AMAT(アプライドマテリアルズ)今後の見通し
アプライドマテリアルズ(Applied Materials, Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
銘柄比較については関連記事(AMATとLRCXを比較:アプライドマテリアルズとラムリサーチ)を参照
直近決算
アプライドマテリアルズは2月12日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想2.21$→結果2.38$
・売上高:予想68.7億$→結果70.1億$(前年同期比-2%)
★ガイダンス
《四半期》
・EPS:予想2.28$→結果2.44~2.84$
・売上高:予想70.2億$→結果71.5~81.5億$
★出所
・IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。
企業概要
アプライド・マテリアルズ(Applied Materials, Inc.:AMAT)は、世界最大級の半導体製造装置メーカーです。半導体の前工程を中心に、薄膜堆積、エッチング、イオン注入、CMP、計測・検査、先端パッケージングなどの装置群を供給し、先端ロジック、メモリ、AI/HPC向け半導体の量産を支えています。ディスプレイ向け製造装置も手掛けます。[1]
同社の装置は、スマートフォン、PC、データセンター(AI/HPC)、自動車、産業機器などに不可欠です。AMATは微細化・多層化・新材料対応に強みを持ち、とりわけ薄膜堆積(CVD・PVD・ALD)、エッチング、イオン注入、CMP、計測・検査、先端パッケージング関連の量産技術で存在感があります。ALD(原子層堆積)については、2022年のPicosun買収でスペシャルティ半導体向けの技術ポートフォリオを強化しました。[1][2]
ディスプレイ製造向けには、OLEDやLCD向けの装置を提供します。なお、2010年にa-Si薄膜太陽電池の「SunFab」ライン販売を停止しており、現在の太陽電池関連は、かつてのような大きな独立事業ではなく、ディスプレイ関連技術の延長線上にある限定的な領域として見るのが妥当です。[1]
生産・開発拠点は、米国(本社:カリフォルニア州サンタクララ)、シンガポール、イスラエル、台湾などに分散しています。主要顧客は世界各地に半導体工場を持つため、AMATも装置供給、保守、部品、プロセス支援をグローバルに提供する体制を構築しています。[1]
その事業は、大きく以下の3つに分類されます。
★半導体製造装置(Semiconductor Systems):半導体ウエハー製造に必要な装置を提供。主な製品領域は、
・薄膜堆積装置(CVD、PVD、ALDほか)/
・エッチング装置/
・イオン注入装置(2011年のVarian買収で強化)/
・CMP、計測・検査、先端パッケージング(2.5D/3D、HBM関連)など。
近年は、パターニング効率を高める「Centura Sculpta(パターン整形)」や、プロセス統合の自由度を高める新プラットフォーム「Vistara」を展開しています。[3][4][5]
★アプライド・グローバル・サービス(Applied Global Services, AGS):装置の保守、部品、アップグレード、ファブ自動化ソフトウェアなどを提供し、顧客工場の稼働率、歩留まり、スループットの最適化を支援します。2026年度第1四半期から、従来AGSに含まれていた200mm装置事業はSemiconductor Systemsへ移管されました。そのため、過去データと比較する際は、セグメント区分の変更に注意が必要です。[6]
★ディスプレイ(Display):テレビ、IT機器(ラップトップ、モニタ、タブレット)、スマートフォンなどに使われるLCD・OLED製造装置やアップグレードを提供します。ただし、2025年10月期からはDisplayを独立した報告セグメントとして扱わず、会計上は「Corporate and Other」または「Other」に含めて開示されています。したがって、事業内容としては引き続き存在しますが、投資家が決算数値を見る際には、報告セグメントはSemiconductor SystemsとAGSが中心と理解すると分かりやすいです。[7]
社史をさかのぼると、AMATは1967年設立です。1970~80年代に薄膜堆積やエッチング分野で地位を確立し、1990年代以降はグローバル展開とM&Aで技術ポートフォリオを拡大してきました。主な動きは以下の通りです。
・2011年:Varian Semiconductorを約49億ドルで買収し、イオン注入分野を強化。
・2013年:東京エレクトロンとの統合を発表するも、2015年に米司法省の競争懸念を受けて撤回。
・2019年:コクサイ・エレクトリック買収を発表するも、2021年に中国当局の承認遅延などで契約失効。
・2022年:フィンランドのPicosunを買収し、ALDおよびスペシャルティ半導体向け技術を強化。[8]
経営戦略としては、AI/データセンター需要に伴う先端ロジック、HBMを含むメモリ、先端パッケージングへの対応、装置の統合最適化、材料・構造の革新、ならびにAGSによる顧客ファブの稼働最適化に注力しています。2026年度第1四半期の会社コメントでも、AIコンピューティング向け投資が先端ロジック、HBM、先端パッケージングを押し上げていることが強調されています。[6]
