トランプ政権と米国株投資

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【LMT】ロッキードマーチンの株価と配当、決算

更新日:

ロッキードマーティン社(LMT)はアメリカ随一の防衛(軍需)大手企業で、ステルス戦闘攻撃機F35の主要な製造元となっていますが、この戦闘機はNATO諸国や日本などと国際共同開発が進められてきました。

F35の受注の中核を担うのはLMTで、この戦闘機の売上は同社の売上の約二割を占めています(予定購入機数は2443機。費用は約3790億ドル)。

この記事ではアメリカの防衛産業やLMT社、F35とTHAADミサイルなどを取り上げてみます。

LMTは軍事企業の代表格

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初めからマニアックな話になっているので、一般目線で、そもそもの説明から始めます。防衛産業やロッキード・マーティン社、F35等についてネットで説明は出ていますが、何となくわかりにくいものが多いからです。

疑問①:軍需企業は良いのか悪いのか?

ロッキードと聞くと、歴史の教科書で見た収賄事件(ロッキード事件:田中角栄逮捕)を思い出す方もいるかもしれません。

こうした防衛産業は軍産複合体批判などもあって、日本ではよくないイメージが先行しています。アニメでもよく悪役にされていますが(例:ガンダム等)、実際のところ、日本を守っているのは、米国の防衛産業が生んだ高性能な装備です。

例えば、F15戦闘機はボーイング社からのライセンス生産、ミサイル防衛システムはレイセオン社、F16戦闘機はロッキード・マーティン社がつくっています(自衛隊のF2戦闘機はF16の日本向けバージョン)。

実際は、日本国民1億2千万人は米国の防衛産業の恩恵にあずかっており、80年代以降の日本の平和はF15とF16の大量導入で守られたと言われることもあります。日本ではアメリカの防衛大手について、あまりよいイメージがありませんが、彼らがつくった装備がなければ、日本人は今頃、中国語や朝鮮語を話さなければいけなくなっていたのかもしれません。

むろん、軍需系企業は戦争が起きれば儲かるという危ない構造を抱えているわけですが、日本やNATO、オーストラリアなどの「同盟国の防衛」に関しては、米軍需大手は最高度の貢献を果たしてきました。

実際に、本年9月にも、自衛隊が用いるF35Aのお披露目の式典では、防衛省や自衛隊の代表も交えて「この戦闘機は今後の日米同盟の象徴だ」というPRがなされています(LMT社HP)。同盟と言っても、それを支える装備がなければお題目になってしまうので「F35は日米同盟の象徴」になっているわけです。

F4戦闘機の役割終了に伴い、日本ではF35AをLMT社から購入したのですが、軍需企業の評価に関しては、功罪を踏まえた判断が必要です。

疑問②:ロッキード・マーティン社(LMT)はどんな企業?

LMT社はアメリカの最大手の防衛系企業です。

「あれっ。ボーイングじゃないの?」と思われた方もいるかもしれませんが、ボーイングの場合、約7割が民間向けの売上なので、軍事系の装備生産だけを見たら、LMTのほうが大きいのです。15年末の数字で見ると、ボーイング社の売上は961億ドル。そのうち軍需部門は31.4%(約300億ドル)ですが、LMTの売上高は461億ドル(『2016夏号 米国株速報』)。

要するに、LMTの売上の約8割は軍需部門なので、こちらのほうが軍需主体の企業なのです。

LMTはアメリカナンバーワンの軍需企業と言っても過言ではなく、ここで生み出される装備が世界の安全保障と平和、戦争に非常に大きな影響を与えています。

LMTがつくる装備は空軍と宇宙に関わるものが多いので「軍需主体の航空機メーカー」(『米国株速報』)という説明がピッタリ当てはまります。

ジャンルが近いメーカーはノースロップ・グラマン社(NOC)とレイセオン社(RTN)などで、売上高の規模で見ると、LMTが400億ドル以上、NOCやRTNは200億ドル以上の規模となっています。

主な指標を概観

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まず、主要指標のデータを見てみます(出所はグーグルファイナンスなど)

