AMD(アドバンストマイクロデバイセズ)今後の見通し

半導体,情報技術,株価•決算

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(Advanced Micro Devices, Inc./NASDAQ: AMD)の今後の見通しを考えるために、まず金利と株価チャートの推移を確認し、次に直近の決算を見ていきます。

2026年8月時点のAMDは、RyzenやEPYCを中心とするCPU企業という従来の姿から、Instinct GPU、ROCm、Pensandoネットワーク、Heliosラックスケールシステムまで含むAIデータセンター企業へ急速に事業領域を広げています。

2026年8月4日に発表した2026年第2四半期(Q2)決算では、売上高が過去最高の115.36億ドルとなり、Data Center売上は前年同期比107%増の67.18億ドルへ拡大しました。会社は2026年下期もData Center売上の成長加速を見込んでいます。[1]

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は米10年国債利回り

※株価の成長率、前日比、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、出来高などを更新します。リアルタイム表示ではないため、利用するデータソースによって一定の遅延が生じる場合があります。


銘柄比較については関連記事「NVDA/AMD:エヌビディアとアドバンスト・マイクロ・デバイセズを比較」も参照してください。

直近決算:2026年第2四半期

AMDは2026年8月4日(米国時間)の市場終了後にQ2決算を発表しました。決算説明会は米東部時間午後5時から行われました。[1]

Q2は売上高、Non-GAAP EPSとも市場予想を上回りました。市場予想は売上高約112.8億~113億ドル、調整後EPS1.62ドル前後でしたが、実績は売上高115.36億ドル、Non-GAAP EPS1.66ドルでした。[2]

2026年Q2 市場予想 実績 前年同期比
売上高 約112.8~113億ドル 115.36億ドル +50%
GAAP EPS 1.38ドル +156%
Non-GAAP EPS 約1.62ドル 1.66ドル +246%
GAAP純利益 22.97億ドル +163%
Non-GAAP純利益 27.60億ドル +253%

Q2の利益率も改善

2026年Q2のGAAP売上総利益率は54%、GAAP営業利益率は17%でした。Non-GAAPでは売上総利益率56%、営業利益率27%です。前四半期の2026年Q1と比べても利益率は改善しています。[1]

期間 GAAP粗利率 Non-GAAP粗利率 GAAP営業利益率 Non-GAAP営業利益率
2026 Q1 53% 55% 14% 25%
2026 Q2 54% 56% 17% 27%

ただし前年同期の2025年Q2には、米政府のAMD Instinct MI308向け輸出規制に伴う在庫・関連費用8億ドルが含まれていました。そのため、2026年Q2の前年同期比で見た利益率の大幅改善には、この特殊要因の反動も含まれます。[1]

好決算でも株価が下落した理由

Q2決算は市場予想を上回り、2026年Q3売上ガイダンスも市場予想を上回りましたが、8月5日のAMD株は一時6.6%安の482.53ドルとなりました。決算前までAI成長への期待から株価が大きく上昇していたことに加え、Q3のNon-GAAP粗利益率見通しがQ2と同じ約56%にとどまったことなどから、市場がより高い成長や利益率改善を期待していた面があります。[2]

ミニ解説:「好決算=必ず株価上昇」ではありません。株価は実績そのものより、決算前に市場がどこまで好材料を織り込んでいたかで反応が変わります。2026年8月のAMDは、AI成長への期待値そのものが非常に高くなっている点にも注意が必要です。

2026年Q3ガイダンス

AMDは2026年Q3について、売上高を130億ドル±3億ドル、Non-GAAP売上総利益率を約56%と予想しています。売上ガイダンスの中央値は前年同期比約41%増、Q2比約13%増に相当します。[1]

2026年Q3 市場予想 AMDガイダンス
売上高 約125.2億ドル 127~133億ドル
中央値130億ドル
Non-GAAP粗利益率 約56%

企業概要

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(Advanced Micro Devices, Inc.:AMD)は、PC、サーバー、AIデータセンター、ゲーム機、組み込み機器向けに、CPU、GPU、AIアクセラレータ、FPGA/Adaptive SoC、DPU・ネットワーク製品などを開発する半導体企業です。

