TMO(サーモフィッシャーサイエンティフィック)今後の見通し
サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific, Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
銘柄比較については関連記事(DHRとTMOを比較:ダナハーとサーモフィッシャーサイエンティフィック)を参照
直近決算
1月29日(米国時間)にTMO(サーモフィッシャーサイエンティフィック)は決算を発表しました。
★業績
《TMO(サーモフィッシャーサイエンティフィック)決算
(※医療機器大手)
★業績
《四半期》
・EPS:予想6.45$→結果6.57$
・売上高:予想118.9億$→結果122.1億$(前年同期比+7%)
★出所
・IRプレスリリース
・予想値はstreetinsider
企業概要
サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(以下、TMO/NYSE: TMO)は、ライフサイエンス研究、診断、環境・食品安全、製薬・バイオ医薬品業界向けの機器・試薬・ソフトウェア・サービスを提供する世界的リーディングカンパニーです。本社(登記上の主たる事務所)は米国マサチューセッツ州ウォルサムにあります(住所:168 Third Avenue, Waltham, MA 02451)。[1]
2006年にThermo ElectronとFisher Scientificが統合して誕生し、研究開発から臨床診断、CDMOまで多岐にわたる分野で成長を続けています。2025年通期の連結売上高は445.56億ドルで、2024年通期の428.79億ドルから4%増、有機成長率は2%でした。2026年Q1は売上高110.05億ドル(前年同期比+6%)、GAAP希薄化後EPS 4.43ドル、調整後EPS 5.44ドルでした(有機成長率+1%)。[2][3]
TMOは、ライフサイエンス、診断、研究機器、臨床研究支援、バイオ医薬品製造支援で広い顧客基盤を持ち、従業員数は約12.5万人です。2025年末時点では、米州に約5.9万人、アジア太平洋に約2.2万人、欧州・中東・アフリカに約4.4万人を擁しています。[4]
その主要事業セグメントと製品・サービスは以下の通りです(2025年通期〜2026年Q1の報告区分)。[5]
★ライフサイエンス・ソリューションズ(Life Sciences Solutions):研究用試薬、実験機器、DNA解析、細胞培養製品、バイオプロダクション等。2025年通期のセグメント売上高は103.74億ドル、外部顧客向け売上は87.81億ドルでした。2024年7月に次世代プロテオミクスのOlinkを買収完了し、2025年9月にはソルベントムの精製・濾過事業を取得して、バイオプロダクションと隣接市場向けの濾過・分離能力を強化しました。[5][6][7]
★分析機器(Analytical Instruments):質量分析、クロマトグラフィー、分光分析、電子顕微鏡など。材料科学・半導体・ライフサイエンス等の高精度計測を支える中核機器群です。2025年通期のセグメント売上高は75.54億ドル、外部顧客向け売上は73.53億ドルでした。2026年Q1は機器需要の回復が一部で鈍く、学術・政府関連需要の弱さにも注意が必要です。[5][3]
★専門診断(Specialty Diagnostics):感染症・腫瘍・遺伝子・移植関連などの診断用試薬・機器。COVID-19後は基礎需要へ回帰し、ポートフォリオ最適化を続けています。2025年通期のセグメント売上高は46.76億ドル、外部顧客向け売上は46.04億ドルでした。[5]
★ラボ製品・バイオ医薬品サービス(Laboratory Products & Biopharma Services, LPBS):実験消耗材・供給網、低温保管、ロジスティクス、CDMO(開発・製造)、臨床研究サービスなど。2025年通期のセグメント売上高は239.84億ドル、外部顧客向け売上は238.18億ドルで、TMO最大のセグメントです。2025年にはSanofiの米ニュージャージー州リッジフィールド無菌製造サイトの取得を完了し、2026年3月には臨床試験エンドポイントデータ企業Clarioの買収を完了しました。[5][8][9]
TMOは経営戦略として以下を推進しています。
・革新的なライフサイエンス技術の開発:遺伝子編集、分子診断、プロテオミクス、バイオプロセス、臨床試験データ解析等への投資を継続しています。Olink統合によりプロテインバイオマーカー探索を強化し、Clario買収により臨床試験のエンドポイントデータ収集・解析能力を拡張しました。[6][9]
・グローバル市場での拡大:米・欧・アジアを中心に、生産・サービス拠点を拡充しています。2025年4月には、米国での製造・研究開発を強化するため、今後4年間で20億ドルを追加投資する方針を発表しました。内訳は、米国製造能力の拡張・強化に15億ドル、高インパクトの研究開発に5億ドルです。[10]
・M&A戦略による成長:2014年Life Technologies、2017年Patheon、2021年PPD買収に加え、2024年Olink買収完了、2025年ソルベントム精製・濾過事業買収完了、Sanofiリッジフィールド製造サイト取得完了、2026年Clario買収完了と、ライフサイエンス研究、バイオプロセス、CDMO、臨床研究データの領域を継続的に補強しています。[6][7][8][9]
これらを支える全社的基盤として、TMO独自のPPI(Practical Process Improvement)ビジネスシステムを運用しています。継続的改善とオペレーショナル・エクセレンスにより、コスト・品質・供給・生産性を最適化する仕組みです。2025年通期の調整後営業利益率は22.7%、2026年Q1の調整後営業利益率は21.8%でした。[2][3]
