【LMT】ロッキードマーチンの株価と配当、決算

米国個別株,資本財,軍事株,高配当銘柄

ロッキードマーチン(LMT)はアメリカ随一の防衛(軍需)大手で、ステルス戦闘攻撃機F35(ライトニング)の主要な製造元です。この戦闘機はNATO諸国や日本などと国際共同開発が進められてきました。

LMTは、世界最強のステルス戦闘機F22ラプターを開発し、航空宇宙分野だけでなく、軍事情報システムなども手がける防衛分野でのトップ企業です。

1981年に民間航空機事業からの撤退し、93年にGD(ゼネラルダイナミクス)からの戦闘機部門を買収、95年にマーチンマリエッタと合併、2015年にはUTX(ユナイテッドテクノロジー)からヘリコプター部門のシコルスキーを譲受し、米国軍需企業の雄となりました。

LMTは軍事企業の代表格

LMTについて、そもそもの説明から始めます。

防衛産業やロッキード・マーティン社、F35等についてネットで説明は出ていますが、やや難しいものが多いからです。

疑問①:軍需企業は良いのか悪いのか?

ロッキードと聞くと、歴史の教科書で見た収賄事件(ロッキード事件:田中角栄逮捕)を思い出す方もいるかもしれません。

この種の防衛産業は日本ではよくないイメージが先行しており、ガンダム等のアニメでもよく悪役にされています。

しかし、実際のところ、日本を守っているのは、米国の防衛産業が生んだ高性能な装備です。

例えば、F15戦闘機はBE(ボーイング)からのライセンス生産、ミサイル防衛システムはRTN(レイセオン)、F16戦闘機はロッキード・マーティン社がつくっています(自衛隊のF2戦闘機はF16の日本向けバージョン)。

80年代以降の日本の平和はF15とF16の大量導入で守られたともいわれており、実際は、日本国民1億2千万人は米国の防衛産業の恩恵にあずかっています。

軍産複合体批判などもあって、日本では米軍需企業について、よいイメージがありませんが、彼らがつくった装備がなければ、日本人は今頃、中国語を話さなければいけなくなっていたのかもしれません。

むろん、軍需企業は「戦争が起きれば儲かる」という危ない構造を抱えているわけですが、日本やNATO、オーストラリアなどの「同盟国の防衛」を支える役割も担ってきました。

実際に、自衛隊が用いるF35Aのお披露目の式典では「この戦闘機は今後の日米同盟の象徴だ」というPRがなされています。

同盟と言っても、それを支える装備がなければお題目になるので、「F35は日米同盟の象徴」になっているわけです。

(F4戦闘機の役割終了に伴い、日本ではF35AをLMT社から購入した)

軍需企業の評価に関しては、功罪を踏まえた判断が必要です。

疑問②:ロッキード・マーティン社(LMT)はどんな企業?

LMT社はアメリカの最大手の防衛系企業です。

「あれっ。BA(ボーイング)゙じゃないの?」と思われた方もいるかもしれませんが、BAは約7割が民間向けの売上です。

LMTの売上の約8割は軍需部門なので、こちらのほうが軍需主体の企業なのです。

LMTはアメリカナンバーワンの軍需企業と言っても過言ではなく、ここで生み出される装備が世界の安全保障と平和、戦争に非常に大きな影響を与えています。

その装備は空軍と宇宙に関わるものが多いので「軍需主体の航空機メーカー」(『米国株速報』)という説明がピッタリ当てはまります。

事業構成別に見た売上比率は以下の通りです。

(※ロータリー&ミッションは軍・民のヘリコプター等→R&M。以下、宇宙システム=宇宙、ミサイル&火器管制=ミサイル等)

年/月 17/12 18/12 19/12 20/12
航空機 39% 40% 40% 41%
R&M 28% 27% 25% 27%
宇宙 19% 18% 18% 19%
ミサイル等 14% 16% 17% 18%

地域別売上高も見てみましょう。

17/12 18/12 19/12 20/12
米国 72% 71% 72% 75%
欧州 10% 10% 10% 10%
アジア太平洋 10% 10% 10% 8%
中東 7% 7% 7% 6%

LMTの社史をさかのぼると、冷戦終了後に防衛産業の集約化が進み、買収を経て業容を拡大してきました。

93年にGD(ゼネラルダイナミクス)から戦闘機部門を買収。95年にマーチンマリエッタと合併。

2015年にUTX(ユナイテッドテクノロジー)からヘリ部門(シコルスキー)を譲受。

20年12月にロケットエンジンを作るエアロジェット社の買収を発表しました。

主な指標を概観

まず、主要指標のデータを見てみます(指標と株価はgooglefinance関数から取得)。

1/4株価 355
10/21株価 373.1
株価上昇率 5.12%
52週高値 397
52週安値 319.8
β値 0.98
EPS 25.51
PER 14.63
配当利回り 2.84%
時価総額(億$) 1033
株式数(億) 2.8

株価推移(チャートと伸び率)