19/1/2株価258.4
19/2/15株価307.2
株価上昇率18.90%
52週高値363
52週安値241.2
EPS17.59
PER17.46
配当(利回り)8.80 (2.86%)
時価総額(億$)868
株式数(億)2.8

株価推移(チャートと伸び率)

次に、株価の推移を見てみます(青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線)。


株価の推移を1年ごとに見てみましょう。

★1:各年の株価伸び率(※19年終値は2/15)
LMT

初値

最安

最高

終値

上昇率

2019

258.4

258.1

307.2

307.2

19%

2018

322

245.2

361

261.8

-19%

2017

251.2

250.9

322.8

321.1

28%

2016

214

206.1

267.6

249.9

17%

2015

192.1

185.5

226.4

217.2

13%

2014

147.1

146.1

196.8

192.6

31%

2013

93.8

86.7

148.8

148.7

58%

2012

82.1

80

94.9

92.3

12%

2011

70.2

66.9

82.3

80.9

15%

2010

75.9

68

86.9

69.9

-8%

2009

84.3

58.2

86.2

75.4

-11%

2008

105.8

68

119.6

84.1

-21%

★2:各年初から2019/2/15までの伸び率
19年~

18年~

17年~

16年~

15年~

14年~

19%

-5%

22%

44%

60%

109%

13年~

12年~

11年~

10年~

09年~

08年~

228%

274%

338%

305%

264%

190%

配当利回りと配当性向

株価の次に、配当金と配当性向の推移をモーニングスター(MS)社のデータで見てみます。

★配当性向=1株当たり配当÷EPS×100〔純利益から配当金を支払っている割合〕

★MS社は非GAAPのEPSで配当性向を試算。GAAP基準のEPS試算〔=単純計算〕の箇所は筆者挿入。

年/月

EPS

配当

配当性向

(GAAP)

単純計算

MS試算

2008/12

7.86

1.83

23.3

23.3

2009/12

7.64

2.34

30.6

30.1

2010/12

7.81

2.64

33.8

36.8

2011/12

7.81

3.25

41.6

37.2

2012/12

8.36

4.15

49.6

49.6

2013/12

9.13

4.78

52.4

49.6

2014/12

11.21

5.49

49

53.8

2015/12

11.46

6.15

53.7

53.2

2016/12

17.49

6.77

38.7

49.6

2017/12

6.89

7.46

108.3

59

四半期ごとの配当も見てみます。

権利落ち日

1株配当

配当利回り

当日株価

2018/12/03

2.2

2.8%

296.8

2018/09/04

2

2.5%

321.9

2018/06/01

2

2.5%

316.63

2018/03/01

2

2.2%

339.69

2017/12/01

2

2.4%

313.57

2017/09/01

1.82

2.4%

302.19

2017/06/01

1.82

2.5%

280.96

2017/03/01

1.82

2.6%

268.38

2016/12/01

1.82

2.5%

266.4

2016/09/01

1.65

2.7%

243.61

2016/06/01

1.65

2.7%

238.08

2016/03/01

1.65

2.9%

218.13

2015/12/01

1.65

2.8%

220.2

四半期決算(予想と実値)

さらに、決算を見ていきます。

【18年第4四半期】(非GAAP基準)

★売上:144.1億ドル(予想137.5億ドル)⇒差額は661億ドル(4.59%)

★EPS:4.39(予想4.4)⇒差額は-0.1(-2.3%)