2025年通期から報告セグメントはData CenterClient and GamingEmbeddedの3区分となっています。Client and Gamingは一つの報告セグメントですが、ClientとGamingの売上高は個別にも開示されています。[3]

主な製品群は、PC向けRyzen、サーバー向けEPYC、AI・HPC向けInstinct、PC・ゲーム向けRadeon、組み込み向けEPYC EmbeddedやVersal、ネットワーク向けPensando製品などです。

AMDはCPUではIntelやArm系プロセッサ、AIアクセラレータではNVIDIAや大手クラウド企業の内製チップ、GPUではNVIDIA、FPGA・Adaptive ComputingではIntel系製品などと競合しています。

PC向けCPU:Ryzen

PC向けではRyzen 9000シリーズやRyzen AIシリーズなどを展開しています。2026年Q2のClient売上高は30.62億ドルで前年同期比23%増でした。出荷数量は34%増加した一方、製品ミックスの影響で平均販売価格は6%低下しました。[1]

サーバーCPU:EPYC

サーバーではEPYCがData Center事業の重要な柱です。2026年には第6世代EPYC「Venice」を投入し、CPU単体だけでなく、Instinct GPUを搭載するAIシステムのホストCPUとしても重要性が高まっています。第6世代EPYCはZen 6アーキテクチャとTSMCの2nmプロセス技術を採用しています。[4]

AI GPU:Instinct

AIデータセンターではInstinct MI350シリーズの出荷拡大が2026年Q2の成長を牽引しました。さらにAMDはMI400シリーズを展開し、その中核となるMI455XをHeliosラックスケールシステムに搭載します。[4]

ゲーム向け:Radeonとセミカスタム

PCゲーム向けにはRadeon RX 9000シリーズなどを展開しています。また、PlayStation 5やXbox Series X|Sなどの家庭用ゲーム機向けには、CPUとGPUを統合したセミカスタムSoCを供給してきました。

ただし2026年Q2のGaming売上高は7.79億ドルで前年同期比31%減でした。主因はゲーム機向けセミカスタム製品の売上減少です。[1]

Embedded

Xilinx買収によって拡大したEmbedded事業では、FPGA、Adaptive SoC、組み込みCPUなどを産業、通信、自動車、航空宇宙、防衛など幅広い市場へ提供しています。

2026年Q2のEmbedded売上高は9.77億ドルで前年同期比19%増となり、複数の最終市場で需要回復が進みました。[1]

AI戦略:GPU単体からラック全体へ

現在のAMDを分析するうえで最も重要なのは、単なる「NVIDIA対抗GPUメーカー」としてではなく、CPU、GPU、ネットワーク、ソフトウェア、ラック設計を一体で提供するAIインフラ企業へ転換している点です。

2026年7月の「Advancing AI 2026」でAMDは、Heliosラックスケールシステム、Instinct MI400シリーズ、第6世代EPYC、ROCm.aiなどを発表しました。[4]

Helios

Heliosは、72基のInstinct MI455X GPU18基の第6世代EPYC「Venice」CPU、Pensandoネットワーキング、ROCmソフトウェアなどを一つのラックスケールシステムとして統合するAI基盤です。2026年8月4日のQ2決算時点で、AMDはHeliosが生産段階に入り、今後出荷を拡大していく方針を示しています。[4]

これまでAMDはCPUやGPUという「部品」を販売する企業としての色彩が強い会社でした。Heliosでは、ラック単位でAIインフラを設計・最適化し、NVIDIAのラックスケールAIシステムと直接競争する方向へ進んでいます。

Anthropicとの最大2GW契約

AMDとAnthropicは2026年7月22日、Heliosに搭載するMI450シリーズGPUを最大2ギガワット規模で導入する戦略的提携を発表しました。最初の1GWは2027年上半期から導入する予定です。さらに両社はClaudeを利用したInstinct向けワークロード最適化やROCm開発でも協力し、AMDはAnthropicへ最大50億ドルの戦略的エクイティ投資を行うことを約束しています。[4]

