティフィック)は決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想5.23$→結果5.36$
・売上高:予想106.8億$→結果108.5億$(前年同期比+3%)
★出所
・IRプレスリリース
・予想値はstreetinsider
企業概要
サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(以下、TMO/NYSE: TMO)は、ライフサイエンス研究、診断、環境・食品安全、製薬業界向けの機器・試薬・ソフトウェア・サービスを提供する世界的リーディングカンパニーです。本社(登記上の主たる事務所)は米国マサチューセッツ州ウォルサムにあります(住所:168 Third Avenue, Waltham, MA 02451)。[1]
2006年にThermo ElectronとFisher Scientificが統合して誕生し、研究開発から臨床診断、CDMOまで多岐にわたる分野で成長を継続。2024通期の連結売上高は約428.8億ドル(前年比横ばい)で、2025年Q2は売上高108.5億ドル(+3%)、GAAP EPS 4.28ドルでした(有機成長率+2%)。[2][3]
TMOは、ライフサイエンス、診断、研究機器市場で高いシェアを持ち、従業員数は約12.5万人(2024通期時点)です。[4]
その主要事業セグメントと製品・サービスは以下の通りです(2024通期〜2025年Q2の報告区分)。[5]
★ライフサイエンス・ソリューションズ(Life Sciences Solutions):研究用試薬、実験機器、DNA解析、細胞培養製品、バイオプロダクション等。2024年7月に次世代プロテオミクスのOlinkを買収完了し、本セグメントに編入、プロテインバイオマーカー探索の能力を強化。[5][6]
★分析機器(Analytical Instruments):質量分析、クロマトグラフィー、分光分析、電子顕微鏡など。材料科学・半導体・ライフサイエンス等の高精度計測を支える中核機器群。[5]
★専門診断(Specialty Diagnostics):感染症・腫瘍・遺伝子等の診断用試薬・機器。COVID-19後は基礎需要へ回帰しポートフォリオ最適化を継続。[5]
★ラボ製品・バイオ医薬品サービス(Laboratory Products & Biopharma Services, LPBS):実験消耗材・供給網、低温保管、ロジスティクス、CDMO(開発・製造)。2025年にはソルベントムの精製・濾過事業(年商約10億ドル)を約41億ドルで買収する計画を発表(クローズ見込み:2025年末)。Sanofiの米NJサイト取得発表など、製造能力強化も進行。[7][8]
TMOは経営戦略として以下を推進しています。
・革新的なライフサイエンス技術の開発:遺伝子編集、分子診断、プロテオミクス、バイオプロセス等への投資を継続(Olink統合を含む)。[6]
・グローバル市場での拡大:米・欧・アジアを中心に、生産・サービス拠点を拡充(米国での製造・研究投資強化、2025年4月発表)。[9]
・M&A戦略による成長:2014年Life Technologies、2017年Patheon、2021年PPD買収に加え、2024年Olink買収完了、2025年ソルベントム事業買収を発表。[6][7]
これらを支える全社的基盤として、TMO独自のPPI(Practical Process Improvement)ビジネスシステムを運用。継続的改善とオペレーショナル・エクセレンスでコスト・品質・供給を最適化します。[10]
沿革と足元の重点:Fisher Scientific(1902年創業)とThermo Electron(1956年設立)の統合(2006年)で総合力を確立。COVID-19関連需要は収束する一方、がん研究・個別化医療・プロテオミクス・CDMOが牽引。2025年は米国での製造投資拡大とポートフォリオ強化(プロセス濾過・無菌充填など)で成長継続を図ります。[2][3][7]
ミニ解説:四つのセグメント体制(LSS/AIS/SD/LPBS)は変わらず、2024通期はLPBSと分析機器がけん引。2025年はOlinkの寄与、プロセス濾過の拡充、米国製造能力の強化が注目点。短期は有機成長の改善とマージン管理、PPIでの供給安定化がテーマです。[5][3][10]
【注】(出典リンク)
- 本社所在地(Waltham, MA)・登記情報 → Form 10-K(2024年12月期)(確認日:2025-09-25) ↩
- 2024通期実績(売上$42.88B等) → IRニュース(2025-01-30)(確認日:2025-09-25) ↩
- 2025年Q2決算(売上$10.85B、GAAP EPS $4.28、有機+2%) → IRニュース(2025-07-23)(確認日:2025-09-25) ↩
- 従業員数(約125,000名) → 2024年年次報告(Annual Report, PDF)(確認日:2025-09-25) ↩
- 事業セグメント(LSS/AIS/SD/LPBS)と記述 → Form 10-K(2024年)該当箇所(確認日:2025-09-25) ↩
- Olink買収完了と編入(2024-07-10、LSSに統合) → IRニュース(2024-07-10)(確認日:2025-09-25) ↩
- ソルベントムの精製・濾過事業を約$4.1Bで買収へ(クローズ見込み:2025年末) → ロイター(2025-02-25)(確認日:2025-09-25) ↩
- Sanofiの米リッジフィールド製造サイト取得発表 → ロイター(2025-07-16)(確認日:2025-09-25) ↩
- 米国での投資拡大(雇用・R&D・製造能力) → IRニュース(2025-04-24)(確認日:2025-09-25) ↩
- PPIビジネスシステムの位置付け → Corporate: Our Company(PPI記載)(確認日:2025-09-25) ↩
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】