最近の定量トピック:FY2025(2025年10月期)は売上高283.68億ドル、営業利益82.89億ドル、営業利益率29.2%でした。セグメント別売上は、Semiconductor Systems 207.98億ドル(構成比73%)/AGS 63.85億ドル(23%)/Corporate and Other 11.85億ドル(4%)です。地域別では、2025年10月期の中国向け売上が85.29億ドル(30%)で最大でしたが、2024年10月期の101.17億ドル(37%)からは低下しました。一方、台湾向けは68.57億ドル(24%)、韓国向けは56.08億ドル(20%)へ伸びています。[9]
アップデート(業績の足元):2026年2月公表のFY2026 Q1(2026年1月25日終了四半期)は、売上高70.12億ドル、GAAP営業利益18.31億ドル、GAAP EPS2.54ドルでした。売上高は前年同期比で2%減でしたが、Semiconductor SystemsではDRAM売上が過去最高となり、AGSではサービスおよびスペア部品売上が過去最高となりました。セグメント別では、Semiconductor Systemsが51.41億ドル、AGSが15.59億ドル、Otherが3.12億ドルです。会社側はFY2026 Q2の売上高見通しを76.50億ドル±5.00億ドルとしました。[6]
リスクと留意点:米中輸出規制の影響は継続しています。AMATは、対中出荷に関連する輸出管理上の調査・召喚を受けていることを開示してきました。2026年度第1四半期には、米商務省BISとの輸出管理コンプライアンス案件に関して2.53億ドルの法的和解費用を計上しています。また、2025年10月期の中国向け売上比率は30%であり、なお大きな市場である一方、2024年10月期の37%から低下しています。今後も、米国の輸出規制、ライセンス運用、中国顧客の投資姿勢、中国国内装置メーカーとの競争は、受注・売上・利益率に影響し得ます。[6][9][10]
もっとも、AI需要に関連する先端ロジック、HBM、先端パッケージング、非先端ノードの底堅い装置需要、そしてAGSによるストック型収益は業績の下支え要因です。中長期的には、材料・構造の革新×装置統合×顧客ファブの稼働最適化をどれだけ高い水準で実現できるかが、AMATの競争優位を左右します。[6][9]
ミニ解説
・Sculpta(パターン整形):EUV工程の一部を減らせる可能性がある技術で、工程数、コスト、エネルギー消費の低減に寄与し得ます。
・Vistara:装置をプラットフォーム化し、プロセス統合を柔軟にする発想です。次世代パターニングや先端パッケージングで重要性が増します。
・AGSの意味:装置販売後の保守、部品、アップグレード、ソフトウェアを担う収益基盤です。半導体設備投資は循環性がありますが、稼働中の装置が増えるほど、サービス収益は比較的安定しやすくなります。
【注】(出典リンク)
- 事業概要・製品領域・拠点・Display関連 → Applied Materials Form 10-K FY2025(SEC) → Applied Materials Annual Report & Proxy(確認日:2026-05-10) ↩
- Picosun買収・ALD強化 → Applied Materials IR News(確認日:2026-05-10) ↩
- Varian買収・イオン注入強化 → Applied Materials Completes Acquisition of Varian Semiconductor(確認日:2026-05-10) ↩
- Centura Sculpta・パターン整形技術 → Applied Materials IR News → Centura Sculpta Product Page(確認日:2026-05-10) ↩
- Vistaraプラットフォーム → Applied Materials Vistara IR News → Applied Materials Official Blog(確認日:2026-05-10) ↩
- FY2026 Q1業績・セグメント変更・Q2見通し・AI/HBM/先端パッケージ需要 → Applied Materials Announces First Quarter 2026 Results(確認日:2026-05-10) ↩
- Displayの報告セグメント変更 → Applied Materials Form 10-K FY2025(SEC)(確認日:2026-05-10) ↩
- M&A・統合撤回・契約失効の経緯 → Varian買収 → 米司法省:TEL統合撤回 → コクサイ契約失効 → Picosun買収(確認日:2026-05-10) ↩
- FY2025売上・営業利益・セグメント別売上・地域別売上 → Applied Materials Form 10-K FY2025(SEC) → FY2025 Q4 and Full Year Results(確認日:2026-05-10) ↩
- 米中輸出規制・対中売上リスクの補足 → Applied Materials Form 10-K FY2025(SEC) → Reuters(確認日:2026-05-10) ↩
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】