Microsoft、OpenAIなど顧客基盤を拡大

AMDはHeliosの採用・検証企業として、Anthropic、Meta、Microsoft、OpenAI、Oracleなどを挙げています。MicrosoftとはAzureで次世代Instinct、EPYC、Pensandoを広く展開する提携を進めています。[4]

顧客基盤が広がることはNVIDIA一強に対抗するうえで重要ですが、契約発表と実際の売上計上には時間差があります。今後は「何社が採用したか」だけでなく、実際に何台・何ラックが出荷され、どれだけ売上と利益に転換されたかを見る必要があります。

ROCm

AI GPUでNVIDIAに対抗するうえでは、ハードウェア性能だけでなくソフトウェア環境が重要です。AMDはROCm.aiを通じて、AIモデルの開発、導入、最適化を行いやすくする取り組みを強化しています。[4]

NVIDIAのCUDAは長年にわたり巨大な開発者エコシステムを構築してきました。そのため、AMDがInstinctのシェアを本格的に拡大するには、GPUの性能や価格だけでなく、ROCmの互換性、開発ツール、ライブラリ、サポート体制の改善が重要です。

AI関連の買収

AMDは2022年にXilinxを買収し、FPGA・Adaptive Computingを事業へ取り込みました。2025年3月にはZT Systemsの買収を完了し、大規模AIサーバーのラック設計と顧客導入支援能力を獲得しました。ZT Systemsの製造事業はその後Sanminaへ売却し、AMDは設計・顧客支援部門を残す形へ整理しています。[5]

さらに2026年6月には、AIを利用した予測型メモリ最適化技術を持つMEXTを買収しました。AIモデルの大型化でDRAMやHBMを含むメモリが重要な制約となるなか、GPU以外のインフラ技術にも投資範囲を広げています。[5]

ひとことで:AMDは「EPYC CPU+Instinct GPU+Pensandoネットワーク+ROCm+ZT Systems由来のラック設計能力」を組み合わせ、AIデータセンター全体を提供できる企業を目指しています。今後の成否はHeliosの量産、MI455Xの供給、ROCmの浸透、顧客の本格導入速度に大きく左右されます。

事業セグメント:Data Centerが全社の中心へ

2026年Q2はData Center売上が67.18億ドルとなり、全社売上115.36億ドルの約58%を占めました。前年同期比では107%増です。AMD自身もData Centerを全社の売上・利益成長を牽引する中心事業と位置づけています。[1]

事業 2025年通期売上高
(M$)
2026年Q2売上高
(M$)
2026年Q2前年比 2026年Q2営業利益
(M$)
Data Center 16,635 6,718 +107% 2,103
Client 10,640 3,062 +23% 582
Client & Gaming合計
Gaming 3,910 779 -31%
Embedded 3,454 977 +19% 386
全社 34,639 11,536 +50% 1,990

Data Centerの成長速度が他事業を大きく上回っており、AMDの業績は以前よりもAI・サーバー市場の設備投資サイクルに強く左右される構造へ変化しています。

長期業績:Zen以降の復活からAI成長へ

AMDは2010年代半ばまで業績不振が続きましたが、Zenアーキテクチャ、Ryzen、EPYCの成功によって収益力を回復しました。その後XilinxやZT Systemsを取り込み、2024年以降はInstinctを中心とするAIデータセンター需要が新たな成長ドライバーになっています。[6]