18年売上は537.6億ドル(17年は499.6億ドル)。

2019年の通期実績に関して、LMTは以下のガイダンスを出しました。

★売上高:557.5~572.5億ドル

★営業利益:60~61.5億ドル

★EPS:19.15~19.45ドル

予想値

さらに、ロイターが調べた四半期決算のEPSと売上の予想を整理しました(2019/1/29、売上単位は100万ドル)。

平均

上限

下限

期間

2019

56237

57089

55616

通年

6-19

14077

14396

13525

4半期

3-19

12564

13248

12275

4半期

売上

予想

結果

9-18

13073

14318

1245

9.53

6-18

12737

13398

661

5.19

3-18

11242

11635

393

3.5

12-17

14726

15137

411

2.79

9-17

12807

12169

638

4.98

EPS予想

平均

上限

下限

期間

2019

19.55

20.2

18.79

通年

6-19

4.86

5.04

4.68

4半期

3-19

4.39

4.63

4.21

4半期

EPS

予想

結果

9-18

4.31

5.14

0.83

19.34

6-18

3.92

4.31

0.39

9.85

3-18

3.4

4.02

0.62

18.38

12-17

4.07

3.87

0.2

4.8

9-17

3.26

3.24

0.02

0.63

※決算予想では米国会計基準(GAAP)とは異なる「非GAAP基準」の数値が多用されています。これは各社が経営実態を踏まえて調整した数値です(売上とEPSの数値が後述のGAAP基準での数値と異なる場合は、非GAAP基準の数値)

四半期決算(GAAP基準)

GAAP基準での四半期会計の実績は以下の通りでした。

LMT

売上高

営業利益

純利益

EPS

09-2017

12341

1677

963

3.32

12-2017

14932

1126

-778

-2.4

03-2018

11635

1725

1157

4.02

06-2018

13398

1795

1163

4.05

09-2018

14318

1963

1473

5.14

(以下、次節の通年決算も含めて、売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)

通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を見てみます。

損益計算(売上、純利益等)

売上高

営業CF

同マージン

純利益

2008/12

42731

4421

10.3%

3217

2009/12

45189

3487

7.7%

3024

2010/12

45803

3801

8.3%

2926

2011/12

46499

4253

9.1%

2655

2012/12

47182

1561

3.3%

2745

2013/12

45358

4546

10.0%

2981

2014/12

45600

3866

8.5%

3614

2015/12

46132

5101

11.1%

3605

2016/12

47248

5189

11.0%

5302

2017/12

51048

6476

12.7%

2002

※同マージン=営業キャッシュフローマージン。15~35%程度あれば優良な数値。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや営業利益率など

営業利益率

EPS

DSO

2008/12

40.6

6.91

49.62

2009/12

5.5

-0.28

75.82

2010/12

18.1

1.52

74.35

2011/12

27

-5.32

74.7

2012/12

16.8

4.74

64.9

2013/12

30

1.58

36.26

2014/12

25.9

-3.47

28.97

2015/12

-27.9

-13.18

33.23

2016/12

-18.7

-5.9

35.1

2017/12

-8.4

-0.85

36.21

※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。上記DSOの出所はモーニングスター社。上記TTMは11/12時点から過去12カ月で計算した値。

バランスシート

総資産

総負債

株主資本

自己資本率

2008/12

33439

30574

2865

8.6%

2009/12

35111

30982

4129

11.8%

2010/12

35113

31616

3497

10.0%

2011/12

37908

36907

1001

2.6%

2012/12

38657

38618

39

0.1%

2013/12

36188

31270

4918

13.6%

2014/12

37046

33646

3400

9.2%

2015/12

49304

46207

3097

6.3%

2016/12

47806

46200

1606

3.4%

2017/12

46521

47130

-609

-1.3%

 

ROAとROEなど

★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業が上げた利益を見る

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業が上げた利益を見る

★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る(下表では資本が負債の何倍かを表記)

ROA

ROE

流動比率

単位

倍率

2008/12

10.3

50.8

1.01

2009/12

8.8

86.5

1.17

2010/12

8.3

74.7

1.15

2011/12

7.3

112.8

1.16

2012/12

7.2

527.9

1.14

2013/12

8

120.3

1.2

2014/12

9.9

86.9

1.11

2015/12

8.4

111

1.15

2016/12

10.9

230.1

1.2

2017/12

4.2

483.6

1.38

キャッシュフロー

営業CF

投資CF

財務CF

フリーCF

2008/12

4421

-907

-3938

3495

2009/12

3487

-1832

-1432

2321

2010/12

3801

-573

-3358

2727

2011/12

4253

-788

-2144

3266

2012/12

1561

-1177

-2068

619

2013/12

4546

-1121

-2706

3710

2014/12

3866

-1723

-3314

3021

2015/12

5101

-9734

4277

4162

2016/12

5189

-985

-3457

4126

2017/12

6476

-1147

-4305

5299

LMTはF35とF22の製造元

LMTの社運をかけた事業としては、F35の製造が挙げられます。

軍事の話に戻りますが、そもそも、このF35戦闘機というのは、どういう戦闘機なのでしょうか。

疑問①:F22もF35もステルス機だが、いったい、何が違うんだ?