次に、株価の推移を見てみます(青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線)。

株価の推移を1年ごとに見てみましょう。

★1:各年の株価伸び率(※21年終値は10/21株価)
LMT 初値 終値 上昇率
2021 355 373.1 5%
2020 392.9 355 -10%
2019 258.4 389.4 51%
2018 322 261.8 -19%
2017 251.2 321.1 28%
2016 214 249.9 17%
2015 192.1 217.2 13%
2014 147.1 192.6 31%
2013 93.8 148.7 59%
2012 82.1 92.3 12%
2011 70.2 80.9 15%
2010 75.9 69.9 -8%
2009 84.3 75.4 -11%
2008 105.8 84.1 -21%
★2:各年初から21/10/21までの伸び率
21年~ 20年~ 19年~ 18年~
5% -5% 44% 16%
17年~ 16年~ 15年~ 14年~
49% 74% 94% 154%
13年~ 12年~ 11年~ 10年~
298% 354% 432% 392%
09年~ 08年~
343% 253%


配当利回りと配当性向

さらに、配当利回りを見てみます。

権利落ち日 配当 利回り 株価
2021/11/30 2.8
2021/8/31 2.6 2.78% 359.8
2021/5/31 2.6 2.56% 382.2
2021/2/28 2.6 2.97% 330.3
2020/11/30 2.6 2.68% 365
2020/8/31 2.4 2.46% 390.3
2020/5/31 2.4 2.42% 388.4
2020/3/1 2.4 2.49% 369.9
2019/12/1 2.4 2.3% 391
2019/9/2 2.2 2.29% 384.1
2019/6/2 2.2 2.54% 338.5
2019/2/28 2.2 2.71% 309.4

配当性向の推移もモーニングスター(MS)社のデータで確認してみましょう。
★配当性向=1株当たり配当÷EPS×100〔純利益から配当金を支払っている割合〕
★単純計算=EPS÷1株配当。MS試算=モーニングスター社の試算値

年/月 EPS 配当 配当性向
(GAAP) 単純計算 MS試算
08/12 7.86 1.83 23.3 23.3
09/12 7.64 2.34 30.6 30.1
10/12 7.81 2.64 33.8 36.8
11/12 7.81 3.25 41.6 37.2
12/12 8.36 4.15 49.6 49.6
13/12 9.13 4.78 52.4 49.6
14/12 11.21 5.49 49 53.8
15/12 11.46 6.15 53.7 53.2
16/12 17.07 6.77 39.7 49.6
17/12 6.75 7.46 110.5 59
18/12 17.59 8.2 46.6 75.8
19/12 21.95 9 41 41.8
20/12 24.3 9.8 40.3 41


四半期決算(2020予想など)

さらに、四半期決算のEPSと売上の予想を整理してみます。
(※下記図表では、Y=年度決算、Q=四半期決算、日/月=データの日時、その右欄にあるのは1カ月前、2か月前の予想値を記載。データの主な出所は英語版のヤフーファイナンス。)。

EPS:予想と結果

予想 10/17 1月前 2月前
Y:2022 27.84 27.98 28.02
Y:2021 22.15 22.75 22.77
Q:21/12 7.12 7.08 7.09
Q:21/9 1.94 2.59 2.55

21年Q2決算のEPSは、軍用機の秘密プロジェクトにおけるパフォーマンスが問題視され、追加費用を計上した値(0.61$)が差し引かれた値です。
Q2のプレスリリースによる説明は以下の通り。
“The company has experienced performance issues on a classified program at its Aeronautics business segment. "
(当社は航空機事業における機密プロジェクトにおいてパフォーマンスにまつわる問題を経験した)
“During the second quarter of 2021, the company completed a comprehensive review of the program and determined that estimated total costs to complete the program are expected to exceed the contract price. "
(21Q2において、当社はその事業に対して包括的なレビューを行い、計画を完成させるために契約価格を上回る費用を計上した)
“As a result, the company recorded a loss of $225 million ($169 million, or $0.61 per share, after tax) at its Aeronautics business segment."
(その結果、当社は航空機事業において2.25億$の損失を記録した(=特別損失分がEPSから0.61$差し引かれる))

EPS 予想 結果
21/6 6.53 6.52 -0.01 -0.2
21/3 6.3 6.56 0.26 4.1
20/12 6.41 6.38 -0.03 -0.5
20/9 6.09 6.05 -0.04 -0.7
20/6 5.72 5.79 0.07 1.2
20/3 5.8 6.08 0.28 4.8
19/12 5.03 5.29 0.26 5.2
19/9 5.02 5.66 0.64 12.7
19/6 4.77 5 0.23 4.8
19/3 4.34 5.99 1.65 38.0
18/12 4.4 4.39 -0.01 -0.2
18/9 4.31 5.14 0.83 19.3
18/6 3.92 4.05 0.13 3.3
18/3 3.4 4.02 0.62 18.2