会計年度 売上高
(M$)
前年比 営業利益/損失
(M$)
純利益/損失
(M$)
GAAP希薄化後EPS
2008 5,810 -0.3% (2,961) (3,098) (5.14)
2009 5,401 -7.0% (720) (557) (0.85)
2010 6,494 +20.2% 535 471 0.66
2011 6,568 +1.1% 491 491 0.68
2012 5,422 -17.4% (1,056) (1,183) (1.60)
2013 5,299 -2.3% (103) (83) (0.11)
2014 5,506 +3.9% (155) (403) (0.53)
2015 3,991 -27.5% (481) (660) (0.84)
2016 4,272 +7.0% (372) (491) (0.60)
2017 5,253 +23.0% 127 (33) (0.04)
2018 6,475 +23.3% 451 337 0.34
2019 6,731 +4.0% 631 341 0.30
2020 9,763 +45.0% 1,369 2,490 2.06
2021 16,434 +68.3% 3,646 3,162 2.57
2022 23,601 +43.6% 1,264 1,320 0.84
2023 22,680 -3.9% 401 854 0.53
2024 25,785 +13.7% 1,900 1,641 1.00
2025 34,639 +34.3% 3,694 4,335 2.65

2008年から2025年までの売上高CAGRは約11%、Zenによる業績回復が本格化した2017年から2025年では約27%です。特に2025年は売上高346.39億ドルと過去最高を更新し、前年比34%増となりました。[6]

2026年上期は217.89億ドルまで拡大

2026年上期の売上高は217.89億ドル、GAAP営業利益は34.66億ドル、GAAP純利益は36.80億ドルとなりました。Q1に続いてQ2も二桁の前四半期比成長となり、Data Centerの拡大が全社成長を押し上げています。[1]

財務の健全性

急成長するAI半導体企業ではありますが、AMDのバランスシートは2026年Q2時点で比較的厚い自己資本を維持しています。

2026年6月27日時点の現金・現金同等物は50.86億ドル、短期投資は80.25億ドルで、合計131.11億ドルでした。総資産は844.64億ドル、株主資本は672.24億ドルです。総負債は172.40億ドルで、自己資本比率は約79.6%です。[7]

時点 総資産
(M$)
総負債
(M$)
株主資本
(M$)
自己資本率
2020年末 12,193 3,628 8,565 70.2%
2021年末 18,313 4,178 14,135 77.2%
2022年末 64,483 13,140 51,343 79.6%
2023年末 67,885 13,999 53,886 79.4%
2024年末 69,226 11,658 57,568 83.2%
2025年末 76,926 13,927 62,999 81.9%
2026年Q2末 84,464 17,240 67,224 79.6%

2026年Q2末の有利子負債は帳簿価額ベースで約32.26億ドルであり、現金・短期投資131.11億ドルを大幅に下回ります。単純な有利子負債との比較ではネットキャッシュ状態です。[7]

ただしAI成長に伴う大型コミットメントに注意

バランスシート上の有利子負債が少ないからといって、将来の資金負担が小さいとは限りません。2026年Q2末には無条件の購入コミットメントが約303億ドルあり、データセンター賃貸契約に関する保証の最大エクスポージャーも約41億ドルありました。[7]

これはAI GPU、ウェハー、HBM、先端パッケージング、基板、システム部材などの供給を確保し、大規模AIインフラを立ち上げるための投資拡大と表裏一体です。今後は通常の有利子負債だけでなく、こうした契約上のコミットメントも確認する必要があります。

キャッシュフローと研究開発費

AI事業の拡大とともにAMDのキャッシュ創出力も改善しています。2026年上期の営業キャッシュフローは53.21億ドル、設備投資は11.97億ドルでした。単純に営業CFから設備投資を引くと、約41.24億ドルのフリーキャッシュフローとなります。[7]

期間 営業CF
(M$)
設備投資
(M$)
FCF
(M$)
研究開発費
(M$)
2020 1,072 249 823 1,979
2021 3,521 372 3,149 2,840
2022 3,758 527 3,231 5,005
2023 1,667 546 1,121 5,872
2024 3,041 636 2,405 6,456
2025* 6,493 974 5,519 8,091
2026 上期 5,321 1,197 約4,124 4,925

* 2025年は継続事業ベース。2025年の営業CFは、継続事業64.93億ドルにZT Systems製造事業などの非継続事業12.16億ドルを加えると全社合計77.09億ドルです。AMDが開示する2025年FCF55.19億ドルは、継続事業営業CF64.93億ドルから設備投資9.74億ドルを差し引いた値です。