レーダーに映らないステルス技術は湾岸戦争の時に爆撃機に採用され、その後、戦闘機にも活かされるようになりました。

その結果、誕生した世界最強の戦闘機がF22ラプターです。アメリカでは、このラプターを海外に売るか売らまいかという議論が繰り広げられ、最後は「アメリカが最強国の地位を維持するためには、売らないほうがよい」という落ちになります。

しかし、同盟国にもステルス機のニーズがあるので、何か対策が必要でした(欧州のユーロタイフーンという高性能戦闘機でも完全なステルス性を確保できていない)。

こうしてステルス機の新バージョンの開発が始まりました。

そして、「新しい戦闘機をつくるなら、新しい実験をしなければ」という話になり、F35ライトニングにはF22とは違うコンセプトとミッションが定められます。

ざっくり言えば、F22戦闘機は制空権を確保するための最強の戦闘機です。

そして、F35は空中戦をしながらも、高性能のレーダーや情報ネットワークを生かして対地、対艦への攻撃をこなす多用途の戦闘攻撃機です(空中戦能力はF22に劣る)。

「それって、要するに何でも屋ってこと?」と思われた方もいるかもしれません。

制空権確保の空中戦能力はF22が最強ですが、F35はどちらかと言えば、空中戦の後、地上や海上の目標を攻撃することに力点が置かれています。

「多用途戦闘機=マルチロールファイター」なので、言葉の意味合い的には、"何でも屋の戦闘機"というのは、ある意味では、当たっています。

要するに、アメリカとしては、空中戦で最強の能力を持つ機体(F22)は同盟国にも売れない。しかし、空中戦能力はそこそこで、対地・対艦攻撃に強みのある機体を同盟国とシェアすることにしました。そして、これを国際共同開発で完成させようとしたのです。

疑問②:F35って結局、強いのか? 弱いのか?

「ふーん、じゃあ、さほど強くないってわけ?」という声もあろうかと思いますが、この機体の戦闘能力には、恐らく、従来の戦闘機では太刀打ちできないでしょう。

LMT社やNOC社の動画を見ると、このF35ライトニングの恐るべきコンセプトが鮮やかに描かれていました。その内容をざっとまとめると、以下の通りです。

敵のレーダー網をかいくぐって気づかれぬ間に敵基地上空に侵入可能。

ステルス機の特性を生かし、気付かれる前に敵機を先制攻撃で撃墜。

高性能のレーダーを持つ数機のF35が四方八方に電波を飛ばし、空中から地上までの敵を全て把握。敵機の情報をA機、B機、C機も共有し、攻撃することが可能なので、撃ち漏らしが出にくい。

高速移動しながらも各機が発見した敵・味方の識別情報を共有し、同じ情報を基に戦っているので、間違えて味方にミサイルを発射する可能性は低い。

敵はF35を発見できないまま撃墜され、やっと発見した敵機が後ろから攻撃をしかけても、F35は前方に向けて発射したミサイルをUターンさせて敵機を逆に撃墜

(※参照動画は以下の二つ)

https://www.youtube.com/watch?v=Q7ufjQ6Eyj8

このコンセプトが実現したら、ステルス能力のない戦闘機の群れがF35の編隊に対抗するのは、かなり難しいでしょう。見えないところから、高性能ミサイルの第一波攻撃を必ず受けてからの不利な戦いを強いられるからです。

F35は空中戦もできますが、360度を見渡せる高性能の遠距離レーダーで敵機を発見し、気づかれる前に先制攻撃をしかけてくるので、空中戦以前に敵機に対して「お前はすでに死んでいる」という北斗の拳のような状態を作り出してしまうわけです。

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