graph

売上高:予想と結果

予想 10/17 1月前 2月前
Y:2022 70550 70920 70810
Y:2021 68340 68340 68340
Q:21/12 17900 17870
Q:21/9 17120 17160 17190
売上 予想 結果
21/6 16930 17030 100 0.6
21/3 16380 16260 -120 -0.7
20/12 16870 17030 160 0.9
20/9 16120 16500 380 2.4
20/6 15260 16220 960 6.3
20/3 15080 15650 570 3.8
19/12 15270 15880 610 4.0
19/9 14870 15170 300 2.0
19/6 14210 14430 220 1.5
19/3 12590 14340 1750 13.9
18/12 13750 14410 660 4.8
18/9 13070 14320 1250 9.6
18/6 12740 13400 660 5.2
18/3 11240 11640 400 3.6

graph

ガイダンス

(Y=通年、予=予想。GD=ガイダンス。「21/3」は21/3決算で出したGDを示す)

GD Y:予 Y:EPS Y:予 Y:売上
21/6 26.68 26.7~27 68.34B 67.3~68.7B
21/3 26.33 26.4~26.7 68.13B 67.3~68.7B
20/12 26.14 26~26.3 66.43B 67.1~68.5B
20/9 24.19 24.45 62.74B 652.5B
20/6 24.11 23.75~24.05 62.74B 63.5~65B
20/3 24.03 23.65~23.95 62.74B 62.25~64B
19/12 24.13 23.65~23.95 63.67B 62.75~64.25B
19/9 21.23 21.55 59.14B 59.1B
19/6 20.53 20.85~21.15 57.77B 58.25~59.75B
19/3 19.62 20.05~20.35 56.73B 56.75~58.25B

決算予想と結果では米国会計基準(GAAP)とは違う「非GAAP基準」の数値(各社が経営実態を踏まえて調整した数値)が多用されています。そのため、本節の売上とEPSは次節のGAAP基準の値と同じになるとは限りません。

通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を見てみます(以下、売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。

損益計算(売上、純利益等)

LMT 売上高 営業CF 同マージン 純利益
08/12 41372 4421 11% 3217
09/12 43867 3487 8% 2973
10/12 45671 3801 8% 2878
11/12 46499 4253 9% 2655
12/12 47182 1561 3% 2745
13/12 45358 4546 10% 2981
14/12 39946 3866 10% 3614
15/12 40536 5101 13% 3605
16/12 47290 5189 11% 5173
17/12 49960 6476 13% 1963
18/12 53762 3138 6% 5046
19/12 59812 7311 12% 6230
20/12 65398 8183 13% 6833

同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%もあれば優良。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや営業利益率など

LMT SG(%) EPS DSO
08/12 -1% 7.86 49.6
09/12 6% 7.64 45.9
10/12 4% 7.81 47.1
11/12 2% 7.81 46.4
12/12 1% 8.36 48.8
13/12 -4% 9.13 49.9
14/12 -12% 11.21 46.9
15/12 1% 11.46 55.2
16/12 17% 17.07 62.8
17/12 6% 6.75 60.1
18/12 8% 17.59 37.5
19/12 11% 21.95 14.6
20/12 9% 24.3 12

※SG(セールスグロース):売上高成長率(前年度比)
※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。上記DSOの出所はモーニングスター社。

バランスシート

LMT 総資産 総負債 株主資本 自己資本率
08/12 33439 30574 2865 9%
09/12 35111 30982 4129 12%
10/12 35113 31616 3497 10%
11/12 37908 36907 1001 3%
12/12 38657 38618 39 0%
13/12 36188 31270 4918 14%
14/12 37046 33646 3400 9%
15/12 49304 46207 3097 6%
16/12 47806 46200 1606 3%
17/12 46620 47396 -776 -2%
18/12 44876 43427 1449 3%
19/12 47528 44357 3171 7%
20/12 50710 44672 6038 12%

ROAとROEなど

LMT ROA ROE 流動比率
08/12 10% 112% 101%
09/12 8% 72% 117%
10/12 8% 82% 113%
11/12 7% 265% 116%
12/12 7% 703% 114%
13/12 8% 61% 120%
14/12 10% 106% 111%
15/12 7% 116% 115%
16/12 11% 322% 120%
17/12 4% -25% 138%
18/12 11% 348% 112%
19/12 13% 196% 122%
20/12 13% 113% 139%

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業があげた利益の割合
★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業があげた利益の割合
★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る指標

キャッシュフロー

LMT 営業CF 投資CF 財務CF
08/12 4421 -907 -3938
09/12 3487 -1832 -1432
10/12 3801 -573 -3358
11/12 4253 -788 -2144
12/12 1561 -1177 -2068
13/12 4546 -1121 -2706
14/12 3866 -1723 -3314
15/12 5101 -9734 4277
16/12 5189 -985 -3457
17/12 6476 -1147 -4305
18/12 3138 -1075 -4152
19/12 7311 -1241 -5328
20/12 8183 -2010 -4527