ここは旧記事Bで修正が必要だった箇所です。旧表では2025年の営業CFに非継続事業を含む77.09億ドルを記載しながら、FCFには継続事業ベースの55.19億ドルを使用していました。比較基準をそろえるため、本記事では2025年営業CFを継続事業ベースの64.93億ドルへ修正しました。[6]

研究開発費も急増

2026年上期の研究開発費は49.25億ドルとなり、前年同期比約36%増加しました。MI400/Helios、EPYC、ROCm、AIソフトウェアなどの開発に多額の資金を投入しています。[7]

研究開発費の増加は短期的には費用ですが、AI市場でNVIDIAに追いつくためにはハードウェアだけでなくソフトウェア、ネットワーク、システム設計への継続投資が必要です。その投資が将来の売上と利益率へ結び付くかが重要になります。

競争環境:Intel・NVIDIA・クラウド内製との競争

対Intel・Arm

サーバーCPUではEPYCの採用拡大が追い風です。一方でIntelとの競争に加え、Amazon、Google、Microsoftなどクラウド事業者がArmベースの独自CPUを拡大していることも長期的な競争要因です。

対NVIDIA

AIアクセラレータではNVIDIAが最大の競合です。AMDはMI350、MI400、Helios、ROCmを組み合わせて対抗しています。

AMDにはオープンなソフトウェア戦略、CPUからGPU・ネットワークまで自社でそろえられる製品幅、複数の大手クラウド・AI企業との提携という強みがあります。一方、NVIDIAのCUDAは開発者、ライブラリ、AIフレームワーク、各種最適化ツールを含む巨大なエコシステムを持っています。

そのため、AMDがAI GPUで売上を増やすだけでなく、中長期的にシェアを拡大するには、ROCmの使いやすさと性能最適化を継続的に改善する必要があります。

クラウド企業の内製AIチップ

Google TPU、AWS Trainium・Inferentiaなど、大手クラウド事業者は独自AIアクセラレータも開発しています。AMDにとってAI市場の競争相手はNVIDIAだけではありません。

一方、大規模クラウド事業者が単一のチップへ依存するリスクを減らそうとする「マルチソーシング」はAMDにとって追い風になる可能性があります。

今後の見通し

AMDの短期的な業績は非常に強い一方、株価を左右するのは過去の成長率よりも、2026年下期から2027年にかけてAIインフラ事業がどの程度拡大するかです。

強気材料

  • Data Centerの高成長:2026年Q2は前年同期比107%増の67.18億ドル。
  • EPYC:サーバーCPU需要が拡大し、AMDは2026年下期のサーバー成長加速を見込んでいます。
  • Instinct:MI350出荷拡大に続き、MI450/MI455Xへ製品世代を移行。
  • Helios:GPU単体販売からラックスケールAIシステムへ事業領域を拡大。
  • 大規模顧客:Anthropic、Microsoft、OpenAI、Meta、Oracleなどとの関係を強化。
  • Q3ガイダンス:中央値130億ドルで、前年同期比約41%増を見込む。
  • キャッシュフロー:2026年上期の営業CFは53.21億ドルまで増加。
  • 財務余力:2026年Q2末の現金・短期投資131.11億ドルが有利子負債を大きく上回る。

リスク

  1. 高い市場期待:Q2決算が予想を上回ったにもかかわらず株価が下落したように、AI成長への期待値は高くなっています。[2]
  2. NVIDIAとのソフトウェア競争:CUDAに対してROCmがどこまで開発者支持を広げられるかが重要です。
  3. 供給制約:TSMCの先端プロセス、CoWoSなどの先端パッケージング、HBM、基板の供給量が成長を制約する可能性があります。[2]
  4. 粗利益率:Q3のNon-GAAP粗利率見通しは約56%でQ2並みです。AI売上の急増がどこまで全社利益率の上昇につながるかを確認する必要があります。
  5. 輸出規制:中国などへの高性能AI半導体の輸出規制が製品販売や在庫評価へ影響する可能性があります。
  6. 大型コミットメント:2026年Q2末の無条件購入コミットメントは約303億ドルに達しています。
  7. 顧客集中:ギガワット級のAI契約は大きな成長機会である一方、顧客の設備投資時期がずれると四半期業績への影響も大きくなります。
  8. ゲーム事業:2026年Q2はセミカスタム製品のサイクル低下でGaming売上が31%減少しました。