沿革と足元の重点:Fisher Scientific(1902年創業)とThermo Electron(1956年設立)の統合(2006年)で総合力を確立しました。COVID-19関連需要は収束しましたが、がん研究・個別化医療・プロテオミクス・バイオプロダクション・CDMO・臨床試験データが中長期の成長領域です。2026年は、ソルベントム精製・濾過事業とClarioの統合、米国製造能力の強化、バイオ医薬品顧客向けサービスの拡充が注目点です。[2][7][9]
最近の業績トピック
- 2025年通期:売上高は445.56億ドル(前年比+4%)、有機成長率は2%、GAAP希薄化後EPSは17.74ドル、調整後EPSは22.87ドル、フリーキャッシュフローは63.4億ドルでした。[2]
- 2026年Q1:売上高は110.05億ドル(前年同期比+6%)、有機成長率は1%、GAAP営業利益は18.63億ドル、GAAP営業利益率は16.9%、調整後営業利益は23.99億ドル、調整後営業利益率は21.8%でした。[3]
- 2026年通期見通し:2026年Q1決算後、会社側は通期売上見通しを473億〜481億ドル、調整後EPS見通しを24.64〜25.12ドルへ引き上げたと説明されています。Clarioの買収効果も含め、報告ベースでは増収が続く見込みですが、有機成長は緩やかな回復局面です。[11]
リスクと留意点
- 学術・政府需要の弱さ:2026年Q1時点でも、米国や中国の学術・政府関連需要は平常時より弱いと報じられています。分析機器や一部ライフサイエンス研究需要に影響しやすい点に注意が必要です。[12]
- M&A統合リスク:2025年のソルベントム精製・濾過事業、Sanofi製造サイト、2026年のClarioなど、買収・取得が続いています。製品補完性は高い一方、統合費用、のれん・無形資産、顧客移行、シナジー実現の遅れには注意が必要です。[7][9]
- バイオ医薬品投資サイクル:バイオプロダクション、CDMO、臨床研究サービスは中長期で魅力的ですが、顧客の資金調達環境、研究開発予算、医薬品開発パイプラインに左右されます。
- 為替・金利・規制:グローバル展開が大きいため為替の影響を受けます。また、医療・診断・臨床試験・製造受託に関わる規制変更、品質問題、サプライチェーン制約も重要なリスクです。[1]
ミニ解説:四つのセグメント体制(LSS/AIS/SD/LPBS)は変わらず、2025年通期はLPBSが最大セグメント、LSSはOlinkとソルベントム精製・濾過事業で強化されました。2026年はClarioを取り込んだ臨床研究データ領域、米国製造能力、バイオプロダクションの回復が注目点です。短期は有機成長の改善とマージン管理、PPIによる生産性改善がテーマです。[5][3]
【注】(出典リンク)
- 本社所在地、事業内容、リスク要因、2025年Form 10-K → SEC Form 10-K(2025年12月期) / Annual Reports(IR)(確認日:2026-05-10) ↩
- 2025年通期実績:売上445.56億ドル、有機成長率2%、GAAP EPS 17.74ドル、調整後EPS 22.87ドル、調整後営業利益率22.7%、FCF63.4億ドル → 2025年Q4・通期決算発表 / 2025 Annual Report(PDF)(確認日:2026-05-10) ↩
- 2026年Q1決算:売上110.05億ドル、GAAP EPS 4.43ドル、調整後EPS 5.44ドル、有機成長率1%、調整後営業利益率21.8% → 2026年Q1決算発表 / Q1 2026 Reconciliation(PDF)(確認日:2026-05-10) ↩
- 従業員数:約125,000人、地域別人員分布 → SEC Form 10-K(2025年12月期)(確認日:2026-05-10) ↩
- 2025年セグメント別売上:LSS 103.74億ドル、AIS 75.54億ドル、SD 46.76億ドル、LPBS 239.84億ドル、外部顧客向け売上 → SEC Form 10-K(2025年12月期)(確認日:2026-05-10) ↩
- Olink買収完了、LSSへの編入、次世代プロテオミクス強化 → Olink買収完了リリース / SEC Form 10-K(2025年12月期)(確認日:2026-05-10) ↩
- ソルベントム精製・濾過事業買収完了:約40億ドル、2025年9月完了、LSSに編入、2025年売上見込み約7.5億ドル → 買収完了リリース / Solventum発表(確認日:2026-05-10) ↩
- Sanofiリッジフィールド無菌製造サイト取得完了、米国製造能力拡充 → 取得完了リリース / 提携拡大リリース(確認日:2026-05-10) ↩
- Clario買収完了:2026年3月、88.75億ドルの現金対価、LPBSに編入、臨床試験エンドポイントデータ能力を強化 → Clario買収完了リリース / 買収合意時リリース(確認日:2026-05-10) ↩
- 米国での20億ドル追加投資:15億ドルの製造投資、5億ドルのR&D → 米国投資リリース(確認日:2026-05-10) ↩
- 2026年通期見通し:売上473億〜481億ドル、調整後EPS 24.64〜25.12ドル、Q1決算後のガイダンス引き上げ → Q1 2026決算説明会トランスクリプト / Q1 2026決算発表(確認日:2026-05-10) ↩
- 米国・中国の学術/政府関連需要の弱さ、2026年Q1後の市場反応・リスク補足 → Reuters(確認日:2026-05-10) ↩
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】