まとめ:AIデータセンター企業への転換が鮮明に

AMDの2026年Q2は、売上高115.36億ドル、GAAP EPS1.38ドル、Non-GAAP EPS1.66ドルとなり、市場予想を上回りました。Data Center売上は前年同期比107%増の67.18億ドルに達し、全社売上の約58%を占めています。[1]

2026年Q3についても売上高130億ドル±3億ドルを見込み、中央値では前年同期比約41%増です。短期的な業績モメンタムは強い状態が続いています。

中長期的には、EPYCとInstinctの単体チップ販売だけでなく、Helios、Pensando、ROCm、ZT Systems由来のラック設計能力を組み合わせるフルスタックAI戦略が最大の焦点です。Anthropicとの最大2GW契約など、大規模な顧客案件も具体化しています。[4]

一方、2026年8月の決算後に株価が下落したことが示すように、市場の期待も非常に高くなっています。今後の投資判断では、「AI市場が拡大するか」だけではなく、AMDがその市場でどれだけ実際の売上、粗利益、FCF、市場シェアを獲得できるかを見る必要があります。

投資家が確認したい指標

  • Data Center売上の前年同期比・前四半期比
  • Instinct GPU売上とHelios出荷状況
  • EPYCサーバーCPUの成長率
  • Non-GAAP粗利益率
  • ROCmの採用拡大
  • Anthropic、Microsoft、OpenAIなど大型顧客案件の売上転換
  • TSMC・HBM・先端パッケージングの供給状況
  • 営業CF・FCF
  • 購入コミットメントと設備投資負担

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について市場予想と結果の推移を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業発表を比較します。単位はEPSがドル、売上高が100万ドルです。

免責事項

本記事は公開情報を基にAMDの業績・財務・事業戦略を分析したものであり、特定の有価証券の売買を推奨するものではありません。半導体株は業績、AI設備投資、輸出規制、製品競争、供給制約、市場の期待値などによって株価が大きく変動する場合があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の最新情報の確認日は2026年8月8日です。

【注】(出典リンク)

  1. 2026年Q2決算・セグメント別売上・Q3ガイダンス・決算発表時間 → 一次情報:AMD「Second Quarter 2026 Financial Results」AMD「Q2 2026 Financial Results Schedule」(確認日:2026-08-08)
  2. Q2市場予想・決算後の株価反応・供給制約に関する市場評価 → 一次情報(実績):AMD Q2 2026 Results → 二次情報:Reuters(2026年8月5日)(確認日:2026-08-08)
  3. 事業構成・報告セグメント・主要製品・競争環境 → 一次情報:AMD 2025 Form 10-KAMD SEC Filings(確認日:2026-08-08)
  4. Helios・MI400/MI455X・第6世代EPYC・ROCm.ai・Anthropic等AI提携 → 一次情報:AMD「Advancing AI 2026」AMD / Anthropic Strategic Partnership(確認日:2026-08-08)
  5. Xilinx・ZT Systems・MEXTなど買収によるAI基盤拡張 → 一次情報:AMD「Completes Acquisition of ZT Systems」AMD「Acquires MEXT」(確認日:2026-08-08)
  6. 2025年通期財務・長期業績・営業CFとFCFの定義整理 → 一次情報:AMD「Fourth Quarter and Full Year 2025 Financial Results」AMD 2025 Form 10-K(確認日:2026-08-08)
  7. 2026年Q2・上期のバランスシート、CF、R&D、購入コミットメント → 一次情報:AMD Form 10-Q(2026年Q2)AMD Q2 2026 Results(確認日:2026-08-08)

Posted by 南 一矢